ここは洛陽の近くにある森の中
一刀は休日を使ってここの川で釣りをしていた
朝からずっと
そしてお昼過ぎになったころ・・・・
「釣れるか?」
「いんや」
顔だけ後ろに向けると、そこにいたのは華雄だった。
「仕事はいいのかよ」
「午後からは非番だ」
華雄はそう言うと、一刀に近づいてくる
「一匹も釣れていないのか?」
「というか、釣れるわけが無いんだよ」
「?」
よくわからないと言った表情の華雄
そして彼女が自分の横に来た時、一刀は竿を持ち上げた
「・・・・・・・」
華雄は口を大きく開けてポカーンとしていた。
針には餌がついていなかった
というか、そもそも付いていた針は釣り針ではなく裁縫に使われる縫い針だったのだ・・・・・
しばらく戻って来なかった華雄だが、なんとか正気をとりもどす
「何故そんな意味の無いことを?」
「考え事するのと、ボーっとするのにいいんだよ。どっちにしろ魚に注意を払わなくていいからな」
華雄の問いに答えながら、ポンポンと自分の座っている場所の横を叩く
その意味を悟った華雄は、彼の横に座った。
「それで、何の用だ?」
「何の用・・・とは?」
「あんたが何の用も無くこんなところに来るとは思えん。釣りが趣味って訳でもなさそうだしな」
「・・・まあな」
華雄は素直に認め、用件を話し出す・・・・・
「何故私はお前に勝てないんだ?」
「・・・それが聞きたかったのか」
「ああ、いままで築き上げてきた武が、ひっくり返されてしまったようでな・・・・」
そう、華雄はあれから5回ほど一刀と試合をしていた。
しかし、一度も勝つことができなかったのだ・・・・(霞は一刀に3戦全勝)
「私は、弱いのだろうか・・・」
珍しく弱気な顔をする華雄
「華雄、アンタは強ぇーよ」
「では何故?!」
華雄の問いかけに一刀は答え始めた・・・・
「まずは相性の問題だわな、アンタの武は力と技に重点が置かれてる、その力が受け流したりする場合あまり障害にならないんだよ・・・・・」
「ふむ・・・・・」
「それと、一撃一撃が素晴らしいよ、アンタは。でも読みやすいというか、素直すぎるんだよな、動きが」
「・・・・・・・」
「で最後、アンタ余裕が無さ過ぎ」
「余裕?」
「周りっていうか、相手の攻撃や防御に意識を集中するのは大事だけど、強い相手とやる場合は受けに回ってでも相手を良く見て、癖なんかを見破るのも大事だぜ?」
「・・・・・・・」
「例えば華雄の場合だけどよお、アンタ横薙ぎの一閃するときこめかみがピクッ!て動くんだよな・・・・」
「・・・・!では、最初の試合の時既にその事に気がついていたのか?!」
「まあな・・・・」
華雄は驚きを隠せなかった。
自分の猛撃の中、そのような所まで見ていたこの男の冷静さ、そして余裕に・・・・
勝てないわけだ、と納得したのだが
「俺はアンタが羨ましいよ、華雄」
「・・・何?」
その言葉に華雄は怪訝な表情を浮かべる。
「俺はアンタほどの力や技が無い、だからこんな戦い方しかできないんだからな・・・・」
「・・・・・・」
「もしアンタが俺のいい所を持っていったら・・・勝てないな、俺は・・・・」
華雄は察した。
あの戦い方は、少しでも強くなりたいと思う一刀が自分に出来ることを、考えに考えて苦しみながら編み出したものだと
そして自分を恥じた。
その戦い方をズルイ、せこいと卑下していた自分を・・・・・
「・・・・もし、私がその戦い方が出来るようになったら」
「?」
「私がお前を守ってやる」
「・・・・そうか、期待してるぜ」
「ああ!」
華雄は憑き物の取れたような顔で、そう言った。
そしてこの日を境に、華雄はメキメキとその武を上達させていくのである・・・・・
どうも、おまけその3です。
すいません、つい書きたくて裏技使っちゃいました。
もしかしたらまたどこかで使うかもしれませんが、その時は大いに呆れてください
それでは次回に・・・・・
「修羅、魔破拳!!!」
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おまけその3です
裏技使っちゃいました