昼のうだる様な暑さに加え、夜になっても涼しくはならない所謂熱帯夜という奴だ。
「暑い・・・・」
下着だけを身に着け、ほぼ裸同然の恰好でつぶやくがその傍らにはネコミミをはやした冥琳が一刀を逃がさないように抱きしめている。
普通に暑いのに、冥琳が抱きついているのでさらに暑く感じてしまい、じっとりと汗ばんでいる。
「みゅ・・・・みゃ・・・・」
自身も暑くなってきたのか、冥琳が自ら体を離すが、手だけはしっかりと握っている。
寝苦しくはあるのだが、気持ち良さそうに寝ている冥琳を起こすのも忍びないので、そのままにしている。
「こんなときに熱帯夜はないよな・・・・クーラーいや、扇風機だけでもあるといいんだけど」
現代の便利だった物に思いを馳せるが、その言葉は誰にも聞かれることなく部屋の闇の中へ溶けて行った。
「一刀・・・・暑いのか?」
「え?・・・・あ・・・・」
いつの間に起きたのか、冥琳が一刀の方を見ていた。
そうだと肯定をしようと思っていたが、冥琳の寂しそうに潤んだ瞳+上目遣い+伏せられたネコミミの最強の三段活用でその言葉は飲み込むことになった。
「そんなことないよ」
「そうか、それはよかった」
気にしていないように言っているが、忙しなく動くネコミミが冥琳に代わり嬉しさを最大限表している。
「・・・・・・もっと近づいてもいいよ?」
「そうか?」
大胆にも一刀の胸を枕代わりに、眠り始める冥琳であるが暑さに勝てないのか忙しなく寝がえりを打つ。
「今夜は暑いな・・・・」
寝ることをあきらめたのか、冥琳が語りかけてくる。
「そうだね・・・・なにか涼しくなるものがあるといいんだけど」
「水浴びができれば涼しくなると思うが、暗い中を行くわけにもいかん、それにそんなことを考えると決まって雪蓮や祭殿が嗅ぎ付けてややこしい事になるのは目に見えている」
「・・・・確かにそうだね・・・・」
言われたことが、リアルに浮かんだのか苦笑いをしている。
「それに、あの二人の事だ、暑さにかまかけて酒を飲んでいるに違いない」
そういえば、閨に行く前に雪蓮と祭が2人で警戒しながら食糧庫へ入って行くのを思い出した。
「・・・・2人して食糧庫から、お酒と肴を持ち出してたよ・・・」
すかさず、思い出したことを冥琳に教える。
「あの二人の事だ、そういうことだろうと思っていたが・・・・」
2人の元へと行こうとしたのか、体を起こした。
「いや、今日はいいだろう」
何を思ったのか、また一刀の胸へ頭を預けてきた。
「行かなくていいの?」
「今行けば、朝まで帰ってくることはできないだろう、それなら朝まで一刀と一緒に居たい」
自然な動作で一刀の方へと体をさらに密着させる。
「俺も、朝まで冥琳と居たい」
そう言って、冥琳の唇に己の唇を重ねる、それだけで済むわけはなく、次第に貪り合うような口づけに変わっていき、長くしないうちに冥琳の嬌声が聞こえ始める。
「汗かいたらなんか涼しくなった気がする」
「そうだな・・・・私は、腹の中が熱い、今日もたくさん出されたからな」
息も絶え絶えに己の腹をさする。
「ごめん・・・・」
「何を謝る?他の者に先駆けて子を孕めば、今異常に愛してもらえるからな」
本当にそうなればいいのに、聞こえない声で呟いたが、一刀の耳には届かなかった。
そうこうしているうちに徐々に空は白み始めている、今日も騒乱が始まる様な気がしているが、なぜか清々しい気分だった。
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皆さま、お久しぶりです、久々の更新になります
第一回同人恋姫祭りということで、参加させていただきました。
宣伝というか紹介というか、今回の投稿にあたり、お気に入り限定だった物をすべて解除しまして皆さま見れるようになりました、お気に入りをせずに見れなかった方や、もう一度たい方、よろしくお願いします
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