No.220541

真・恋姫無双SS ~この地に生きるものとして~ 第2話「託されるもの」

SYUUさん

第2話になります。
師のもとを出た一刀が司隷にやってきました。
ここで一人の少女と出会います。

2011-06-04 03:21:39 投稿 / 全12ページ    総閲覧数:5668   閲覧ユーザー数:5024

真・恋姫無双SS ~この地に生きるものとして~

 

 

第2話「託されるもの」

 

 

師と別れて益州への歩を進めている最中、遠方に黒煙が昇っているが見えた。

地図によれば次の宿を取る予定だった村のある方角だ。

それに気づいた時にはすでに走り出していた。

 

村に近づくほどに聞こえてくる、逃げ惑う村人達の悲鳴と盗賊たちの喜々とした声。

徐々に見えてくる黒煙を上げながら燃えている家々。

 

やっとの思いで村の入り口まで駆けつけると、

そこには地獄絵図が広がっていた、

 

辺りに散らばる血まみれの死体。

略奪・暴行を繰り広げる盗賊たち。

 

 

それを眼にした瞬間

 

 

何かが

 

 

はじけた

 

 

夜盗たちに囲まれた傷だらけの男が剣を片手に背後の少女へ叫ぶ

「愛紗、おまえだけでも早く逃げろ!」

「嫌です!兄上も一緒に」

「この傷では助からん、お前だけでも・・・」

 

その二人のやり取りに夜盗たちは下非た笑みを浮かべる。

 

「へへへ、この状況で逃がすとおもってんのか~」

「野郎はさっさとくたばっちまいな!そっちの嬢ちゃんは俺らが可愛がってやるからよ~」

 

盗賊の一人が少女に眼をやり舌なめずりをする。

 

「この下衆どもが、妹には指一本触れさせんぞ」

 

 

ぢりぢりと包囲網を狭めていく夜盗たちに追い詰められていく兄妹。

 

「くっ、このままでは・・・」

 

完全に包囲される前に突破を図ろうと男が剣を握りなおした時、

包囲網の反対にいた盗賊の頭と思われる男の首が飛んだ。

首から血を噴出しながら倒れる盗賊に他の盗賊たちが驚愕して周囲に刃を向ける。

 

「か、かしら!!!」

「な、なにが起きやがった!!!」

 

しかし、辺りを警戒する盗賊たちの眼に動く物の姿は映らない。

突然の出来事に驚いたのは兄妹も同様である。

 

「な、なにが・・・」

「・・・・」

 

 

不意に少女の視界の隅で何かが光った気がした。

慌てて少女が其方に振り向くと

 

また一つ盗賊の首が空を舞っていた。

 

眼に見えない襲撃者に一人、また一人と盗賊の首が飛ばされていく・・・

 

「ひ、ひいいいいいいい」

 

あまりの事態に盗賊の一人が悲鳴を上げながら逃げ出す。

それをかわきりに一斉に盗賊たちが逃げ出していく。

 

そんな中、立ち尽くす兄妹の目には見えた、

盗賊たちの背後から斬りかかる少年の姿が。

 

 

一人の少年により盗賊たちの斬殺劇が繰り広げられる中、

妹を庇っていた男の体が崩れ落ちた。

 

「あ、兄上!しっかり、しっかりしてください」

慌てて男を抱き起こす少女。

 

「愛紗・・・俺はもう助からん・・・

 妹を一人残して逝く兄を許してくれ・・・」

 

「い、嫌、嫌です、私を置いて逝かないで!」

 

男は泣いて懇願する妹から視線をそらし、少女の後方に眼をやれば、

先ほど盗賊を追っていった少年が悲痛な表情でこちらを見つめていた。

 

 

「名も知らぬ少年よ、妹を頼めるか・・・」

 

男と少年の視線が交わる。

しばらく見詰め合っていた後、少年が小さく頷いた。

 

「ありがとう・・・・」

 

そういい残すと男は静に域を引き取った。

 

「兄上・・・冗談ですよね・・

 嘘だと言ってください、兄上、あにうえぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

 

 

男の亡骸を抱きかかえ泣き叫ぶ少女の姿を

一刀はただ黙って見つめることしかできなかった・・・

 

 

あとがき

 

2話目になりますがいかがだったでしょうか?

おもしろいといってくれる方がひとりでもいらっしゃったらうれしく思います。

 

さてここで、修正された一刀の行き先について説明させていただきます。

当初プロットでは

徐州によってそこで反乱の鎮圧をしているとある一軍に会う予定でいましたが、

三国志地図を見ていてこの展開はないわ~と自己完結したため、急遽変更いたしました。

 

益州に向かうというコンセプトは元々あったもので、

その途中でどこを経由するかを変えただけです。

 

そのおかげで、会う予定の人に会わなかったり、会う予定のない人にあったりですが・・・

 

いきあたりばったりな展開ですが今後ともよろしくお願いします。

 

補足

 

この話で愛紗について少女と書いていますが、

愛紗の年齢は一刀と同じ位と思ってください(1話で出て来た星や霞もです)

これは物語が黄巾の乱より数年前から始まっているための処置です。

 

 

それではまた。

 

 

 


 
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