No.220061

雲の向こう、君に会いに-片翼の詩-

月千一夜さん

ども、月千一夜です
滑り込みセーフ、ですかねw
何とか、今回の祭りの作品が出来上がりました

ほんっとうに、空気を全く読んでいないほどにシリアスなんですがねw

続きを表示

2011-06-01 20:57:26 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:10316   閲覧ユーザー数:8205

「暑い・・・」

 

 

呟き、見あげた空

憎らしい程の青と、サンサンと照りつける太陽に

俺は、だらしなくため息を吐きだした

ああ~、本日も晴天なりってか?

 

 

「暑い・・・」

 

 

再び、零れ出た言葉

そんな俺の横から、呆れたような溜め息が聞こえてきた

 

 

「だらしないわよ、一刀」

 

「仕方ないだろ、暑いんだから」

 

 

言って、俺は隣を歩く彼女を見つめた

金色のクルクルヘアーに、小柄な体系

見る人が皆、口をそろえて“美少女”と言いたくなるような少女がそこにいた

 

 

「なによ?」

 

「べっつに・・・何にもないよ」

 

「ならいいけど」

 

 

そう言って、彼女は視線を自身の頭上

青々とした空へと向ける

 

 

「良い天気ね」

 

「暑いけどな・・・」

 

 

その言葉に、“我慢しなさい”と彼女は笑った

愛くるしい笑顔

その笑顔につられ、俺も笑った

 

 

「さ、早く行きましょう

今日は折角のデートなんだから」

 

「ああ、そうだな・・・“華琳”」

 

 

 

 

隣を歩く、愛しい人

 

ああ、今日も一日・・・楽しいことが、いっぱいあるといいな

 

 

 

 

 

 

 

 

≪雲の向こう、君に会いに-片翼の詩-≫

 

 

 

 

日曜日

学校が休みということもあって、街中もとても賑やかだ

そんな中、俺と華琳は二人で並んで歩いていた

 

 

「賑やか・・・ってか、人多すぎじゃね?」

 

「当たり前じゃない、日曜日なんだから」

 

「それにしても、だよ

あぁ~、こりゃ下手したらはぐれちまうぞ・・・」

 

「だ、だったら・・・!」

 

 

突然、華琳は顔を真っ赤にしながら声をあげる

何事かと彼女をよく見てみると、微妙に前に出ている右手の存在に気づいた

“ああ、華琳らしいなぁ”と、心の中で噴き出してしまう

 

 

「そうだ、華琳

手を繋がないか?

ホラ、はぐれたら困るしな」

 

 

そんな俺の言葉

華琳は一瞬“パァッ”と笑顔を浮かべるが、慌ててそれを隠すよう咳払いをした

それから、顔を真っ赤にしたまま俺の手を握った

 

 

「し、仕方ないわね・・・一刀がはぐれたら、その、面倒だし」

 

「はいはい、ありがとうございます」

 

 

素直じゃないなぁ、ホント

そんなことを思い、俺は苦笑を浮かべる

 

 

 

「さて華琳、まずは何処に行くんだ?」

 

「まずは、水着を見たいわね

勿論、貴方に選んでもらうわよ・・・一刀」

 

「ま、マジすか?」

 

 

今の笑顔

どう見ても、水着屋さんで俺が戸惑っているところを見たいって笑顔だったぞオイ

 

 

「マジよ♪

ホラ、早く行くわよ」

 

「あ、ちょっ、早いよ華琳っ!」

 

 

ああ、まぁでも

そんな彼女もまた、愛しいなどと

そう思ってしまうあたり、俺も本当に彼女に惚れ込んでいるのだろうなぁ

 

 

「暑い・・・」

 

 

などと思い、また空を見上げる

ああ、ちくしょう

 

何だかんだ言って、今日も楽しい一日になりそうだ

 

 

 

ーーーー†ーーーー

 

 

「これ、なんてどうかしら?」

 

 

そう言って、華琳が自分の体にあてた水着

それはもう水着なんて呼べる代物じゃなかった

なんていうか、こう・・・

 

 

「華琳さん・・・それはもう、ヒモなんじゃないでしょうか?」

 

「あら?

一刀は、こういうのが好きなんでしょ?」

 

 

クスクスと笑いながら、彼女はそう言った

ていうか、勘弁してく

そりゃ、まぁ・・・嫌いじゃないけれどもさ

 

って、ああ!?

店員さんが、凄い冷めた目でこっちを見てる!?

 

 

「か、華琳・・・もう少し、普通の水着にしないか?」

 

「普通、ねぇ」

 

 

言って、腕を組む華琳

彼女はそれから少し考えた後、俺のことを見つめニッコリと笑った

あ、もしかして・・・

 

 

「だったら一刀、貴方が選んでくれないかしら?」

 

「やっぱりですか・・・」

 

 

吐き出すように言い、俺は水着をチラリと見てみる

う~ん、色々あるなぁ

ていうかさ、華琳は可愛いからどれ着ても似合うと思うんだけどな

なんて・・・そんなこと言ったら、怒られてしまうか

 

そうだな、こんな時は・・・

 

 

「ただ、直感に従うのみ!!」

 

 

目を瞑り、俺は手をかざす

そうだ・・・こういう時は、直感に従うに限る

 

 

 

『一刀よ

考えるんじゃない・・・感じるんんぎもっちぃぃぃぃぃぃいいいいいいいい!!!!!』

 

 

 

じいちゃんも、こう言っていたしな

 

今こそ、この俺のセンス的な何かを持って・・・引き当てる!

む・・・!?

 

 

「これだああぁぁぁぁあああああ!!!!」

 

 

叫び、取り出したソレを・・・俺は彼女の前に差し出した

そして、今までの人生で一番の“ドヤ顔”でサムズアップまでセットで・・・彼女に言ったのだ

 

 

 

「さぁ華琳・・・これが、一番イイ装備だ」

 

 

 

意気揚々と差し出したソレを見つめ、彼女は微笑んだ

そして、それを指さした

 

 

「一刀・・・これは、何かしら?」

 

「おいおい華琳

そんなの見たらわかるだろ?

これは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“スクール水着”

 

 

 

 

 

 

そう言った瞬間

俺は、意識を失っていた・・・・

 

 

 

 

「いってぇ・・・」

 

「自業自得よ、馬鹿・・・」

 

 

言って、彼女は頬を膨らませる

可愛いなぁと思いながらも、俺はひとまず“悪かったよ”と謝った

 

因みに、彼女は俺が意識を失っている間に何かを買ったのだろう

先ほどから、何か小さな袋を持っている

 

 

「なぁ、華琳

それって、なんだよ?」

 

「あら、知りたいの?

どうしようかしら・・・ねぇ?」

 

「ああ、もう

そんなふうに言われたら、もっと気になるじゃないか」

 

 

俺がそう言うと、彼女は“仕方ないわね”と笑う

それから、その袋から小さな箱を取り出した

そして、それを俺の目の前で開ける

 

 

「これって・・・ペンダント?」

 

「ええ、そうよ」

 

 

微笑む彼女が持っているもの

それは・・・白い翼の形をしたペンダントだった

 

 

「へぇ~、なんかカッコいいな」

 

「でしょう?

それでね、これを・・・」

 

 

言いながら、彼女はその白い翼・・・その“片翼”を、手に取った

そしてそれを、俺の手にのせたのだ

 

 

「え、っと・・・これ」

 

「あげるわ」

 

「いいのか!?」

 

「ええ

元々、そのつもりで買ってきたんだもの」

 

 

そう言ってはにかむ彼女の頬は、微かに赤かった

俺はというと、彼女のその笑顔に見惚れてしまっていたんだ

 

 

「白き翼は・・・どれだけ離れていようとも、きっとまた二つに戻る

なんて・・・ロマンチックでしょ?」

 

「ああ・・・そうだな」

 

 

“ありがとう”

お礼を言い、俺はそのペンダントをポッケへとしまう

まだ、つけるのが勿体ない気がして

なんだか、この空気がむず痒くって

俺は、彼女の手を握り・・・笑ったんだ

 

 

 

ーーーー†ーーーー

 

 

「はぁ~、疲れたぁ」

 

 

ベンチに座り、俺は吐き出すように言った

そんな俺の隣で、華琳はクスクスと笑っている

 

 

「一刀ったら、おじさんクサいわよ?」

 

「ちょ、おじさんて・・・」

 

 

それ、軽くショックなんですけど

 

 

「まぁ、でもアレだ・・・楽しかったな」

 

 

見上げた空

もう、朱に染まる空

そんな空を見つめながら、俺は呟いた

その呟きに、彼女はクスリと笑う

 

 

「ええ・・・楽しかったわね」

 

 

言って、彼女はベンチから立ち上がる

それから少し歩き、俺を見つめ笑ったんだ

 

 

「本当に、楽しかった」

 

「華琳・・・?」

 

 

おかしい

 

“楽しかった”

 

彼女は、確かにそう言った

だけど・・・おかしいんだ

 

何で彼女は、あんな泣きそうな顔をしているんだろう?

 

 

「華琳・・・どうかしたのか?」

 

 

心配になり、俺はベンチから立ち上がり彼女のもとへと歩み寄ろうと足を進める

その瞬間、“グラリ”と・・・揺れた

 

なにが?

俺の、体が・・・?

 

 

 

 

「あ、あれ・・・?」

 

 

なんだ・・・?

なんか、フラフラするぞ

 

 

「一刀、“此処”は・・・とても楽しいわ」

 

 

そんな俺の様子も気にせずに、彼女は話をはじめる

その・・・今にも泣きそうな、そんな表情を浮かべたまま

 

 

「大好きな人と、幸せな日々を過ごす

そんな毎日が、私もすごく楽しかった

だからかしらね・・・私も、随分と長居してしまった」

 

「か、りん・・・?」

 

 

何を、言ってるんだ?

彼女は、いったい何を・・・

 

 

「でもね、ダメなの

どんなに幸せでも、この幸せは・・・本物じゃないの」

 

 

本物・・・じゃない?

この幸せが、本物じゃない?

 

 

「貴方も、本当は気づいているのでしょう?」

 

 

気付いている?

何を言ってるんだよ、華琳

 

そんなの・・・

 

 

 

 

 

 

 

≪会いたい・・・華琳に、皆に、会いたいよ・・・・・・≫

 

 

 

 

 

 

「気付いてたさ・・・そんな、ことぐらい」

 

「一刀・・・」

 

 

ああ、そうだ

彼女の、言う通りなんだ

 

俺は、気付いていた

 

この世界が、この幸せが

そして・・・目の前にいる、この愛しい彼女の存在が

 

 

 

「これは・・・俺の見ている、夢なんだから」

 

 

 

全てが、俺の・・・“夢の中”での存在だということを

 

 

 

 

「気付いた時、俺は一人だった

フランチェスカの寮の部屋の中、いつものように眠っていたんだ」

 

 

あの日、あの月の下での別れの後

俺は、もといた世界へと帰ってきた

 

そこにはもう、彼女達はいない

俺は、一人になってしまったんだ

 

唯一人、泣いていたんだ

 

それでも、このままだと駄目だって

そう思って、頑張ったんだ

頑張って、“諦めようとしたんだ”

 

だけどさ、ダメなんだよ

どんなに忘れようとしても

どんなに別のことを考えても

 

“君”が、離れないんだ

心の奥、頭の中、もっと・・・もっと深いところで

 

君が、言うんだよ

 

 

“一刀”って

俺を・・・呼ぶんだよ

 

 

 

「だから俺は、作ったんだ

夢の中で・・・永遠に終わらない、君との時間を

“幸せな世界”を、作ったんだ」

 

 

そこでは、君は笑ってるんだ

眩しい程の笑顔で、俺を見つめてくれるんだ

 

そんな・・・夢を、見ていたんだ

 

 

 

「覚めなければいいと思った

だって起きたら、君はいないんだ

また俺は、たった一人なんだ」

 

 

たった一人

いつもの部屋・・・あの寂しい世界を、生きていかなくちゃいけない

それが、堪らなくつらかったんだ

 

 

「だから俺は、眠り続けた

君と、ずっといたかったから・・・」

 

 

馬鹿だと思う

本当に、カッコ悪いと思う

それでも、俺は眠り続けた

 

自分の為に

そして・・・

 

 

 

 

「華琳・・・君の為に」

 

「一刀・・・」

 

 

見てしまったんだ

あの日・・・君とお別れをした月の下

 

もう、俺が消えたんだと

そう思った君が、“俺の目の前”で・・・子供のように泣く姿を

 

 

 

『ばか・・・ばかぁ

ずっといるって言ったじゃない・・・!』

 

 

 

 

「たとえ、君が俺の作り出した幻だったとしても

この夏の日に揺れる“影”だったとしても

それでも、俺は君といたかったんだ」

 

「ふふ・・・馬鹿ね、相変わらず」

 

「ああ、馬鹿だよな・・・ホント」

 

「でも・・・好きよ

そんな貴方を、私は愛してるわ」

 

 

彼女は、そう言って笑ったんだ

そのまま、伸ばした手

彼女は、真っ直ぐと・・・空に向かって、手を伸ばした

 

 

 

 

 

 

「だからこそ・・・貴方は、前に進めるはずよ」

 

 

 

 

 

 

 

≪だから・・・もう、目を覚まして≫

 

 

 

 

 

 

世界が・・・割れていく

 

あの朱に染まった空も

さっきまで立っていたはずの大地も

全てが、消えていく

 

そして・・・

 

 

「あ、あぁ・・・」

 

 

 

 

“君”の、存在さえも・・・

 

 

 

「華琳っ!!」

 

 

叫び、俺は手を伸ばす

徐々に消えていく、愛しい彼女に向かって

 

だけど、“届かない”

 

どれだけ、手を伸ばそうとも

どれだけ、走っても

 

君に、届かない

 

 

「華琳っ!!」

 

「一刀・・・」

 

 

俺の声

彼女は、フッと笑みを浮かべた

 

 

「大丈夫よ

私は、大丈夫だから」

 

 

言って、彼女は俺に向かって軽く手を振った

 

 

ふざけるなよ

何が、大丈夫だよ

 

だったら、何で・・・

 

 

 

 

「だったら、何で泣いてるんだよ・・・華琳」

 

 

ああ、そうだよ

何で君は、泣いてるんだよ

大丈夫って、全然大丈夫じゃないじゃんか

 

 

「私は、大丈夫なの」

 

 

それでも、彼女は繰り返す

涙を流しながら

顔をクシャクシャにしながら

“大丈夫”だと、そう言ったんだ

 

 

「だって、“今だけ”だから・・・」

 

「今だけ?

それって、どういうことだよ!?」

 

 

叫び、また手を伸ばす

だけど、やっぱり届かない

 

 

「こんなに悲しいのも、苦しいのも・・・今だけだから」

 

 

そんな中、響く・・・彼女の声

もう、透き通って溶けてしまいそうな彼女は

俺の鼓膜を、優しく震わせる

 

 

「だって、私は・・・」

 

 

やがて、見えたのは・・・“翼”

白く輝く、美しい・・・“片方だけの翼”

 

 

 

 

 

≪貴方を・・・愛してるんだもの≫

 

 

 

 

 

そして世界は・・・白く染まったんだ

 

 

 

 

ーーーー†ーーーー

 

「ん・・・」

 

 

目を覚ます

最初に俺の視界に映ったのは、見慣れた天井だった

 

 

「ここは・・・」

 

 

呟き、体を起こす

それから未だ覚醒しない頭をおさえながら、周りを見渡した

 

 

「俺の・・・部屋、か」

 

 

ああ、そうだ

ここは俺の部屋・・・聖フランチェスカの寮の中だ

 

それが意味することは、つまり・・・

 

 

 

 

「帰って、きたんだな」

 

 

“帰ってきた”

“あの世界”から

 

そして・・・あの、幸せな“夢の世界”から

 

 

「華琳・・・」

 

 

思わずこぼれ出たのは、愛しい彼女の名前

寂しがり屋な女の子の名前

 

 

「何が・・・“私は大丈夫”だよ」

 

 

君は、嘘つきだ

 

だって君は、“泣いていた”じゃないか

俺のせいで・・・泣いていたじゃないか

 

それなのに・・・

 

 

 

 

 

「ん・・・?」

 

 

ふと、ズボンの中・・・感じた“違和感”

俺はそれを確かめるために、ポッケの中に手を入れてみる

 

そして・・・

 

 

 

「ぁ・・・」

 

 

 

俺は、“みつけたんだ”

 

 

 

「あ・・・あぁ・・・・・・」

 

 

“チャリン”とポッケの中でなる“ソレ”を、俺はゆっくりと取り出してみる

目の前でかざしてみると、日の光を浴びて・・・白く輝いていた

 

 

「う、あぁ・・・」

 

 

気付けば俺は、涙を流していた

ボロボロと、まるで子供のように

俺は・・・声をあげて泣いていたんだ

 

 

「華琳・・・華琳・・・・・・」

 

 

胸が、裂けてしまうんじゃないかと・・・そう錯覚してしまうほどに痛い

喉が、焼き切れてしまうほどに熱い

 

だけど、さ

だけどそれ以上に、俺は・・・

 

 

 

 

 

「ありがとう・・・華琳」

 

 

 

 

“嬉しかった”

 

君が買った、白い翼のペンダント

その“片割れ”を抱き締めながら、俺は窓を開け放つ

 

瞬間、俺の視界いっぱいに青く晴れ渡った空が広がる

広がっていく

 

ああ、きっと・・・この空に、限界なんてないんだろう

 

この青は、この輝きは

きっと、どこまでも広がっていくんだろう

どこまでも、どこまでも

どこまでも・・・無限大に

 

 

 

「華琳・・・」

 

 

 

“待っててくれ”

 

勝手に消えて、そんな都合のいいことを言いたくはない

勝手に消えた俺に、そんな資格なんてない

そんなこと、俺が一番わかってる

 

だけどさ、俺・・・

 

 

「それでも、待っていてほしいんだ・・・」

 

 

情けない俺だけど

頼りない俺だけど

 

それでも君が、君たちがそう思ってくれている

それだけで、“飛べる”と思うんだ

 

君が愛してくれた

好きでいてくれた・・・俺のままで

 

この、果てしない大空を

あの、雲の向こうまで

 

 

 

「この、雲の向こう・・・」

 

 

 

この、“片方だけの翼”で・・・

 

 

 

 

「君に会いに・・・俺は、行くから」

 

 

 

 

 

ーーーー†ーーーー

 

 

「暑い・・・」

 

呟き、見あげた空

憎らしい程の青と、サンサンと照りつける太陽に

俺は、だらしなくため息を吐きだした

ああ~、本日も晴天なりってか?

 

 

「暑い・・・」

 

 

再び、零れ出た言葉

だけど・・・もう、俺の隣からは声が聞こえてこない

 

もう、彼女はいないんだ

 

 

「はぁ~・・・暑い」

 

 

三度、零れ出た呟き

眩しい程に輝く太陽に、うだるような暑さ

歩くのが、嫌になるほどだ

 

だけど・・・浮かんでくるのは、笑顔

 

 

 

「暑いなぁ、ホント・・・」

 

 

 

今は夏

けれどこの暑さも近いうちに、過ごしやすい・・・心地の良い“秋”に変わる

そして“冬”になり、身震いするほどの寒さの中を歩いていくのだろう

そんな冬もやがては終わりを告げ、桜色の“春”がやってくる

そしてまた・・・“夏”が来るんだ

 

こんな風に、また俺は“暑い”と愚痴を零すのだろう

 

そうやって、廻っていく

世界は何度も、繰り返していく

何度も・・・何度も

 

そんな中、俺は歩いていくんだ

 

 

「ま、ウジウジ言ってても仕方ないか・・・」

 

 

どんなに、愚痴を零しても

“仕方ない”と、言いながらも

 

俺は、歩いていく

 

もう、俺の傍・・・君の“影”は揺れないけれど

もう、俺の隣・・・君は、“だらしない”とは言ってくれないけれど

 

それでも俺は歩いてく

どこまでも、ただ真っ直ぐに

 

そして・・・

 

 

 

 

「羽ばたいてみせるから・・・」

 

 

 

 

見上げてみた空

この、果てしない空

 

俺は・・・羽ばたいてみせるから

 

今はまだ、片方の翼しかないけれど

それでも、俺は飛んでみせるから

 

大地を駆け

空をも飛び

 

そして、いつか・・・

 

 

 

 

 

「俺は、行くから・・・この“雲の向こう、君に会いに”」

 

 

 

 

 

 

青空の下

謳った・・・“誓いの詩”

 

今はまだ“片翼”の青年が謳う、“誓いの詩”

 

 

どれだけ刻が流れようとも

どれだけ離れていようとも

 

きっと、最後には辿り着く

 

 

青年の首もと

輝く、白き翼が・・・そう言っている気がした

 

 

 

 

さぁ、謳おう

 

彼だけじゃない

僕らも・・・そして、皆も

 

皆が想い、願い、信じる数だけ

 

終わりは、結末は、始まりは、そして・・・物語は

 

どこまでも、無限に広がっていくのだから

 

さぁ、皆で開こう

 

 

 

 

終わらない・・・外史への扉を

 

 

 

★あとがき★

 

ども、皆さんこんにちわ

月千一夜ですw

【第一回同人恋姫祭り】

まぁ、なんとか滑り込みセーフでしょうか?

 

まぁ、空気をまったく読まないガチシリアスなんですがww

 

初心に帰って、“夏”を入れながら書いてみた今作

夏、薄いなぁ・・・wwww

ま、仕方ないよねww

 

初期完結作品

雲の向こう、君に会いに-魏伝-

これを原作の魏√afterに組み込んでみた作品です

 

いかがだったでしょうか?

 

 

 

自分の作品の紹介は、まぁアッサリと~

【雲の向こう、君に会いに-魏伝-】

完結済み

【遥か彼方、蒼天の向こうへ-真†魏伝-】

序章完結、現在第一章~

 

 

んで、次はおススメっすね

 

~SS作家~

YTAさん

ぽややんさん

ねこじゃらしさん

 

上記の作家さんの作品を、毎日チェックしてますw

どの御方も、素晴らしい作品を書いてますよw

 

 

~絵師~

ミコチンさん

MALIさん

 

 

 

 

まぁ、他にも素晴らしい御方はたくさんいらっしゃいますがw

今回はひとまず、こんな感じでw

 

 

それでは、またお会いしましょうw


 
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