No.217152

真・恋姫無双 魏end 凪の伝 51

北山秋三さん

第二部最終話です。

2011-05-17 00:01:06 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:5614   閲覧ユーザー数:4346

「ご主人様には、このままこの外史に残ってもらわなければならないのねん」

 

「なん、だと・・・?」

 

突然現れた貂蝉の言葉に、一刀は吐き気を抑えながらようやく顔を上げた。

 

「どういうことだ!」

 

苦しい中にあって、貂蝉の言葉を理解したくないという思いでようやく立ち上がるが、途轍もない焦燥感と"異物感"で目の前がぼやける。

 

 

 

<<Download率50%>>

 

 

 

「ぐぅっ!!??」

 

だが、いきなり襲い来る猛烈な吐き気と頭痛に再び蹲ってしまう。

 

「貂蝉!貴様、ご主人様に何をした!?」

 

焦る愛紗の声が遠くに聞こえる。

 

「が・・・ぁッ!!」

 

全身に力が入らず、冷や汗を拭うことすら出来なかった。

 

「この外史は、ご主人様が不在という状況でありながら残ってしまったわん・・・ありえない現象・・・の、筈だった。

 

しかし、それは認められてご主人様不在のこの外史は、他の外史にまで影響を及ぼしてしまったのねん」

 

貂蝉の言葉が、理解できない。

 

 

 

<<Download率60%>>

 

 

 

"異物感"が強くなる。

 

「でも・・・長い間ご主人様不在のこの外史は、その想いの大きさに耐え切れなくなってしまったの・・・」

 

頭がぼんやりしはじめ、貂蝉の言葉が、貂蝉の言葉だけが、頭に響く。

 

周りで騒ぐ声が遥か遠くに聞こえる。

 

「このままご主人様不在の状態が続けば、この外史は崩壊してしまう・・・本来ならば残る筈の無かった外史。

 

このイレギュラーでありながら重要な外史が無くなってしまっては、"他の外史"も連鎖的に崩壊してしまうのよん」

 

もう、自分が苦しいのかどうかすらわからなくなってくる。

 

わかるのは、"自分が自分ではなくなる"という事実。

 

 

 

<<Download率70%>>

 

 

 

「それだけは・・・外史の管理人として、させるわけにはいかない」

 

"異物感"が、やがて"自分"を上回ろうとしていた。

 

上や下、前や後ろといった感覚がなくなる。

 

耳だけが貂蝉の声を聞き続けていた。

 

「ごめんなさいね・・・ご主人様。でも、この外史ではご主人様は"みんなに愛される"わん」

 

"みんなに愛される"

 

みんな・・・?

 

みんなとは、何だ・・・?

 

愛される・・・?

 

凪・・・。

 

オレが愛したのは・・・愛されたのは・・・凪だけ・・・なのに・・・。

 

 

 

<<Download率80%>>

 

 

 

もう、何も聞こえない。何も考えられない。

 

ただ頭にあるのは、凪との思い出だけ。

 

それが・・・徐々に消えていく。

 

凪・・・。

 

 

 

 

 

さいごにうかんだのは、なぎのかなしそうなえがお────

 

 

 

 

 

<<Download率90%>>

 

 

 

「ご主人様!!!」

 

 

 

何も無い筈の感覚の中で、声が聞こえた。

 

違う。

 

心が、無理矢理その声を聞く。

 

声は突然虚空から現れた者から発せられた。

 

その姿を目で捉えた瞬間─────

 

 

 

 

<<Download率100%>>

 

 

 

 

その声が、聞こえた。

 

 

                      真・恋姫無双 魏end 凪の伝 第二部最終話

 

 

                             「UNKNOWN」

 

 

「待てごらぁーーーーーーー!!!!」

 

「「「「「うひゃあーーーー!!!!」」」」」

 

「な、何だ!?あいつら!!!??」「うわ、ちょっと待て!!!」「ぎぃやーーー!!!」「ぐわーーー!!!」

 

『南海覇王』を振り回しながら黒いオーラを放つ雪蓮から全員が逃げ回り、行く先々にいた『にゃあ黄巾党』を蹴散らしながら

 

逃げ回っていた────が。

 

「────!?」

 

いきなり動きを止めた雪蓮は、バッ!と横を睨みつける。

 

「し・・・雪蓮・・・さま?」

 

動く気配も無く他所を睨み付ける雪蓮を不思議に思い、恐る恐る明命が岩の陰から声を掛けるが、雪蓮は横を向いたまま動かない。

 

他の者達もその後ろからひょこひょこと顔を出し、ビクビクしながら雪蓮を見つめる。

 

雪蓮の視線の先には、魏の陣営がある筈だった。

 

「嫌な予感がするわね・・・」

 

雪蓮がポツリと呟いた時、風が雪蓮の髪を揺らす。

 

サァァァァ・・・と吹いた風は、湿気を持っていた。

 

「嵐が来る・・・?」

 

空を見上げても、さっきまであった月が見えない。

 

明かり自体は周囲に戦いのための篝火がいたるところにあったり、森が燃えているため明かりに困ることはなさそうだが、

 

今雨に降られればこの辺りは真っ暗闇になってしまうだろう。

 

這うようなザワリとした気配が雪蓮の全身に絡みつき、雪蓮の中の『自分』が最大級の警告を発している気がする。

 

その警告は、魏の陣営の方角から。

 

冷や汗が頬を伝うほどの最大級の警告に、しばし葛藤する。

 

魏の陣営に行ってそれを確かめるか、この場から離れるか。

 

迷いかけた雪蓮だが、軽く頭を振ってその迷いを振り払う。

 

今、この場には『なぎ』がいる。

 

この子を危険な目に合わせる訳にはいかないと、雪蓮は判断した。

 

「明命、一度呉の陣営に行くわよ」

 

「は、はい!」

 

雪蓮は、後にこの判断を悔やむことになる。

 

『もし、あの時────していれば』

 

 

 

 

 

それは誰もが一度は思う事。

 

 

 

 

 

取り戻せない・・・"胡蝶の夢"

 

 

『このままでは、一刀がまた消えてしまいます』

 

秋蘭が残した言葉。

 

その意味を考える暇も無く、華琳は戦場に出ていた。

 

ビュウ!という風が華琳の髪を揺らし、華琳は髪を押さえる。

 

「風が出てきたわね・・・」

 

ポツリと呟いた華琳の目の前では、『にゃあ黄巾党』との戦いが大詰めとなっていた。

 

鈴々と朱里の出現という予想外の出来事はあったが、確認されたのは僅かな時間で二人の姿はすぐに確認できなくなった。

 

"まるで姿を見せる為だけに現れた"ような動きに、華琳は嫌な気配を感じる。

 

全ての始まりとなった十文字の旗を持つ五胡と同じ動き。

 

その憂いを素早く断つ為に、華琳は最後の命令を下す。

 

「圧せ!槍兵を前面に、蹴散らせ!」

 

「「「「応!!!」」」」

 

華琳の命に答えた親衛隊が『にゃあ黄巾党』の兵を圧していく様を見つめていた華琳の視界に、ふと何かがかすめる。

 

「・・・?」

 

訝しげに辺りを見回しても、特に何も無い。

 

気のせい・・・?と思い前を見た華琳の目の前に、ふわふわと浮かぶ『嘆賞宝譿』がいた。

 

しばらく呆然と見つめた華琳だったが、いきなり『嘆賞宝譿』の目がピカピカと光り、声が聞こえてきた。

 

『華琳さま~』

 

ギョッとした華琳だが、その『嘆賞宝譿』から風の声が聞こえる。

 

「風・・・?」

 

『違います~。宝譿ver.2ですよー』

 

「は?」

 

『今、宝譿は壊されてしまったので、中の人が出てきましたー』

 

「壊された!?ちょ、ちょっと待ちなさい!色々突っ込みたいけど、風はどうしたの!?」

 

『ああー、誘拐されましたー』

 

「はぁ!!??」

 

驚く華琳に構わず『嘆賞宝譿』はのんびりとした口調だった。

 

『でも大丈夫ですよー。宝譿は今自己修復中なので────』

 

「そっちじゃないわよ!風はどうなったかって聞いてるでしょ!!」

 

慌てて『嘆賞宝譿』をガッシと掴んだ華琳だが、『嘆賞宝譿』は変わらずのんびりした口調だった。

 

『大丈夫ですよー。これも作戦の内なのですよー』

 

「え?」

 

『ワザと捕まったということですー』

 

『嘆賞宝譿』のその言葉に、華琳はポカンとした表情を浮かべる。

 

『で。ですねー。華琳さまにお願いしたいことが────』

 

 

 

 

 

その頃────

 

半分に破壊されていた宝譿は、全身にテープで割れた部分を繋いでふわふわと飛び始めていた。

 

目的は風の元・・・次の作戦を開始する為に。

 

後に真桜から『仮製宝譿』と呼ばれ、修復が完了した時は『新生宝譿』と呼ばれる事になる宝譿だった。

 

それを聞いた風は微妙な表情を浮かべたと言う・・・。

 

 

<<Download率100%>>

 

「ご主人様!!」

 

虚空から現れたのは、黒い神事服を纏った桃香だった。

 

「靖王伝家ぁぁぁ!!!緊急停止ぃぃぃ!!!」

 

手に持つ『靖王伝家』が光り輝き、一刀の持つ『靖王伝家』と共鳴するように一度キーンと耳鳴りのような音が響く。

 

<<overwrite install緊急停止>>

 

その声とともに倒れこむ一刀に、季衣と季衣に支えられた春蘭が近づく。

 

「貂蝉!!!!」

 

舌打ちをしてそちらを一瞥し、地面に降り立ちながら凄まじい怒りの表情で貂蝉を睨みつける桃香。

 

だが貂蝉は厳しい表情のまま桃香から目を離す事は無い。

 

「劉備・・・いえ・・・今は、司馬懿・・・かしら」

 

「ええ・・・そうよ」

 

厳しい表情を変えない貂蝉に忌々しげに吐き捨てる。

 

「どうやって封印をといたのかしらん・・・貴方を封印するために『劉備』という"役"を用意したほどだと言うのに」

 

「はぁ?そんなの、ご主人様がいないから」

 

答えにはなっていないが、それが当たり前。という感じの桃香に貂蝉は深く溜息をつく。

 

────瞬間、突如として貂蝉の姿がブレる。

 

ノーモーションで一瞬にして後ろに大きく跳ぶと、今まで貂蝉が立っていた場所に愛紗の『青龍偃月刀』と

 

恋の『方天画戟』が突き刺さり、地面が轟音を立てて抉れる。

 

「せっかちさんねぇ・・・話はまだ終わってないわん」

 

頬に手を当て、ふぅ。と溜息をついた貂蝉の飄々とした態度に愛紗が舌打ちをして更に構えを取るが、桃香が抑える。

 

「まぁまぁ、愛紗ちゃん。恋ちゃん。丁度聞きたかったこともあるし、ちょーっとまってねぇー」

 

ヒラヒラと手を振る桃香に愛紗が貂蝉を憎憎しげに睨みつけ、恋は黙って一刀を見つめていた。

 

「こっちも確認したい事があるわん・・・五胡の民を虐殺しているのは・・・『鏡』を造るため、ね」

 

貂蝉の目が細められ、桃香との間の空気が極度の緊張に張り詰める。

 

「何の為に・・・?自らが新たな外史を造る為かしらん?それとも、他の外史を滅ぼす為?」

 

クスクス、という笑い声がした。

 

「まぁさか」

 

「・・・?」

 

クスクスと笑い続ける桃香に、貂蝉が眉を顰める。

 

 

 

 

 

「ふふふふふ・・・。『全ての始まり』をもう一度やり直すの」

 

 

 

 

 

桃香の放った言葉に、貂蝉が言葉を失う。

 

その意味に。

 

「だって、おかしいでしょう?元々一つのハズの外史がいくつも出来て、私"達"とご主人様が結ばれる外史は無い。

 

あったとしてもそれは私"達"では無い・・・そーんなの、おっかしいでしょー?」

 

ぷんぷん。と、怒っているというジェスチャー付きで演じる桃香の瞳はふざけている姿と違い、狂気に光る。

 

 

クスクス。

 

 

 

笑いが起こる。

 

 

 

「新たな外史を造る?」

 

 

 

クスクスクスクス。

 

 

 

桃香と、愛紗。

 

 

 

「他の外史を滅ぼす?」

 

 

 

そして・・・恋。

 

 

 

クスクスクスクス。

 

 

 

「そんなメンドクサイ。そして・・・もったいない」

 

 

 

アハハハハハハハ。

 

 

 

「私達のやろうとしているのは────」

 

 

アッハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

「全ての外史から、ご主人様を"奪うこと"だもん!!!!!!!アハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!

 

そう!!全て!!全ての外史から!!!無印も真もいらない!!!その他『全ての外史』からご主人様を奪うのよ!!!!」

 

 

 

キャッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!

 

 

 

「わざわざ滅ぼさなくても、アンタが言ったようにご主人様を失った外史は勝手に滅びるわ!!!!

 

ご主人様のいるこの外史と"私達"を残して、全て!!!全てよ!!!!」

 

 

 

「そう!!!!!!!!私達『司馬八達』とご主人様で『晋・恋姫無双』を始めるのよ!!!!!おもしろそうでしょ!!!!

 

おもしろそうでしょ!!!!」

 

 

 

アッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

醜く歪む『司馬懿仲達』桃香の笑顔。

 

『全ての始まり』にあった、『司馬八達』──── それは、仲達の姉妹達。

 

『司馬朗 伯達』・『司馬孚 叔達』・『司馬馗 季達』・『司馬恂 顕達』・

 

『司馬進 恵達』・『司馬通 雅達』・『司馬敏 幼達』

 

そして『司馬懿 仲達』を加えた八人の事だった。

 

 

にわかに降り出した雨は雷を伴い、雷雨となり変わった。

 

ザアァァァァァァァ・・・と降り続ける雨が城の屋根を叩き、人が出払ってほとんどいなくなった城内に煩いほど響く。

 

その中で、ある一室では三人の姿があった。

 

呆けた様に虚ろな目をして椅子に座るその姿は、沙和。

 

他の二人の話を聞くとも無く、ただ窓の外の雨を見つめていた。

 

「とりあえず、計画通りに事は進んでいるようね」

 

その側に佇むのは腕を組み、眼鏡を直す詠。

 

そして────

 

 

 

 

「ふふふっ。苦労したかいがあったね、詠ちゃん」

 

 

 

 

にっこりと微笑む────月。

 

「まったく・・・色々誤魔化すの大変だったんだから。月も油断しすぎ。もう少しでバレそうだったんだからね」

 

ふんっ。とやや憤慨する詠に、月がへぅ・・・と項垂れる。

 

「まぁ、でも翠を焚き付けたのは正解ね。これでご主人様がこちらの手に来る可能性が増えたわ」

 

詠の言葉にぱぁっと明るい表情になった月を見て、詠が一つ溜息をつく。

 

「それにしても、月はこれから"どっち"で動くの?董卓?それとも、『恵達』?」

 

「せっかく蜀にご主人様をお迎えするから"まだ"董卓のままだよ」

 

夢見がちに両手を合わせる月に、詠は目を細める。

 

「ふぅん・・・私はそろそろ一旦、『雅達』に戻ろうかと思うんだけど」

 

「でも、それだとご主人様に会えないよ?」

 

「う・・・それはそうだけど、後二人の『頭脳』を集めなきゃならないでしょ。『あの子』だけに任せておくわけにはいかないし」

 

「ふふふっ・・・詠ちゃん。ご主人様に会うの、照れ臭いんでしょ?」

 

「なっ!?」

 

悪戯っぽい笑みをする月に、詠は紅くなった顔を誤魔化すように腕を組んでそっぽを向く。

 

「詠ちゃん、可愛い」

 

「だって・・・こっちの外史だと、あんまりご主人様に会えなかったし・・・」

 

小さくブツブツと不満を漏らす詠。

 

その時、机に置かれた『鏡』が鈍く光った。

 

「あ。反応があったよ」

 

月が嬉しそうに『鏡』を持つ。

 

「まさか桃香達も私達があれを仕込んだとは思わないでしょうね」

 

眼鏡に手を当てながら柔らかく詠が微笑む。

 

愛しいものを、思い浮かべるように。

 

クスクス・・・という笑い。

 

 

 

 

「八人は多いよね」

 

 

 

 

「私達二人で充分だよ・・・ね。詠ちゃん」

 

 

 

 

 

「だから、ご主人様に減らしてもらおう」

 

 

『愛紗や恋は操られている』という思い違いをしていた最悪の事態に、貂蝉の頬を汗が伝う。

 

そして分かった、桃香の思惑。

 

それは全ての外史の『北郷一刀』を、ここにいる『オリジナルの一刀』に戻すという事。

 

『オリジナルの一刀』から無数に枝分かれした外史。

 

その全てを戻して、もう一度初めからやり直す────

 

だが、あまりにも無数に枝分かれした外史。その全ての『北郷一刀』のデータをたった一人の人間が受け止められるか。

 

答えは、『否』

 

どう考えても破綻しかありえなかった。

 

「そんな事をさせるわけには────?!!」

 

貂蝉の、その表情が驚きに変わる。

 

突然の気配。

 

そちらを見た桃香、愛紗、恋の三人の表情も驚愕に染まった。

 

ゆらり、と立ち上がったのは一刀。

 

「か、ず・・・と?」

 

異変に逸早く気づいたのは春蘭だった。

 

季衣に支えられながら一刀に手を伸ばそうとして思い出したのは、大切なものが手から零れる幻影。

 

何度もうなされた悪夢。

 

(なぜ今!)

 

焦る春蘭だが、俯いた一刀の表情は見えない。

 

春蘭の心臓が激しく鼓動する。

 

そして頭の中で鳴り響く警鐘。

 

「ははっ・・・」

 

乾いた笑いが静まり返った戦場に響く。

 

場違いな、一刀の笑い。

 

その笑いと同時に『靖王伝家』から警告音が鳴り響く。

 

 

 

 

<<エラーが発生しました>>

 

 

 

 

<<萌将伝ルートにUNKNOWNプログラムを確認>>

 

 

 

 

<<UNKNOWNプログラム展開します>>

 

 

 

 

 

逸早く桃香が『靖王伝家』を止めようとした時、それは起こった。

 

警告音がブツリと途切れ、一刀の持つ『靖王伝家』の柄にある玉が急激に黒く染まる。

 

「馬鹿な!!??」

 

貂蝉の声に焦りが表れ、動揺は桃香達にも広がった。

 

「────」

 

一刀の小さく呟いた声は、ふいに吹き出した黒い風に消える。

 

黒い風は『黒い閻王』から猛烈な勢いで溢れ出し、一刀の姿を覆う。

 

だが、春蘭だけは一刀の唇が動くのを見ていた。

 

その唇は、小さく呟く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんな、死ね────と。

 

 

建業の城では桂花が一人、ぼんやりと部屋の外にある椅子に座っていた。

 

部屋では泣きじゃくる流琉を凛が慰めている。

 

自分は、そんなことは出来ない。

 

寧ろ居ない方がいいだろうと、部屋の外に来ていた。

 

何より一人になりたかった。

 

一刀の事、華琳さまの事、子供の事、白蓮の事・・・色々な事が頭を巡り、考えがまとまらない。

 

「どうすれば・・・いいの・・・」

 

ポツリとした呟きに、答えるものは無い・・・筈だった。

 

 

 

 

「ねぇ、桂花おねえちゃん。もし、どうにかする方法があるとしたら、どうする?」

 

 

 

 

「・・・え?」

 

突然後ろから掛けられた声に振り返る。

 

そこにいたのは、にっこりと微笑む────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────『司馬敏 幼達』という名を持つ、璃々だった。

 

 

 

 

 

第三部へ続く。

 

 

「わたしと契約して、魔法少女になってよ。桂花おねえちゃん」

 

という・・・。

 

ちなみにこれもまだ見てませんがw

 

さてさて・・・随分お久しぶりでございますが、これでとりあえずは第二部が終わりです。

 

第三部の開始まで、少々お待ちください。

 

 

 

ふふふふ・・・ラスボス登場です。

 

『司馬敏 幼達』こと、璃々ちゃん。

 

凪の伝を書くに当たって、司馬懿仲達を調べていて見つけた司馬敏 幼達。名前を見た瞬間、

 

璃々ちゃんにしようと。

 

もう一人のラスボス、月に操られた一刀はどうなるのか。

 

お楽しみに!

 

 

 

そして・・・ですね。ものすごいショックなことがありまして。

 

実はこの第二部最終話は、震災当日までに出来てたんですよ。

 

です・・・が。ここまで遅れたのはですね・・・。

 

第二部最終話から第三部2話と、にじファンに投稿しようとしていた三国同盟崩壊ルートの44部から49部までと、

 

凪の伝外伝7話から10話までと以前電撃文庫に応募したオリ小説がはいっていたUSBメモリ・・・無くしちゃった。

 

確かにバックに入れていた筈のUSBメモリがないんですよ・・・。

 

どこに落としたか・・・。

 

黒い、sonyのUSBメモリなのですが・・・うう・・・考えられるのは、宮古か・・・。

 

ホントにいろいろありますね・・・。

 

気分を変えようと前までは後ろで結んでいた髪を、蓮華じゃないけどあんな感じでばっさり切りました。

 

「リアル地味子wwwwwwwwwwwwww」と笑われました。

 

新車を買って一ヶ月、300キロしか乗っていないのに津波に流されるわけです。

 

 

さてさて。それでは三国同盟崩壊ルートを思い出しながら書きますか・・・。

 

あ。後、あらすじも。

 

では。また。

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
31
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択