一刀
「おはよう!」
紫苑
「おはよう一刀。
今日も格好良いわね」
一刀
「おう!
母さんも相変わらず美人だぜ!」
紫苑
「……あらあら」
一刀
「あ、赤くなるなよぅ」
息子だよ俺。
璃々
「おはようお兄ちゃん!」
一刀
「おはよ。
今日は璃々の入学式か」
真新しい赤いランドセルを背負っている璃々。
璃々
「うん!
りり新しいお友達たくさん作るの!」
一刀
「そっかー。
璃々なら友達百人くらいすぐ出来ちゃうぜ!」
それは間違いないと思う。
璃々
「頑張る!」
紫苑
「それじゃあ璃々の入学式に行ってくるわね」
綺麗な格好をした母さん。
一刀
「行ってらっしゃーい」
璃々
「いってきまーす!」
紫苑
「一刀も遅れないようにね」
一刀
「おう!」
◆ ◆
桜が舞う通学路。
桜って散ってる時が一番綺麗だと思う。
なんとか入学式まで咲いてくれたのはよかった。
これから一年間また頑張っていこう。
ドン
一刀
「おお!?」
突然腰のあたりに衝撃が走る。
一刀
「恋かよ。
脅かすんじゃねえよ」
恋
「ん?」
良く分かっていらっしゃらない様子で。
一刀
「おっす」
恋
「おっす」
同じ返事を返してくる恋。
一刀
「兄貴はどうしたんだ?」
恋
「知らない」
一刀
「知らないって……いた」
少し離れたところを走っている男。
一刀
「久しぶりだな于吉」
于吉
「はぁはぁ。
ひ、久しぶりですね一刀君。
わ、私を置いて行かないでください恋」
恋
「……うるさい」
于吉
「ぐふ!」
相変わらずな兄妹だ。
一刀
「制服似合ってるな。
かわいいぞ」
恋
「……当たり前」
于吉
「ふふふふふふ。
はじめに制服姿を見たのは私ですけどね」
恋
「きもい」
于吉
「…………」
これもいつもの風景だな。
◆ ◆
于吉が恋を新入生の集合場所に送っていったので俺は一人校門に。
及川
「かっずぴー!
会いたかったでー!」
眼鏡をかけた男が走ってくる。
そういえば于吉も眼鏡だな。
一刀
「よっ」
及川
「それだけかいな!?
もっとこう『会いたかったぜ』とかないんかい」
一刀
「ない。
男と会っても嬉しくねえよ」
及川
「ひどい。
ひどいでかずぴーーーー!」
そのままどこかへ走り去った及川。
どうせクラス発表を見に行ったんだろうけど。
「ね、あれ一刀じゃない?」
「へぅ? あ、いました!」
こちらに向かって走ってくる二人の女の子。
そのうち一人は胸がゆっさゆっさと揺れている。
朝から刺激が強いぜ。
桃香と月だ。
桃香
「久しぶりだね一刀!」
月
「おはようございます一刀さん」
一刀
「おはよう。
ちょっと見ない間になんつーかさ、
大人っぽくなったな二人とも」
桃香
「わお!
一刀って分かっていても相変わらずドキドキするね」
月
「へぅ~」
こんなことばっかり言ってるからよく女たらしって言われるのかな。
特に及川に。
桃香
「ここで何してたの?
もしかして私達を待っててくれたの?」
一刀
「おう。
一緒にクラス発表見ようと思ってな」
桃香
「ああー!
クラス替えだよクラス替え!」
月
「そういえばそうですね」
一刀
「みんな一緒になれればいいけどなー」
桃香
「去年は月と一緒になれなかったもんねー」
一刀
「今年は絶対なる!」
月
「はい!」
◆
桃香
「ああ!
今年も一緒だよ一刀!」
一刀
「やったな。
月はどうだった?」
月
「二組でした~」
ちなみに俺と桃香は三組。
とういうことは一緒になれなかったってことか。
一刀
「そっかー。
昼飯は一緒に食おうな!」
桃香
「うんうん!
絶対だよ!」
月
「はい!」
一刀
「担任は誰だろう?」
鬼教師の法正とかだと最悪だな。
嫌われてるし。
桃香
「えっとー、南海先生だって。
新しい先生かなー?」
南海ってどこかで聞いたことのあるような。
月
「私は冥琳先生でした」
一刀
「おっ、
姉ちゃんの記念すべき初担任だな」
いきなり担任を任せられるとはさすが姉ちゃん。
桃香
「いいなー。
一刀のお姉ちゃんだもんね」
うちに遊びに来たことがある二人は姉ちゃんと知り合いなのである。
◆ ◆
桃香
「及川君久しぶりー」
及川
「桃香かー。
相変わらずな感じやなー」
桃香
「だめだね」
及川
「何がや?」
桃香
「全然なっちゃいないよ及川君」
一刀
「いやースッキリ」
及川
「今年も同じクラスやでかずぴー!」
一刀
「去年と同じメンバーだな」
特に席が決まってないようなので窓際の一番後ろに座る。
桃香
「私も窓際にしよー」
及川
「ワイはかずぴーのとなりにしよ」
一刀
「げっ、
お前が隣かよ」
及川
「そんな照れんでもいいやんかー」
無視だ無視。
ガララ
雪蓮
「おはよー。
席決めるの面倒だから好きな場所座っていいわよー。
もちろん席替えもなしよー」
それを聞いて慌てて席を探す生徒たち。
そういえば南海って雪蓮ちゃんの名字だったな。
一刀
「ラッキーだったな」
桃香
「これも日頃の行いがいいおかげだね」
及川
「うおー!
美人教師きたでー!」
確かに雪蓮ちゃんは文句なしに美人だけど性格がなー。
雪蓮
「よし、
みんな席に着いたわね。
っと思ったらひとつ席が空いてるわね。
そこの眼鏡かけたエロそうな君」
及川を指す雪蓮ちゃん。
フリーダムだな。
及川
「はい!
及川祐です!」
いいとこ見せようと頑張る及川。
雪蓮
「良い返事ね。
ひとつ前の席が空いてるから移動しなさい」
ナイス雪蓮ちゃん!
及川
「了解でっせー」
桃香の隣に移動する及川。
桃香
「ちぇ、
どうせなら一刀がよかったな」
一刀
「前後だしいいだろ」
桃香
「教科書を忘れて見せてっていうシチュエーションがしたかったの!」
一刀
「なんじゃそりゃ」
雪蓮
「はい静かにー。
このクラスを受け持つことになった南海雪蓮よ。
面倒だから質問は受け付けません。
自己紹介も自分達でやってね」
桃香
「おお。
自由な先生だねー」
一刀
「人生のモットーらしいぞ」
桃香
「知り合いなの?」
一刀
「おう。
姉ちゃんの昔からの友達」
及川
「ずるいでかずぴー!」
一刀
「なにがだよ」
及川
「麗しいお姉様やお母様、
そしてプリチーな妹までいるくせして!」
一刀
「そういう家庭に生まれたからな」
及川
「憎しみで人が殺せたらー!」
雪蓮
「じゃあ転校生を紹介します」
クラスメイト
「ざわざわざわざわ」
いきなりだなおい。
雪蓮
「入って来ていいわよー」
ガララ
入って来たのは青髪の可愛い女の子。
ってあいつはラーメン屋にいた女だ。
青髪の女の子
「初めまして竜ヶ崎星です!
こちらに引越してきたばかりで分からないことだらけなので、
いろいろと教えてくれると嬉しいです!
よろしくお願いします!」
パチパチパチパチ
あれー?
あんな女の子じゃないはずなんだけど。
雪蓮
「席はねー、
一刀の隣にしましょ」
一刀
「おう!
こっちだこっちー」
雪蓮
「あの男の子の隣ね。
馬鹿だけど女の子には優しいから」
星
「はい!」
男子共の嫉妬の視線がチクチクと。
星
「よろしくね!」
一刀
「お、おう」
どうもあの時とのギャップに戸惑う。
桃香
「私は瀬尾桃香!
桃香って呼んでね星ちゃん!」
星
「うん!
よろしくね桃香ちゃん!」
及川
「ワイは及川祐や!
気軽に祐って呼んでや」
星
「わかった、
及川君!」
及川
「え、ああ、うん」
一刀
「俺は北郷一刀。
一刀って呼んでくれ」
星
「……うん。
一刀君って呼ぶね」
向こうも俺のことを思い出したのか表情が歪む。
一刀
「なんで猫かぶってるんだ?」
星
「な、なんのことかな?」
一刀
「メンマは食べれたのか?」
星
「っ!
……お主には関係の無い事だ」
こっちが素の喋り方ってわけか。
一刀
「まあいいや。
でも俺や桃香の前でいつまでもそのままでいられると思うなよ」
星
「…………」
なかなか頑固のようだ。
◆ ◆
華琳
「新入生の皆さんご入学おめでとうございます。
私達はあなた方のご入学を心より歓迎いたします。
これから――」
新二年生にしてすでに生徒会長である華琳の凛とした透き通る声が体育館に響く。
相変わらず凄い奴だと思う。
華琳
「――聖フランチェスカ学園生徒会会長瀬津華琳」
新入生だけでなく二年生、三年生も華琳に圧倒されたようである。
ほとんどの人が羨望の眼差しを向けていた。
桃香
「会長さんって凄いよねっ」
一刀
「ああ」
ほんとに凄い奴だよ華琳は。
◆ ◆
一刀
「いたいた。
お~い恋!」
こちらに気付いた赤髪の女の子はトコトコと歩いてきた。
桃香
「この子が于吉君の妹!?
かわいいー!」
月
「あまり似てませんね」
于吉
「どうみても私そっくりじゃないですか」
恋
「……(ビクッ)」
桃香の大きな声で俺の後ろに隠れる恋。
やれやれ。
桃香
「あれー?
嫌われちゃったのかな?」
一刀
「違うよ。
恋は人見知りなだけだよ」
桃香
「そうなんだー。
私は瀬尾桃香っていうの。
よろしくね恋ちゃん」
月
「私は戸羽月です」
恋
「…………一刀の友達?」
俺の友達なら安心なのかな?
一刀
「おう。
二人とも俺の友達だぜ」
恋
「……ん」
『ん』じゃわからねえだろ。
一刀
「ほら、ちゃんと自己紹介して」
于吉
「頑張ってください恋」
恋
「……恋」
桃香
「よろしくね恋ちゃん」
月
「よろしくお願いします恋さん」
恋
「桃香、月」
桃香
「わお」
月
「へぅ~」
何照れてるんだお前ら。
「か、一刀先輩!」
一刀
「ん?」
どっかで聞いたことある声だ。
一刀
「おお!
愛紗じゃん」
俺が中学の時の後輩だ。
愛紗
「お久しぶりです」
一刀
「愛紗もここに入って来たんだな」
愛紗
「はい。
ここで剣道部に入ろうと思いまして」
うちの看板だからな剣道部は。
一刀
「そっか。
愛紗なら十分やっていけるさ」
愛紗
「頑張ります!
一刀先輩も剣道は続けているのですか?」
一刀
「いや、
高校では続けてないよ」
続ける意味が無くなったというか意欲がなくなったというか。
愛紗
「そうだったのですか……」
どことなく残念そうである。
まあそれは置いといてこれはいい機会だ。
一刀
「恋、この子は俺の友達の愛紗だ。
同じ学年だから仲良くしときな」
同学年に友達がいた方が何かといいだろうしな。
恋は俺の友達なら安全だと思っているので愛紗の前に立つ。
恋
「……恋。
…………よろしく」
愛紗
「おお。
同じクラスだったな確か。
私は愛紗だ。
よろしく頼むぞ恋」
恋
「愛紗」
愛紗
「はぅ~」
だからどうして照れるんだよ。
◆
「なあどっか遊びに行かへん?」
「お断りします」
「そう言わんでさ~、
ワイがおごったるから」
新入生がナンパされていると思ったら及川だった。
嫌がっているみたいなので止めに行くか。
一刀
「おい、
その子が嫌がってるだろ」
及川
「なんやてー!
ってかずぴーやないか」
及川を無視してナンパされていた女の子を見る。
一刀
「……もしかして蓮華って名前?」
及川
「その口説き方古いでかずぴー」
蓮華
「な、なんで私の名前を」
及川
「な、なんでや!?」
やっぱりそうか。
一刀
「誰かに似ていると思ったら雪蓮ちゃんにそっくりだったからさ」
蓮華
「姉さんの知り合いですか?」
一刀
「おう。
よく家に遊びに来るからな!」
蓮華
「もしかして一刀先輩ですか?」
向こうも俺を知っているようだ。
一刀
「そうそう。
北郷一刀だ」
蓮華
「姉さんから話は伺っています」
一刀
「……ちなみにどんな話?」
蓮華
「い、一緒に寝――」
一刀
「ストォォォォォォォォップ!
それ、勘違いだからね!」
本当は勘違いでもないんだけど。
蓮華
「そ、そうなのですか?」
一刀
「勘違いだ」
蓮華
「てっきり姉さんの恋人かと思っていました」
一刀
「雪蓮ちゃん……」
説明不足にも程があるぜぇー。
及川
「蚊帳の外かいな」
◆ ◆
一刀
「友達は出来たかー?」
璃々
「うん!
朱里ちゃんと雛里ちゃんとお友達になったよ」
一刀
「そっかー。
すごいぞ璃々!」
璃々
「うん!」
真・恋姫†無双 ~俺は君に恋をする~
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冥琳を23歳としよう。
璃々を7歳としよう。
じゃあ紫苑は何歳でしょう?