賢者の都にその竜は住まう。
都郊外にある古い図書館の番人をしながら、
あらゆる書物から『知』を吸っては己の裡に取り込む彼は、
さながら生ける図書館そのものであった。

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彼らの種は齢五百近くなると肉体を失い精霊種に変じるものと、
肉の体をとどめたまま更に年月を重ねるものに分かれる。
だいたいは前者で、稀な存在の後者は、しばしば一族の統率者となる。
彼は数少ない後者のうちのひとりで、齢千に届こうとしていた。