No.215288

仮面ライダーディケイド×新・恋姫†無双 feat戦国乙女 新たなる外史への扉 第2話  静男困女

BLACKさん

この話は作者が書いていた「仮面ライダーディケイド×新・恋姫†無双」の続編とされるものですが、舞台は「戦国乙女(アニメ版)」となっています。また話によっては主人公である一刀があまり出番がないことがあることをご了承下さい。

2011-05-06 10:11:31 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:1757   閲覧ユーザー数:1604

 

 

ヒデヨシ達がやって来て翌日。

ヒデヨシは思いっきり寝ぼけていたが、ノブナガの朝の鍛錬を見てようやく自分の境遇を思い出した。

 

「大変な奴だな」

 

そう思う一刀であった。

ヒデヨシと一刀は朝ごはんを食べる。

ヒデヨシはいつもの調子に戻っていた。

 

「「ご馳走様(でした)」」

 

そういった途端ヒデヨシは寝転がる。

 

「それはそうと…」

 

ヒデヨシはかばんから携帯電話を取り出し、画面を確認する。

携帯電話の画面には未だに圏外と書かれていた。

次にヒデヨシは歴史の教科書を開いて再び確認をする。

 

「でも、おじさんじゃなくて女の人だし…。てゆうか、やっぱ歴女のコスプレイヤー?」

「いい加減そこから離れろ」

 

一刀が今もっている常識を捨てるように勧める。

 

「それにこの建物どう見ても普通じゃないよね。それに色々変だし、わっけ分からない」

「そのうち分かるさ」

「でも今最大の悩みは、制服と体操服しか持ってないことだよ~~!」

 

一刀はその言葉を聞いて愕然とした。

 

「いやいやいや! いくらなんでもそこはおかしいだろ!」

 

一刀は思いっきりツッコンだ。今の自分はともかく、昔の自分や他の自分は皆制服しかない状態で外史に飛ばされているのだ。

服の一つや二つでどうこう言える状態でなかった。

その点、ヒデヨシはかばんにある程度ものがあるので、一刀よりも遥かに良い条件だと一刀は思う。

 

「ださださだし、最悪だよ~」

「入るぞ」

 

そこにノブナガの声が聞こえてきた。

 

「ああ」

 

ノブナガが部屋に入って来て、ヒデヨシは慌てて教科書をしまう。

 

(良い判断だ。下手に歴史を教えたら酷い目にあうからな。色々とな……)

 

ある外史の一刀は歴史どおりの事を教えたために殺されかけた事もないわけではない。

またある外史にいた一刀は華琳にその事を教えても、その通りにならないかもしれないなどといわれたこともある。

それらを見ているこの一刀から見たらヒデヨシのとっさの判断は賞賛に値するものである。

 

「しかし、お前らのその格好、やはり面妖だな」

「気にするな。俺はもっと面妖なものにも変身しちまうしな」

「何だそれは?」

「昨日見せたあれだ」

「昨日……」

 

ノブナガは思い出す。一刀達と初めって会ったとき、一刀はディケイドの姿に変身していた。

そして自己紹介をした際に変身を解き、元の一刀に戻っている。

 

「あれか」

「そう、あれ」

「確かにあれは面妖だったな」

「まああそこからまた面妖なのになるけどな」

「ほぅ、してそれはどういったものなのだ?」

「そのときが来たら見せてやるさ」

 

 

第2話 静男困女

 

 

二人はノブナガに連れられてある場所へとやって来た。

そこは昨日、焼かれた村であった。

ヒデヨシはノブナガの馬に相乗りし、落ちそうになった。

ちなみに一刀はマシンディケイダーでその村まで行った。ノーヘルで……。

 

「あまりはかどっておらんようだな」

「はい…」

「ここ夕べの場所」

 

ヒデヨシはその村の様子を見る。

村人は一生懸命家などを建て直したりしているが、女子供ばかりではかどっていなかった。

 

「こんなんになっちゃたんだ」

「人手が足りぬように見えるが…」

「皆家屋を失い、失意の中に…」

(嫌だね~。こういうのは何度見ても……)

「皆のものよく聞け!」

 

ミツヒデが声をかける。

村人達は作業を止めて、そちらに視線をやる。

 

「お館様御自ら皆のために足を運んでくださったのだ。

その御心ありがたくみたまり、失意ではあろうが、さらに励め!」

 

ミツヒデがそういうと村人達は再び作業を始めるが、やはり気力がない。

 

「そんな言い方…」

「ないと思うよ」

「お」

 

一刀が言おうとした事をヒデヨシが言う。

 

「なんだ?」

「だって言葉だけじゃ元気が出たり、お腹いっぱいにはなんないと思うし」

「そうだな。失意にある中じゃ、言葉だけなのは意味なんてない」

 

一刀は思い出す。かつて破国を建国した際、政は将達に任せて自分は遊びほうけていた。

とは言っても街の人達とは親睦を深めたり等して、街の人達の意見をいつも聞いては稟達に改善するよう指示。

それだけでなく工事などがあったら自らも現場に赴き、それが行われているかのチェックや自ら体を動かしての手伝いをしていた。

そんな事があってか民達からはかなり親しまれており、「王様なのに王様らしくない」や「王様だけど、普通の人のように接しられる」などで人気者であった。

他の理由としてはこの一刀が「様付け」をかなり嫌う性格だったので、民達にも様付け禁止を徹底させていた。

その人気は現在の破国でも変わらずにある。

そんな事もあるのでミツヒデの言葉だけの励みではなんの意味もない事を一刀は身を持って理解している。

 

「それが俺が学んだ教訓の一つだ」

「貴様は一体……」

 

ミツヒデが一刀に尋ねる。

 

「昨日言ったはずだ。通りすがりの仮面ライダーだ。まあそれと同時にちょっとした国の長をやっていたくらいだな」

「ほぅ…、国の長とな」

「ああ。ここにはないけどな」

 

一刀達がそんな話をしている中……。

 

「せめて、おいしいスイーツとかノリのいい曲をかけるとかしないとね♪」

 

ヒデヨシが少しずれたことを口にする。

 

「な、何を言うか!?」

 

ミツヒデは当然反発した。

一刀はと言うと……。

 

(だから世界を考えてくれ)

 

片手を頭の前にやって頭を抑える。

別の世界の自分の記憶の一部を持っていたり、別の外史に飛ばされた自分を多数見てきた一刀。

どの一刀も皆その飛ばされた世界をすぐに理解し、受け入れている。

そう考えると現代の考えを貫くヒデヨシは一刀とはある意味対極の存在であった。

しかし…。

 

「ほぅ」

 

ノブナガが興味があるように反応した。

 

「ならば貴様ならどうする?」

「あたしなら……」

「俺だったら答えはとうに決まってるけどな」

 

一刀もヒデヨシの方を見る。

ヒデヨシの顔は少し笑みがあふれていた。

 

(どうやら答えは俺とほとんど同じようだな)

 

一刀はヒデヨシを見て確信した。

 

 

ヒデヨシが取った行動は……。

 

「ほら~綺麗だね~」

 

泣いている赤子に一輪の花を見せたり、おかしな顔をして明るくさせることであった。

ヒデヨシは花を赤子にやり、赤子は泣き止む。

ヒデヨシは子供達から注目の的になり始める。

そんな中ヒデヨシはポケットから携帯電話を取り出す。

 

「またあのからくりか」

 

のんきに煙管を加えて座り込んで見物をするノブナガと立ってその様子を見ているミツヒデ。

 

「おいおい、それをどうする気だ?」

 

近くにいた一刀がヒデヨシに尋ねる。

ヒデヨシは携帯電話のある操作をする。

 

「こうするんですよ。ミュージック、スタート♪」

 

ヒデヨシは自分の携帯電話の音楽再生機能で音楽を流す。

 

「ちょ、おまっ!」

 

あまりに時代考証無視な行動に一刀は少し動揺を見せる。

音楽により、村人が一斉にそちらに注目をする。

 

「使えるもの探すんだよね」

 

ヒデヨシが制服の袖を捲る。

 

「ノリノリでいくよ♪」

「やるのは構わないけど、音楽流してか?」

 

一刀は少し不安がりながらもヒデヨシと一緒に使えそうな物を探したり、農家の手伝いをしたりなどをする。

一刀はある程度慣れてはいるが、慣れていないヒデヨシは色々とドジを起す。

しかし村人はそんなヒデヨシの行動に笑顔を見せ始める。

こうしてヒデヨシ(とついでに一刀)は村人達と交流を深めていった。

 

「ふん、あやつらなかなかやりおるな」

「……」

「現に領民の心を簡単に掴み取ったではないか」

 

ミツヒデの心境は若干複雑そうであった。

 

「わしらには起せぬ風を吹かしそうだわ」

「そうでしょうか?」

「わしの目に狂いはないよ」

 

ヒデヨシは村人達と夕食を食べる中、あることに気付く。

 

(あれれ? 何でここ、女の人しかいないの?)

 

そう村人は子供を含めて、全員が女性なのだ。

いくらなんでもこれはおかしい。どんな村でも普通は男がいるもの。

それがいない。これがどういう意味なのかはすぐに知ることとなる。

 

 

その日の夜。

ヒデヨシはミツヒデに連れられてかなり小さい部屋へと連れてかれた。

 

「あれれ? ここ、あたしの部屋にして良いってことかな?」

 

ヒデヨシはあまりの部屋の狭さに戸惑いを隠せない。

その部屋は棚などがあり、棚などを除けば畳一枚分の広さしかない。

 

「今日の働きの報分とお館様のお計らいだ」

(それにしても少し狭くね?)

 

一刀もそう思っていた。

 

「へぇ~…」

「どうした? 不満か? 貴様にはこの部屋で十分であろう」

 

ミツヒデは少し嫌味なように言う。

 

「いやいやいや、不満はないけど……」

 

ヒデヨシは部屋を見てミツヒデにこう言った。

 

「ただちょっと可愛くないから、インテリア、コーデしたくて…」

(そこかよ!)

「いんて……こーで?」

 

聞いたことない言葉にミツヒデは困る。

 

「ああ、コーディネイトですよ。

あの、横文字結構弱い系?」

「それ以前の問題だ、気づけ!」

 

一刀がヒデヨシのあまりの気付かなさに少し怒鳴る。

それと同時にミツヒデも怒鳴る。

 

「無礼な!」

「ふ、二人とも怒んないでよ…。それよりちょっとお願いがあるんだけどな~」

「「??」」

 

ヒデヨシのそのお願いと言うのは、実は朝、ヒデヨシの格好が面妖だとノブナガに指摘され、

その際にノブナガから着物をもらえるとかどうとかの話があったのだが、ミツヒデが視察の事を言ってきたのでうやむやになっていたのだ。

そこでヒデヨシはその時の着物をもらえないかとミツヒデに頼み、何とか手に入れた。

 

「いや~、おねだりしてみるもんだな~」

「それ、どうする気だ?」

 

一刀がヒデヨシに尋ねる。

 

「色々とね。それにしてもミツヒデって人ちょっと怒りんぼうだな~」

(そりゃあ、色々な因果関係があるからな)

「あけりんにそっくりで、何か初対面に思えないんだけど、性格が……うわっ!」

「危ない!」

 

一刀が後ろから着物の入ったつづらを支える。

 

「ふぅ~、セーフ」

「いててて……」

 

一刀はつづらは支えたものの、ヒデヨシを支えていなかったため、ヒデヨシは倒れてしまっていた。

 

「けっ」

 

突如、声が聞こえてくる。

 

「「うん?」」

 

一刀とヒデヨシの前には兜を頭に被って立っている小さい白い犬がいた。

 

「けっ!」

「なんだ、お前は?」

「あんた!」

「知ってるのか?」

「うん、昨日の…」

 

ヒデヨシは思い出す。

昨日、結局ノブナガの世話になると決まってすぐにヒデヨシはトレイの帰りに目の前の犬と会っていたのだ。

 

「変な犬」

「ふん!」

 

 

ヒデヨシと一刀と白い犬はひとまずヒデヨシの部屋に向かい、話をする。

 

「で、何で話が出来るの?」

「そりゃあ、まあお前がここにいるのと同じだ。

世の中には不思議な事があるんだよ。そいつは知らないけどな」

 

白い犬は一刀を見て話す。

 

「俺は好きでこの世界に来たからな」

「意味わかんない。あんたに聞きたいんだけど…」

「あんた呼ばわりするな。俺にはシロって名前があるんだ、小娘」

「シロか…」

「シロって言うんだ」

「気安く呼ぶな!」

「じゃあなんて呼べば言いの?」

「特別にシロ様と呼ぶことを許すぞ」

「却下」

「何が様よ、犬の癖に」

「聞こえてるぞ、ゴラァ!」

「あひひひひ」

「悪いが俺は様付け嫌い何でな。パスだ」

「ところでここどこなのかな?」

「外史だろ?」

「お前……」

 

シロは一刀の言葉に驚く。

 

「ここがどこなのか分かってるのか?」

「分かってるつもりだぞ。この世界の外史の管理者さん」

「外史の管理者まで知ってるのか」

「ああ。俺は俺のいた世界の外史の管理者だった奴らと知り合いでな。

この世界に来れたのもその知り合いのお陰だ」

「そうか、なら話は早い」

「二人とも何言ってるの?」

 

ヒデヨシは二人の会話に置いてけぼりにされていた。

 

「簡単に言うぞ。ここはお前のいた世界の遥か昔の別の世界だ」

「それを外史と言う」

「遥か昔の別の世界って…異世界ってこと?」

「そうだ。さっきも言ったが異世界だけでなく、過去となると外史になる」

「嘘だ~そんなの漫画やラノベの世界じゃん」

「嘘のようで本当だから仕方ない。現に俺は異世界を色々回っているし、俺よりもさらに異世界を回っている存在にもあってるしな」

「う~ん、まあいいや。それとさ、ここって男の人いないの? 全然見かけないんだけど…」

「それはじゃの~」

 

シロは何故か老人口調で話す。

 

「この世界には男なんてものはおらんのじゃよ~」

「………」

 

ヒデヨシは呆然と聞く。

 

「じゃあ、皆どうやって生まれてくるの? だって赤ちゃんって……」

 

ヒデヨシはシロの耳元でささやくように尋ねる。

 

「もう一回言ってみろ」

「もういいよ」

「そりゃあ、いくらなんでも恥かしいだろ」

「んで、教えてよ答え…」

「それはな……」

「うん」

「それはな…」

 

シロは引き伸ばすかのように答えを伸ばす。

そして答える。

 

「コウノトリが運んでくるのじゃよ~」

「それってためることじゃなくない? それにキャラが微妙に変わってなくない?」

「気にするな!」

 

一刀が気にするな発言をする。

 

「またはキャベツ畑から生まれるんじゃ~。ああ、こんなのもあるぞ、竹林で…」

「そっか、昔話って言えばそういうことになるよね。なんたってここ、昔で別の世界なんだから、うんうん」

 

ヒデヨシは勝手に納得する。

 

「それでさ、あたしどうやったら帰れるのかな?」

「それはその……簡単には帰れんだろうな」

「え? でも100%帰れない訳じゃないんだよね?」

「まあな…」

「俺は自分の世界に帰るだけなら出来るけど、連れてはいけんぞ」

「う~ん」

「俺が知っている方法としてはこの外史の管理者を探し出すことだな。

お前がそうだとしても一人じゃ無理そうだよな?」

「……まあな……」

「ってもあくまで俺が知ってる方法の一つだ。他にも方法がないわけじゃないけど……」

「よし!」

 

ヒデヨシは立ち上がる。

 

「こういう場合、主人公は異世界で頑張るのが王道だよね」

「…そうだな」

 

一刀は笑いながら答える。

 

「その頑張りで戻れるってのもありだね」

「ああ。それも俺が知っている戻れる方法の一つだ」

 

とは言ってもその方法で戻る時はかなりつらい別れをした事をこの一刀は知っている。

何故なら別の自分がその方法で好きだった少女と別れてしまったのだから……。

また別の自分は外史の管理者のお陰でその外史へと戻り、一緒に暮らしている例もなくはない。

 

「はぁ~」

 

シロはため息を吐く。

 

「とはいえ、お前は本当にお気楽だな。アホか」

「だってさ、『郷に入ればヒロミに従え』って言うじゃない?」

「それ、古いし違う」

「どこの芸能人だよ。それとそんなに古いのか?」

「ねえ、一刀さんもシロも手伝ってよ、模様替え。

しばらくここにいるならもっと可愛くしたいし…」

「悪いが俺はそういうの興味ないから、じゃ…」

 

一刀は部屋を出て行き、ミツヒデに与えられた自分の部屋に向かった。

 

「あ、あいつ逃げやがった!」

「ねえ、こういうのって『犬の手も借りたい』って言うし」

「犬じゃなくて猫だろ。お前、ほんと物知らねえのな…。やっぱアホだ」

 

 

一刀はミツヒデに与えられた部屋に入り、写真館に電話を入れた。

 

「もしもし~」

『はい~こちら「月の写真館」』

「この時間に客がかけてくるか? 詠」

 

電話に出たのは詠であった。

 

『何だ、あんたか』

「あんたかとは失礼だな、詠」

『あんたがいなくなって客が少し少なくなった気がするのよ。機嫌が悪くなるわよ』

「そいつは悪いことしたな。それに俺がいないと色々写真館のお手伝い大変だろ?」

『べ、別にあんたがいなくても問題ないわよ』

「はいはい、ツンデレ乙」

『な!? …そんなことより、何の用よ?』

「ああさっきさ、今いる外史の管理者みたいな奴にあってさ」

『管理者に? どんな奴だったの?』

「犬だった」

『犬?』

「ああ。まあ管理者ってのは色々いるみたいだからな。犬でもおかしくないだろ」

『ふぅ~ん。それでその世界って本当に女しかいないの?』

「その犬の話を聞く限りだとな……」

『……あんた、よからぬ事を考えてないわよね?』

「何のことかな?」

『もし月を泣かせる事になったら許さないんだからね!』

「はいはい、気をつけますよ。それじゃあおやすみ」

 

一刀は電話を切る。

 

「しかし東王父の奴から女しかいないとは聞いてはいたが、いざ現地に行ってみたら本当に男がいないからビックリだ。

何かの漫画でもあったな。女しかいない島に流された男の話っての……。

今の俺はまさにそれだな」

 

一刀は笑いながら寝転ぶ。

 

「まっ、どうなるかは今後の展開次第ということで、寝るか」

 

一刀は布団を敷いて寝ることにした。

 

 

翌朝。

ヒデヨシとシロは模様替えを終えてぐっすり眠っていると、足音が聞こえてきて、シロがヒデヨシを起そうとするが……。

 

「う~ん、もう少し」

 

ヒデヨシはすっかり寝ていた。

 

「起きろって」

 

足音は部屋の前で止まった。

 

「う~ん、うるさいよ」

「誰がだ!」

 

入ってきたのはミツヒデであった。

ミツヒデは模様替えしたヒデヨシの部屋を見て、少し戸惑っていた。

そしてようやく目を覚ますヒデヨシ。

 

「だって、シロがしつこく起きろ起きろって……うるさいから…」

「シロが?」

 

ミツヒデが足元を見てみる。

すると普通の犬のふりをしているシロがいた。

 

「ええ~!? 何その態度」

「何を寝ぼけておる。大体なんだこの部屋は! 貴様、お館様にいただいた部屋をこのように……」

「可愛くなったでしょ」

「貴様! ここをどこだと思っている!?」

「騒々しいぞ」

 

するとそこにノブナガと一刀が部屋に入ってきた。

 

「お館様、これをご覧下さい」

「これは……なかなか面白い」

「まさか、こんな風になるなんて俺も思わなかったぜ」

 

二人は驚嘆する。

 

「お館様まで何を……」

「これはこれでよいではないか」

「でしょでしょ」

「くっ! こやつ調子に乗りおって!」

 

そしてミツヒデはヒデヨシを指差す。

 

「ええーい! 貴様に武士とはなんぞやと叩き込んでやる!」

「え? ええー!?」

「頑張れよ~」

「お前もだ!」

 

ミツヒデは一刀にも指を指す。

 

「俺もか?」

 

流石の一刀も少し驚いた。

 

 

こうしてミツヒデ対ヒデヨシ+一刀の六番勝負が始まった。

ヒデヨシは衣装を変えた。しかし何故か忍装束のようなものであったが…。

 

「何これ?」

 

一刀にツッコマれた。

 

「分かんないよ! って何で一刀さんは着替えないの!?」

「俺にはこれがあるからな」

 

一刀がディケイドライバーを手に持つ。

そしてディケイドライバーを腰につけ、ベルトにする。

 

「何だそれは?」

「一昨日見せただろ、またあの姿になるんだ」

 

一刀はライドブッカーからディケイドのカメンライドカードを取り出し、ディケイドライバーを展開させる。

 

「変身!」

 

一刀はディケイドのカードをディケイドライバーに入れる。

 

「カメンライド」

 

ディケイドライバーに変身待機音が鳴り響き、一刀はドライバーを正位置に戻す。

 

「ディケイド」

 

一刀の周りにはいくつものカードの壁が現れ、一刀の体を包み、姿を変える。

そしてドライバーの中心から赤いものが出てきて、その変身した一刀の頭につく。

一刀は仮面ライダーディケイドに変身した。

 

「おおっ!」

「何!?」

「ええええ!?」

 

それぞれが色んな反応をする。

 

「言っておくが化物とかじゃないからな」

 

ディケイドになった一刀がそう告げる。

 

(あれが異世界の人間の持つ力なのか?)

 

シロも少し驚いていた。

 

「とりあえずやろうぜ」

「よかろう。武士の心得、この者達に身を持って示す所存です」

「うむ、貴様らの腕前も見せてもらうぞ」

「いいぜ」

「え? って言われても…」

「いざ! 尋常に勝負!」

 

ミツヒデはやる気満々であった。

 

「あっちはやる気満々だぜ。お前は腹くくれよ」

「ええ~!?」

 

まず最初の勝負はクナイ当てであった。

 

「でゃあああああああ!!」

 

ミツヒデは6つの的全てにクナイの命中させ、的の一部を真っ二つにした。

 

「やるね」

「貴様の番だ」

 

次にヒデヨシの番が来る。

 

「えええーい!」

 

ヒデヨシは先ほどのミツヒデの真似をしてクナイを投げる。

しかしクナイは的には飛んでいない。

 

「あれ?」

 

するとクナイは上空から振って来、地面へと突き刺さった。

 

「それはそれですげえな」

「いてててて、鬼!」

 

ヒデヨシはクナイで鬼の角の真似をする。

完全に滑った空気が漂う。

 

「じゃあ次は俺だが、こいつでいくか」

 

ディケイドはライドブッカーからあるカードを取り出す。

そしてディケイドライバーを展開させる。

 

「変身」

 

そのカードをディケイドライバーに挿入する。

 

「カメンライド、ゼクロース!」

 

ディケイドはディケイドZXに変身した。

 

「ぬっ!」

「また姿が変わった」

「それじゃあ……」

 

ディケイドZXは持ち前の手裏剣を投げる。

すると的は手裏剣が当たると同時に爆発した。

 

「なな!」

「手裏剣爆弾だからな。どうだ?」

 

結果としては的に当てれたので、○になった。

次の勝負は弓矢勝負で、ミツヒデは全て的に当たったのに対し、ヒデヨシはほんのちょっと飛ばすのが精一杯だった。

 

「次はこいつだ」

 

ディケイドが新しいカードをディケイドライバーに挿入する。

 

「フォームライド、クウガ、ペガサーース!」

 

ディケイドはディケイドクウガペガサスフォームに変身した。

 

「そこだ!」

 

ディケイドクウガペガサスフォームも全弾命中させた。

本来の使用用途は違うが、あれくらいの距離なら目視でも当てられる。

一刀はそう判断したのだ。

そんなこんなで勝負はミツヒデと一刀の一方的なものとなっていき、対に最後の勝負となった。

最後の勝負は槍、棒術の戦いとなった。

 

「これで最後だ!」

「いいぜ!」

 

ディケイドもまた新しいカードを挿入した。

 

「フォームライド、ダブル! サイクロンメタル!」

 

ディケイドはディケイドダブルサイクロンメタルとなる。

 

「流石にメタルシャフトはまずいからそれくれ」

 

ディケイドダブルは訓練用の棒をもらう。

 

「俺、後で良い?」

「構わん。いくぞ!」

「ええ!?」

 

ミツヒデはヒデヨシと一騎打ちとなる。

ミツヒデの棒術はたいしたものであるが、ヒデヨシは先ほどの剣の勝負とは異なり、巧みに避けていた。

 

「うまいな」

 

しかしヒデヨシは避けている最中に転んでしまう。

 

「無様な!」

 

ミツヒデはトドメとばかりに棒を振るうが…。

 

「もう嫌だ!」

 

ヒデヨシは精一杯の抵抗で自身の棒をミツヒデの棒に当てて、弾いた。

ヒデヨシはその隙に立ち上がり、走り去ろうとする。

 

(今のどこかで見たことあるな)

 

しかし城壁の阻まれ逃げられないので方向転換した。

 

「敵に背中を見せるとはなんとも情けない!」

 

ミツヒデは怒るが、一刀は仕方ないと思う。

 

「あれあれあれ!」

 

ヒデヨシは逃げながらあることを思い出そうとしていた。

 

「あけりんとメールで盛り上がったあれ何だっけ!?」

 

そしてようやく思い出す。それは自分がテレビで見たことあるものであった。

 

「思い出した!」

 

ヒデヨシはミツヒデの前に立つ。

 

「確か……デブカン見参!」

 

そのデブカンの真似を始める。

 

「なんだその技は?」

「何ってカンフーじゃん。知らないの?」

「カンフーか」

「またわけのわからんことを!」

 

一刀はカンフーを理解しているが、ミツヒデは当然分からない。

 

「こういう場合、主人公はピンチを跳ね除け、大逆転ってのが王道だよね」

 

ヒデヨシはなんともお気楽な考えを出す。

 

(といって負けることもあるけどな)

 

色々見てきた一刀はそう思っている。

 

「カモンカモン」

 

ヒデヨシが挑発ポーズを取る。

 

「くっ! 舐めおって!」

 

ミツヒデがヒデヨシに襲い掛かるが、ヒデヨシは先ほどとは打って変わって攻撃に出る。

 

「おお!」

 

ノブナガも感心を持つ。

 

「良い動きだな。こりゃあ、サイクロンメタルじゃまずいかな?」

 

ダブルのサイクロンメタルになっている一刀は少し動きについていけそうにないと思う。

 

「やあああああああ!!」

 

ヒデヨシは思いっきり高く飛び、大きく棒を縦に振り、ミツヒデに当てようとしたが、見事に外した。

 

「あれ?」

「あらら」

 

そしてミツヒデに負けたのは言うまでもない。

 

「あの身の軽さ、ドラゴンフォームじゃないと無理だな」

 

しかし一刀の中ではそれなりのものだと思った。

次にミツヒデとディケイド一刀になったが、一刀は棒術を使うフォームにはあまりなった事はないが、それでも動きはいいものである。

ミツヒデの攻撃を上手く棒の先端で捌きつつ、握り手部分でミツヒデに攻撃を加える。

 

(こいつ、動きが思ったより良い上に速い!)

「これで終いだな」

 

ディケイドダブルは棒を利用し、重い体を宙に回し、ミツヒデの棒を勢いよく破壊、見事ミツヒデに勝った。

 

「俺の勝ち」

「くそ」

「勝負はお前の圧勝だな。一刀」

「まあな」

 

一刀は変身を解く。

 

「しかしその力は何だ?」

「ちょっとしたもんだ。言っておくが俺専用だから渡せねえよ」

「まあよい。それに最後の槍に関しては中々面白かったぞ」

「なんだよ、デブカンあれで勝ってたのに。嘘じゃん」

 

ヒデヨシはぼやいていた。

 

「無理あるっての」

 

一刀がツッコミを入れる。

 

「それにしても一刀さん、変身ヒーローだったんですか?」

「ま、そういうことになるな」

「時にその武術……」

 

ノブナガがヒデヨシに尋ねる。

 

「どこで学んだ?」

「どこって…テレビ。『デブカン』って知らないんですか?」

「いや、知らんだろ!」

 

一刀が先ほどとは違い、さらに強いツッコミを入れる。

 

「まあよい。それにしても猿のような身のこなし見事であった。

そうだ。それにちなみ、貴様をサルと呼ぶことにしよう」

(ああ、それがヒデヨシのサルね……)

 

一刀はヒデヨシがあだ名とはいえ、秀吉がいないことを考え、外史と何らかの関わりを持つ事を予想はしていたが、これは少し予想外であった。

ところが…。

 

「ええ~、そんなあだ名嫌です。どうせならヒデヨシって呼んでくださいよ~。皆そう呼ぶし」

「つまらんの~。ならばヒデヨシ、今後もミツヒデとともに武術に励むがよい。お主もだぞ一刀」

「ええ~。仕方ないといえば仕方ないけどさ……」

「武術ですか~。ま、いっか~」

 

一刀はしぶしぶ、ヒデヨシはあっさりと決めた。

 

「よろしくね、ミツヒデさ……。うん、やっぱあけりんって呼ぶね。その方がしっくりくるし」

「無理あるだろ」

「あ、あけりん? 何だそれは勝手なことを申すな!」

「いいじゃん、仲良くしようよ~。あ、もしかしてツンデレ?」

「は?」

「分からんだろ」

「ヒデヨシ、それに一刀、これよりこのノブナガの臣下となり、わしをお館と呼ぶがいい」

「お館様!?」

「ええ~俺、人に敬語とか使うの嫌なんだけどな~」

「それってどういう意味ですか?」

「ははっ! まったく貴様らは不思議な奴らじゃ。あーははははは」

「ははははは」

「へへへへへ」

 

三人は笑うのであった。

それからヒデヨシは一刀とシロにきちんとしたことを聞いた。

 

「それじゃああたし、正式にノブナガって人の家来にされたってこと?」

「そういうことだな」

「ふぅ~ん、そうなんだ」

「小娘、お前にとっちゃ身に余る光栄だぞ。もうちょっと喜べ」

「へぇ~、そうなの。じゃあ喜ぼっとやほぉ~」

「はぁ~、やっぱ本物のアホだ」

「だけど……」

(面白い奴だな)

「どうなるかな~」

 

一刀は思う。

このまま家臣としていれば必ず戦に遭遇する。

その時ヒデヨシはどう対処する。人が死ぬのを目の前で目撃したらどう反応する。

自分は仮面ライダーとしては人間は殺したことはないが、仲間達はそういうわけにもいかず敵兵を殺している。

一刀はそれを目の前で何度も何度も見ている。良い言い方ではないが、慣れている。

しかしヒデヨシは確実に慣れていない。だから一刀は思う。

自分がその時どうフォローすればいいのかと……。

 

 

おまけ

 

 

作者「はぁ~い、第2話です」

一刀「早いな、もう投稿してくるとは」

作者「連続で行くからな。第3話は夕方か夜には投稿予定だ」

一刀「ところでパソコンは大丈夫か?」

作者「何とかな。バックアップできないアニメの録画データとかは急いで焼いている」

一刀「大変だな」

作者「本当に色々大変だよ。

第3話では一刀は前の2話よりは活躍してるけどそこまで大きな活躍はなしかな。やはり第4話が一番目立っている気がする。

それと今回の話で一刀がある人物の存在をほのめかしてるけど、誰だと思うかな?

俺が今まで書いた作品の中でその人物は出てきてるぜ。

それでは!」


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
9
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択