この物語は真・恋姫†無双という外史に、
CRISIS CORE FINAL FANTASYⅦのジェネシス・ラプソードスが来たいう設定です。
作者である私、黒山羊が原作を何度もやりなおし、登場人物を原作通りにしたつもりです。
ですが、解釈が幾らでも可能であるように、登場人物が皆様のご期待にそえるかどうかはわかりません。
まあ、CCFF7が分からなくても楽しめるように書いたつもりです。
また、作者は関西人なので、気をつけているつもりですが、セリフが関西弁臭くなってしまうかもしれません。
あらかじめご了承ください。
読者の皆様が楽しめたら幸いです。
視点:一刀
月の体調も良くなり、普通の生活をする分には問題ないぐらいに回復した。そのため、詠や華雄と一緒に侍女をやってもらっている。
戦後処理も終わったし、ひと段落がついたので、前に約束していた酒宴をすることになった。
場所は少し此処から離れた山で飲むことになった。
朱里と雛里はやっておきたいことがあるらしく遅れてくるそうだ。ジェネシスさんは2人を抱えて、文字通り飛んでくる事になった。
月も詠も華雄もジェネシスさんの翼のことは伏せたままだ。彼の翼は本質的には真名と同じで信頼に値すると決めたら翼を見せるそうだ。そこらへん、彼はガードが堅い。まあ、前の世界でのことがあるからだろう。俺達もこれに関しては了承済みだ。
話を酒宴の話に戻そう。会場は山だ。
そして、今山の中でも開けたところに来ている。この場所はある植物で囲まれていた。
「ご主人様、綺麗いですね。」
「ああ…。
百両の 石にもまけぬ つつじ哉…。」
そう此処は満開のヤマツツジに囲まれていた。
この時期の山なら若葉の深緑に染まるはずなのだが、此処だけはヤマツツジの濃い桃色で染まっていた。
「今のは何ですかな、主?」
「ああ、俺の国の小林一茶っていう詩人の俳句っていう詩。
百両……一両がだいたい餃子が500皿頼めるぐらいのお金の単位の何だけど、
そんな大金である百両掛けて作った華やかな庭も美しいが、自然が作った質素な風景も劣らず美しいって意味の詩。」
「なるほど、自然な美もまた美しいということですな。」
「ああ、それにな。
ヤマツツジにはある花言葉がある。それが今の俺達に合っている。」
「花言葉ですか?」
愛紗は俺に聞いてきた。
「俺の世界には花はそれぞれ言葉を持つとされている。花の種類だけじゃない、花の色によって違う花言葉がある。」
「ヤマツツジの花言葉は?」
「燃える思い。」
「……燃える思いですか。」
「ああ、平和を強く願う俺達に会う花言葉とは思わないか?」
「そうですな。主。」
「にゃあー。でも、ツツジは食べられないのだ。」
「そんなこと無いぞ。」
俺はツツジの花を千切り、花の根元を吸う。
ツツジの蜜なのか、ほのかに甘い。
「うん。甘いな。鈴々もやってみるか」
俺は鈴々の口元に千切ったツツジを差し出す。
「うん!……ツツジの花のお尻は甘いのだ!」
「そうなの?」
桃香も興味深々だ。俺は桃香にツツジの蜜の吸い方を教える。
「ご主人様!私も吸い方が分かりません!」
愛紗も何故か挙手をする。
おれはツツジの花を千切り、愛紗の口元に運ぶ。
「はい、愛紗。アーーーン。」
「アーーーン//////。」
その後、星も月も詠も華雄もツツジの吸い方を聞いてきた。
「ツツジも良いけど、鈴々はお弁当を食べたいのだ!」
「そうだな。月、詠。敷物を広げよう。」
「はい。ご主人様。」
俺と月と詠で敷物を広げる。
その後、重箱を広げ、朱里と雛里、ジェネシスさんを待つだけとなったのだが…。
「遅い…。」
そう、幾ら少し用事があると言っても遅すぎる。
俺は心配になってきた。
だが、朱里が見えてきた。
「おーーい、朱里!」
「朱里ちゃん、遅いよ!」
俺と桃香は朱里向かって叫ぶ。朱里はこっちに走ってきた。
お、これで酒宴を始めることができる。
「袁紹さんが攻めてきました。」
「え、袁紹さんが!?」
「はい。突然、宣戦布告をし、それと同時に関所を攻め始めました。」
「早く、戻らないと。」
桃香は言う。
そうだ。酒宴どころじゃなくなった。
「朱里、敵の勢力は?」
「50万です。」
はあ!?
50万?
俺は朱里の言葉を信じられなかった。
「50万?朱里、俺達の勢力で何とかなるか?」
「残念ながら…。私達の兵力は5万。
地の利があると言っても、兵力差を覆す方法が……。」
朱里がこう言うってことはどうしようもないんだな。
「朱里、俺達が生き残る方法は無いか?」
俺はこの国を俺達の手で守る方法では無く、俺達が生き残る方法を聞く。
朱里は逃亡を提案する。そして、俺もその意見に同意した。
「ご主人様!平原の民を見捨てるのですか?」
「俺達の夢を叶えるためだ。諦めろ!」
「しかし!」
「愛紗!主がどんな苦渋の決断をしたのか察しろ!」
星は愛紗に向かって怒鳴る。
「死んでしまっては夢は叶えられない。例えみっとも無くても俺達は生き残らなくちゃいけないんだ…。
分かってくれ。愛紗。」
「……ご主人様。」
「朱里!雛里とジェネシスさんは?」
「雛里ちゃんは遷都の準備を……。ジェンシスさんは袁紹軍に向かう準備をしています。」
「え!ジェネシスさん、袁紹さんに向かう気なの?」
「はい。時間稼ぎをすると言っていました。」
あの時黄巾党よりも錬度が低いと言われていたとはいえ50万の大軍に単騎で突撃だと!
幾らあの人でも無茶だ!
「そんな…。」
「だが、朱里よ。
逃げるとして、我々は何処に行けば良い?」
「ここからだと、荊州の襄樊に行くのが良いかと思われます。」
「荊州だと?荊州と平原の間には曹操の領地があるではないか!」
「ですが、私達の勢力で逃げられて攻め落とせる可能性のある場所は紛争の激しい襄樊しかありません。
平原から襄樊に向かうなら、南に向かい兗州・豫州を通るのが良いかと思います。」
「分かった。
ジェネシスさんが早く逃げれるように早く逃げる準備をしよう!」
俺達は酒宴を中止し、俺達の宮殿へと向かった。
報告によると、まだここから一番遠い関所が落ちたばかり、今からなら逃げる準備が出来る。
「ジェネシスさん、袁紹の軍を止めることは出来ますか?」
「出来ない事も無いが、それは袁紹軍が1つの塊として動いている場合の話だ。」
「そうですか。同時に複数の関が落とされているので、無理ですよね。」
「ああ、俺の体は1つしかないのだからな。」
「分かりました。平原から逃げましょう。
桃香!俺とこの街の人に袁紹に攻められている事を話しに行こう。
華雄は護衛を頼む。
愛紗、鈴々、星は軍の準備、兵の皆には事情を話して、俺達と共に荊州に来たい兵を集めてくれ。
朱里は雛里と共に宮殿内の書物の整理を頼む。袁紹に見られたら困る物は焼いてくれ。持って行く物は最小限度で頼む。それから、曹操の所に通行許可の使者を送ってくれ。
月と詠は俺達の私財を纏めてくれ。
他には何かあるか?」
俺は朱里の方を見る。
「ジェネシスさんは?」
「ジェネシスさん、少し話があります。残って下さい。」
「分かった。」
皆は解散し、各々やるべきことをする。
俺とジェネシスさんは2人で話し合った。
話が終わると俺と桃香は城下町に行き、街の長老たちと話をした。
街の人達は袁紹の統治能力の無さを行商から聞いていたのか、共に荊州に行きたいと言い出した。
困ったが、ここで人を見殺しにできないのが桃香だ。桃香は皆と荊州に行きたいと言い出した。
普通なら驚くだろうが、俺も桃香の理想に近いモノを持っているから、俺も桃香の意見には賛同した。
華雄も救いを求める民を捨てることはできないと言ってくれた。
今夜までにこの街の南門で集合となった。
俺達も宮殿に戻り、私財を纏める。
平原での思い出の品がたくさん有ったが、余り持ち物が多いと輜重隊が困るので、荷物は少なめにする。
思い出の品を手放すのには抵抗があったが輜重隊に迷惑はかけられない。
俺は大事な物の中でも特に大事な物だけを集めて、出発の準備をした。
「俺の荷物はこれだけだ。乗せてくれ。」
「知の御遣い様。本当にこれだけで良いのですか?」
輜重隊の兵が俺に聞いてくる。
「ああ、荷物は少ない方が皆の荷物を乗せやすいからね。頼んだよ。」
「はっ!」
数時間後、俺達平原の都を後にし、俺達は5万の兵と5万の民で南下した。
視点:曹操
平原より使者が来た。
平原と言えば、あの2人の天の御遣いが居る国、どうしたのかしら?と思い面会したら、麗羽が北から攻めて来て平原の軍では押えきれないから、荊州へと逃げたいので、我が領地の通行許可を求めて劉備が我が領地と接する所に来ているので面会してほしいという内容だった。
「いいでしょう。劉備と面会してあげる。
桂花、春蘭、秋蘭。今から軍を率いて北へ向かうわよ。準備なさい!」
「「「はっ!!!」」」
「ありがとうございます!曹操様」
平原と接する所には数刻で着いた。
劉備達は我が領地にはまだ入っていなかった。我が領地を目の前にして休息を取っているようね。
私が着くと、劉備と北郷、関羽、張飛、諸葛亮、鳳統と面会となった。
私は武の御遣いが居ない事に気が付く。
「武の御遣いはどうしたのかしら?」
「ジェネシスさんは時間稼ぎの為に袁紹軍と戦っている。」
「単騎で?」
「ああ、平原の都に通じる関所の一つで陣取っている。」
「そう…。」
ちょっと興味があったのだけど、まあいいわ。
「要件は何かしら?劉備」
「曹操さん、荊州に行きたいので、通らせて下さい。お願いします。」
「いいわよ。」
「ありがとうございます。曹操さん」
「通行料には何をくれるのかしら?」
「え?」
「もう1度だけ言うわ。通行料は何かと聞いている?決まっていないのなら、こちらが勝手に頂くわよ。」
「そ…そんな。」
劉備の顔から血の気が引いて行く。
劉備は後ろに控えている軍師と相談を始めた。
「朱里ちゃん、他に方法は無いんだよね?」
「…はい。残念ながら。」
「曹操さん、通行料は何とかしてくれませんか?」
「嫌よ。
貴方達が我が領地を通ると一部の道は塞がれてしまう。
そのため、私達は被害を被るわ。
それの補填をするのも私達。
だから、貴方の願いを拒否しても良いのよ。劉備。
通行料が決まらないなら、かn―」
「待ってくれ!」
北郷が立ちあがった。
劉備、関羽、張飛、諸葛亮、そして、私、春蘭、秋蘭、桂花は北郷を見る
「通行料は…………………俺だ。」
「……ご主人様?」
通行料は知の御遣い…。
正直な所、通行料は私が認める特に優秀な人材である関羽、知の御遣い、諸葛亮、張雲であれば、誰でも良かった。
最後に天下を取るのは私達なのだから…。
「いいわよ。
稟、風。劉備の軍勢を荊州まで案内してあげなさい。
劉備。良かったわね。荊州に行けるわよ。」
「待って下さい!曹操さん。ご主人様!」
「稟、風。この五月蠅い小娘をなんとかしなさい。」
「わかりました。華琳様。」
稟の掛け声で兵は劉備達を囲み、劉備達を私の天幕から追い出そうとする。
天幕から追い出される最後の瞬間まで劉備は『ご主人様、いや!』と叫び続けていた。
天幕に残ったのは、私と春蘭、秋蘭、桂花、そして北郷。
「北郷。これから貴方は私の臣下よ。だから、貴方の真名を私に預けなさい。」
「俺には真名が無い。だが、俺にとって真名に相当する名が一刀だ。」
「分かったわ。一刀。
これから、私の覇道の為にその命を捧げなさい。いいわね。」
「わかった。平原から荊州へ十万の人を通らせてくれたこと感謝する。」
そう言って、一刀は土下座をする。
私は椅子から立ち上がると一刀に言う。
「着いてきなさい。一刀。私の力見せてあげる。」
私達は平原に入り、私達の領地のすぐそこまできている麗羽の軍と対面する。
麗羽の軍は50万と聞いていたけど、その実30万ぐらいしか居ない様に見えた。
「ちょっとどういうこと、一刀?」
「たぶんジェネシスさんが足止めしてるんじゃないかな?」
「そ。武の御遣いは何処に居るのかしら?」
「ここの関所に行くって言ってた。」
一刀は地図のある部分を指さす。
確かに此処なら麗羽の軍の時間稼ぎにはなるけど…。
1人で20万近くの相手なんて可能なの?
それが出来る程の武力。
欲しい!
欲しいわ!武の御遣い。
貴方を手に入れてあげる。
その後、長距離を移動して疲れて、士気が下がったのか。麗羽の軍は私の軍を見ると逃げだした。
私達は武の御遣いが居るという関所に向かった。
関所は静かだった。私は関所を開けるように言うと、すぐに開いた。
関所の向こうは…
無数に地面に刺さった矢と剣や槍。血で泥濘んだ地面。
そして、一人の紅の上着を羽織り、紅の剣を持った背の高い男の背中だった。
「ジェネシスさん!」
「北郷か…。」
男は一刀の声に反応して、こちらを見る。
「『曹』の旗。北郷、お前の言う通りになったな…。」
「……。」
武の御遣いは一刀の方に近づいてくる。
「『君よ 飛び立つのか
我らを憎む世界へと
待ち受けるは ただ過酷な明日
逆巻く風のみだとしても』
これまでのお前の理想とは相反するものだぞ。いいのか?」
何?コイツ?
「確か…
『君よ 希え
命育む女神の贈り物を
約束のない明日であろうと
君の立つ場所に必ず舞い戻ろう』
俺達は平和を求め飛び立った。曹操も形は違えど、それを望んでいる。だから、俺達はまた会える。
だから待っててくれ。そして、俺は待ってる。」
何か分からないが2人は通じ合っているようね。
何か気に入らない。
「分かった。俺はもう行くぞ。」
「ちょっと、待ちなさい。武の御遣い。」
私は去ろうとする武の御遣いを呼びとめた。
視点:春蘭
「ちょっと、待ちなさい。武の御遣い。」
華琳様は武の御遣いの首筋に絶を当てる。
「お前は?」
「曹孟徳よ。」
「そうか。桃香達を荊州へと通行させてくれたこと感謝する。」
また、武の御遣いは歩き出す。
カチャ
「待てと言っているでしょ。貴方、どうしてここにいるのかしら?」
「時間稼ぎで袁紹を食い止めていた。」
「それは、貴方達が平原を治めていた頃の話でしょ。
平原はもう私の物となった。で、貴方は私の領地で何をしているの?場合によって、その首貰うわよ。」
「何をしたらいい?」
「話が分かる男ね。武の御遣い。
私の臣下になりなさい。」
「「「!!!」」」
私と秋蘭、桂花は驚いている。
確かに華琳様の優秀な人材集めは貪欲だったが、馬騰を除いた男にだけは手を出さなかった。
そのはずなのだが、今日は2人も男を臣下に加えようとしている。
だから、信じられなかった。
だが、それ以上に武の御使いと名乗るこの男の言葉はそれ以上に信じられなかった。
「断る。通行料は北郷という形で払った。
それに、降らない奴に仕え、誇りや夢を捨てるつもりはない。」
「…………そ。だったら、交渉決裂ね。
劉備の所に行きたかったら、力づくで通りなさい。
それが出来たら許してあげる。
春蘭!秋蘭!霞!凪!真桜!沙和!季衣!流琉!この男を倒しなさい!出来た者には好きな褒美を与える!」
私達は武の御遣いを囲み、構える。
武の御遣いは右手に剣を持ち、構えようとしない。
「たあああぁぁーっ!!」
「てやああああっ!!」
真桜と沙和が突っ込んだ。真桜が前で、その後ろに沙和が付いている。
戦い方は真桜が螺旋槍で突撃し、それを回避した瞬間、沙和の二天で攻撃といったところだろう。
初手から倒すつもりだ。だが、それでこそ華琳様の臣下!初手を小手調べするのは雑魚だ!
最初から全力で敵を叩きつぶす!
だが、武の御遣いも残念だ。
この連携を崩したのは私と秋蘭、霞の三人しか居ない。
こんな男に崩せるはずが……。
ドォォォーーン
「!!」
私は信じられなかった。
あの真桜が作った武器、螺旋槍が折れ曲がっていたのだ。
私が七星餓狼を全力で螺旋槍を叩いても凹む程度。使用不可能なぐらいに曲げることは不可能だ。
殴っただけであの男はあの螺旋槍を折ったのだ。
固いモノを握って殴れば威力は上がるが、見た所によると男の左の拳の中には何も入れていない。あの手袋に秘密があるのかと思ったが、どう見ても普通の革製の赤い手袋だ。
つまり、あの男は小細工なしの素手の左手でたった一度殴っただけで、螺旋槍を折ったのだ。
真桜も何が起こったのか理解できていない。
あれだけ、時間を掛け作った自分の自慢の螺旋槍が殴られただけで使用不可能になったのだ。
無理もない。
「てやあああああぁぁぁぁ!!!!!」
沙和は真桜の背後から右に出て、武の御使いの背後を叩こうとする。
だが、大声を出したため、武の御遣いは沙和の奇襲に気付き、沙和の方に体を向け、後ろに跳ぶ。それから沙和は乱舞するように攻撃を繰り出すが、武の御遣いはそれをつまらなさそうに後ろに向かって歩きながら避ける。
「!!!!!!」
凪は武の御使いの背後から無言で猛虎蹴撃をする。凪の右足には気が大量に流れているのか赤く光っている。
武の御遣いは気付いていない様に見えた。
だが、振り向いてもいないのにまるで見えているかのように垂直跳びで凪の攻撃を避ける。
私は武の御遣いを目で追う。
武の御遣いは遥か上だった。目測10丈「30m」。人間はあんな上まで跳躍できるのか?
何なんだ!この男は!
「これなら、どうだ!」
秋蘭が矢を連射する。
夜中に飛んでくる矢を見つけるのは困難だ。それに空中なら地面が無いから動きを取れまい。
矢を見ることも無く、見えたとしても避けることも出来ない。
キィンキィンキィンキィンキィン
連続した金属音が聞こえる。
音は秋蘭の放った矢の数だけ聞こえた。
目を凝らして夜の空を見てみると武の御遣いは飛んでくる矢を己の剣で全て弾いていたのだ。
なるほど、避けれないなら、弾いてしまえばよいか…。
「ハァァァァァァ!」
視界の端から大きな赤い光の円形の塊が出て来て、武の御使いの方へと飛んでいく。
私は誰が放ったのかと見ると凪だった。
ああ、あれは凪の気弾だったのか。
バシュゥッ
気弾は消えた。
違う。打ち消された。
良く見えなかったが、おそらく武の御使いの斬撃によって…。
そして、武の御遣いは着地したが、それと同時に、季衣が投げた岩打武反魔と、流琉の投げた伝磁葉々の挟み撃ちに襲われる。
だが、前後開脚と背中を後ろに反る事で二人の攻撃をかわしながら、剣を振る。
武の御使いが斬ったのは岩打武反魔の鎖と伝磁葉々の紐だった。
操作する鎖と紐を無くした岩打武反魔と伝磁葉々は反対側立っている二人に飛んでいく。
ドォーン
砂埃が舞う。
「季衣!流琉!無事か!」
「何とか大丈夫です。春蘭様。」
「私も大丈夫です。気をつけて下さい。春蘭様!
この人強すぎます。」
「分かっている!」
螺旋槍を折った腕力、
沙和の乱撃を簡単に避けた体術、
見ても居ない攻撃を感じ取る感覚、
凪の攻撃を避けた時の跳躍力、
暗闇の中で飛んでくる矢を見る視力
連射された矢を全て弾く素早さと正確さ、
季衣と流琉の攻撃を避けた時の柔軟性
どれをとってもありえない。人間離れしている。
武の御遣いは体を反らしたまま足を閉じて立ち上がり、足が閉じると反っていた体を起き上がらせる。
「凪!霞!一斉に行くぞ!」
「了解です。春蘭様!」
「ええで、春蘭。誰が倒すかは恨みっこ無しやで!」
「行くぞ!武の御遣い!でやあああああ!」
「はああああ!」
「うおぉぉぉ!」
さあ、どうする?武の御遣い。
三方向からの同時攻撃!
ザッ
武の御遣いは迷うことなく凪の方へと跳び、凪の胸に膝蹴りを入れる。だが、凪は咄嗟に腕を胸の前で交差させて防御の姿勢を取っていたため、助かった。
ガッシャァァン
と思ったのだが、あれだけの跳躍力を持っているせいか蹴りの力も次元が違う。
凪の閻王は霧散し、凪は三丈ほど後ろに飛ばされ、転がった。
凪は必死に起き上がろうとするが、数度咳きこむと崩れた。
それを見た私と霞は一度間合いを開ける。
「凪ちゃん!」
「凪!」
真桜と沙和は凪の所に駆け寄る。
まともに戦えるのは私と秋蘭、霞だけだな。
「霞、行けるか?」
「まだ、ウチは何もしとらんっちゅうねん。」
それから、私と霞は挟み撃ちで同時に武の御遣いに仕掛ける。
先ほどと同じように武の御遣いは各個撃破しよう霞に近づこうと地を蹴る。
ギィィィン ガキィン
霞の攻撃は弾かれる。いや、押し戻された。
私も七星餓狼で攻撃をするが、武の御遣いは防いでくる。攻撃だけではなく防御もまた重たかった。
まるで、私と霞は岩相手に木刀で攻撃しているようだった。そんな堅さだった。
それから何度も打ち合う。
武の御遣いは絶妙な間合いの取り方や片方だけに強い衝撃を与えるなどして私達2人の同時攻撃を封じ、
隙を突いて秋蘭が武の御遣いの死角から矢を放つがそれすらも避ける。
何時までたっても決定打を打ちこむことがはおろか、一撃すら当てることが出来ない。
私も霞も息が上がってくるが、武の御遣いの顔色に疲労は見えない。
それが私達を苛立たせる。そして、力んだ攻撃を出してしまう。そして、それが更なる疲労を招く。
そんな悪循環によって私達はフラフラになりつつある。
後、本気で打ち会えるのは残り数十秒。
「霞!まだ行けるか!」
「ウチもまだ行けるで!」
「これで決めるぞ!」
霞と私は一度間合いを開け呼吸を整え、全力で跳躍し間合いを詰める。秋蘭は武の御使いの背後の方に立ち、弓を引き絞る。
これで王手だ!武の御遣い!
ザッ
武の御遣いが後ろに跳んだ?
何故?
まさか!
「秋蘭!」
「くっ!」
ギィン
秋蘭は武の御使いの突きを防いでいた。
私と霞は武の御遣いの背後を取るべく、更に間合いを詰めようと走る。
ギギギギギ
何をやっている、武の御遣いは?
武の御遣いは秋蘭の餓狼爪に当てたまま剣の方向を変える。
「不味い!」
秋蘭は咄嗟に後ろに跳び離れようとするが、武の御遣いはピタリと付いている。
何が不味いのかと考えていると
バツン
突然、音と共に秋蘭の餓狼爪が揺れる。
そうか!
コイツ秋蘭の餓狼爪の弦を斬ったのか!
武の御遣いは後ろを振り向く。
何度見ても不気味な2つの青い瞳がそこにはあった。
私達3人の連携が崩れた今、連携を組み直し、霞が先に攻撃し、その後に止めを刺すために霞の後ろに私が控えている形で武の御遣いに私達は迫る。
「せえぇぇぇい!」
武の御遣いは横に避け、霞に左足で足払いをする。
足がもつれた霞は地に伏す。
私は霞から武の御遣いを離すために霞と武の御使いの間に割り込み、七星餓狼で攻撃する。
それを武の御遣いは無表情のまま、剣で捌いて行く。
「おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!」
何度攻撃したか分からない。
私の限界はとっくに超えていた。だが、私は動けた。
この男に一泡吹かせてやると、それだけの為に私は攻撃し続ける。
だが……。
ガキィィン
ヒュンヒュンヒュン
ザッ
七星餓狼は私の手から離れ、私から遥か後方の地に刺さった。
私は死を覚悟したが…。
「これで、満足か?曹操?」
「最後に一つ聞いて良いかしら?」
「気が向いたら答えてやる。」
「それほどの力を持ってして、何故劉備なんかに仕える?」
「………今のお前には分からない。」
そう言うと武の御遣いは悠々と南の方へと歩いて行った。
へぅ( ゚∀゚)o彡°黒山羊です。
一刀が魏に行っちゃった♪てへっ♫
ここは悩みましたね。一刀を魏に行かせるか、ジェネシスを行かせるかで…。
最終的には十円玉が決めてくれました。
此処から先、一刀は魏に行き、ジェネシスは桃香達と合流し蜀入りします。
それから、バトルパートって難しいですね。美味く書けていたでしょうか?
書いててキツかったが、結構好きでした。
後、春蘭の「おのれ!…」はFate映画版のギルッチを参考にしました。
あれ?恋とねねはどうしたって?
ちゃんと考えているのでご安心ください。
その内、出て来ます。
それでは、お詫びします。
前回の拠点4の後半の劉邦柾棟のコメントで愛紗達の妄想を週末に書くと言いましたが、思ったより難航したことと本篇のバトルパートを書きたかったことと、イベント用に取材をしていたという理由から少し遅れます。
現在、桃香、愛紗が書き終わり、鈴々を書いている最中です。
次に告知です。
一部の方はご存知かもしれませんが、
甘露様と私筆頭で企画立案した『第1回同人恋姫祭り』を開催します。
『同人恋姫祭り』とはテーマを決めてそれに即した内容の恋姫†無双に関する作品を皆様に出展して頂き、盛り上がろうという内容です。
投稿方法は小説、マンガ、イラスト問いません。
参加資格は特にありませんが、参加条件は有ります。
1つ目。
『同人恋姫祭り』の作品の投稿期間ですが、5月30日から6月5日までに投稿してください。
祭りなので、パッと始まってパッと終わりたいという理由からです。
2つ目。
自分の作品を投稿する際に『作品説明』の欄で、自分の書いて(描いて)いる作品の紹介や自分のオススメの作品を1つ以上紹介、PRして下さい。
今回の企画は皆で恋姫†無双を楽しみたいという目的だけではなく、TINAMI(特に、小説部門)の活性化という目的も含まれています。そのため、読者や他の作家さんがTINAMIのサイト全体を楽しめるようにしようというのが狙いです。
3つ目。
『第1回同人恋姫祭り』のテーマは『夏』です。
これから、暑くなってきます。『夏』に関する物を書いて(描いて)下さい。
4つ目。
タグに『第1回同人恋姫祭り』と入れて下さい。
その方が検索しやすいからです。
以上の規定を守らなくても特に罰則は有りませんが…ってか、作家にそんな罰則なんて出すことができませんが、楽しくこの『第1回同人恋姫祭り』を盛り上げるためには皆様の協力が必要です。
ご協力お願いします。
では、皆様のご参加お待ちしております。
mixiやtwitter、Facebook利用者はそう言った所でこのイベントの告知をしたり、近々甘露さんが告知用イラストを投稿して下さるので、そちらのURLを載せて頂けると幸いです。
では、最後になりましたが、恒例のアレで締めくくります。
それでは御唱和下さい。
へぅ( ゚∀゚)o彡°
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へぅ( ゚∀゚)o彡°黒山羊です。
暑くなってきましたね。
最近はお気に入りのコートが着れないので、残念です。
こう暑いとタンクトップにジャージというおっさんの姿で週末を過ごしています。
最後のページで一部の作家による勝手なイベントの告知をします。
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