No.219209

真恋姫無双 天遣三雄録 第八話

yuukiさん

ジュウヨウナ フラグガ タチマシタ。

2011-05-28 16:59:56 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:4772   閲覧ユーザー数:3636

 

 

始めに、主人公を始めとした登場人物の性格にズレがあるかもしれません。

 

そういうものだと納得できる方のみ、ご観覧ください。

 

 

第8話 選ぶ時がいずれ来る by菅路

 

 

俺と左慈は緊張した表情で廊下に並べられた椅子に座っている。于吉は呆れた顔で座っている。

 

「次の方―。どうぞー」

 

兵士の言葉で部屋へと入っていく。

椅子に座る。前には桂花と秋蘭がいる。

 

「試験番号052。北郷一刀」

 

「試験番号053。獅堂左慈だ」

 

「試験番号054。一蝶于吉です。、、はぁ」

 

「、、、、、、、、、、」

 

「、、、、、、、、、、」

 

桂花は震えている。トイレでも我慢しているのか?

秋蘭はため息をつく。困ったことでもあったのだろうか?

 

「前の職業は天の御使い。心機一転するために退職しました。好きなキャラクターは芳川桔梗」

 

「前の職業は将だった。同僚と喧嘩してやめた。好きなキャラクターは削板軍覇だ!」

 

「前の職業は軍師です。引きずられてここまで来ました。好きなキャラクターは海原光貴(エツァリ)です」

 

「、、、、、、、、、」

 

「、、、、、、、、、」

 

桂花はまだ震えている。秋蘭は額に手を当てていた。

おいおい、なんて感じの悪い試験管だよ。無視は無いだろ。

 

「あの、コミュニケーションをとりませんか?試験管さんも緊張しているのはわかるんですが、ボク達も緊張してるんですよ?」

 

敬語で大人な対応をしてみる。桂花の震えが止まった。やっぱり、緊張していたんだな。

 

「んで、、、」

 

「すいません。よく聞こえないのですが。大きな声でしゃべってくれませんか?」

 

「なんで、アンタ達が軍の採用試験に居るのよーーーーー!!!」

 

桂花の尻尾が逆立つ。無いけど。

 

「言っただろ?心機一転しようとしたんだよ。大体さ、天の御使いなんてほぼ無職じゃん。何やってるか分からないじゃん!今の俺にはもっと具体的な職業が必要なの!!」

 

「なぜだ?」

 

「なぜって、季衣のご両親に挨拶できないだろ!娘の相手が、ヒモだなんて言えないだろ!?お義父さんに殴られるだろうが!!」

 

「北郷。ふざけるのはよせ」

 

「はい。ごめんなさい。秋蘭」

 

俺は秋蘭に対して弱い気がする。原因は秋蘭が芳川桔梗さんに似ているからだと思う。

 

「で、本当は何をしに来たのだ。北郷が本当に無意味なことをするとは思えない。用があって来たのだろう?」

 

「いや、俺は結構無意味なこともするぞ?今日だって桂花たんの猫耳頭巾の中にこっそり杏仁豆腐入れておいたし」

 

いってから気づくが、桂花は猫耳頭巾を今は被っていなかった。

桂花は頭巾の中を見る。そして叫ぶ。

 

「本当に入っているじゃない!?何してしてんのよ!!ぐっちゃぐちゃじゃない!!」

 

「ちっ。バラスの早すぎたか。面白くないな」

 

「面白くないですって!?あっ、あ、アンタねえ!一体何を考えて生きているのよ!!」

 

「そりゃ。日夜、桂花たんのことを考えて生きてるぞ。杏仁豆腐だって、桂花たんの性格が少しでも甘くなるようにって願った、善意の行動なんだぞ?」

 

「も、もういいわ。黙りなさい。耳が腐るわ。秋蘭、後はお願い!」

 

席を立つ桂花。

 

「トイレか?」

 

「着替えてくるのよ!私が帰ってくるまでに首括って死んでなさいよ!!!馬鹿!死ね!死んでしまえ!!」

 

桂花は部屋を出て行く。人に死ねっていうなんて、なんて最低な奴だ。

そりゃ、俺も少しやり過ぎたかも知れないけどさ。麻婆豆腐にしなかっただけ良いじゃないか。

 

「、、、、はぁ」

 

「疲れてるのか?大丈夫か?秋蘭」

 

「疲れさせているのは北郷だろう。で、本当は何の用があって来たんだ?」

 

秋蘭、、本当に鋭い子!

 

「ああ、実はな。、、、、桂花抜きで話さなきゃいけないことが有るんだ。昨夜、ある事件が起きてな。俺達三人は華琳からその事件を調査するように言われている」

 

俺は暗い顔で腕を組む。左慈は無言で頷く。于吉は静かに眼鏡を上げる。秋蘭の顔色が変わった。

 

「、、、、桂花の前では話せないこと。つまりは、その事件に桂花が関係していると。華琳様はお考えなのか?」

 

「ああ、そうだ。そして悲しいが。春蘭も容疑者に入っている」

 

「姉者も疑われているのか!!馬鹿な!姉者が華琳様に害なすことなど、あるわけがないじゃないか!!」

 

「落ち着いてください。秋蘭さん。まだ、犯人と決まった訳ではないのですから」

 

春蘭の名を聞き、取り乱す秋蘭。于吉はそれを宥める。

 

「いや、于吉。妙な慰めはよせ。春蘭もほぼ黒なのは左慈の調査で分かった。そのせいで左慈は春蘭と喧嘩したんだからな」

 

左慈は、静かに頷く。

 

「一体、何があったのだ。北郷」

 

「ああ、昨夜。俺の部屋に飾ってあった華琳の下着が盗まれた」

 

「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、なぜ、北郷は華琳様の下着を飾っていたのだ?」

 

「御褒美で貰ったからだ」

 

「飾る必要は無いだろう」

 

「なんとなくやってみた。それを華琳に教えた次の日、無くなったんだ」

 

「それは、華琳様が犯人なのではないのか?」

 

俺の脳に衝撃が走る。そう言えば、そうだ。

俺の部屋に華琳の下着が飾ってあるのを知っているのは華琳だけじゃないか!

 

「くそ。灯台もと暗しとはこのことだ!華琳の奴め。捜査網から逃れる為にわざと俺に怪しい奴の助言をしたんだな!!」

 

なんて奴だ。家臣を売るなんて!

 

「左慈!于吉!なぞはすべて解けた!華琳の部屋に行くぞ!真実はいつも一つ!」

 

「おう!」

 

「はぁ、、どうして私が、、、、」

 

俺達は急いで部屋を出て行った。

 

「この城もにぎやかになったものだ」

 

誰もいなくなった部屋で、秋蘭は静かに笑っていた。

 

 

 

 

「たっく。なんで俺が怒られなきゃならないんだよ。悪いのは人の物を盗んだ華琳じゃん。『一刀の物は私の物。私の物は私の物』とかジャイアンかよ!」

 

「一刀。うるさいわよ」

 

「俺は謝らないからな!ドラえもんが未来に帰る時ののび太くん並みに引きさがらねーぞ!!大体、俺が貰った物をどうしようが俺の勝手だろ!!」

 

「だからってなんで飾るのよ!?しかも絵みたいに額縁に入れるなんて、手が込み過ぎよ!侍女たちに見られたらどうするつもりだったのかしら!!」

 

「じゃあ、他に何に使えってんだよ!!」

 

「それは、、、、っっ。何を言わせようとするのよ!!」

 

華琳の顔が真っ赤になっていた。お互いに肩で息をしていた。

なんかだか、華琳に会うたびにこんなことをしている気がする。そしてこのセリフは二度目な気がする。

 

「もう、いいわ。一刀、行くわよ」

 

「ああ、わかった」

 

俺達は今、街の見周りに来ていた。

俺、華琳、春蘭、左慈、秋蘭、于吉の6人で来た。

今は三組に分かれてそれぞれ周っている。

 

「おい、華琳。面白い物が置いてあるぞ。行ってみないか?」

 

「あら、露店ね。やるじゃない、一刀。紙の地図だけでは確かめられないもの。こういうものを見ておきたかったのよ」

 

露店が並ぶと通りに奇抜な格好をした女の子と竹籠が並んでいた。

おいおい、上が水着じゃん。警備兵はなにしてんの?公共の風紀に反してない?

捕まえないのか?別にいいけど。

 

俺は水着子(みずぎっこ)と竹籠の横に置かれた物体を指さす。

 

「華琳。なんだ、これ?」

 

「さあ?なにかしらね」

 

「おお、そこのお二方。何ともお目が高い。こいつはウチが発明した全自動かご編み装置や」

 

「全自動?」

 

「かご編み装置?」

 

「せや!このからくりの底にこう、竹を細う切った材料を突っ込んでやな。そこのお兄さん、そこの取っ手を持って」

 

「触ったら全自動じゃなくないか?」

 

「う。兄さん、ツッコミ厳しいな。いいから、触って~な」

 

俺に取っ手を触らせようと、体が前に出ることで水着っ子の胸が強調される。

思わず、言う。

 

「胸をか!?」

 

「馬鹿!」

 

「がふっ」

 

華琳に殴られた。

 

「あ~。なんや、美人のお連れさんいるのに度胸のある兄さんやな~」

 

「ああ、俺は好きに生きることにしてるんだ。それにしても、俺のハニーは嫉妬深か過ぎて困る。冗談も通じない。で、この取ってを回すのか?」

 

「あ、そうそう」

 

俺は取っ手を回す。

セットされた竹が呑みこまれて、籠の側面になって出てきた。

 

「おお!すげー!おい!華琳!すげーぞ!これ!」

 

「なんで、一刀はそんなに興奮しているのよ」

 

「男の子はみんなこういうのが、好きなんだよ!誰だって最初はバスのボタンとか良く分からないものに興奮すんだよ!」

 

「へえ、そう。私にはわからない感性ね」

 

俺はなんだかよくわからない物に夢中になっていた。

俺の顔をみた華琳も笑っていた。低能だって、馬鹿にしてるのか?

 

この後、からくりは爆発するという007のテープレコーダ並みのフィナーレを迎えた。

面白かったから竹籠を一つ買って、露店を離れた。

 

「おい!華琳!あっちにも何かあるぞ!」

 

「ちょ、一刀!私たちは仕事で来ているのよ!遊ぶんじゃないわよ!、、って、きゃっ!」

 

華琳の手を握って引っ張っていく。

 

「仕事しながら遊べばいいだろ!取りあえず、俺はあのドラクエの武器屋な看板を掲げてる金物屋に行く!決定事項だ!」

 

「もう、、、まるで子供ね。好きになさい」

 

 

 

 

視察が終わった後、門の前に全員集合していた。

 

「北郷!実はすごい物を発見したんだ!これを見た瞬間、流石の俺様も大声を上げてしまった一品だ!!」

 

「ふふふ。俺もあり得ない掘り出し物を見つけてきたぞ!もう、これは国宝級だな!本郷家の家宝にして代々伝えてやる!!」

 

俺と左慈はお互いに懐から物を取り出す。

 

「ジョジョで出てきた石仮面が路上で売られていたんだ!!!」

 

「ドラクエのハヤブサの剣が金物屋で売られてたぞ!!!」

 

互いに、互いが出した物を見て叫ぶ。

 

「「うおおおおおお!!すげえええええええええ!!!!!」」

 

俺と左慈は目を少年のように輝かせていた。

そして、石仮面(あくまでそう見える変な仮面)とハヤブサの剣(あくまでそう見える剣)を交換して手に取り合う。

テンションがMaxだった。スーパーハイテンションモードだ。

マルチェロだって一撃で倒せる気がする。あくまで気がするだけだ。

 

「なあ、于吉。どうして左慈と北郷はあんなに興奮しているんだ?どっちもガラクタだろう?」

 

「そうですね。他人から見ればガラクタかも知れませんが、本人達にとっては宝物のような存在なのでしょう。価値観というものは人それぞれ違う物なのです」

 

「むう。お前はいちいち言うことが小難しいぞ!左慈とは大違いだ!」

 

春蘭は怒鳴る。于吉は苦笑い。

一刀と左慈を見て、華琳はため息をつく。

 

「はぁ、まあ良いわ。全員、視察もしっかりとやったのでしょうね?」

 

「はいっ!」

 

「無論です」

 

「十二分に」

 

「「うおおおおおお!!」

 

「いい加減になさい!」

 

「「ごめんなさい」」

 

華琳に叩かれた。俺と左慈は頭を摩る。

 

 

 

 

「そこのお主ら」

 

そんなことをしている時、布を眼深に被った誰かに話しかけられた。

占い師だろうか?男か女か若いかどうかもわからない。

 

「何だ、貴様。華琳様は占いなどお信じにならん。慎め」

 

「、、、春蘭、控えなさい。お主らと言うのは、私も入っているのかしら?」

 

「ああ。お主はから類まれなるものが見える」

 

「いったい何が見えると?言ってごらんさない」

 

「力のある相じゃ。強い力を感じる。治世と平穏を器ある国に齎す力。しかし、その力ゆえに弱りきったこの国の器には収まりきらぬであろう。いずれ、、歴史に名を残こすほどの奸雄となろうて」

 

占い師の言葉で、不穏な空気が流れる。

秋蘭は占い師を睨みつけた。

 

「貴様!華琳様を愚弄するきか!」

 

「いいわ、秋蘭。、、、ふふ、面白い。気にいったわ。この者に謝礼を」

 

「なっ、華琳様」

 

乱世の奸雄。治世の能臣。ふむ、この占い師。華琳相手に物おじしないなんて立派だ。

もしかして管路か?本物だったら、サインでも貰おうかな?

 

「そして、、お主らよ」

 

「ん?俺達にも何かあるのか?」

 

占い師は、左慈、于吉、俺を順番に見ながら言う。

 

「ああ、お主らからは繋がりを感じる。強い繋がりじゃ。どんな淵に追いやられようと、繋がり故にお主らは離れず。そして生き残る。どんな敵にも、負けることもないだろう」

 

「そりゃ、ありがたいな」

 

「ふん、当然だ!俺様達三人がいれば敵など無い!」

 

「ですね。私と左慈、一刀君さえいれば。越えられぬ壁など無いのですよ」

 

「しかし。世界はお主達の繋がりを切り裂くだろう」

 

「、、、、、、、、」

 

「、、、、、、、、」

 

「、、、、、、、、」

 

占い師は左慈を見る。布の下の目で。

 

「武を持つ者よ。お主の運命は悲惨じゃ。何時かその武で、繋がり者の一人を討たねばならぬときが来るだろう。それは必ず起き、お主を絶望へと誘おう」

 

「俺が、北郷か于吉を手にかけるだと!ふざけるな!俺様の運命は俺様が決める!」

 

占い師は于吉見る。布の下の目で。

 

「智を持つ者よ。お主の運命は悲劇じゃ。その智ゆえに全てに気づき。繋がりを断つために生きることとなろう。それはお主の意思。一人を捨て、一人を救う」

 

「どうやら、ご老人は私を本気で怒らせたいようですね。私が繋がりを裂く?何のために」

 

占い師は俺を見る。布の下の目で。

 

「武も智も無く、代わりに徳を持つ者よ。お主の運命が、最も幸福で最も悲しみに満ちた、ものであろう。お主は選ぶことになる。いつの日か。悲壮と悲劇の果てで、、選ばねばならない」

 

「選ぶ?何を?」

 

「愛するが故に反発しあう。もし、愛する事を選ぶのなら、決して手は届かん。もし、得ることを選ぶなら、愛した者を斬らねばなるまい」

 

「ふーん。そりゃ悲劇だ。けど、占い師さん。俺は運命をマクドナルドにあるスマイル0円並みに信じてないんだ!実際に頼んでみたらお姉さんに変な眼で見られたんだよ!?ギャグならギャグって書いとけよ!真顔で頼んじゃったじゃねえか!?」

 

俺は頭を抱える。

 

「、、、、、、、、、」

 

「、、、、、、、、、」

 

「、、、、、、、、、、」

 

「、、、、、、、、、、」

 

「、、、、、、、、、、」

 

「、、、、、、、、、、」

 

全員が黙りこむ。占い師さんすら黙りこむ。

華琳の視線が痛い。仕方ないじゃないか、暗い感じとか嫌だったんだもん。

 

取りあえず。

最後に占い師さんのありがたいお話を聞いて、町の視察は終わった。

 

 

「にしても、得るか、愛するかを選ぶかか」

 

「一刀はもし、あの占い師の言っていた通りになったらどっちを選ぶのかしら?」

 

「愛したいし得たいけど。どっちかって言われたら、得る方を選ぶかな。どんな過酷でも」

 

「そう。たとえその身が、滅んでもかしら?」

 

「ああ、愛するマイハニーの為ならたとえ火の中水の中かな。華琳ちゃん♪」

 

 

    後書き

 

何時ものお馬鹿展開に忍び寄る、重要フラグ。

月は何でも知っている、作者は結構なにも知らない(考えてない)

 

前半のやり過ぎた感は大きいですが、後悔はしません。

 

ちなみに、読んでくれた方は一言でもコメントしていただけると、

やる気が出て更新速度が維持できるかも。

 

次回は遂に来た!一刀覚醒フラグが!、、、あるかもしれない(笑)

 

それでは、、、また次回

 

 

ドロン

 

 

消えたと思った勘違い、、、


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
52
2

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択