始めに。
作中において、恋姫たちが平然と英語を使ったり、現代の知識を持っていたりしますが、その辺は思いっきりスルーしてくださいw
まあ、そこはそれ、そういう外史ということで、生あったかい目で見てやってくれると嬉しいです。
イベントの都合上、仕方のないことなんでw
それでは、本編の方をどうぞ。
~前回のあらすじ~
さまざまな外史を剪定、記録する者の中の一人である、狭乃 狼という人物が、とあるDVDを基にして創り上げた、ある一つの企画が開始された。
二十四時間。その間、ある施設内に集められた獲もn……もとい、参加者たちは、絶対に笑ってはいけないというルールの下、そこで丸一日を過ごすことになった。もしも笑ってしまった場合には、足つぼマッサージという強烈なお仕置きが、参加者たちには下されることになる。
そんな苦痛を耐えてまで、その参加者たちが目指すもの。それは、北郷一刀という人物との、三十日間にも及ぶ温泉旅行の権利。
彼の寵愛を独占する。
ただその為だけに、参加者である少女たちは、その地獄への門をくぐった。
しかし、まさかしょっぱなから、罠が仕掛けてあるとは思ってもいなかった少女たちは、自分たちがいかに甘い認識でいたかを、開始早々に思い知らされた。
油断があったとはいえ、あれしきのことで笑ってしまうなんて、と。少女たちの中の一人が、自分たちに下されたお仕置きの後、後悔とともにそうつぶやいた。
しかし。
それはあくまでも、地獄の二十四時間の始まりに過ぎなかった。
これから少女たちに襲い掛かるは、笑いの地獄から遣わされた、粒ぞろいの笑いの死神たち。彼ら(彼女ら)が、この日のために練りに練った、自慢のネタをその手に、彼女たちへと襲い掛かろうと、その死神の鎌を構えて待ち受ける。
はたして、彼女たちは無事、二十四時間のネタ地獄を耐え切ることが出来るのか?
さあ、それでは始めましょう。
笑いの饗宴の開幕だ!!ひーひっひっひwww
せいふらんちぇすか(変換が面倒くさいのでひらがなで通しますw)学園内、特別迎賓室。そこに、狭乃 狼に連れられた六人の少女―桃香、愛紗、華琳、桂花、蓮華、思春―が、どんより思い切り暗い顔をして入ってきた。
「さ~て諸君。とりあえず、この部屋が君たち六人が共同生活を送る部屋となる。ベッドも人数分用意してあるし、テレビやDVDプレイヤーなど、娯楽用品も多少は用意しておいた。朝・昼・夕の食事も、この部屋で採ることになっているのでそのつもりで」
『……』
ニコニコと説明をしだした狼の言葉を、一同は黙って聞いている。……ものすごい恨みのこもった目で。
「でもって、これから二十四時間、ここを拠点として様々な催しへと、諸君には参加をしてもらうことになるわけだが、ここまでで何か質問は?」
「……一つ、聞いておきたいんだけど」
「はいはい、華琳さん。なんでしょうか?」
ぶすっとした表情のまま、狼に質問のある旨を告げる華琳。狼の方はそんな彼女の表情などまったく気にせず、にこやかに返答を返した。
「たいしたことじゃあないんだけどね。さっきの黒づくめたち……お仕置き役の連中なんだけど、何で、私たちは彼らに抵抗できなかったのかしら?」
「……言われてみれば、確かに華琳の言うとおりね。いくら武が封印されてるとは言っても、振り解こうとすることすら出来なかったわ。……どうなってるの?」
その華琳に続き、同じく疑問を狼に投げかける蓮華。
「ああ。そういえば言い忘れてたっけ。……実は結界をね、もう一つ張ってあるんだよ。お仕置きとか、こちらが出す試練とかを、君らが拒否できないようにするための、ね」
「そ、そんな結界があるというのか?!」
「うん。その名も……」
『その名も?』
「……”ご都合主義万歳”♪」
『プフッーーーー!!』
結界の名を聞いたその瞬間、思いっきり吹き出したのは、
『桃香、愛紗、蓮華、思春。アウトー!!』
『……あ゛』
どどどどどどどっ!!
「ま、待って!止めて!おねが」
「まて!私は別に」
「き、貴様ら!止めないとひど」
「お願い!グリグリはかんべ」
『(ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり!!)ア゛ッーーーーーーーーーー!!』
どどどどどどどどっ!!
どこからとも無く流れてくる、アウトー!の、言葉とともに、例の黒づくめがぞろぞろと現れ、四人の抵抗の言葉もむなしく、足つぼマッサージを思いっきりかまし、再び去っていった。
「……四人とも、ごめんなさい。私の不注意だったわ。……く、くく」
「し、仕方がないですよ華琳様。完全な不意打ちでしたし……く、ふふ、く」
何とか笑うのを堪えた華琳が、お仕置きの犠牲となって悶絶し、ぐったりとした四人に対し、必死で笑うのを抑えつつ謝り。桂花がそれを、同じく笑いを堪えつつフォローする。
「まあ、そんなわけだから、抵抗するのは自分の笑いだけに集中するように♪」
『…………』
こっくり。
ぐったりとしたままうなずく四人と二人であった。
「じゃ、他に質問が無ければ、しばらくここで待機していてね。最初の催しの時間になったら呼びにくるから。じゃ」
ぱたむ、と。部屋の扉を閉めて出て行く狼。
「……ふう。それにしても、思ったより大変なものに参加してしまったわね」
「ですね。……うう、足痛い……」
「桃香さま、お気を確かに。そ、そうだ。まずは茶でも飲んで気を落ち着かせましょう。それぐらいこの部屋にもあるでしょうし」
そういって、愛紗は部屋の中をきょろきょろと見回す。すると、視界の中にポットとお茶のセットらしきものがあるのを捉えた。
「あ、あれがそうみたいですね」
「ちょ、愛紗?!あんまり不用意に近づいたら」
「……華琳どのは案外臆病なのですな。こんなもの、たかがポットと茶のセットでは……」
と、何気なく愛紗が手に取ったティーバッグ。そこに書かれていた銘柄は。
『変態印の漢女ッTYA♪』
「ぶふっ!!」
じゃっじゃーん。
『愛紗ー、あうとー』
どどどどどどど!!「ひっ?!」ぐりぐりぐりぐりぐりぐり!!「アッーーーーーーー!!」どどどどどど!!
「……愛紗ちゃん、だいじょうぶ?」
「な、なんのこれしき……」
「……だから言ったでしょうに」
「どうやら、本当にそこら中に罠が仕掛けてあるようですね、蓮華様」
「思春の言うとおりね。……あら?」
「どうしたの、蓮華?」
思春の言葉に同調の返事を返した後、自分の名札の置かれた机に座った蓮華が、その隣の机の上においてあるものに気がついた。そこにおいてある名札は華琳のもの。そして、そこに置いてあったのは。
「……どういう意味よ、これは?何で、私の机に、これ見よがしに、こんなものが置いてあるのよ!!”胸パッド”なんて!!」
バシィッ!と、その手で鷲掴みにしたそれを、華琳が思い切り床に叩き付けて怒鳴る。で、それを見ていた残りの面子が。
『プフフフフフ!』
じゃっじゃーん。
『桃香、愛紗、桂花、蓮華、思春。あうとー!』
どどどどどど!!『ッ!?』ぐりぐりぐりぐりぐりぐり!『アッーーーーー!!』どどどどどどど!!
「……今のは、みんなの自業自得ね。ていうか、桂花?貴女まで一緒に笑うなんてねえ?……後で覚えてなさい」
「か、華琳さま~!私はそんなつもりでは~!!」
「ほんと、油断も隙もあったものではないですな」
「そうだね……」
「とかいいながら桃香、貴女なにをしてるのよ?」
ごそごそと。愛紗に相槌を打ちながらも、自分の名札が置かれた机の引き出しを、なにやら探っている桃香に、蓮華が声をかける。
「え?いやあ、他にも何かあったりするのかな~?っておもって。……あ」
「な、何ですか、桃香さま?」
「DVD見っけ♪」
『見ないわよ(ませんよ)(ないぞ)』
「え~?」
机の中から、何故か嬉々としてDVDを取り出して見せた桃香に、即座に突っ込みを入れる五人。
「思いっきり罠に決まってるでしょうが、そんなもの」
「でもでも~。これ、タイトルが”璃々ちゃんずばんど”ってなってるよ?あの、”璃々ちゃん”だよ?私は罠とは思えないけどな~」
「……ほんとにこの娘は……。こんな確実に罠と分かりきってる物はこうよ!」
ぽいっ。
「あ~!華琳さんひど~い!なにもゴミ箱に捨てなくても~!」
「うるさいわね、もう。とにかく、ちょっとでも”可能性”のあるものは全部封印!禁止!わかった?!」
「……は~い」
華琳に思い切り叱られ、しょぼんとする桃香であった。
一方。どう施設内の某所にて、一つのモニターを監視している、幾人かの人々が居た。
「うわー!璃々ちゃんずばんどのDVDが捨てられたー!華琳さん酷すぎるー!」
「まあまあ、老仙くん。そんなに落ち込まなくてもいいって。その辺はちゃ~んと、フォローする手段を用意してあるから♪」
「ほんとーに?……嘘だったら、漢女のパンツ飲ませますよ?」
「絶対嘘じゃあないです!だからそれだけは勘弁してください!」
ぺこぺこと。土下座をしてその仙人のような格好をした人物―南華老仙に頭を下げる狼。
「まあ、それはともかくとして。うたまるさん、最近はすっかりそこが定位置になってますね」
と、狼の頭の上に乗っかっている、まん丸な体をした猫(?)に声をかける老仙。
「にゃう。ここに乗ってると、なんだかとっても落ち着くんにゃ」
老仙にそう答えて返す、その人語を解する猫の名はうたまる。これでも、ほかの面々と同じく、剪定者であり記録者でもある存在なのである。
「……僕もとっても幸せですwうたまるさんのおなかの感触がとっても心地良いんです。……もし今、ちょっとでも気を抜いたら、すぐにでも天国(へぶん)に逝けます♪」
『いやいや、逝っちゃ駄目ですから』
ぽや~っと、幸せそうにほほを緩める狼のメタ発言に、すかさず突っ込む一同であった。
「……で?これから彼女たちには何をさせるんだ?」
そんな狼に声をかけるのは、室内にも関わらずサングラスをかけた、筋骨隆々の青年―その名はジョージ。某所にてラーメン屋を経営もしているナイスガイである。
「とりあえず、学園内の見学をさせる予定。……他のみんなは、もう配置についたかな、マリアクン?」
「それはもちろん♪みんな、嬉々として出番を待ってるよ」
ジョージの問いに答えた狼がその声をかけたのは、”見た目は”、超のつくほどの美少女である、ほわちゃーなマリアという人物。……一応言っておくが、”彼”は立派な”男”である。自称男の娘(おとこのこ)。おカマではないのでご注意をw
「よし。なら俺はそろそろ、彼女たちを迎えに行こうかね。ジョージとマリアも準備よろしく」
『了解!』
「じゃ、私はここで楽しませてもらいますね。皆さんがんばってくださいね~」
南華老仙を一人部屋に残し、他の三人は部屋を出て行く。六人を、更なる地獄へ誘うために♪
再び場面は桃香達の居る待機部屋。
「それにしても、狼さん遅いですよね~」
「そうですね。……まあ、本音を言えば、永遠に来て欲しくは無いですが」
「……同感」
と、そんなことを言っていたときだった。
「はいはい皆さんお待たせ~。ゆっくりくつろげてましたか~?」
『(そんなわけ無いでしょうが)』
そんな風に思いつつも、あえて口には出さない一同。下手なことを言って、薮蛇にでもなったら困るということである。
「さて。それじゃあみんな、これから学園内を案内するんで、僕についてきて頂戴ね?もちろん、拒否権は無いけど♪」
『(こいつ、後で絶対シメる)』
ニコニコとそんなことをいう狼に対し、殺意の湧き上がる彼女たちであったが、結界のせいもあって、そんな彼に逆らうこともできず、狼の後に従って部屋から出るのであった。
それから五分後。
彼女たちは今、狼に連れられて校舎の三階部分に当たる階の廊下を歩いていた。
「まずはこの階だね。ここは一年の教室のある階だ。といっても、クラスは一つしかないんだけどね」
『(たった一つだけ?!こんな大きな建物に?!どう見ても五つくらいは教室がありそうなのに!)』
「後の部屋は、問題を起こした生徒を罰する補修室と補修室と補修室」
『補修室だけかい!』
「はいはい、ナイス突っ込みどうも♪」
全員から即座に突っ込みを入れられて、満足げに笑う狼であった。
「……まったく。……ん?ッ!!れ、蓮華様、あれは?!」
「え?どうしたの思春?って、ちょ、え?!ね、姉さま?!」
『……はい~?』
思春がその視線の先に捉えた人物に驚き、蓮華にそのことを教える。そして、それを教わって視線を前へと向けた蓮華もまた、そこに居た人物に度肝を抜かれた。
「……雪蓮、さん?え?え?なんで雪蓮さんがここに……?!」
「と、桃香さま、雪蓮どのだけではありません!恋と紫苑も居ます!」
「華琳さま、同じようにあそこに立っているのは……」
「ええ。風と稟、ね。……あの娘たち、いったいここで何を」
そう。そこに立っていたのは、彼女たちもよく知っている人物たちだった。
蓮華の姉にして、前呉王である、孫策こと雪蓮。
天下無双の武人である、呂布こと恋。
魏の軍師である、程昱こと風と、郭嘉こと稟。
そして、蜀の五虎将軍の一人である、黄忠こと紫苑。
とある教室の前に、がっくりとうなだれて立っているその五人は、それぞれ体の前面に、何かの札をかけていた。
「あー。彼女たちには生徒役を頼んで置いたんだけど、どうやら五人とも、テスト中に不正を働いたらしいな。だからあの補修(拷問)部屋に立たされてるんだろう」
「せ、生徒役って……」
「……一体、どういうつもりで、この諸悪の根源に協力なんかしてるのかしら。ちょっと問い詰めてやるわ」
「あ、華琳さんすとっぷ」
「え?」
じーっと突っ立っているだけで、律儀にピクリとも動こうとしないその五人に、華琳が怒りのオーラを背負って近づこうとするが、狼の待ったの台詞がその背にかけられた。
「一応言っとくけど。みんなもちゃんと目的があって、こちら側で参加をしてるんだから、理由等を問い詰めるのは無しの方向で」
「……目的?」
「そ。……君たちを一番笑わせることが出来た人には、特別賞として、”一刀との現代での一日デート権”を、差し上げることになってる」
『な!?』
それはそれでなんてうらやましい。
と、声にこそ出さないまでも、みな一様に同様のことを頭に浮かべた。
「ちなみに、そのデート権だけど、君たちにも副賞として贈呈することにしたい。『え?!』……個人戦の成績、つまり、一番お仕置きをされなかった人一名に、ね。だから」
「わかったわ。細かいことは気にせずにおきましょう。いいわね、みんな?」
『はい!』
「(……よしよし。こっちの思惑通りになってきたな♪ひひひ)」
……個人的な足の引っ張り合い。
それぞれの所属国間だけではなく、個々人でもそれが行われる事となった、まさにその瞬間であった(笑。
「……とりあえずそれはさておき、姉さまたちは何をしたのかしら?」
「あの札にそれが書いてあるはずだよ。さらし者の刑の最中だからね」
「ふーん。どれどれ……」
突っ立ったままの五人の前に行き、彼女たちがかけている札を見る桃香たち。そこにはそれぞれ、こう書かれていた。
雪蓮:『テスト中にゲームをしていました』
恋:『テスト中に、およそ十人前の弁当を食べていました』
風:『テスト中、鼻ちょうちんを出して、堂々と寝ていました』
凛:『テスト中に、HA・NA・JI、を出しました』
紫苑:『テストを年齢をごまかして受けていました』
「……なんか、ほぼいつもどおりって感じね」
「ですね。特に笑うところはないですよ、華琳さま」
「というか、稟さんの札の字、間違ってますよ、これ」
「そうですね。正しくは”HANADI”、ですね」
「……桃香がそれに気づいたことが、私はびっくりなんだけど?」
「あー、華琳さん酷いですー」
ぷーっとほほを膨らませて怒る桃香。それを見た華琳が。
「冗談よ、冗談。ふふふふ」
「か、華琳さま!」
「え?『じゃじゃーん!華琳、あうとー!』……あ」
どどどどどどど!「な、ちょ!?今のも駄目なの!?」ぐりぐりぐりぐりぐりぐり!「ア゛ッーーーーーーーーー!!」どどどどどどど!
「うう……。ゆ、油断したわ……」
「あ~……。と、ところで、先ほどから気になっていたんだが、”上”に張り付いて、というか、矢で磔られてるのは?」
愛紗が見上げたそこへ、一同もそろってその視線を移す。そこには、矢が体中のあちこちに刺さった状態でぶら下がっている、赤い和風鎧をつけた青年が居た。
「……たしか、戦国、じゃないか?」
「ですねー。まあ多分、この状態から察するに、紫苑に年の話をしようとしたんじゃないかと」
『あ~、なるほど』
「わかり安すぎてつまらないですね、蓮華さま」
「そうね。多分これもネタのつもりだったんでしょうけど、私たちには通用しないわよ」
「そうですね。普段、”よく見ている光景”ですから」
誰がされているとは言わないけれど、と。愛紗の言葉にうなずく一同だった。……戦国、ご愁傷様。なむ。
ちーんw
「……え?!ちょっと!?出番これだけ?!納得いかーん!やり直しを要求するー!」
……なんか聞こえたような気がするけど、多分空耳だな、うん(笑。さあ、空耳なんて気にせず、次、いきましょうか♪
「ぷぎゃー!(泣」
と、泣き叫ぶ戦国を思いっきり無視して(酷)、その場を離れた一行はそのまま階下へ―――二年の教室がある二階へと降りてきた。
「ほう。この階は上と違って、結構な数の人がいますね」
「まあね。エキストラの多くはこの階の二年に属しているから」
「何で二年なのかというのは、とりあえず聞かないでおくわ。……あら?あれって何かしら?」
それに気づいた華琳が、廊下にぽつんと置いてあった、その三つの物体を指差す。
「ああ。あれはゴミ箱だね。もやせるごみともやせないごみ、後はなまごみ。分別はちゃんとしないとね」
「そーだねー。環境は大切にしないとねー。って、これ、全部札が落ちちゃってるよ。これじゃあどれがどれかわかんない」
桃香が気づいたとおり、それぞれの箱の下に、それぞれの箱に張ってあったと思しき札が、箱から外れて落ちていた。
「……なら桃香、それ、直しておいてあげたら?」
「そーですね。えっと」
「と、桃香さま!そんな不用意に……!!」
愛紗の静止もすでに遅し。桃香はそれぞれの箱の下に落ちている札を、すでに拾ったあとだった。そして、それに書かれていた字に目を通した。
『も痩せるごみ』
『も痩せないごみ』
『生(種馬)ごみ』
「あはははははははははは!な、なにこれー!!あはははははは!!……あ」
はい、残念でしたw
ぱぱーん!『桃香、あうとー!』
どどどどどどどど!!ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり!!「に゛ゃあーーーーーーーっ!!」どどどどどどどど!!
「あうあうあう……。ぐすん。いいもん……桃香、負けないもん」
涙目で気を取り直す桃香であった。
「……ま、まあ、ともかく。今ので箱が全部ひっくり返っちゃったわね。思春、直すの手伝って」
「はい、蓮華さま」
と、先ほどの桃香へのお仕置きのドサクサで、すべて倒れてしまったゴミ箱を、蓮華と思春が一つづつ起こしていく。が。
「……あら?これだけやけに重いわね。これは生ごみの箱よね?……今日って生ごみの日?」
「そうだったかなー?どれどれ中には……っと」
その一つだけ中身の入った箱をひょい、と持ち上げて起こし、狼がその中身を確認するため、そのふたを開けた。そこに入っていたのは。
「……ああ。(中身を見せながら)生種馬(一刀)が入ってた」
『ぶふーーーーっ!!(笑』
生(種馬)ごみの箱に、ぴっちりと収まって入っていた一刀を見て、全員が一斉に吹き出しました。ということで♪
ばっばーん!『全員、あうとー!!』
どどどどどど!『い、今のは卑怯よー!』ぐりぐりぐりぐりぐり!!『はぎゅみぎゅにゃあー!(言葉にならない叫び)』どどどどどどどど!
「……か~ず~と~……?貴方は一体、そ・こ・で、何を、しているのかしら?(ゴゴゴゴゴ)」
うわー。華琳がめっちゃ怒ってるー。
「いやあ、その、ね?貂蝉にいきなり連れてこられたと思ったらさ、無理やりこの中に押し込められちゃってさ~。まいったまいった。はっはっは」
「……何か、そらぞらしいわね……」
「ソレハ多分気ノセイデス、華琳サマ。ジャ、ソユコトデ」
ぴうっ!
「あ、逃げた!」
「くっ!逃げ足の速い。……まあ、いいわ。今度会ったら、みっちりお仕置きしてあげるわよ」
華琳ににらまれ、すたこらさっさと高速で逃げ出した一刀を、声は出さずに、ニヤリと口の端を吊り上げて見送る華琳であった。
そんなこんなで、一行は次に、学園の一回へと降りてきた。
「えっと。一階にあるのは職員室と、保健室。それから図書室と購買部。あとは……宴会場かな♪」
『(何で宴会場が学校に?!)』
「……なんかもう、いろいろ突っ込むのが面倒くさくなってきたわ……」
「……私もよ、蓮華。ん?あれは……たしか村主じゃなったかしら?」
『ほえ?』
華琳が気づいたとおり、一人の学生らしき格好をした青年が、保健室からその姿を現した。
「おやおや、これは皆さんお揃いで。見学中ですか?」
それは、狼たちと同じくTINAMI派(勝手に作りました、すみません)という肯定派の一員である、村主7という人物だった。
「まあ、一応ね……」
「あはは。疲れてますねー、華琳さん。……ん、ちょっと失礼」
『?』
「は、は、は、えっきしっ!!」
『か、カ○ちゃんくしゃみ!?』
それは、かの伝説の、”カ○ちゃんくしゃみ”(笑、だった。で、それが出ると大概なにかしらおきr、
くわい~ん!「はぐっ!!」
『へ?』
……何かしら、起きるもんです。
「……なんで、急に金ダライが落ちてくんだよ……!!」
「え、焔耶ちゃん!?」
「い、いつからそこに!?」
「こ、これは桃香さま!……と、その他大勢」
『誰がその他大勢かっ?!』
突然降ってきた金ダライが脳天を直撃し、頭を抱えてうずくまっていたのは、蜀のヤンk、もとい、魏延こと焔耶だった。
「あ、へ、へ、ひ」
『あ』
「いっきしょい!!」
くわ~ん!
「はにゃっ!!」
「こ、今度は誰だ?!」
焔耶とはまた別の方向から聞こえた、その気もちいいくらいの金属音と、甲高い声。そこにいたのは。
「鈴々!お前も来ていたのか?!」
「痛いのだ~……はにゃ?桃香お姉ちゃんと愛紗と……その他大勢なのだ」
『だから!誰がその他大勢かっ?!』
くくく、と。そんなほかの面子のやり取りに、何とか必死に笑いをこらえている桃香と愛紗。でもって、三度。
「は、ふ、ひ、ほ、へ」
『ちょ!お願いだからもう……!!』
「びっきしょい!!」
こわわ~~ん!!「おごばっ!?」
「あ。狼さんに落ちた」
「……いい気味よ」
「ふん。……天罰だな」
なぜか、自分の頭にまで落ちてきた金ダライの痛みに頭を抱えたまま、狼はその元凶である村主へとくってかかる。
「いででで……。おいこら村主!何で俺まで巻き込む!?」
「いや、別に巻き込もうとしてやってるわけじゃ……ふぁ」
『げ』
「ふぁ、ひ、ふぉ、ふぇ」
『まて!ほんとに抑えて!頼むから!』
くしゃみは急には止まらない。
「えきしっ!ぶぇっきし!(止めとばかりに)いえっきしっっっ!!」
かーん!きーん!こーん!『ほべらばっ!?』
三連発で落ちましたw
『~~~~~っ!!も、だめ。あ、あははははははははっ!!』
じゃんじゃーん!『全員、あうとー!』
どどどどどどど!『……も。好きにして』ぐりぐりぐりぐりぐり!!『ア゛ッーーーーーー!!』どどどどどどど!!
「……えっと。じゃ、じゃあ僕はこれで!皆さんお達者でー!」
ぴゅーん、と。
足早に走り去っていく村主。
その場に残されたのは、頭と足、それぞれの痛みに悶絶する、八人の少女と一人のおっさんであった。
「……とまあ、ちょっとしたアクシデントがあったけど、とりあえず気を取り直して行きましょうか」
再び場面は待機所である。
この部屋に戻ってきた一同は、各々にあてがわれた机に座り、狼の話を黙って聞いていた。
「とはいっても、正直そろそろ夕ご飯時だし、ここらで食事の時間としましょうか」
「え!ほんとに!?」
「それはありがたいわね。正直、なれないことの連続で、気がどうにかなりそうだったけど、食事ができれば少しは落ち着くでしょう」
食事の時間にしようという、狼のその言葉に、素直に喜ぶ桃香と蓮華。が、残りの面子は素直に喜んではいなかった。
「……まさか、とはおもうけど。食事にまで何か仕掛けてないでしょうね?」
「そこはご心配なく。なにしろ腕を振るったのは、あのジョージだからね。彼の作るものに、下手なことはできないって(……後が恐いからさ)」
「ジョージが、ですか。それはいいですね。彼の作る料理は一品ですから。ですよね、華琳さま」
「まあ、ね。彼の料理が食べられるなら、普通ならとってもうれしい事なんだけど」
さすがは曹孟徳。そう簡単に、油断はしない(?)らしい。
「まあ、そう警戒しなくてもいいよ。ご飯ぐらいは、ちゃんとしたものを食べれるようにしてあるからさ♪(……そう、”食べるのは”、ね)」
じゃあ、もう少しだけ待っててな~。そう言って、狼は部屋を出て行った。
「……まあ、なんにしても、だ。これでどうにか一息つくことが出来ますね、桃香さま」
「そーだねー。(ごそごそ)」
「……で?今度は一体何を、しているのかしら?」
なんかデジャブを感じる光景だった。愛紗の声に答えつつ、桃香がなにやら机の引き出しを探っていた。
「あ。何かボタン見つけちゃった」
『?!』
「何かな何かな~?……ぽちっとな♪」
『ちょっーーー!?』
全員の反応を待たず、引き出しの中にあったボタンを、問答無用で押した桃香。すると、
ぴんぽんぱんぽーん。
「な、なに?!」
『連絡事項です。華琳さん、華琳さん。「わ、わたし?!」これから、貴女は一発ギャグをしてください』
「……は?」
『尚、拒否・もしくは受けなかった場合、いつもとは少し違うお仕置きが待っております。受けても特に何もありませんが、がんばって下さい♪』
ぴんぽんぱんぽーん。
「くっ……!!桃香、後で覚えときなさいよ?」
「や、やだな~華琳さんってば~。(ジロ)ひっ!……め、目がマジだよ~愛紗ちゃん~!!」
「……自業自得です(ぷい)」
涙目ですがりつく桃香から、そっぽを向く愛紗。……うん、気持ちはわかるw
「ふえ~ん。愛紗ちゃんが冷たいよ~……」
「……華琳さま、あの、どうされるんですか?」
「……やるしか、ないでしょうが」
「……華琳の一発ギャグ、ね。ちょっと見物かも」
ギッ!!
「……ごめんなさい」
すっごい目でにらんできた華琳の視線に負け、ちっさくなる蓮華であった。
「……こんなこと、私の人生で初めてなんですからね?笑わなかったら酷いわよ?」
「う。で、でも、それでもし笑ったらやっぱりお仕置き……なのかな?」
「……誰が原因ですか?」
「……ごめんなさい」
「じゃ、じゃあ、いくわよ?……ごほん!」
ごくっ。
華琳の人生、初の一発ギャグ。それは、こんなものだった。
「と、『隣の空き地に囲いが出来たんだってー』 『……そんなものは壊してしまいなさい』」
しーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん。
「……えっと。それ、で?」
「……それだけよ///」
再び。
しーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん。
ばっばーん!『華琳、あうとー!』
どどどどどどどど!!
いつものごとく現れる黒尽くめたち。だが、普段とは少しだけ様子が違っていた。
「……どうにでもしなさいよ……って、ちょっと、それ、なに?!」
羽箒。それを、黒尽くめたちは手に手に持っていた。で、
こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ!!
「きゃははははあははははははははははははっはは!!やめて!やめて!ひゃははははははははははははははははは!!そ、そこはら、らめえええええええーーーーーー!!」
どどどどどどどど!!
「……こっちのお仕置きのほうが、よっぽど性質悪いかも」
「……足つぼマッサージでよかったね、普通のお仕置き」
こっくり、と。
ぐったりしている華琳をよそに、桃香の台詞にうなずく面々であった。
「はいはい皆さんお待たせ~。夕ご飯の到着ですよ~……って、華琳さん、どうかしたの?」
食事の準備が整ったのを知らせにきた狼が、机に突っ伏してぐったりとしている華琳を目に捉え、いったい何があったのかと問いかける。
「……なんでもないわよ」
「そうそう、なんでもないんですよ。華琳さんが自爆しただけです」
「……と・お・か?(ギヌロ)」
「!!……失言でした。ごめんなさい」
よほどすごい顔でにらみつけられたのだろう。華琳のその一言で、思いっきり縮こまる桃香であった。
「ふーん。まあ、何があったか知らんけど(ほんとは、モニターしてたからちゃんと知ってるけど♪)とりあえず、ご飯を食べて元気だしなって。な?」
「……とか言っておいて、どうせ貴様たちのことだ。食事にも何か仕込んでいるんだろうが」
と、殺意全開で狼をにらみつける思春。しかし狼のほうはけろっとした表情で、
「大丈夫だって。さっきも言ったろ?ジョージの作った料理に細工なんか出来ないって。おーい、二人とも~。料理を運び入れてくれ~」
『あらほらさっさ~♪』
どっかで聞いたような返事をしつつ、二人の男性が山のように料理の盛られたカートを押し、部屋の中へと入ってきた。
「……森羅と黒山羊ではないか」
「久しぶりだね~、愛紗。元気してる?」
「……どうも」
愛紗に明るく返事を返したのが、黒山羊という名の人物。でもって、どことな~く無愛想にしているのが森羅。やはりこの二人も、狼たちと同じ派閥に属する管理者たちである。
「この二人には、アルバイトで雑用を手伝ってもらってるんだ。ちなみに、二人とも無報酬」
「それはアルバイトとは言わないっ!」
「……ボランティア、だ。正確には」
「ま、そうとも言うね♪」
『(そうとしか言わないでしょうが)』
気を抜いたらこぼれそうになる笑いをこらえ、頭のなかで突っ込みを入れる一同だった。
「ま、かる~い冗談はさておいて。『北の西ローランドゴリラ』こと、『瑚裏拉麺』店長、峠崎ジョージ渾身の一品だ。さあみんな、心行くまで堪能してくれ!」
その狼の言葉とともに、さまざまな料理が、彼女たちの目の前に並べられていく。
「こ、この品揃え……!!ま、まさかこれは?!」
「猿の脳味噌に、熊の掌、燕の巣のスープに鮑の煮付け……!!」
「これって、もしかして」
これでもかという位に並べられた、徹底的に贅を凝らした、その数有に百種を超える、その豪華な料理の数々。
「ふふふ。そう。これこそ、あの超有名な宮廷料理。さあ、森羅に黒山羊よ!この至高にして究極の料理の名!皆に聞かせてやるがよい!」
と。
狼に料理の名を告げるよう促された二人は、大きく息を吸って、声高らかにそれを発表した。
『(某大サーカスの黒ちゃん声で♪)”満漢全席”です!』
『ぶはははははっっっっっ!!』
じゃっじゃーん。『全員、あうとー!』
『……』
どどどどどどど!!『嘘つきーーっ!ご飯には何もしないって言ったくせにー!』ぐりぐりぐりぐりぐりぐり!!『ふぎにゃーーーーー!!』どどどどどどどどど!!
「……言ったとおり、”ご飯には”、なんにもしてないよん♪だから、嘘はついてません。えっへん♪」
と。
そんな感じで食事前のレクリエーション?も無事に済み(笑)、一同は今度こそ本当に、ジョージ特製の満漢全席(味はもう絶品だったそうである)に、舌鼓をうった。
腹も満たされ、ようやくつけた一息。
しかし。
狂気の宴はまだまだ終わりではない。
現在時刻、PM19:00。
この饗宴の開始から、これで七時間。まだ、三分の一ほどしか、時間は経っていないのである。
これから、恐怖と笑いに包まれた、長い長い夜が彼女達を待ち受けている。
はたして、彼女たちは無事、残りの時間を過ごすことが出来るのか?
彼女たちに、続々と襲い掛かる、笑い地獄よりの使者たちの、次なる武器(ネタ)は?
次回、笑っちゃいけない二十四時、in恋姫。その後編に、続く……。
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さ~、これより本編の開幕ですw
ただ、思った以上にネタが多くて、想像していた以上に、話が長くなっちゃいました。
なので、前後編の二回に分けることと相成りましたw
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