No.214334

真・恋姫無双 魏が滅亡した日 Part27 奇襲

見習いAさん

荊州争奪戦

2011-05-01 00:17:00 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:3073   閲覧ユーザー数:2793

晋 荊州攻略軍本陣

 

「于禁将軍、前線は一向に士気上がらず酒盛りを始める始末。このままでは」

 

本陣中央、一際大きな椅子に腰掛けるのは于禁、沙和だ

 

「ふ~ん、なの」

 

「今攻撃を受ければ数的有利があるとは言え、大損害を受けますぞ。早く手を打たねば」

 

総勢100万に迫る大軍であるが、前線が敵の少数によって崩れされてしまえば今後の戦いに大きく響く

それだけは避けなければならない

しかし沙和は手元の阿蘇阿蘇から目を離そうともしない

 

「・・・・副官君、確か都から取り寄せた新しいお酒が来てたよね」

 

「はぁ」

 

「なら、そのお酒を前線の兵士達に振舞うの。兵士達には、敵は少数だからもうじき降伏するだろうと伝えるの」

 

「お待ちください。そのようなことをしては前線が・・・」

 

沙和は阿蘇阿蘇へ向けていた視線を副官に向けると、鬼教官の目を見せた

 

「さ、サー!イエッサー!」

 

副官は一目散に走り去っていった

沙和は阿蘇阿蘇に意識を戻すと、占い欄に目を通す

 

「副官君は何も分かってないの・・・・・やったー、恋愛運最高なのーー!」         

夜も更けた頃、呉蜀連合軍の奇襲作戦が始まろうとしていた

愛紗と翠は最後の打ち合わせをしていた

 

「翠、無理はするなよ。引き時を見極めるんだ」

 

「分かってるって、涼州騎馬隊の力、見せ付けてやるぜ。いくぞ蒲公英!」

 

「うぇ~~~ん」

 

蒲公英は最後まで乗り気ではなかった

蒲公英は張三姉妹を信奉する黄巾党の力を知っていた

なぜなら蒲公英自身も3人のライブに幾度と無く参加していたからだ

 

晋の野営地の見張りが連合軍を見張る

彼は自分が酒盛りに参加できず見張りであることを不満に感じていた

 

「ったく、敵はもうじき降参するってのに・・・・・土煙・・・・敵襲か!」

 

晋の野営地に敵襲を知らせるドラの音が響く

しかし、敵襲などこないと油断していた晋の兵達は酒盛りを繰り広げ酔いつぶれていた

 

涼州騎馬隊は一直線に晋軍100万が駐屯する野営地へ突撃を掛けた

晋の防備は最低限の見張りしか配置しておらず、陣地も粗末な作りでしかなかった

 

「穏の言うとおりだ、こいつら油断しきってやがる」

 

翠を先頭に涼州騎馬隊は敵陣深く切り込んだ

その突撃は立ちはだかるまばらな兵を物の数ともせずに蹴散らしていく

 

(まだいける、もっと深くまで行けばさらに敵を釣れる)

 

翠達涼州騎馬隊の勢いは止まらない

かなり内部まで切り込むことに成功した

 

「お姉さま!そろそろ引き返した方が」

 

(蒲公英の我慢も限界か、そろそろ潮時だな)

 

「よし、全軍反転!一気に城まで戻るぞ!」

 

翠の合図を受けると全軍Uターンを開始

翠と蒲公英は騎馬隊の殿へつくべく敵を牽制する

その動きに無駄はなかった

 

「うっし、蒲公英!」

 

「う、うん」

 

ついに蒲公英の出番だ                            

蒲公英は大きく息を吸い込むと

 

「天和の〇〇〇〇は△△△△!!!」

 

敵襲を受け慌てふためいていた晋軍のざわめきが止まった

 

「地和は天の御遣いの□□□□!!!」

 

聞こえる音は騎馬隊の反転する足音だけ

 

「人和の〇〇〇〇は△△・・・」

 

「馬鹿!言いすぎだ!!」

 

周囲を囲む晋軍の空気が、まるで噴火前の火山のような殺気に満たされている

まずいと判断した翠は蒲公英の口を封じた

 

「コロセ」「コロセ」「コロセ」

 

(やばい・・・・)

 

「蒲公英、さっさと逃げるぞ!!」

 

「う、うん!」

 

ここに留まれば八つ裂きにされる

そう判断した翠は騎馬隊の殿につくと蒲公英を守りながら追っ手を切り払う   

「だらあああああああああああああああ!ちっ、やるな」

 

(なんなんだよこいつら・・・・・さっきまでと別人じゃねえか)

 

酔いつぶれていたはずの晋軍は突然統制が取れ始めた

さらに騎馬隊までも出してきたのだ

 

「弓?まずい、散開しろ!!」

 

前方を塞ぐ弓隊から一斉に矢が放たれた

涼州騎馬隊は一群の塊から散開して矢を回避したが、矢を受けてしまった騎馬もいた

 

「蒲公英、蒲公英、無事か?」

 

敵の最大の目標は張三姉妹を侮辱した蒲公英

この時、散開したことで翠と蒲公英の間に距離が生まれていた

 

(まずい、囲まれてるじゃないか)                            

 

蒲公英の周囲に集中する晋の騎馬隊

彼らの目は尋常ではない

さすがの蒲公英も苦戦していた

 

「蒲公英ー!しゃおらああああああああああああ」

 

翠は自分に降りかかる敵を必死に裁きつつ蒲公英に接近する

 

「くっそ、どきやがれ!!・・・・・ああ!!!

 

後一歩だった

騎馬の槍を捌き反撃の一撃を放った蒲公英の背中に、矢が突き刺さった    

「蒲公英---!!」

 

翠は蒲公英の周囲の騎馬隊を蹴散らす

 

「しっかりしろ、蒲公英!蒲公英!」

 

「う・・・・カハッ」

 

「血、まずい・・・・」

 

翠は蒲公英の馬を引き寄せると併走しながら敵を打ち払う

それでも敵の騎馬隊は攻撃を緩めない

 

(このままじゃ)

 

「馬超様!馬岱様!ご無事か!?」

 

「皆・・・・」

 

前方を走る騎馬隊が速度を緩め二人の周囲を固めた

 

「殿は我らにお任せを、お二人は一刻も早く城までお引きください」

 

「くっ・・・・ごめん」

 

翠は殿を部下達に任せ全速力で駆け抜けた   

               

帰還した涼州騎馬隊は凡そ半数

翠達を出迎えた愛紗はその惨状に驚きを隠せなかった

 

「これは・・・・・蒲公英、無事か!」

 

「すまない愛紗、今は一刻も早く蒲公英を医者のところへ連れて行く」

 

翠はそういうと城内へ駆け込んだ

 

「くっ・・・・恋、ねね、この戦い一刻も早く終わらせるぞ」

 

(穏め・・・・)

 

愛紗の中に疑念が生まれる

今回の作戦、蜀は危険な任務ばかりだ

翠達は100万の敵陣への突撃を要求され、愛紗達は翠を追撃する敵を正面から食い止める

対する呉は亞莎の部隊が人のいなくなった陣に焼き討ちをかけるだけだ

 

(これでは、蜀が良い様に呉に使われているだけではないか!)

 

前方に大きな土煙があがった

翠達を追ってきた晋軍だ

 

「・・・・やめておこう。今は前方の敵を抑えるのみ、行くぞ!!」      

待ち伏せにあった晋軍はその勢いを止められてしまった

愛紗と恋の2枚看板の前になすすべなく打ち取られていく晋軍

 

すると、晋軍の後方から火の手があがった

 

「よし、聞け晋の兵達よ、貴様らの帰る場所はないぞ」

 

愛紗からの最後通告だった

 

「生き残りたくば投降せよ。武器を捨て投降するなら、その命、助けよう。

 それでも戦うと言うのなら、この関雲長、そして天下無双の呂奉先が容赦せぬ」

 

愛紗は青龍偃月刀を突きつけると同時に晋軍に降伏の機会を与えた

 

愛紗の言葉を聞くと晋軍はあっさり武器を捨てた

元々士気が低く、一時の感情で突出しただけの兵なので全面降伏となった

その光景をみて慌てたのはねねだった

 

「何を言っているのです愛紗殿、奴らは全員討ち取る作戦ですぞ!」

 

「ねね、彼らとてかつては魏の兵、時代の流れで敵対してしまった不幸が悪いのであって、彼らに罪はない」

 

「しかし愛紗殿」

 

「くどい!我姉劉備の名を汚すつもりか。ねねは降った兵をまとめ縛につけるように。

 決して危害を加えるでないぞ」

 

愛紗はそう言うと事後処理をねねに任せ城へ戻っていった

 

「愛紗殿・・・・」

 

愛紗の不機嫌の原因は、呉への、穏への不満だろうことをねねは分かっている

そして、桃香の望む世のことも理解していた

 

「ねね」

 

「恋殿・・・・」

 

「戦う必要がないなら、戦わない方がいい。皆、仲直り」

 

「・・・・そうです恋殿、その通りなのです!」

 

恋の言葉に救われる思いがした

しかし、ねねは確信していた

この戦いは、負ける


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
25
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択