No.213868

真・恋姫夢想 夢演義 笑っちゃいけない二十四時in恋姫 前編

狭乃 狼さん

さ~、これより本編の開幕ですw

ただ、思った以上にネタが多くて、想像していた以上に、話が長くなっちゃいました。

なので、前後編の二回に分けることと相成りましたw

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2011-04-28 16:31:29 投稿 / 全14ページ    総閲覧数:16820   閲覧ユーザー数:13007

 

 始めに。 

 

 

 

 作中において、恋姫たちが平然と英語を使ったり、現代の知識を持っていたりしますが、その辺は思いっきりスルーしてくださいw

 

 

 まあ、そこはそれ、そういう外史ということで、生あったかい目で見てやってくれると嬉しいです。

 イベントの都合上、仕方のないことなんでw

 

 

 それでは、本編の方をどうぞ。

 

 

 

 

 ~前回のあらすじ~

 

 

 さまざまな外史を剪定、記録する者の中の一人である、狭乃 狼という人物が、とあるDVDを基にして創り上げた、ある一つの企画が開始された。

 

 二十四時間。その間、ある施設内に集められた獲もn……もとい、参加者たちは、絶対に笑ってはいけないというルールの下、そこで丸一日を過ごすことになった。もしも笑ってしまった場合には、足つぼマッサージという強烈なお仕置きが、参加者たちには下されることになる。

 

 そんな苦痛を耐えてまで、その参加者たちが目指すもの。それは、北郷一刀という人物との、三十日間にも及ぶ温泉旅行の権利。

 

 彼の寵愛を独占する。

 

 ただその為だけに、参加者である少女たちは、その地獄への門をくぐった。

 

 しかし、まさかしょっぱなから、罠が仕掛けてあるとは思ってもいなかった少女たちは、自分たちがいかに甘い認識でいたかを、開始早々に思い知らされた。

 

 油断があったとはいえ、あれしきのことで笑ってしまうなんて、と。少女たちの中の一人が、自分たちに下されたお仕置きの後、後悔とともにそうつぶやいた。

 

 しかし。

 

 それはあくまでも、地獄の二十四時間の始まりに過ぎなかった。

 

 これから少女たちに襲い掛かるは、笑いの地獄から遣わされた、粒ぞろいの笑いの死神たち。彼ら(彼女ら)が、この日のために練りに練った、自慢のネタをその手に、彼女たちへと襲い掛かろうと、その死神の鎌を構えて待ち受ける。

 

 はたして、彼女たちは無事、二十四時間のネタ地獄を耐え切ることが出来るのか?

 

 さあ、それでは始めましょう。

 

 笑いの饗宴の開幕だ!!ひーひっひっひwww

 

 

 

 せいふらんちぇすか(変換が面倒くさいのでひらがなで通しますw)学園内、特別迎賓室。そこに、狭乃 狼に連れられた六人の少女―桃香、愛紗、華琳、桂花、蓮華、思春―が、どんより思い切り暗い顔をして入ってきた。

 「さ~て諸君。とりあえず、この部屋が君たち六人が共同生活を送る部屋となる。ベッドも人数分用意してあるし、テレビやDVDプレイヤーなど、娯楽用品も多少は用意しておいた。朝・昼・夕の食事も、この部屋で採ることになっているのでそのつもりで」

 『……』

 ニコニコと説明をしだした狼の言葉を、一同は黙って聞いている。……ものすごい恨みのこもった目で。 

 「でもって、これから二十四時間、ここを拠点として様々な催しへと、諸君には参加をしてもらうことになるわけだが、ここまでで何か質問は?」

 「……一つ、聞いておきたいんだけど」

 「はいはい、華琳さん。なんでしょうか?」

 ぶすっとした表情のまま、狼に質問のある旨を告げる華琳。狼の方はそんな彼女の表情などまったく気にせず、にこやかに返答を返した。 

 「たいしたことじゃあないんだけどね。さっきの黒づくめたち……お仕置き役の連中なんだけど、何で、私たちは彼らに抵抗できなかったのかしら?」

 「……言われてみれば、確かに華琳の言うとおりね。いくら武が封印されてるとは言っても、振り解こうとすることすら出来なかったわ。……どうなってるの?」

 その華琳に続き、同じく疑問を狼に投げかける蓮華。

 「ああ。そういえば言い忘れてたっけ。……実は結界をね、もう一つ張ってあるんだよ。お仕置きとか、こちらが出す試練とかを、君らが拒否できないようにするための、ね」

 「そ、そんな結界があるというのか?!」

 「うん。その名も……」

 『その名も?』

 「……”ご都合主義万歳”♪」

 『プフッーーーー!!』

 結界の名を聞いたその瞬間、思いっきり吹き出したのは、

 『桃香、愛紗、蓮華、思春。アウトー!!』

 『……あ゛』

 どどどどどどどっ!!

 「ま、待って!止めて!おねが」

 「まて!私は別に」

 「き、貴様ら!止めないとひど」

 「お願い!グリグリはかんべ」

 

 『(ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり!!)ア゛ッーーーーーーーーーー!!』

 

 どどどどどどどどっ!!

 どこからとも無く流れてくる、アウトー!の、言葉とともに、例の黒づくめがぞろぞろと現れ、四人の抵抗の言葉もむなしく、足つぼマッサージを思いっきりかまし、再び去っていった。

 「……四人とも、ごめんなさい。私の不注意だったわ。……く、くく」

 「し、仕方がないですよ華琳様。完全な不意打ちでしたし……く、ふふ、く」

 何とか笑うのを堪えた華琳が、お仕置きの犠牲となって悶絶し、ぐったりとした四人に対し、必死で笑うのを抑えつつ謝り。桂花がそれを、同じく笑いを堪えつつフォローする。

 「まあ、そんなわけだから、抵抗するのは自分の笑いだけに集中するように♪」

 『…………』

 こっくり。

 ぐったりとしたままうなずく四人と二人であった。

 

 

 「じゃ、他に質問が無ければ、しばらくここで待機していてね。最初の催しの時間になったら呼びにくるから。じゃ」

  

 ぱたむ、と。部屋の扉を閉めて出て行く狼。

 

 「……ふう。それにしても、思ったより大変なものに参加してしまったわね」

 「ですね。……うう、足痛い……」

 「桃香さま、お気を確かに。そ、そうだ。まずは茶でも飲んで気を落ち着かせましょう。それぐらいこの部屋にもあるでしょうし」

 そういって、愛紗は部屋の中をきょろきょろと見回す。すると、視界の中にポットとお茶のセットらしきものがあるのを捉えた。

 「あ、あれがそうみたいですね」

 「ちょ、愛紗?!あんまり不用意に近づいたら」

 「……華琳どのは案外臆病なのですな。こんなもの、たかがポットと茶のセットでは……」

 と、何気なく愛紗が手に取ったティーバッグ。そこに書かれていた銘柄は。

 

 『変態印の漢女ッTYA♪』

 

 「ぶふっ!!」

 

 じゃっじゃーん。

 

 『愛紗ー、あうとー』

 

 どどどどどどど!!「ひっ?!」ぐりぐりぐりぐりぐりぐり!!「アッーーーーーーー!!」どどどどどど!!

 

 「……愛紗ちゃん、だいじょうぶ?」

 「な、なんのこれしき……」

 「……だから言ったでしょうに」

 「どうやら、本当にそこら中に罠が仕掛けてあるようですね、蓮華様」

 「思春の言うとおりね。……あら?」

 「どうしたの、蓮華?」

 思春の言葉に同調の返事を返した後、自分の名札の置かれた机に座った蓮華が、その隣の机の上においてあるものに気がついた。そこにおいてある名札は華琳のもの。そして、そこに置いてあったのは。

 「……どういう意味よ、これは?何で、私の机に、これ見よがしに、こんなものが置いてあるのよ!!”胸パッド”なんて!!」

 バシィッ!と、その手で鷲掴みにしたそれを、華琳が思い切り床に叩き付けて怒鳴る。で、それを見ていた残りの面子が。 

 

 『プフフフフフ!』

 

 じゃっじゃーん。

 

 『桃香、愛紗、桂花、蓮華、思春。あうとー!』

 

 どどどどどど!!『ッ!?』ぐりぐりぐりぐりぐりぐり!『アッーーーーー!!』どどどどどどど!!

 

 「……今のは、みんなの自業自得ね。ていうか、桂花?貴女まで一緒に笑うなんてねえ?……後で覚えてなさい」

 「か、華琳さま~!私はそんなつもりでは~!!」

 「ほんと、油断も隙もあったものではないですな」

 「そうだね……」

 「とかいいながら桃香、貴女なにをしてるのよ?」

 ごそごそと。愛紗に相槌を打ちながらも、自分の名札が置かれた机の引き出しを、なにやら探っている桃香に、蓮華が声をかける。

 「え?いやあ、他にも何かあったりするのかな~?っておもって。……あ」

 「な、何ですか、桃香さま?」

 「DVD見っけ♪」

 『見ないわよ(ませんよ)(ないぞ)』

 「え~?」

 机の中から、何故か嬉々としてDVDを取り出して見せた桃香に、即座に突っ込みを入れる五人。

 「思いっきり罠に決まってるでしょうが、そんなもの」

 「でもでも~。これ、タイトルが”璃々ちゃんずばんど”ってなってるよ?あの、”璃々ちゃん”だよ?私は罠とは思えないけどな~」

 「……ほんとにこの娘は……。こんな確実に罠と分かりきってる物はこうよ!」

 ぽいっ。

 「あ~!華琳さんひど~い!なにもゴミ箱に捨てなくても~!」

 「うるさいわね、もう。とにかく、ちょっとでも”可能性”のあるものは全部封印!禁止!わかった?!」

 「……は~い」

 華琳に思い切り叱られ、しょぼんとする桃香であった。

一方。どう施設内の某所にて、一つのモニターを監視している、幾人かの人々が居た。

 「うわー!璃々ちゃんずばんどのDVDが捨てられたー!華琳さん酷すぎるー!」

 「まあまあ、老仙くん。そんなに落ち込まなくてもいいって。その辺はちゃ~んと、フォローする手段を用意してあるから♪」

 「ほんとーに?……嘘だったら、漢女のパンツ飲ませますよ?」

 「絶対嘘じゃあないです!だからそれだけは勘弁してください!」

 ぺこぺこと。土下座をしてその仙人のような格好をした人物―南華老仙に頭を下げる狼。

 「まあ、それはともかくとして。うたまるさん、最近はすっかりそこが定位置になってますね」

 と、狼の頭の上に乗っかっている、まん丸な体をした猫(?)に声をかける老仙。

 「にゃう。ここに乗ってると、なんだかとっても落ち着くんにゃ」

 老仙にそう答えて返す、その人語を解する猫の名はうたまる。これでも、ほかの面々と同じく、剪定者であり記録者でもある存在なのである。

 「……僕もとっても幸せですwうたまるさんのおなかの感触がとっても心地良いんです。……もし今、ちょっとでも気を抜いたら、すぐにでも天国(へぶん)に逝けます♪」

 『いやいや、逝っちゃ駄目ですから』

 ぽや~っと、幸せそうにほほを緩める狼のメタ発言に、すかさず突っ込む一同であった。 

 「……で?これから彼女たちには何をさせるんだ?」

 そんな狼に声をかけるのは、室内にも関わらずサングラスをかけた、筋骨隆々の青年―その名はジョージ。某所にてラーメン屋を経営もしているナイスガイである。

 「とりあえず、学園内の見学をさせる予定。……他のみんなは、もう配置についたかな、マリアクン?」

 「それはもちろん♪みんな、嬉々として出番を待ってるよ」

 ジョージの問いに答えた狼がその声をかけたのは、”見た目は”、超のつくほどの美少女である、ほわちゃーなマリアという人物。……一応言っておくが、”彼”は立派な”男”である。自称男の娘(おとこのこ)。おカマではないのでご注意をw

 

 「よし。なら俺はそろそろ、彼女たちを迎えに行こうかね。ジョージとマリアも準備よろしく」

 『了解!』

 「じゃ、私はここで楽しませてもらいますね。皆さんがんばってくださいね~」

 南華老仙を一人部屋に残し、他の三人は部屋を出て行く。六人を、更なる地獄へ誘うために♪

 

 

 

 再び場面は桃香達の居る待機部屋。

 

 「それにしても、狼さん遅いですよね~」

 「そうですね。……まあ、本音を言えば、永遠に来て欲しくは無いですが」

 「……同感」

 と、そんなことを言っていたときだった。

  

 「はいはい皆さんお待たせ~。ゆっくりくつろげてましたか~?」

 『(そんなわけ無いでしょうが)』

 そんな風に思いつつも、あえて口には出さない一同。下手なことを言って、薮蛇にでもなったら困るということである。

 「さて。それじゃあみんな、これから学園内を案内するんで、僕についてきて頂戴ね?もちろん、拒否権は無いけど♪」

 『(こいつ、後で絶対シメる)』

 ニコニコとそんなことをいう狼に対し、殺意の湧き上がる彼女たちであったが、結界のせいもあって、そんな彼に逆らうこともできず、狼の後に従って部屋から出るのであった。

 

 それから五分後。

 

 彼女たちは今、狼に連れられて校舎の三階部分に当たる階の廊下を歩いていた。

 「まずはこの階だね。ここは一年の教室のある階だ。といっても、クラスは一つしかないんだけどね」

 『(たった一つだけ?!こんな大きな建物に?!どう見ても五つくらいは教室がありそうなのに!)』

 「後の部屋は、問題を起こした生徒を罰する補修室と補修室と補修室」

 『補修室だけかい!』

 「はいはい、ナイス突っ込みどうも♪」

 全員から即座に突っ込みを入れられて、満足げに笑う狼であった。

 「……まったく。……ん?ッ!!れ、蓮華様、あれは?!」

 「え?どうしたの思春?って、ちょ、え?!ね、姉さま?!」

 『……はい~?』

 思春がその視線の先に捉えた人物に驚き、蓮華にそのことを教える。そして、それを教わって視線を前へと向けた蓮華もまた、そこに居た人物に度肝を抜かれた。

 「……雪蓮、さん?え?え?なんで雪蓮さんがここに……?!」

 「と、桃香さま、雪蓮どのだけではありません!恋と紫苑も居ます!」

 「華琳さま、同じようにあそこに立っているのは……」

 「ええ。風と稟、ね。……あの娘たち、いったいここで何を」

 そう。そこに立っていたのは、彼女たちもよく知っている人物たちだった。

 

 蓮華の姉にして、前呉王である、孫策こと雪蓮。

 天下無双の武人である、呂布こと恋。

 魏の軍師である、程昱こと風と、郭嘉こと稟。

 そして、蜀の五虎将軍の一人である、黄忠こと紫苑。

 

 とある教室の前に、がっくりとうなだれて立っているその五人は、それぞれ体の前面に、何かの札をかけていた。

 「あー。彼女たちには生徒役を頼んで置いたんだけど、どうやら五人とも、テスト中に不正を働いたらしいな。だからあの補修(拷問)部屋に立たされてるんだろう」

 「せ、生徒役って……」

 「……一体、どういうつもりで、この諸悪の根源に協力なんかしてるのかしら。ちょっと問い詰めてやるわ」

 「あ、華琳さんすとっぷ」

 「え?」

 じーっと突っ立っているだけで、律儀にピクリとも動こうとしないその五人に、華琳が怒りのオーラを背負って近づこうとするが、狼の待ったの台詞がその背にかけられた。

 「一応言っとくけど。みんなもちゃんと目的があって、こちら側で参加をしてるんだから、理由等を問い詰めるのは無しの方向で」

 「……目的?」

 「そ。……君たちを一番笑わせることが出来た人には、特別賞として、”一刀との現代での一日デート権”を、差し上げることになってる」

 『な!?』

 それはそれでなんてうらやましい。

 と、声にこそ出さないまでも、みな一様に同様のことを頭に浮かべた。 

 「ちなみに、そのデート権だけど、君たちにも副賞として贈呈することにしたい。『え?!』……個人戦の成績、つまり、一番お仕置きをされなかった人一名に、ね。だから」

 「わかったわ。細かいことは気にせずにおきましょう。いいわね、みんな?」

 『はい!』 

 「(……よしよし。こっちの思惑通りになってきたな♪ひひひ)」

 

 ……個人的な足の引っ張り合い。

 

 それぞれの所属国間だけではなく、個々人でもそれが行われる事となった、まさにその瞬間であった(笑。

 

 

 

 「……とりあえずそれはさておき、姉さまたちは何をしたのかしら?」

 「あの札にそれが書いてあるはずだよ。さらし者の刑の最中だからね」

 「ふーん。どれどれ……」

 突っ立ったままの五人の前に行き、彼女たちがかけている札を見る桃香たち。そこにはそれぞれ、こう書かれていた。

 

 雪蓮:『テスト中にゲームをしていました』

 恋:『テスト中に、およそ十人前の弁当を食べていました』

 風:『テスト中、鼻ちょうちんを出して、堂々と寝ていました』

 凛:『テスト中に、HA・NA・JI、を出しました』

 紫苑:『テストを年齢をごまかして受けていました』

 

 「……なんか、ほぼいつもどおりって感じね」

 「ですね。特に笑うところはないですよ、華琳さま」

 「というか、稟さんの札の字、間違ってますよ、これ」

 「そうですね。正しくは”HANADI”、ですね」

 「……桃香がそれに気づいたことが、私はびっくりなんだけど?」

 「あー、華琳さん酷いですー」

 ぷーっとほほを膨らませて怒る桃香。それを見た華琳が。

 「冗談よ、冗談。ふふふふ」

 「か、華琳さま!」

 「え?『じゃじゃーん!華琳、あうとー!』……あ」

  

 どどどどどどど!「な、ちょ!?今のも駄目なの!?」ぐりぐりぐりぐりぐりぐり!「ア゛ッーーーーーーーーー!!」どどどどどどど!

 

 「うう……。ゆ、油断したわ……」

 「あ~……。と、ところで、先ほどから気になっていたんだが、”上”に張り付いて、というか、矢で磔られてるのは?」

 愛紗が見上げたそこへ、一同もそろってその視線を移す。そこには、矢が体中のあちこちに刺さった状態でぶら下がっている、赤い和風鎧をつけた青年が居た。

 「……たしか、戦国、じゃないか?」

 「ですねー。まあ多分、この状態から察するに、紫苑に年の話をしようとしたんじゃないかと」

 『あ~、なるほど』

 「わかり安すぎてつまらないですね、蓮華さま」

 「そうね。多分これもネタのつもりだったんでしょうけど、私たちには通用しないわよ」

 「そうですね。普段、”よく見ている光景”ですから」

 誰がされているとは言わないけれど、と。愛紗の言葉にうなずく一同だった。……戦国、ご愁傷様。なむ。

 ちーんw

 

 

 「……え?!ちょっと!?出番これだけ?!納得いかーん!やり直しを要求するー!」

 

 

 ……なんか聞こえたような気がするけど、多分空耳だな、うん(笑。さあ、空耳なんて気にせず、次、いきましょうか♪ 

 

 「ぷぎゃー!(泣」

 

 

 と、泣き叫ぶ戦国を思いっきり無視して(酷)、その場を離れた一行はそのまま階下へ―――二年の教室がある二階へと降りてきた。

 「ほう。この階は上と違って、結構な数の人がいますね」

 「まあね。エキストラの多くはこの階の二年に属しているから」

 「何で二年なのかというのは、とりあえず聞かないでおくわ。……あら?あれって何かしら?」

 それに気づいた華琳が、廊下にぽつんと置いてあった、その三つの物体を指差す。

 「ああ。あれはゴミ箱だね。もやせるごみともやせないごみ、後はなまごみ。分別はちゃんとしないとね」

 「そーだねー。環境は大切にしないとねー。って、これ、全部札が落ちちゃってるよ。これじゃあどれがどれかわかんない」

 桃香が気づいたとおり、それぞれの箱の下に、それぞれの箱に張ってあったと思しき札が、箱から外れて落ちていた。

 「……なら桃香、それ、直しておいてあげたら?」

 「そーですね。えっと」

 「と、桃香さま!そんな不用意に……!!」

 愛紗の静止もすでに遅し。桃香はそれぞれの箱の下に落ちている札を、すでに拾ったあとだった。そして、それに書かれていた字に目を通した。

 

 『も痩せるごみ』

 『も痩せないごみ』

 『生(種馬)ごみ』

 

 「あはははははははははは!な、なにこれー!!あはははははは!!……あ」

 

 はい、残念でしたw

 

 ぱぱーん!『桃香、あうとー!』 

  

 どどどどどどどど!!ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり!!「に゛ゃあーーーーーーーっ!!」どどどどどどどど!! 

 

 「あうあうあう……。ぐすん。いいもん……桃香、負けないもん」

 涙目で気を取り直す桃香であった。

 「……ま、まあ、ともかく。今ので箱が全部ひっくり返っちゃったわね。思春、直すの手伝って」

 「はい、蓮華さま」

 と、先ほどの桃香へのお仕置きのドサクサで、すべて倒れてしまったゴミ箱を、蓮華と思春が一つづつ起こしていく。が。

 「……あら?これだけやけに重いわね。これは生ごみの箱よね?……今日って生ごみの日?」

 「そうだったかなー?どれどれ中には……っと」

 その一つだけ中身の入った箱をひょい、と持ち上げて起こし、狼がその中身を確認するため、そのふたを開けた。そこに入っていたのは。

 「……ああ。(中身を見せながら)生種馬(一刀)が入ってた」

 『ぶふーーーーっ!!(笑』

 

 生(種馬)ごみの箱に、ぴっちりと収まって入っていた一刀を見て、全員が一斉に吹き出しました。ということで♪

 

 ばっばーん!『全員、あうとー!!』

 

 どどどどどど!『い、今のは卑怯よー!』ぐりぐりぐりぐりぐり!!『はぎゅみぎゅにゃあー!(言葉にならない叫び)』どどどどどどどど!

 

 「……か~ず~と~……?貴方は一体、そ・こ・で、何を、しているのかしら?(ゴゴゴゴゴ)」

 うわー。華琳がめっちゃ怒ってるー。

 「いやあ、その、ね?貂蝉にいきなり連れてこられたと思ったらさ、無理やりこの中に押し込められちゃってさ~。まいったまいった。はっはっは」

 「……何か、そらぞらしいわね……」

 「ソレハ多分気ノセイデス、華琳サマ。ジャ、ソユコトデ」

 ぴうっ!

 「あ、逃げた!」

 「くっ!逃げ足の速い。……まあ、いいわ。今度会ったら、みっちりお仕置きしてあげるわよ」

 華琳ににらまれ、すたこらさっさと高速で逃げ出した一刀を、声は出さずに、ニヤリと口の端を吊り上げて見送る華琳であった。

 

 

 そんなこんなで、一行は次に、学園の一回へと降りてきた。

 「えっと。一階にあるのは職員室と、保健室。それから図書室と購買部。あとは……宴会場かな♪」

 『(何で宴会場が学校に?!)』

 「……なんかもう、いろいろ突っ込むのが面倒くさくなってきたわ……」

 「……私もよ、蓮華。ん?あれは……たしか村主じゃなったかしら?」

 『ほえ?』

 華琳が気づいたとおり、一人の学生らしき格好をした青年が、保健室からその姿を現した。

 「おやおや、これは皆さんお揃いで。見学中ですか?」

 それは、狼たちと同じくTINAMI派(勝手に作りました、すみません)という肯定派の一員である、村主7という人物だった。

 「まあ、一応ね……」

 「あはは。疲れてますねー、華琳さん。……ん、ちょっと失礼」

 『?』

 「は、は、は、えっきしっ!!」

 『か、カ○ちゃんくしゃみ!?』

 それは、かの伝説の、”カ○ちゃんくしゃみ”(笑、だった。で、それが出ると大概なにかしらおきr、

 くわい~ん!「はぐっ!!」

 『へ?』

 ……何かしら、起きるもんです。

 「……なんで、急に金ダライが落ちてくんだよ……!!」

 「え、焔耶ちゃん!?」

 「い、いつからそこに!?」

 「こ、これは桃香さま!……と、その他大勢」

 『誰がその他大勢かっ?!』

 突然降ってきた金ダライが脳天を直撃し、頭を抱えてうずくまっていたのは、蜀のヤンk、もとい、魏延こと焔耶だった。

 「あ、へ、へ、ひ」

 『あ』

 「いっきしょい!!」

 くわ~ん!

 「はにゃっ!!」

 「こ、今度は誰だ?!」

 焔耶とはまた別の方向から聞こえた、その気もちいいくらいの金属音と、甲高い声。そこにいたのは。

 「鈴々!お前も来ていたのか?!」

 「痛いのだ~……はにゃ?桃香お姉ちゃんと愛紗と……その他大勢なのだ」

 『だから!誰がその他大勢かっ?!』

 くくく、と。そんなほかの面子のやり取りに、何とか必死に笑いをこらえている桃香と愛紗。でもって、三度。

 「は、ふ、ひ、ほ、へ」

 『ちょ!お願いだからもう……!!』

 「びっきしょい!!」

 こわわ~~ん!!「おごばっ!?」

 「あ。狼さんに落ちた」

 「……いい気味よ」

 「ふん。……天罰だな」

 なぜか、自分の頭にまで落ちてきた金ダライの痛みに頭を抱えたまま、狼はその元凶である村主へとくってかかる。

 「いででで……。おいこら村主!何で俺まで巻き込む!?」

 「いや、別に巻き込もうとしてやってるわけじゃ……ふぁ」

 『げ』

 「ふぁ、ひ、ふぉ、ふぇ」

 『まて!ほんとに抑えて!頼むから!』

 くしゃみは急には止まらない。

 「えきしっ!ぶぇっきし!(止めとばかりに)いえっきしっっっ!!」

 

 かーん!きーん!こーん!『ほべらばっ!?』

 

 三連発で落ちましたw

 

 『~~~~~っ!!も、だめ。あ、あははははははははっ!!』

 

 じゃんじゃーん!『全員、あうとー!』

  

 どどどどどどど!『……も。好きにして』ぐりぐりぐりぐりぐり!!『ア゛ッーーーーーー!!』どどどどどどど!!

 

 「……えっと。じゃ、じゃあ僕はこれで!皆さんお達者でー!」

 ぴゅーん、と。

 足早に走り去っていく村主。

 

 その場に残されたのは、頭と足、それぞれの痛みに悶絶する、八人の少女と一人のおっさんであった。

 

 

 

 「……とまあ、ちょっとしたアクシデントがあったけど、とりあえず気を取り直して行きましょうか」

 再び場面は待機所である。

 この部屋に戻ってきた一同は、各々にあてがわれた机に座り、狼の話を黙って聞いていた。

 「とはいっても、正直そろそろ夕ご飯時だし、ここらで食事の時間としましょうか」

 「え!ほんとに!?」

 「それはありがたいわね。正直、なれないことの連続で、気がどうにかなりそうだったけど、食事ができれば少しは落ち着くでしょう」

 食事の時間にしようという、狼のその言葉に、素直に喜ぶ桃香と蓮華。が、残りの面子は素直に喜んではいなかった。

 「……まさか、とはおもうけど。食事にまで何か仕掛けてないでしょうね?」

 「そこはご心配なく。なにしろ腕を振るったのは、あのジョージだからね。彼の作るものに、下手なことはできないって(……後が恐いからさ)」

 「ジョージが、ですか。それはいいですね。彼の作る料理は一品ですから。ですよね、華琳さま」

 「まあ、ね。彼の料理が食べられるなら、普通ならとってもうれしい事なんだけど」

 さすがは曹孟徳。そう簡単に、油断はしない(?)らしい。

 「まあ、そう警戒しなくてもいいよ。ご飯ぐらいは、ちゃんとしたものを食べれるようにしてあるからさ♪(……そう、”食べるのは”、ね)」

 

 じゃあ、もう少しだけ待っててな~。そう言って、狼は部屋を出て行った。

 

 「……まあ、なんにしても、だ。これでどうにか一息つくことが出来ますね、桃香さま」

 「そーだねー。(ごそごそ)」

 「……で?今度は一体何を、しているのかしら?」

 なんかデジャブを感じる光景だった。愛紗の声に答えつつ、桃香がなにやら机の引き出しを探っていた。

 「あ。何かボタン見つけちゃった」

 『?!』

 「何かな何かな~?……ぽちっとな♪」

 『ちょっーーー!?』

 全員の反応を待たず、引き出しの中にあったボタンを、問答無用で押した桃香。すると、

 

 ぴんぽんぱんぽーん。

 

 「な、なに?!」

 『連絡事項です。華琳さん、華琳さん。「わ、わたし?!」これから、貴女は一発ギャグをしてください』

 「……は?」

 『尚、拒否・もしくは受けなかった場合、いつもとは少し違うお仕置きが待っております。受けても特に何もありませんが、がんばって下さい♪』

 

 ぴんぽんぱんぽーん。

 

 「くっ……!!桃香、後で覚えときなさいよ?」

 「や、やだな~華琳さんってば~。(ジロ)ひっ!……め、目がマジだよ~愛紗ちゃん~!!」

 「……自業自得です(ぷい)」

 涙目ですがりつく桃香から、そっぽを向く愛紗。……うん、気持ちはわかるw

 「ふえ~ん。愛紗ちゃんが冷たいよ~……」

 「……華琳さま、あの、どうされるんですか?」

 「……やるしか、ないでしょうが」

 「……華琳の一発ギャグ、ね。ちょっと見物かも」

 ギッ!!

 「……ごめんなさい」

 すっごい目でにらんできた華琳の視線に負け、ちっさくなる蓮華であった。

 

 「……こんなこと、私の人生で初めてなんですからね?笑わなかったら酷いわよ?」

 「う。で、でも、それでもし笑ったらやっぱりお仕置き……なのかな?」

 「……誰が原因ですか?」

 「……ごめんなさい」

 

 「じゃ、じゃあ、いくわよ?……ごほん!」

 ごくっ。

 華琳の人生、初の一発ギャグ。それは、こんなものだった。 

 

 

 

 

 

 

 「と、『隣の空き地に囲いが出来たんだってー』  『……そんなものは壊してしまいなさい』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん。

 

 

 「……えっと。それ、で?」

 「……それだけよ///」

 

 再び。

 

 

 しーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん。

 

 

 

 ばっばーん!『華琳、あうとー!』

 

 どどどどどどどど!!

 いつものごとく現れる黒尽くめたち。だが、普段とは少しだけ様子が違っていた。

 「……どうにでもしなさいよ……って、ちょっと、それ、なに?!」

 羽箒。それを、黒尽くめたちは手に手に持っていた。で、

 

 こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ!!

 

 「きゃははははあははははははははははははっはは!!やめて!やめて!ひゃははははははははははははははははは!!そ、そこはら、らめえええええええーーーーーー!!」

 

 どどどどどどどど!!

 

 「……こっちのお仕置きのほうが、よっぽど性質悪いかも」

 「……足つぼマッサージでよかったね、普通のお仕置き」

 こっくり、と。

 ぐったりしている華琳をよそに、桃香の台詞にうなずく面々であった。

 

 

 「はいはい皆さんお待たせ~。夕ご飯の到着ですよ~……って、華琳さん、どうかしたの?」

 食事の準備が整ったのを知らせにきた狼が、机に突っ伏してぐったりとしている華琳を目に捉え、いったい何があったのかと問いかける。

 「……なんでもないわよ」

 「そうそう、なんでもないんですよ。華琳さんが自爆しただけです」

 「……と・お・か?(ギヌロ)」

 「!!……失言でした。ごめんなさい」

 よほどすごい顔でにらみつけられたのだろう。華琳のその一言で、思いっきり縮こまる桃香であった。

 「ふーん。まあ、何があったか知らんけど(ほんとは、モニターしてたからちゃんと知ってるけど♪)とりあえず、ご飯を食べて元気だしなって。な?」

 「……とか言っておいて、どうせ貴様たちのことだ。食事にも何か仕込んでいるんだろうが」

 と、殺意全開で狼をにらみつける思春。しかし狼のほうはけろっとした表情で、

 「大丈夫だって。さっきも言ったろ?ジョージの作った料理に細工なんか出来ないって。おーい、二人とも~。料理を運び入れてくれ~」

 『あらほらさっさ~♪』

 どっかで聞いたような返事をしつつ、二人の男性が山のように料理の盛られたカートを押し、部屋の中へと入ってきた。

 「……森羅と黒山羊ではないか」

 「久しぶりだね~、愛紗。元気してる?」

 「……どうも」

 愛紗に明るく返事を返したのが、黒山羊という名の人物。でもって、どことな~く無愛想にしているのが森羅。やはりこの二人も、狼たちと同じ派閥に属する管理者たちである。

 「この二人には、アルバイトで雑用を手伝ってもらってるんだ。ちなみに、二人とも無報酬」

 「それはアルバイトとは言わないっ!」

 「……ボランティア、だ。正確には」

 「ま、そうとも言うね♪」

 『(そうとしか言わないでしょうが)』

 気を抜いたらこぼれそうになる笑いをこらえ、頭のなかで突っ込みを入れる一同だった。

 

 「ま、かる~い冗談はさておいて。『北の西ローランドゴリラ』こと、『瑚裏拉麺』店長、峠崎ジョージ渾身の一品だ。さあみんな、心行くまで堪能してくれ!」

 その狼の言葉とともに、さまざまな料理が、彼女たちの目の前に並べられていく。

 「こ、この品揃え……!!ま、まさかこれは?!」

 「猿の脳味噌に、熊の掌、燕の巣のスープに鮑の煮付け……!!」

 「これって、もしかして」

 これでもかという位に並べられた、徹底的に贅を凝らした、その数有に百種を超える、その豪華な料理の数々。

 「ふふふ。そう。これこそ、あの超有名な宮廷料理。さあ、森羅に黒山羊よ!この至高にして究極の料理の名!皆に聞かせてやるがよい!」

 と。

 狼に料理の名を告げるよう促された二人は、大きく息を吸って、声高らかにそれを発表した。

 

 『(某大サーカスの黒ちゃん声で♪)”満漢全席”です!』

 

 『ぶはははははっっっっっ!!』

 じゃっじゃーん。『全員、あうとー!』

 『……』

 

 どどどどどどど!!『嘘つきーーっ!ご飯には何もしないって言ったくせにー!』ぐりぐりぐりぐりぐりぐり!!『ふぎにゃーーーーー!!』どどどどどどどどど!!

 

 「……言ったとおり、”ご飯には”、なんにもしてないよん♪だから、嘘はついてません。えっへん♪」

 

 

 

 と。

  

 そんな感じで食事前のレクリエーション?も無事に済み(笑)、一同は今度こそ本当に、ジョージ特製の満漢全席(味はもう絶品だったそうである)に、舌鼓をうった。

 

 腹も満たされ、ようやくつけた一息。

 

 しかし。

 

 狂気の宴はまだまだ終わりではない。

 

 現在時刻、PM19:00。

 

 この饗宴の開始から、これで七時間。まだ、三分の一ほどしか、時間は経っていないのである。

 

 これから、恐怖と笑いに包まれた、長い長い夜が彼女達を待ち受けている。

 

 はたして、彼女たちは無事、残りの時間を過ごすことが出来るのか?

 

 彼女たちに、続々と襲い掛かる、笑い地獄よりの使者たちの、次なる武器(ネタ)は?

 

 次回、笑っちゃいけない二十四時、in恋姫。その後編に、続く……。

 

  

 


 
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