始めに、主人公を始めとした登場人物の性格にズレがあるかもしれません。
そういうものだと納得できる方のみ、ご観覧ください。
第6話 俺達の戦いはこれからだ! by一刀、左慈、于吉
盗賊達の根城は山の陰に隠れるように立っていた。
俺の隣には季衣が立っている。さっき真名を交換した、無理やりじゃないぞ。
「烏合の衆なら、正面から叩き潰せばよかろう!」
「俺の琥龍猛撃波で踏みつぶしてやる!」
「、、、、ふっ、」
「「な、なんだ!その馬鹿にしたような、、っ!」」
華琳達は色々と作戦を練っているようだ、意外に左慈も参加している。
「ねえ、兄ちゃんは話し合いに参加しないの?」
「うん?ああ、俺はああいう頭を使って何か考えるタイプじゃなくて。口で色々騙くらかすタイプだからな。領分じゃない。ああいうのが得意な奴は今、荷車の中で腰抜かしているよ。今度紹介してやる」
「ふーん、そうなんだ。でも、じゃあどうして兄ちゃんって華琳様とあんな風に楽しそうに出来るの?」
「楽しそうか?」
「うん、兄ちゃん。頭もそこまでよくないし、強くもないんだよね?それなのに、なんだか春蘭様や秋蘭様以上に華琳様とたいとお、って気がするよ?」
額に手をやり、言う。
「ふっ、そりゃ、俺が天の御使い様だからさ♪」
「でもそれ嘘なんでしょ?」
「、、、、なんで知ってんの?」
「桂花お姉ちゃんが教えてくれたよ」
「ちっ、桂花たんめ!。季衣ちゃんに余計なこと吹き込みやがって。俺の『天の御使い様だから敬わせる妹作戦』が台無しじゃねーかよ!?」
「ふにゃ?何、その作戦?」
やばい、本音が漏れた。危ない危ない。
「俺は俺のやるべきことをやっているんだ。誰にだって役割ってものがあって、それをやり遂げているなら、誰に恥じることもない」
もっともらしいことを言って緊急回避。季衣は頷いてくれた。
桂花にも季衣の千分の一でも良いから素直さが有れば可愛いのに。
ふと、季衣を見る。少し震えていた。頭を撫でてみる。
おお、指が髪に触れる感触が気持ちいい。
よく見れば髪型もウサギの耳みたいだし、俺、この子好きだな。
「あ、、ひゃ!」
「緊張してるのか?季衣ちゃん?」
「うん、、華琳様を守るのがボクの仕事で、たいやく、なんだってさ。うぅ、なんか緊張してきちゃうよ」
「そうか、だが安心しろ。俺も緊張している!」
何に安心出来るというのだろうか?
「あれ、兄ちゃんも緊張してるの?なんで?てっ、いうか、兄ちゃんって緊張するの?」
意外と失礼なことを言うな。
「初陣って奴でさ。初めての戦なんだよ。と言うより、人が死ぬのを見るのは初めてだからな~。、、、カエルが潰れてるのなら見たことあるんだが。それよりグロいよな?」
「えーと、よく分かんないけど。そうじゃない?」
「豚の目玉の解剖もやったんだけど、それより気持ち悪いかな?」
「よくわかんないよ~」
困り顔の季衣。俺は撫でていた手を離す。名残惜しいのか季衣はこちらを見る。
「にゃ?兄ちゃん?」
「よし、決めた。季衣。もしお前の前に敵が来たら、その鉄球で頭から擂り潰してくれ。こう、ぐちゃっと、潰れたカエルみたいに」
「いいけど、そんなの見て大丈夫なの?兄ちゃんは」
「いや、駄目だと思う。今日の朝食を吐くかもしれない」
「じゃあ、そんなの見ないほうがいいよ~」
「いいんだよ。絞殺死体も斬殺死体も擂り潰された死体もみんな同じ死体だろ?なら、初めて見る死体でインパクトを得て、心を慣れさせる。覚悟を決めるんだ、この世界で生きて行く為の最後の覚悟を」
真剣にそんなことを言ってしまった。季衣は俺を見つめている。
おっと、らしくない。童女に心配をかけるなんて。
「だから、頼むぞ、季衣!帰ったら一杯、頭を撫でてやるからさ!」
「あっ、うん!わかったよ。兄ちゃん」
「こら、そこの二人!遊んでないで早く来なさいよ!作戦が始められないでしょう!」
「ああ、今行くよ。プリチ―桂花たん!」
「ふざけんなって言っているでしょ!」
戦いが始まる。泣き言も言えない。弱さなんて見せられない。
俺より前線にでて敵を殺す左慈の方が辛いだろう。
きっと、于吉も何処かでこの光景を目に焼き付けようとしているだろう。
この世界では誰もが通る道だと言うのなら、俺も通り抜けてしまおう。通過儀礼は、大切だ。
戦いの野に、激しい銅鏑が響き渡る。
「、、、、、、、、」
響き渡る、、、
「、、、、、、、、」
響き、、、、、、
「「「「「おおおおお!!出陣だ」」」」」」」
「、、、、、、、、」
響き渡る銅鏑はこちらの軍の物、しかし、叫ばれる咆哮は敵のもの。
難解と思っていた、城から敵をおびき出す作戦はあっさりと成功する。
「、、流石は王佐の才。桂花、俺は今お前を称賛せずにはいられないよ。正しく開いた口が塞がらないとはこのことだ。これも作戦の内なんだろ?」
「いや、、、流石にこれは私も想定外だったわよ」
だろうな。華琳も完全に呆れている。
なんだよ、華琳が舌戦みたいなことをやるって聞いてたから、少し期待してたのに。
「華琳様!兄ちゃん!敵が突っ込んできたよ!」
おっと、戦闘開始かな?
沈むやる気を振い立たせる。
「ふむ、、まあ、いいわ。多少のズレはあったけど、こちらは予定通りにするまで。総員!敵の攻撃は適当にいなして、後退するわよ!」
下がっていく俺達。春蘭、秋蘭に付いて行った左慈は大丈夫だろうか?
まあ、左慈もいい加減覚悟は決めてるよな?頑張れよ、幼馴染。
『ふむ、隊列も何もあったものじゃないな。ふん、、そろそろ頃合いかな』
『まだだ、横殴りでは混乱の度合いが薄くなる』
『もう良いんじゃないのか?』
『もういいだろ!もう!』
『まだだと言うに、姉者も左慈も落ち着け』
『だがこんなに無防備にされているとだな、思いっきり殴りつけたくなる衝動が!』
『同感だ!早く蹴り飛ばしたい!』
取りあえず、左慈は大丈夫みたいだ。何か聞こえた気がした。こえーな、おい。
敵の後方に混乱が走っているように見える。奇襲作戦成功の様だ。
「流石は秋蘭。うまくやってくれたわね。さて、桂花、この隙を付いて一気に畳みかけるわよ」
「はっ」
「季衣、貴方の武勇、期待させてもらうわね」
「わっかりましたー」
「一刀は期待してないから、私の隣で大人しくしてなさい」
「了解、精々見物させてもらうよ。この世界の日常を」
「ええ、目に焼き付けておきなさい」
華琳は耳元でそんなことを呟く。きっと、俺が震えるのを見て楽しむ気なんだ。サドめ。
「総員反転!数が頼みの盗人どもに、本物の戦が何であるか!骨の髄まで叩きこんでやりなさい!」
華琳の叫びが響き渡った。
「総員、突撃!」
「「「「「「おおおおおおおおおお!!!」」」」」」
戦い、いや、殺し合いが始まった。
血飛沫が飛ぶ、剣が人に突き刺さる、お!今、首が飛んだ。
まったく、何時かこの世界から元の世界に帰った時、逆にあっちの平和ボケ具合にめまいがしそうだ。
華琳は隣で時々俺を見る。人が苦しんでる様を見るのがそんなに楽しいかね。
戦場の中で季衣を探す。見つけた。前の方で敵と対峙している。
背は小さいけど、鉄球を振り回しているから見つけやすいな~。
季衣が鉄球を振りかぶると、そのまま、敵は踏みつぶされたカエルの様に潰れた。
「はは、人ってあんな簡単に潰れるんだ。いや、こんな簡単に人って死ぬんだな?」
「、、、、、、、」
華琳から答えは返ってこない。喋ってないで光景を目に焼き付けろということらしい。
スパルタ教官だな。どうせなら足で踏んづけながら講義を行って欲しい。
剣で死ぬ人を見た、矢で貫かれる人見た、蹴り殺される人を、馬で踏み殺される人を、潰れて死んでいく人を。
良かった。これでもう、俺は今後、人を殺すことに躊躇いを覚えることは無くなるだろう。
「、、、、、終わったな」
「ええ、終わったわ」
そんなことを考えている内に、俺の初陣の戦は終わっていた。
「どうだったかしら?初めての戦は」
「う~ん。臭いな、鉄臭い。あと赤い」
「これからも、私の覇道を支えられそうかしら?」
「それを聞きたくて、この光景を俺に見せたのか?なら、答えてやるよ。支えるさ、支え続ける。俺達が、ああならない為にも、、、な」
あれ?なんだか、体がグラつく。
目の前で暗くなっていく。遂に暗黒の世紀でも訪れるのか?
俺は、、意識を手放した。
「ちょ、ちょと!一刀!、、、、気を失ったのね。季衣、運んでおいて」
「はあーい!っと、結構重いな、兄ちゃん」
「華琳様。ご無事でしたか」
「御苦労さま、秋蘭。見事な働きだったわ。春蘭はどうしたのかしら?」
「はっ、気を失った左慈を運んでいます」
「彼、使えなかったのかしら?」
「いえ、姉者にも劣らぬ働きをしました。戦が終わり、緊張の糸が切れたようです」
「ふふ、そう。なら、一刀と一緒に荷車に放り込んでおくように言っておきなさい。あと、おそらく于吉もその辺で気を失っているでしょうから、探しておいて」
「はっ!」
「、、、、あれ?」
気がついたら馬の上。馬の上に縄で巻かれ、鞍に引っ掛けられていた。
「おいおい、またしても拘束プレイかよ。幾ら俺でもいきなりこれはきついって、柔らかいプレイからだんだんに慣らしてもらわないと」
「お、やっと気が付いたか」
横には秋蘭が居た。
「秋蘭、おはようの口づけは?」
「ふっ、相変わらずのようでなによりだ。心は壊れなかったようだな」
「どういう意味だ?」
「たまにいるのだよ。戦の空気に耐えられず、発狂してしまう輩がな」
「ふーん。そうなんだ。左慈と于吉は大丈夫か?」
「左慈の奴はもう起きている。于吉は、、気が付いてはいないが大丈夫だろう。寝言で『ああ、左慈、そこは駄目です、、』などと呟いていたからな」
秋蘭は似せる気のない口調でそういう。
相変わらずの面々ならそれでいい。にしても、縄が痛いぞこの体勢。
「秋蘭、縄をほどいてくれ。この体勢はキツイ。もう、大丈夫だ」
「ああ、わかった」
秋蘭に縄をほどいてもらっている間に、華琳達が来た。
「情けないではないか、北郷。俺様の方が早く目が覚めたぞ!数日間ずっと気を失っているとはな!」
「役立たずもここに極まれりね、、、」
左慈と桂花は馬鹿にした表情を浮かべる。
「黙れよ。左慈、桂花。お前達が俺に偉そうにするな。全力で陥れるぞ」
「ふんだ。荷物みたいに積まれてる奴に何言われたって、怖くもなんともないわよ」
「今回は俺様の勝ちだ!負けを認めるがいい!」
左慈に小声でつぶやく。
「(左慈、中学に上がるまでオネショしてたことをばらすぞ)」
「(なに!何故それを北郷が知っている!?)」
「(お前のお母さんが俺の母親に言ったのを聞いた)」
「(あのくそババア!!)」
桂花に小声で呟く。
「(行軍中の食事で華琳が使った割り箸とかがどっかに消えてるらしいんだけど)」
「(なあ!わ、私は何の関係も無いわよ!本当よ!本当なのよ!)」
「(まあ、そういうことにしておいてやってもいいぞ?桂花たん)」
「(くっ、くぅ~、覚えてなさいよ)」
「貴方達は何をこそこそしているのかしら?」
「ああ、華琳。実はな「「北郷!!」」、、いや、友情と愛情を育んでただけだ。なあ、二人とも♪」
「そっ、なら別にいいわ」
うん?何か華琳の機嫌が可笑しい気がする。
笑っているんだが、なんか違和感がある。
「どうかしたのか?華琳」
「あら、なにかしら?」
「なにかしらじゃねえよ。そんなサドっ気満載の笑みで微笑んできて。何をたくらんでいるんだ。はっ、、まさか、華琳。俺が気絶している間に俺の体に悪戯を!?」
「しないわよ!ふざけないでちょうだい!!」
「いくら、マイハニ―だからってそういうのはちょっと勘弁してくれよ!親しき仲にも礼儀ありだろ!?」
「一刀のその性格は一度、首を斬られないと治らないようね!!」
肩で息をする俺と華琳。思いっきり叫んだ。
多分、こういうことをしているから、季衣は俺と華琳の仲が良いなんて言うんだろうな。真剣そのものなのに。
「まあ、いいわ。一刀、桂花。最初にした約束、覚えているわよね」
「、、はい」
「、、まあ」
「城を目の前にして言うのもなんだけれど、私、とてもお腹がすいているの。分かる?」
「はい」
「ご飯がないなら土を食べればいいじゃない」
「北郷、ふざけるのはよせ」
「はい、ごめんなさい。秋蘭」
糧食、足りなくなったみたいだな。
まあ、もしかしたらと思ったけどさ。
兵士は思ったより生き残ってたし。季衣は人の十倍食べるし。
「糧食、足りなくなったんだな?俺が寝ているあいだに」
「ええ、昨日の夜から私達は何も食べていないわ」
俺は大げさにため息をつく。
「はぁぁ、まさか桂花たんと一緒の墓に入ることになるとな。出来れば季衣ちゃんと一緒が善かったな」
「たとえ死んでもアンタと同じ墓になんて入らないわよ!」
「どうしてだよ?きっと土の中で人肌が恋しくなるぜ?温め合わないか?」
「気持ちの悪いこと言わないでよ!」
桂花は両腕で自分の体を抱く。なんだよ、冗談の通じない奴だな。
「なあ、華琳。情状酌量はないか?この遠征上手く言ったのは猫耳のお陰だろ」
おお!俺が桂花と遊んでいる間に左慈は良いことを言っていた。
流石、左慈。幼馴染の鏡だぜ!
「桂花、言い訳をする気は無いわね?左慈、たとえこの遠征が成功したのが桂花のお陰だとしても、約束は約束よ。無かったことには出来ないわ」
「む、、そうか」
弱いなおい。納得すんなよ。
「、、、、、分かりました。最後の量食の管理ができなかったのは私の不始末。首を刎ねるなり、思うままにしてくださいませ。ですがせめて!最後は曹操様の手で!そしてこの男と同じ墓に埋めることだけはご容赦ください!」
桂花は俺を指さす。俺と一緒の墓に入ることがそんなに嫌かね?この猫耳は。
華琳は桂花の覚悟を確認した後、俺を見る。はぁ、仕方ないよなあ。
「一刀も、それでいいのかしら?」
「ああ、その代わり俺を殺したら桂花と同じ墓に埋めてくれ。土の下でお前の所為で死んだと恨み事を言い続けてやるから」
桂花が睨んでくる。尻尾が逆立ってる気がする。ないけど。
「そう、意外ね。桂花だけならともかく、一刀にまで責任を追及するのは少々強引すぎるから、そこを付いて得意の詭弁を弄すると思ったのだけれど」
「おいおい、詭弁を弄することと約束を破ることは違うだろ。俺は、嘘も付くし、人も騙すし、場合によっては陥れるけど。約束は守る」
華琳は俺を楽しそうに見る。殺せる人の顔を見るのが面白いかね?サドめ。
「ふふ、とはいえ。左慈の言う通り、今回の功績を無視できないのもまた事実。いいわ、死刑を減刑して、お仕置きだけで許してあげる。桂花は今夜、私の部屋に来なさい」
「曹操様っ!」
嬉しそうな桂花。そうか、こいつはマゾ猫か。
秋蘭に春蘭、そしてこれで三人目か。ここにはマゾと百合しかいないのか?
「季衣。もう俺のメインヒロインになれるのはお前だけだよ!周りは変態しかいねえ!?」
「はにゃ?いきなりどうしたの兄ちゃん?」
こうして、俺の初陣は仲間を新たな仲間を迎え入れ。終わった。
これからどうなっていくのだろうか?今はまだ、俺にも分からない。
「取り合えず。あれを言っておくぞ、左慈。于吉」
「あれか、、それも一興!」
「あれですね。いいでしょう」
「「「俺達の戦いはこれからだ!」」」
後書き
遂にこの世界で生きていく最後の覚悟を決めた一刀達!
そんな彼らを待ち受けるものとは!?なんだろう?
やり過ぎた感はあります。でも、後悔はしません。
次回はあるのかな?、、、、、、、、、、、、、冗談です。あります。
ちなみに、読んでくれた方は一言でもコメントしていただけると、
やる気が出て更新速度が維持できるかも。
とか言ってみたり。、、、ごめんなさい、うざいですね。
次回は城に戻った一刀の日常!お楽しみに!!
それでは、、、、、また次回。
ドロン
消えた
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戦いに身を投じた一刀達。
果たして、そこ先でえる物は、希望か。それとも、、、
取り合えず、そう言う話ではありません。