「まだ、行かないのですか?」
――もうちょっとだけ…時間が必要なんです。
「結構…ぎりぎりですわよ」
――仕方がありません。これでも精一杯だったのですから…それに……
「?」
――まだ足りないものがあるのです。決定的な……トリガーがないのです。
「今になってそんなことを言ってどうするのです、ふふっ、このままでは外史が終わってしまいますわよ」
――そうはしませんわ。だって、あの子は僕の弟でもあるのですから……。
「…大した弟愛ですこと」
――……もしくは…
「…おっと、そこまでですわ」
――あ…そうですね。哀愁にしずむ時はもう終わりました。今日は楽しい時の始まり。今日はこの外史によって、そして我々にとっても最上の幸せな日になる日ですから…!
水攻めが決まり、その後残りの土兵たちも、皆消えてしまったことが判明された。
皆良くわからなかったけど、ボクと華琳お姉ちゃんが五胡の地であったことを説明すると、皆表側には何とか理解してくれた。
多分、管路お姉ちゃんがしたのだと思う。
管路お姉ちゃんがあれからどうなることか、ボクにはわからないけど、あの時管路お姉ちゃんはボクに言った。
『二十四時間』
丸一日が過ぎるとボクは死ぬ。
ボクと華琳お姉ちゃんがあそこから戻ってきたのは昼頃だった。
そして、戦いが終わり、三国の皆が長安に戻った頃には夜になっていた。
「って、何だ?これは!」
孫権お姉ちゃんが長安内城を見てびっくりしながら言った。
実際呉の人たちは皆、長安の姿を見て驚いていた。
長安は既にお祝いの勢いで、城の中も半日のうち宴の準備を済ませていた。
宴の準備は大体紗江お姉ちゃんが前に準備していたと言うけど、街のところまで広がるには、もちろんボクが先に出まわって皆に伝えたことも大きく作用していた。
「宴の準備よ?」
「宴って、どうやってこんなに早く……」
驚いている孫権お姉ちゃんを見ながら静かに手をあげて存在感を主張してみる。
「一刀ちゃんが先に月ちゃんや朱里ちゃんたちを城まで送って準備させたんだよね」
先に状況を分かっていた劉備お姉ちゃんがフォローしてくれてる。
ちなみに送った人たちは蜀の月お姉ちゃん(この人が董卓でした、もうびっくり)に詠お姉ちゃんと、はわわお姉ちゃんにあわわお姉ちゃんと、魏の流琉お姉ちゃんと秋蘭お姉ちゃん、後は、呉の祭お姉ちゃんでした。
「何か、ちょっとごめんなさい。皆疲れてるのに……元は宴とかより休んだ方がいいんだけどね」
「そんなことはないわよ~♡だってこんな嬉しい日なんだもん。それに、宴と言えば酒!酒さえあれば私はもう全然大丈夫よ」
「姉さま!」
あ、ちなみに呉から孫策お姉ちゃんを連れてきました。
今日は長距離移動もしまくりだね。
最後なので張り切ってます。
「良く頑張ったね、蓮華?」
「お姉さま……」
孫権お姉ちゃんが孫策お姉ちゃんを見て近づいて行きます。
紗江お姉ちゃんは途中で居なくなったけど……孫策お姉ちゃんはどうなるか良くわからないよ。あ、ちなみに西涼軍の韓遂さんたちはもう戻ったよ。馬騰お姉ちゃんたちとも挨拶したし……
ただ変わったのは、五丈原から西涼の地に埋まる場所を変えたってぐらい……
消える西涼の兵士たちの顔が…皆とても喜んでいたよ。
それが西涼に戻ってこれたからなのか、それとも自分たちの故郷をまた守ることが出来たのが嬉しかったからか…それとも両方なのかも知れない。
「孫策」
「……曹操」
華琳お姉ちゃんが孫策お姉ちゃんの前に立った。
「私のことは華琳でいいわ」
「あら、そう、じゃあ、私も雪蓮って呼んでもいいわ。あ、後ここの酒はとてもいいわ。とても宴とかで使うような酒じゃないわよ」
「そうね……準備は紗江あの子がしたから私は良くわからないわ」
「そう。いい部下を持っていたわね、あなた」
「……ええ」
「………蓮華はまだ王として未熟なところもあるけど、それでも私たちを甘く見ないで頂戴」
「そんなことなら安心なさい。それより、さっさと宴を始めた方が、あなたにとってはいいんじゃないかしら」
「それもそうよね……ああ、丁度厨房でつまみものつくっていたし、ちょっと持ってこようっと」
「ちょっと、姉さま!あまりはしたない行動はやめてください」
自由奔放な孫策お姉ちゃんの姿に孫権お姉ちゃんが少し恥ずかしかったのか文句を言うけど、このお姉ちゃんそんなこと聞きそうな人じゃないんだよね。
「やだ」
「姉さま!」
「ほーら、蓮華、私を捕まえてみなさーい!」
「姉さま!!」
あ、行っちゃった。
「あれが我が孫呉の先王と現王か……先が思い浮かばん」
「大変そうね、周瑜あなたも」
「まぁ、望むところさ。これから蓮華殿にはもっともっと成長してもらわなければなるまい。曹操殿よりもね」
「あら、期待してるわよ。……行ってやれば?」
「ああ、では我々は先に行かせてもらおう。思春、明命、厨房に行って来い。きっと策殿も酔っ払って厨房のお助けところか邪魔をしているだろうからたたき直してでも私の前に連れてこい」
「「御意!」」
「宴ですかー、久しぶりに楽しめそうです」
「わ、私はお酒はあんまり……」
「さーさーそんなこと言わずに早く行くわよ、亞莎ちゃん」
「あ、小蓮さま、押さないでください!」
………誰?
(※孫呉編で全く出番なかった小蓮と亞莎です)
「あ、曹操さん、私たちも先に行っていいですか?」
劉備お姉ちゃんがそう言ってきた。
「いいわよ。春蘭たちも先に行って席とかとってなさい。私はもう直ぐで行くから」
「分かりました!華琳さまのために、一番いい席を取っておきます!」
いや、春蘭お姉ちゃん、席はもう軍師のお姉ちゃんたちが決め……って、もう行っちゃってるし。秋蘭お姉ちゃんが居ないから制御が効かないよ。
「ほぉら、愛紗ちゃん、鈴々ちゃん早く行こう」
「わーい!たくさん食べるのだー!」
「こら、鈴々、そんなにはしゃぐな!」
「戦が終わって直ぐさま宴か……もちろんメンマはあるんだろうな」
「お前ほんとメンマ好きだな」
蜀の人たちは大勢だからちょっと大変。
「よーし、皆狩りにいくにゃー」
「「「にゃー」」」
何か狩り言っちゃってる娘たちが居る!?
「こら、美似!あまり騒いで南蛮王としての威厳を損ねてはいけませんわよ」
「にゃー、わかったにゃ、お姉さま」
結以お姉ちゃんの妹!?
「……たくさん食べる」
「おお、恋殿が戦争の時以上に盛り上がってますぞ!」
りょ、呂布だ(汗)
というか連合軍で敵側だった人たちなんか地味にみな蜀に居る…霞お姉ちゃん以外は……
うん?誰か足りない?
……さあ。
「賑やかでいいわね。璃々ちゃんもいたらよかったのに…」
「まぁ、仕方なかろう。今から連れてくるわけにもいかんからな」
………
「あの……」
「「?」」
・・・
連れてきました。
「あ、お母さん!」
「あら、あら、すごいわね」
「お主、妖術が使えるのか?」
「え……妖術ではないですけど…なんとなく」
というか黄忠さんの娘さん、ちょっと一度で付いてきちゃったけど大丈夫なの、この娘?誘拐される的な意味で
「おーっほ(ry」
帰れ(笑顔)
なんだかんだして皆城の中に入ってボクと華琳お姉ちゃんだけが残った。
「賑やかだね」
「ええ、そうね。皆疲れてるけど、これでようやく戦が終わるのだから、随分と勢いが残ってるわ」
「………」
っ!
「! 一刀!」
ちょっと血が抜けるような気分になってその場で腰が抜けたボクを華琳お姉ちゃんが慌てて見た。
「どうしたの?またどこか痛いの?
「だ、大丈夫…痛いところはない……むしろいままでで一番調子いいんだけど…逆に…こう、なんというか…何かが抜かれるような気分がする」
「………」
まるで、体ごと抜け出されるような……
「今日は部屋で休みましょうか」
「ううん、もう大丈夫だよ。それに、皆集まってるのにボクたちだけ行かないって話にならないじゃない。大陸の平和に一番力を入れた魏の王さまと、天の御使いなんだから…」
「……そうね。あなたが大丈夫っていうなら…」
「もう本当に大丈夫なんだってば。ほら、早く行こう」
そしてボクは華琳おねえちゃんの手を掴んで中へと引っ張っていく。
「ボク、華琳お姉ちゃんが作ってくれたお料理食べたい」
「あら、先ああ言っておいて私に厨房でお料理作りしなさいって言うの?」
「……作ってくれない?」
「っ……あなたそれ卑怯よ」
「<<にっこり>>」
いつもと変わらない日。
だけど、特別な夜。
今日は、今日からこの大陸の皆は幸せになる。
そして、ボクは消える。
「はーい!みんな、ここちゅうもーく!!」
宴会が始まる前に、劉備お姉ちゃんが皆を視線を君主たちの席があるところに向かせた。
「華琳さんがこれから乾杯の前に一言言ってくれますので、乾杯してから宴会を始めましょう!」
ちなみにもう君主のお姉ちゃんたち三人とは真名を許し合ってます。
「はい、華琳さん、どうぞ、どうぞ」
「あなた……なんで私にやらせるのかしら」
「だって、ここまで来たのは華琳さんのおかげだし」
「そこに議論はないな。華琳がいなければ、私たちは今でも戦っているだろうから…もしくはあのまま五胡の軍にやられていたかもしれない」
「蓮華さんもそう思うでしょ?」
「……本音は?」
「「自分で言うのが恥ずかしい(です)」」
ですよねー
「でも、まぁ……そうね……」
「……? ……!」
なんでこっち見るの?
「正直に言うと、私も一刀が居なかったrあ、ここまでこれなかったわ。大陸を戦無しで平和にしたいと言ったのも一刀だし、戦いを終わらせたのも一刀よ」
「えっと、華琳お姉ちゃん?」
「……一刀、盛り上がるようにお願い」
仕返し!さっきの仕返しなんですかぁ!?
「ふゅー、御使いちゃん頑張れー!」
「頑張れ、小僧!
片方でもう酔っ払ってる孫策お姉ちゃん(酔っ払い)と馬騰お姉ちゃん(酔っ払ってもないのにあのノリ)がこれほど憎らしいと思ったのは多分これが始めて。
「さぁ、さぁ、一刀ちゃん、早くしないと。皆待ってるよ」
「うぅぅ……」
仕方ないや
スッ
「え、どこ行ったの?!」
「逃げた!?」
「あの子が逃げるわけないでしょ?あっちよ」
皆が華琳お姉ちゃんが指す方を見て見上げてみると、ボクが宙に浮いてます。
この前戦い時にいろいろ応用技があるって気付いて……ずっと移動しっぱなしにしてるとこうして浮いているとかも出来るよ。
凄く疲れるから早く済ませよう。
「皆さん!私たちは今まで沢山戦いました。人が死んで行っても、死にゆく人たちを見ながら悲しむ人たちもどんどん増えていきました。だけど私たちは戦うことをやめなかった。ある人は覇道のため、ある人はもっと多くの人たちを幸せにするために、またある人は無くした国を取り戻すため……でも、戦いが続くほどその願いには近づいても、後にはたくさんの人たちの悲しみが残っていました」
「……だけど、そんな戦いはもう終わりました。皆が…少しずつ譲りあって、戦いでの憎しみも忘れてくれて……願いを一つにしてくれたからです。本当にありがとうございます」
「これからは……人が人を殺す戦いではなく、人たちの笑顔を取り戻すための戦いが続きます。それは今よりももっと長い時間をかけるかもしれないです。だけど、それがそれほどの価値があることだってボクは信じてます。皆もきっとそう思ってくれていると思います……だから、これからも頑張りましょう、人たちの幸せのために…大陸の平和のために……」
「だけどまず今日は祝いましょう。戦が終わったことを……大陸の平和への第一歩を進んだことを祝いましょう。大陸の平和のためにカンパーイ!」
「「「「「「「「「「「「「「「かんぱーい!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」
チャーン!
宴の始まり。
スッ
「ふぅ」
「うまくやったわね」
「よかった?」
「まぁ……及第点はもらえたかしら」
「…ケチ」
「私にもっと良い点数が取れたいならもっと勉強することよ」
「…むっ」
「…………まぁ、及第点だからと言ってご褒美がないというわけではないけどね」
「<<にしっ>>」
「「………」」
あ、他の二人に凄い目で見られてる。
ギュー
「え?」
ちょっと華琳お姉ちゃん!なんでそこで見られてる分かる上に更に抱きしめるのでしょうか!?
「何か?」
「…仲いいんですね。二人…」
「ええ」
「まるで本当の姉弟みたいです」
「「………」」
………
「え、な、何?どうしたの?」
「うん?あ、いや、何でもないよ」
「ええ、ほんとに」
「え?!なんで!?普通そう思わない?仲良しの姉弟っぽいって」
「私もそう思ったのだが…」
「蓮華お姉ちゃんも……?
「ええ、まぁ……うちの妹はあなたよりは騒がしいけどね」
「よーんだー?」
ガシッ!
「!小蓮!」
「……」
あ、何か似てると思ったら妹さんだったんだ…そういえば三姉妹なんだね、孫家の人たちも…桃香お姉ちゃんのところも三姉妹だし……
「華琳お姉ちゃんはそういえば姉妹とかない?」
「居るけど……今はあっちこっちに居るわね。今は特に呼んでいないわ」
「……仲良くないの?」
「姉妹と言っても、血が繋がってない人たちもいるし…母様と父様は姉妹たちの間競争させてたからあまり仲が良いとは言えないわね。特に私は特別だったから……」
「……そうなんだ…」
華琳お姉ちゃんも…
「……寂しいとか思ったことない?」
「そうね……あまりそんな暇はなかったわね。それに……今はあなたが居るから…」
「……………そう…だね…<<にっこり>>」
……
「あ、何それ、喧嘩売ってるの?」
「「え?」」
「お姉ちゃん、こうなったら私たち姉妹の仲いいところ見せてやるわよ」
「えっ?ちょっと小蓮何を…!」
「ああ、私だって負けないもん!鈴々ちゃんこっち来てー!」
「おうなのだー!」
その後雪蓮お姉ちゃんまで来てもの凄いどんちゃん騒ぎになって、後で各々愛紗お姉ちゃんと冥琳お姉ちゃんに叱られました。
「あはぁ~華琳さーん」
「<<ビクッ>>」
スッ
「え?」
な、何?今ボクなんで華琳お姉ちゃんの隣からスッて来た?
「ちょっと、桃香、あなた何するのよ!」
「へへ~♡何か、華琳さんのこと始めてみた時から……」
桃香お姉ちゃんが酔っ払ってる。
「こうしてみたかったの!」
もギュッ!」
「ちょ、ちょっと!」
今の状況をどう説明しよう…えっと、華琳お姉ちゃんがボクで……桃香お姉ちゃんがいつもの華琳お姉ちゃん役?
「何するのよ、桃香!離さないと怒るわよ!」
「へー、やだもーん♡」
「とうかぁぁ!やあぁあああっ!」
うわ…すごい。華琳お姉ちゃんがやられてる
「一刀あなたはどうしてここに来ているの?」
蓮華お姉ちゃんがそう聞くもどう答えればいいのやら…
「多分、本能的な何かがボクをあそこに言っちゃいけないって…」
「まぁ、その気持ちはわからなくもないわ…////わ、私もやられないうちに早く他のところに逃げましょうか」
「それがいいね、うん」
桃香お姉ちゃんのいつもとは遙かに違う行為を見てボクも蓮華お姉ちゃんもドン引きしてその場を離れる……もとい、逃げる
「ちょっと!一刀!蓮華!これなんとかしてー!」
「華琳さーん♡」
華琳お姉ちゃんは犠牲になったんだよ。桃香お姉ちゃん(酔っ払い)を鎮めるための犠牲に……
「いやあああああああ」
鎮めるというかもっと激しくなっていることには触れない……
「というわけで桃香お姉ちゃんを止めるために愛紗お姉ちゃんに助けてもらうために来たのはいいものの」
……もぎゅー
「ふふーん♡」
駄目だ。こっちも既に陥落されていた。
というか先に気づくべきだった。
「こら、愛紗から離れるのだ!そこは鈴々の席なのだ」
「それをこの人に言ってください」
「愛紗―!」
「御使い殿!さぁ、あなたも呑め!」
「え、いや、ボクは酒はまだ呑めないけど」
「何を言う!酒がくれる愛紗は呑めないというか!」
「何を飲む!」
「酒が呑めないというのは、人生の半分を損してると同じですぞ!」
それを星お姉ちゃんの言葉と合わせるとボクの人生は後6分の1しか残らないね!
「星お姉ちゃん、これなんとかしてー」
「何を言う。こんないい肴をこのまま逃がすわけあるまい!」
酷っ!
「さぁ、呑めー!」
「ちょっ、愛紗お姉ちゃん、瓶ごとー!」
うっ!
ゴクッ
ゴクッ
ゴクッ
・・・
・・
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楽しい宴の始まり