この物語は真・恋姫†無双という外史に、
CRISIS CORE FINAL FANTASYⅦのジェネシス・ラプソードスが来たという設定です。
作者である私、黒山羊が原作を何度もやりなおし、登場人物を原作通りにしたつもりです。
ですが、解釈が幾らでも可能であるように、登場人物が皆様のご期待にそえるかどうかはわかりません。
まあ、CCFF7が分からなくても楽しめるように書いたつもりです。
また、作者は関西人なので、気をつけているつもりですが、セリフが関西弁臭くなってしまうかもしれません。
あらかじめご了承ください。
読者の皆様が楽しめたら幸いです。
視点:一刀
「よっしゃー!晴天!警邏日和だ!」
俺は城門で伸びをする。ひさしぶりの外の仕事だ。
最近は書庫の仕事ばかりで碌に外の空気を吸っていないし、日光にも浴びていない様な気がする。
外の空気は美味いな。日光は良いな。
「隊長、おはようございます。」
「隊長、おはようなの!」
「隊長、おはようさん!」
後ろから声が掛かる。
後ろを見る。いたのは3人の娘。凪と沙和と真桜。俺が指揮する警邏隊の部下だ。
「おう、おはようさん、凪、沙和、真桜。んじゃあ、警邏に行きますか。」
俺達は許昌の街を歩き回る。今日は特に変わった様子も無いし、事件も無い。
そして、午前中の警邏が終わった。これから飯だ!
飯屋を探す。
「凪、オススメの店ってどこ?」
「ここを右に曲が……。」
「どうしたの?何だ、あの人だかりは?」
角を曲がるとそこには人だかりがあった。
なんだろう?何か事件か?
俺は何があるのかと覗きこむ。
そこには、女の子が屋台の蒸籠を見ている。
俺は野次馬の一人に聞いてみることにした。
「すみません。あの娘がどうかしたの?」
「ああ、2刻も店の前で蒸籠と睨めっこしてるんだ。」
「「「「2刻!」」」」
2刻って4時間だよな。
女の子見る。
紅い2つのアホ毛が蒸籠の方に向き、ピコピコと動いている。右の人指し指をくわえて、蒸籠を無表情で凝視している。
その女の子の横には1匹の犬がちょこんとお座りしている。
店長はどうしたらいいのか困っているようだ。
「なあ、凪。もしかして、この店か?」
「……はい。何か入りづらいですね。」
「だが、時間は有限。そして、人間の3大欲求の一つ食欲には勝てない。入ろう。」
「そうですね。」
俺達4人は店の中に入り、円卓席に座る。
この店での昼飯は凪に満足してもらうためだ。俺は入り口が見えないように、入口に背を向けて座われる席に凪を座らせる。店先の騒ぎが視界に入らない様にこの席だ。
真桜と沙和が凪を挟むように座る。そして、俺が凪と向かい会う。
「今日は麻婆豆腐トウガラシ超ビタビタ」
トウガラシ超ビタビタ?
トウガラシビタビタを超えたの?
「では、いただきます。」
「「「いただきます」」」
なるほど。
これがトウガラシ超ビタビタか……。
「凪、少し貰って良いか?」
「いいですが、辛いですよ。」
「大丈夫。それなりに辛いのは強いつもりだから。」
俺は一口貰った。
好奇心は猫をも殺す。
いや、好奇心は俺の舌を殺した。
辛さはCoco壱の十辛カレーぐらいあった。
これを完食するのか…。そういえば、昔あのカレーを食べて血行が良くなって鼻血が出て、汗の気化で体温を奪われて凍えそうになっている友達がいたな。
俺は水を飲み、甘いモノを頼み、そこからは普通の食事となったのだが……。
「なあ、隊長……。」
「気にしたら、負けだぞ。真桜。」
「………視線が。」
「それは無理なの。隊長。」
「だよな…。」
さっきの店先の女の子がこっちと店先の蒸籠を交互に見ている。
俺が食べようと口を開けると同じように口を開ける。
そして……
ぐぎゅるるるるるるるる
轟音だった。
あんな、大きな音って出るのか。
「隊長。すみません。視線が気になって食が進みません。」
「……わかった。あの子も昼食に参加しても構わないか?」
「はい。」
「ウチもええで。視界の端で口の開け閉めされてると気になってしゃ―ないし。」
「なんか。可哀想なの…。」
俺は席から立ち上がると女の子の方へと歩いて行く。
女の子と野次馬はこちらを見てくる。
「良かったら、一緒に食べない?」
コクッコクッ
すげええ!
首を縦に振っただけで残像が出来てる。
「じゃあ、こっちにおいで。」
オーーーーーーーー!
野次馬から歓声が上がった。店主も安心したのか、ホッとしているようだ。
おれは女の子の手を引き、自分の席の隣に座らせる。
さっきから2本のアホ毛が動いている。
「何食べる?」
「……肉まん。」
「すみません!肉まん!……何人前?」
「……20。」
「20人前!……20!?ちょっと待って、店員さん!今の無し!
えーっと、君の名前は?」
「恋。」
「それ真名だよね?」
「セキト…噛みつかないから、悪い人じゃない。だから、真名あげる。」
恋は先ほどまで恋の隣に居た犬を指さす。犬は店先でお座りしている。
あー、セキトって言うのかあの犬は。
「じゃあ、真名貰うね。」
「名前。」
「俺の?」
コクッ
「俺は北郷一刀。一刀って呼んでくれ。
ところで、恋。20人前も食べたら、お腹壊しちゃうよ?」
「大丈夫。いつも…50人前…食べてる。」
「「「「50人前!?」」」」
俺達は驚く。
「なあ、恋とりあえず5人前にしような。
足りなかったら、後で頼んでも良いよ。」
俺は財布防御態勢に入る。
ちまちま頼んで。時間稼ぎをして、警邏の時間だからと言って離脱しよう。
頼む。納得してくれ。
「分かった。」
理解のある子で助かる。
「すみません!店員さん!肉まん5人前で!」
店員さんは返事をして、奥に入り、肉まんを持って来た。
「恋、食べていいよ。」
コクッ
パク
モチュモチュ
「「「「………………………」」」」
なんだ?この癒し空間は?
マイナスイオンが発生している。癒されるぅ。
例えて言うなら、そうハムスターが頬袋に大量のヒマワリの種を入れてそれを食べている感じ。
ああ、本当に癒されるぅ。
なんか、夏候惇や桂花の罵倒による精神的疲労や不当な暴力による身体的疲労もすぐに治りそうだ。
「ほら、恋。これも食べるか?」
コクッコクッ
「食べても良いけど、ちゃんと噛めよ。」
コクッ
癒しを求めて恋にご飯を注文し続けていたら、財布の中身がピンチになっている事に気が付く。
「………恋。財布の中身が悲鳴を上げているからそろそろ追加注文やめてくれると嬉しいなぁ。」
「一刀、ごめんなさい。」
「謝らなくて良いよ。」
「でも、恋、一刀、困らせた。」
「恋と一緒にご飯食べれて楽しかったから良いよ。(ニコッ」
「//////」
どうしたんだろう?
恋の顔は髪のように赤くなり、俯く。
「恋、お礼する。」
「いいよいいよ。気にしないで。」
「お礼したい。」
う、そんな泣きそうなチワワの目を向けないで。
「わかった。じゃあ、今度会った時に困っていたら助けてくれ。」
コクッコクッ
俺達は店を出て分かれる。
向こうでは小さい女の子が手を振っている。恋はそっちの方へと歩いて行く。
恋は最後に手を振ってくれた。俺もそれに手を振って返事をする。
「さあ、警邏の続きをするか。」
「「「………」」」
3人は俺を冷たい目で見てくる。
沙和がボソッと言う。
「隊長がまた女の子落としたの……。」
「はあ!?落としたって何?」
「さすがは種馬。」
「種馬違うわ。」
「隊長、不潔です。」
「凪ぃぃぃぃぃぃ!!!」
それからの警邏は無言だった。
3人は俺の後ろでボソボソと何か言っている。
この警邏は終始続いた。
そういえば、恋。
どこかで見たことあるような………。
それから、10日後。
魏領土の南部の城が呂布の軍に占領されたという情報が飛び込んできた。
視点:華琳
天下無双の飛将軍、呂布。
欲しいわ。
「桂花、稟、風。この城どうやって落としたら良いかしらね?
できれば、呂布を捕虜として捕まえたいのだけれども。」
この場には一刀は居ない。
一刀の世界でも曹操と呂布は戦ったらしく、一刀が直接この戦いに介入することは私の覇道には沿わないからだ。
「そうですね。この城は山や川で疲弊した兵達が補給するために建設された補給地点ですが、近年続く凶作のせいで補給地点としては機能していません。兵糧攻めが兵の負担が少ないかと思います。」
「兵糧攻めは城を包囲し続けなければなりません。その為兵の負担も大きいと思われます。
故に私は水攻めによる兵糧攻めが良いかと?」
稟が桂花の意見を修正する形で意見を述べる。
「水攻め?」
「はい。先ほど、桂花も言われた通りこの城は山と川に囲まれています。
川と城との間には堤防があります。ここの堤防を壊せば、低い位置にある城の周りに水が一気に流れ込み、水による城の包囲が出来ます。
やることは堤防の一部を壊し、この部分だけ埋め立てをするだけ。労力もそれほど掛かりません。
城の包囲より兵の安全を確保できると思われます。」
「なるほど。でも、稟。堤防を壊すのは一部だけで良いのかしら?」
「はい。一刀様の書簡によりますと、川には川の3作用というモノがあるそうです。」
「川の3作用?」
「川は水の流れの集まり。つまり、流れの妨げになるようなモノを侵食する作用があるようです。この作用が侵食。
そして、侵食したモノは川の流れに乗り、下流へと運ばれます。この作用が運搬。
最後に流れが緩やかになると運搬されてきたものが積もります。この作用が体積。
これが川の3作用です。」
「なるほど。川の力で穴はこじ開けられるという訳ね。
で、どれぐらいでその工事は終わる?」
「埋め立ても箇所が少ないですから、3日有れば十分かと。」
「わかったわ。稟の案を採用するわ。
春蘭、秋蘭、霞、凪、桂花は城を包囲しなさい。兵糧攻めと見せかけるのよ!
真桜、風は堤防の破壊をしなさい。
沙和、季衣、流琉、稟は堤防を作るわよ。」
軍議は終わり、それぞれ持ち場につく。
天幕を出ると一刀が居た。
「水攻めになったらしいな?」
「そうよ。」
「なあ、一度呂布に合わせてくれないか?」
「どうして?」
「呂布について知りたい。」
「相手は天下の飛将軍呂布よ。死ぬかもしれないわよ。」
「それでもだ。」
「はぁ……。覚悟は出来ているのね。秋蘭か霞、桂花の所に行きなさい。」
「ありがとう。」
一刀はホント何を考えているのか分からなくなる時がある。
呂布に会って何がしたいのかしら?でも、私は彼を好きなようにさせる。
それは、彼がしたいことを望むものを知ってみたいから。
一刀は走って城の方へと走って行った。
視点:一刀
久しぶりに見た。深紅の『呂』の牙門旗。
反董卓連合の時はすごかったな。崖を降りてくるし、突進力がすごかった。
そんな天下無双の飛将軍呂布は何のために此処を占領したのか知りたい。
月も詠も霞も華雄も悪い人じゃない。だから、呂布にも何かしら事情があったのかも。
霞とは張遼の真名だ。
「なあ、霞。呂布ってどんな人なの?」
「うん?恋か?」
「…………へ?
もしかして、赤髪で2本触覚あって、刺青があって、白黒の服で大食いの?」
「恋、知ってんの?」
「知ってる!知ってる!真名も貰っている。」
マジかよ。恋って呂布だったのか。
「なあ、霞。恋を説得することは出来ないか?」
「ウチもそれが出来たらええねんけど、ウチそういうの得意ちゃうし…
ウチも恋が仲間になってくれたら嬉しいねんけど……」
知っている者同士が戦いあうのは良い気分じゃないよな。
「分かった。華琳にかけあって、恋の保護を頼んでみるよ。」
「それは大丈夫や。華琳も恋を生け捕りするように言っているし。」
「ありがとう、霞。ちょっと恋の所行ってくる。」
「分かった……っていきなり恋の所行くん?」
「ああ、だって話出来ないじゃん。」
「……せやけど。」
「恋は悪い奴じゃないんだろう?俺も悪い奴とは思えない。だったら、会って話してみたい。」
「じゃあ、行ってくるわ。」
俺は霞に手を振って、城の方へと走って行く。
「れーーーーーん!」
俺は思いっきり叫ぶ。
しばらくすると、城壁に人が出てきた。数は2人。
1人は恋。もう1人は許昌の街で会った恋を迎えに来た女の子だった。
「恋!ひさしぶり!一刀だ!話がしたいから中に入れてくれないか?
門が開いたと同時に攻めてくるかもしれないと思うなら、縄梯子を降ろしてくれ!それに登ってそっちに行く!」
すると、すぐに梯子が降りてきた。俺はそれを登る。
城壁には恋が待っていた。
「久しぶり、恋。」
「久しぶり、一刀//////」
恋は俺に抱きついてくる。
え?何?この展開?
ぐぎゅるるるるるる
え?
「一刀、お腹減った。」
「大丈夫か?恋?」
「恋殿は3日間何も食べていないのです。」
「君は?」
「恋殿の軍師、陳宮なのです。
今猛烈にお前にちんきゅーきっくをしたいですが、ねねも空腹でちんきゅーきっくの威力が半減するのと、空腹で倒れかけの恋殿を支えているから今は勘弁してやるのです。」
今はかよ!ってことは後でやられるのかよ!
俺は心の中でツッコミを入れる。
「じゃあ、もしかして食料を求めてこの城を?」
「そうなのです。」
「でも、此処には食料があまりなかったと……。」
「そうなのです。」
だったら、ご飯が欲しいわけか。
で、曹操は呂布が欲しいか…。
「なあ、曹操に下ってくれないか?」
俺は恋と陳宮に提案する。
「何ですと!そんなのことは反対なのです!
そんなことをすれば、恋殿は処刑されてしまうかもしれないのです!」
陳宮は小さい体で威嚇してくる。
だが、空腹で激しく動けないのか。あまり怖くない。
「曹操は恋を配下にしたいらしいから、命は保証してくれるよ。」
「条件」
「条件?」
コクッ
「条件……。」
俺は城壁の上から霞に恋が降伏した旨を伝える。
俺と恋と陳宮は城の外に出る。
その後、曹操の所に行き、降伏することになったのだが……。
「条件、一刀、恋のご主人様。」
ピト
「へぇーーー。一刀と呂布はそんな関係だったのね##」
曹操様のコメカミはヒクヒクと痙攣している。
右唇はつりあがっている。そして、黒いオーラが出ている。
要するに曹操様は相当御立腹だ。
何故に?
「いいわ。それを条件に降伏を受け入れてあげましょう。
これから、私の臣下の一刀の臣下になるんだから真名を名乗りなさい。」
「恋。」
「音々音なのです。呼びにくかったら、ねねでいいのです。」
「恋とねね、ね。
私の真名は今は名乗らないわ。一刀にも預けていないもの。一刀の臣下の貴方達に預けるのも変な話よ。
それから、一刀!」
「はいっ!!」
「後で私の天幕に来なさい###」
「……………はい。」
その後、曹操の天幕に行くと凄い罰が用意されていた。
どんな内容かは黙秘させてくれ。
視点:??
最近、東の方から『劉』の牙門旗が見えたという情報が入って来た。兵の数は7万。各地の城を落とし、兵を吸収していっているみたい。
劉備の人徳が民達を引き付けるみたいで、ある城では戦わずして城を明け渡したらしい。そして、手に入れた領地を上手に統制していると聞く。劉備が昔治世をしていた平原の話は商人から聞かされていたから、劉備の統治能力が高いのは知っている。
でも、この城にはたくさんの民達が居る。だから、自分の目で確かめたい。
知らなければならない。劉備がこの城を任せても良い人物なのかを……
この先の戦乱を生き残っていける人物なのかを…………
だから、一度私と闘って、将達の実力を測らないと。劉備の将が私に負けるようだったら、北の曹操に降伏の文を送らせましょう。私が負けたら、劉備の理想を聞き、私を説得できるならこの城を明け渡しましょう。
私は城から出て『劉』の牙門旗に向かって叫ぶ。
「私は黄忠!
劉備よ!この城が欲しいなら、私に力と理想を示しなさい!」
私の言葉を聞いて出てきたのは赤い上着を羽織り、赤い剣を持った男だった。
男が出てくると、私は弓を構える。私を見て劉備の軍勢は盾を構える。
男の容姿から私はある単語が頭に思い浮かんだ。
武の御遣い
黄巾党2万に一人で立ち向かい無傷で生還。
董卓軍の呂布と並ぶ強さだと斥候は言っていた。
そんな男が私の目の前に出てきた。
そして、男は剣を地面に刺して、こちら向かって歩いてくる。
何のつもり?
もしかして、素手で戦おうとしている?
馬鹿にして!
私も武人。こんな屈辱は初めて。
私は矢を放つ。距離は10丈。狙うは目。
避けない?
武の御遣いはただこちらに向かって歩いてくるだけで、矢を避けようという動作は感じられなかった。
そして、着弾……と、思いきや。
武の御遣いは体を左回転させた。回っただけ。……………おかしい。回っただけなら矢を食らうはず。でも、武の御遣いに矢が刺さっている態度は無い。
どうして?
武の御遣いは歩きながら右手を出す。
私がさっき放った矢が握られていた。
嘘!?
私の放った矢を回転しながら掴んだというの?
私は武の御遣いを過小評価していたみたい。黄巾党2万を無傷で倒しただけはあるわね。
今度は連射。距離は8丈。狙いは心臓
連射すれば、少し命中精度が落ちるから、体の中心を狙うようにしている。
放った矢の数は八。
これならどうかしら?
キィンキィンキィンキィンキィンキィンキィンキィン
「…………嘘。」
武の御遣いは先ほど掴んだ矢の先を持ち、私の放った矢を全て弾く。
次元が違う。
赤ん坊と馬が走る速さで競っているみたい。
そんな違いを私は感じた。
気が付いたら、武の御遣いは私の前に立っていた。武の御遣いは私を見降ろしているよう。身長差はそんなにない筈だが、遥かなる高みから見降ろされている気がした。
「華雄ぐらいがちょうどいいか…。」
そう呟くと武の御遣いは自軍に向かって叫ぶ。誰かを呼んでいるみたい。
そして、出てきたのは銀髪の娘だった。
「選手交代だ。理想は闘いながら華雄から聞け。
俺は劉備配下の中では最強だが、将では無い。将であるコイツから話を聞いた方がお前も納得できるだろう。
実力はお前より少し下ぐらいだ。」
そういうと武の御遣いは自軍へと戻って行った。
銀髪の娘が構える。
「お前がこの城の城主、黄忠か。私は華雄。行くぞ。」
華雄?もしかして元董卓軍。汜水関で武の御遣いに敗れ、捕虜となっていたという?
私はそんな事を考えながら、矢を放つ。
華雄は私の放った矢を避ける。普通の兵なら眉間に当たっていただろう。実力が私より下とはいえ、それなりの武を持っているみたいね。
華雄は私に近づこうと走って迫ってくる。私はそれを射撃で阻止する。
私の矢が切れたら私の負け。
私の矢を避ける体力が切れたら華雄の負け。
矢は多めに持ってきているが、矢は無駄には出来ない。
「おい、黄忠。武の御遣い殿に何を言われた?」
華雄が避けながら話しかけてきた。
私は矢を華雄に向かって放ちながら、答える。
「闘いながら、貴方から理想を聞けと言われたわ。」
「なるほどな。あの方らしい。」
「どういうことかしら?」
「あの方は戦うことはあまりなさらない。殆ど、私達に押し付けてくる。」
「そんなのでよく武の御遣いを名乗っているわね。」
「ああ、確かに最初は私もそう思ったが、
最近あの方は私達に試練を課しているのではないかと思い始めた。そして、あの方が一人で戦うのはあの方なりに何か想うことがある時だけだ。
基本あの方は軍を率いて私達と共に戦うことは無い。」
「だから、将では無いのね。でも、何故一方的に試練を課すの?」
「あの方の力は強大だ。それこそ本気を出せばこの大陸の征服できるかもしれないだろう。
……あの方の本気を見た所は無いのだがな。
だが、それをしないのはあの方の目指すモノと相反するものだからだろうな。
力だけでは手に入らないから、あの方は自分の力だけで全てをするのではなく、私達を強くしようと試練を課すのだろうな。
私はそんなあの方の理想に共感している。
あくまで私なりの推測だがな……。」
「貴方の理想は?」
「私の理想は私が何処に行っても私の金剛爆斧が血に濡れないことだ!」
「………。」
何処に行っても武器が血に濡れない。ということは戦わなくてすむ世の中にしたいということ。
そして、それは力だけでは出来ない理想だと華雄は言った。
華雄が仕える劉備もまた同じような力だけに頼らない理想なのだろう。
私は射の構えを解く。
「降参か?」
「私はこの街の民さえ守れていたら良かった。
でも、私の力には限界があった。だから、『劉』の牙門旗が見えた時は劉備に降伏するか、北の曹操に降伏するか考えていました。
貴方が此処まで言うのだから、劉備と言う人物もよほどの人なのでしょうね。」
「では!」
「ええ、私達は劉備様に民の安全を条件に降伏します。」
「安心しろ。桃香様は無意味に民を苦しめるような方では無い。」
その後、私は劉備や他の将達と面会。
劉備と話合い、劉備の人物像が分かってきた。確かにこの人なら皆が惹かれるのでしょうね。
まだ、関羽と鳳統の将が樊城に居て、劉備と並んで君主の知の御遣いは今曹操の所に居るらしい。後々知の御遣いを取り戻し、紹介してくれるらしい。
私達は真名を交換し合った。
武の御遣いには真名が無い代わりにある秘密があるというが、私にはその秘密を未だ教えてくれないので、私の真名は受け取れないと言った。
不思議な人。
へぅ( ゚∀゚)o彡°黒山羊です。
今回の話は如何だったでしょうか?
難しかった。こんなに時間がかかったの久しぶり。
恋が一刀の仲間になり、紫苑が桃香の仲間になりました。
美羽と組んだ上に、恋と誰かを戦わせるという選択肢もありましたが、今美羽を出すと色々と今後の展開に問題があるのではと思ったので無かった事に、恋の戦闘シーンは拠点で書けたらいいな。
まあ、拠点アンケート次第なのですが……。
『第1回同人恋姫祭り』の作品が何とか半分終わった。
時間掛かる。難しいな。
とりあえず、創作意欲を上げる為に酒を飲む。
日本酒を飲む。
ワインを飲む。
紹興酒を飲む。
ビールを飲む。
スコッチを飲む。
スピリタスを飲む。
自作のアイリッシュテーを飲む。
っしゃーーーー!!
テンション上がってきた!
今から書いてきます。
それでは皆さん最後に御唱和下さい!
へぅ( ゚∀゚)o彡°
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へぅ( ゚∀゚)o彡°黒山羊です。
最近、庭の薔薇が綺麗に咲いています。
手塩を賭けて育てた花が一斉に開花するのは良いですね。
最近は花を見ながら、酒を飲んでいます。
花見酒!
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