No.215627

真・恋姫 呉伝 -為了愛的人們-第八話

獅子丸さん

第八話

また時間が空いてしまった・・・・。
とりあえず一区切り付いたかな?

2011-05-08 02:46:17 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:24310   閲覧ユーザー数:19163

 

 

 

― 孫堅Side ―

 

 

 

 

侍女から庭でなにやら雪蓮と一刀が騒いでいると聞いて気になって足を運んでみる。

庭で目にしたのはひどく激情して一刀に切りかかる雪蓮。

あんなに感情を露にした娘を見るのは、私は初めてかもしれない。

止めよう・・・・と思ったが、一刀が口にした言葉によって足を止めてしまった。

私は孫堅文台。

誇り高き孫呉の王だった者。

劉表と、当時根付いていた荊州の領土問題により戦へと発展し襄陽へと攻め込む途中罠に掛かり命尽きた・・・・と思っていた。

しかし私は、天の御使いの手により生き永らえ、また呉の地を踏むことができた。

だけど私は王ではなくなっていた。

王に固執しているわけじゃない。

娘の雪蓮は客将と言う立場に置かれる事となったとは言え、孫家の崩壊を見事に防いでいた。

家臣達は、今は散り散りになっているらしいが変わらず孫家に仕えてくれていると言う。

それは、私の力じゃない。

雪蓮に王の器があったからこそ一客将という身分になっても家臣は離れずにいてくれる。

雪蓮は王として何ら問題ない。

だからなのだと思う。

私は今此処にある『孫堅文台』と言う存在が揺らいでいるように感じてしまった。

『孫堅文台』は王だった。

だが今は『孫策伯符』が王なのだ。

王でない私はいったい何の価値があるのだろうか?

私はどうすればいいのだろうか?

そんなことを考えてしまって身動きが取れなくなってしまう。

私の若い頃からの家臣であり友人でもある、祭や巌、詔はまだ普通に接することができる。

だけど若い家臣達、特に娘達となると話が変わってくる。

私は生まれた頃から王となるべく育てられた。

王であることが当たり前で王以外の自分を知らないことに気づかされた。

王じゃない私はいったい何なのか?

此処に戻って来て、目覚めてからずっとそれを考えていた。

一人では答えが出ないからと、祭や巌夫妻と酒を飲んだときに如何すれば良いかと尋ねてみた事がある。

三人から返って来た答えは単純明快だった。

 

 

『王の前に母親だろう?』

 

 

そうだった。

私は母親だった。

しかし、私は自分が王であったために娘にも王となるべく教育してきた。

そこに私情は一切挟まなかった自信はある。

呉の為、民の為。

私がそう教わってきたことをそのまま娘である雪蓮に教えてきた。

そこに母親だからと言う感情はなかったと思う。

王の娘なのだから、王になるのだから甘えは許されない。

そんな私が今更・・・唯の母親なんてできるのか?

雪蓮や下の娘達に母親面などしてもいいのだろうか?

一刀は過去の私を知りはしない。

だからこそ、母としての私を見せることができるのだと思う。

母と言ってもどんなことをすれば母といえるかはわからないから、あくまで自分なりにだが・・・・・。

自分でも可笑しいとは思っている。

一刀と話す私を見れば、王であった私を知っている者は驚きを隠せないだろうと自覚もしている。

よくよく考えてみると戻ってきたはいいが居場所がないと思った私が唯一・・・・無意識に見つけ出した居場所が

本当の両親を知らないと言う一刀の母親役だったのかもしれない。

庭で剣を交えている二人を見ながらそう思い返している時に耳に入った一刀の言葉にはっとさせられた。

 

 

『・・・・・・孫策さんさ、母親に甘えた事ないんじゃない?

で、美蓮さんも甘やかした事がないと見た!』

 

 

図星。

私は雪蓮を甘やかしたことなんて一切ない。

雪蓮が言葉を話し出す前・・・・・・まだ赤子の頃しか自分の腕で抱いた記憶はない。

そして雪蓮も私に甘えてきたことなんて一度もない。

私がそう教育してきたから。

王としては正しいはず。

だけど母親としては失格だということはわかる。

うすうす感づいてはいたのかもしれない。

雪蓮が一刀に何らかの敵意を向けていたことも気づいていた。

その原因を私は知っていて、それを受け入れることができなかっただけ。

無意識のうちに気づかない振りをしていたのだ。

それでも如何にかしたかったのだろう。

一刀を雪蓮と関わらせる事によって私もそれに便乗したかった。

今まで雪蓮を前にすると無意識のうちに王としての『孫堅文台』が出ていた。

内心では自分はもう王でないとわかっているのに、王であらねばと言う意識の枷から抜け出せなかった。

雪蓮の前では王であった孫堅文台としてしか接する事ができなかった。

雪蓮に対して今更母親面なんてできるはずがない。

無意識にそう思い込んでいたのだろう。

でも母親と言う自身の押し込めていた一面を捨て切れなかった、だから一刀をダシにした。

 

 

「いや、心当たりあったんだと思ってさ」

 

「えぇ、あったわよ!!だから何?」

 

 

・・・・・・。

私は本当に母親失格ね。

二人の会話と場の雰囲気でつくづく思い知らされる。

雪蓮だって人の子。

私も人の子。

自分の子を愛しいと思わない人などいないだろう。

雪蓮が生まれた時、それはもう嬉しかった。

腕の中で眠る赤子が孫家の王になるなんてその時は頭の中になかったと思う。

あの時の私は確実に母親だと胸を張って言えるはず。

 

 

「あ!美蓮さん!!」

 

 

体が跳ねる。

覗き見ていた事がバレタ、と思い気まずそうに庭へと視線を向ければ明後日の方向を向いている一刀達が目に入った。

ハァ・・・・・。

思わずため息が漏れる。

流石に今はまだ心の準備ができていないのだから。

雪蓮が赤子の頃の事を思い出した私は前に進もうと決心した。

だけどまだ心の準備が・・・・・・。

だってそうでしょ?

此処に来るまで如何したいのかすらわからずにいて、ここに来るなり自身の不甲斐なさを認識させられ、

母親としての自分を思い出させられ、確実ではないが娘の思いの一部を覗いてしまったのだから。

それよりも重大な事がある。

・・・・・・。

 

 

『恥ずかしい!!』

 

 

その一言に尽きるのだ。

だって!!

今まで王であった時の自分しか見せてこなかったのよ?

なのに、いきなり母親面?

いや、無理無理無理。

こう・・・・・徐々にそれを表に出していって、周りに馴染む様にゆっくりゆっくり母である自分を出していく。

よし!

これなら大丈夫。

いける、いけるはず!!

この案で行こう。

まずは雪蓮と接する事で練習を兼ねて馴染ませて・・・・・・そうすれば下の娘達にも・・・・・・・

そんな事を考えつつも今後に役立てる為にならないかと庭にいる雪蓮達の様子を見ていると・・・・・。

 

 

 

「お、堅殿」

 

「祭まで!?もうそんな手には引っかからないわよ!!」

 

「あ~、後ろ後ろ・・・・・・・」

 

 

ばっちり祭と目が合った。

しまったぁ・・・・・・。

私とした事が・・・・・・。

かなり気まずくて雪蓮の視線から顔をそらす。

ごめん雪蓮、ほぼ最初から見ていたのよ・・・・・。

申し訳ないけど今は許して!!

だってまだ心の準備ができていないもの!!

戦にだって準備は必要でしょう?

王であるあなたならわかってくれるわよね!?

なんて都合のいい言い訳を心の中でしながら奇声を上げて走り去っていく娘を生暖かい目で見送る私であった。

そしてそんな私を生暖かく見つめる目が庭に三組あることに気づくのはもう少し後だった・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

― 周瑜Side ―

 

 

 

 

今日はいい月が出ている。

昼間のひと悶着の後北郷からの提案で急遽酒席を設ける事になった。

北郷曰く。

 

 

「あの二人に任せるとズルズル先延ばしになりそうだから」

 

 

同感だ。

唯でさえ今日まで先延ばしにされてきた事だ。

素直じゃないあの親子はほっておくとあの状態が続くのは目に見えている事だしな。

折角なので一つ策をめぐらす事にした。

策と言えるほどの物ではないが、私は雪蓮を、美蓮様は祭殿がそれぞれ連行・・・・もとい、酒席に誘う。

そのくだらない策にまんまと嵌った二人が庭の東屋で気まずそうに席を向かい合わせて座っている。

この酒席に参加しているのは昼間の関係者のみ。

ご機嫌な祭殿を除き、唯黙々と酒を酌み交わしている二人を見かねて北郷が一つの提案を持ちかけてきたので私はそれに乗る事にした。

部屋から持ってきた二組の二胡。

なぜ二組なのか?それは北郷も弾くというのだ。

持ってきたそれを、本当に弾けるのか?と目で問いかけると問題ない、と見つめ返してきた。

軽く音合わせをして二人で曲を奏で始める。

無言で酒を飲んでいた二人は驚いたようにこちらを見ていた。

驚くのも無理はない。

横で弾いている私ですらその音色に驚いたのだから。

私たちの知っている二胡の弾き方とは大分違うものの奏でる音色は思わずため息が漏れるほどのものだった。

私の旋律に合わせ、それを崩すことなく即興で別の旋律を重ねている。

負けてはいられない、と前を向くと無言で酒を飲んでいた二人はいつの間にか笑みを交わしながら酒を酌み交わしていた。

これを狙っていたのか?、と北郷に視線をやると返って来たのは北郷の笑みだけ。

この男は侮れないな・・・・素直にそう思うと同時に今後が楽しみになって居る自分が居る事に気づく。

孫家は今だ客将という名の檻に閉じ込められた虎だ。

だが、今の孫家には江東の虎と呼ばれる英雄が帰ってきて、そして今だ底が見えぬ天の御使いをその内に招き入れた。

この事は確実に孫家の力となる事だろう。

この先に起こるであろう動乱すら虎の牙と爪で引き裂いて見せようではないか。

次第に盛り上がる酒席を傍目に二胡を奏でながら頭上の月へとそう誓いを立てる。

同じように月を見上げていた北郷に目をやる。

この男に対する興味は尽きる事はないのかもしれない。

巌殿や雪蓮にすら『負ける事』はないと言う武を持ちながら、素晴らしい音色を奏でることができる楽器の腕を持つ。

知に関しても目を見張るものがある。

この、天の御使いはいったいどれほどの物を持っているのか、どこまで私達を楽しませてくれるのか。

 

 

「フフ」

 

 

自らの欲が我慢できずについ笑みが漏れてしまった。

それに気づき不思議そうな顔を向ける皆を尻目に、私は明日からのこの男の処遇について考える。

此処最近一番厄介だった問題が片付いたのだ。

明日からはこの孫呉のために存分に働いてもらおうではないか・・・・・・。

その為にはまず、天の知識とやらを存分に聞かせて頂くとしよう!

 

 

「・・・・・クックック」

 

 

 

・・・・・・・

・・・・・

・・・

 

 

「なぁ孫策さん」

 

「しぇ、雪蓮でいいわよ!母様が真名を許してるから娘の私が預けないわけにはいかないじゃない。・・・・で、何?」

 

「あ・・・・ありがとう。いや、周瑜さんがなんか不気味な笑みを浮かべてるんだけど?」

 

「あ~、ご愁傷様」

 

「ハッハッハ!!北郷も性質が悪いのに目をつけられたのぉ」

 

「一刀が言い出した事なんだからしっかりとやりなさい。・・・・雪蓮、一刀の処遇に関しては任せたわよ?」

 

「わ、わかってるわよ!母様もしっかり働いてもらう事になるから覚悟しておいてよね」

 

「策殿がそれを言うか?・・・・・世も末じゃのぉ・・・・・・」

 

「祭ぃ!!」

 

 

思考をめぐらせる私をよそにそんな会話が進められていたが私の頭の中は天の知識の事でいっぱいだったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

あとがきっぽいもの

 

 

実は冥琳ファンの獅子丸です。

前回投稿から長らく時間が空いてしまいまして申し訳ありません。

とりあえずこの話まで出一区切り。

といってもまだ序盤の序盤ですがw

次回からは少しずつ話を進めていきたいと思います。

前回投稿から時間が空いた理由・・・・・・。

実は、また新しい話を思いついてしまってネタを書き留めつつもプロット?なるものを書いていたノが原因です。

切欠は呉√の今後のために色々とネットで調べていた事が災いしました(ぁ

いろんな国のいろんな人物の逸話などを読んでいると・・・・・・。

文才ないくせにネタだけは無駄に思いつく自分の脳みそを如何にかしたいです。

 

話は変わりますが、小説の勉強をするために小説を書く事に関してのサイトを色々読み漁りましたがなんていうか・・・・

馬鹿には意味がわからない事ばかり書いてありました。

書きたいから勉強する為に読むのに書いてある内容は初心者にはさっぱりな言い回しやわかっている事を前提に書いてあるのでもうお手上げ。

もういいや、自分なりに文章にしよう!

そう決意しました。

ですので難しい漢字や言い回しなど獅子丸は使いません。

漢字辞書片手に小説読むなんて面倒な事させたくないし、何より獅子丸がめんどくさいので(ぁ

 

 

それでは毎度の一言。

 

今後も生温い目でお読みいただけると幸いです。

 

 


 
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