「・・・」
急に胸が痛くなる
「・・・」
今まで感じることが無い痛み
「・・・」
これほどの痛みを感じたのは初めてのことだ
「・・・」
この痛みは・・・どこから来ているのだろう
「・・・」
私は・・・どうしたのだろうか?
呉外伝~春に蓮なる思い
「今日もいい天気ね、思春」
「はい、蓮華様」
そんな他愛の無い会話をしながら廊下を歩いている
「今日は非番だし、町にでも出掛けようかな・・・一緒に行く?」
「・・・二人だけでですか?」
「そうね・・・皆忙しそうだし、そうなるかな」
「・・・了解です」
そうして出掛けようかとしたところ
「おーい!蓮華!」
聞き覚えのある声が聞こえてきてので振り返って見ると
「一刀?」
「・・・」
そう蓮華が答える
「あ、思春も一緒だったんだ」
「・・・ああ」
いつも通り素っ気無く答えておく
「二人して・・・お出かけ?」
「う、うん、今日非番だから・・・」
「・・・」
「そっか・・・俺は小腹がすいたから、ちょっと飯に行こうかなって」
「そうなんだ・・・あ」
「・・・」
「なら、一緒に行かない?どうせ私達もご飯食べるだろうし」
「・・・」
「そう?蓮華達が良いなら喜んで御一緒させてもらいたいけど」
「断る理由が無いわよ、ねぇ思春?」
「・・・」
「・・・思春?」
「・・・あ、すいません。聞いておりませんでした」
まただ・・・この二人が会話してると、しょっちゅう気が抜けている
「一刀が増えて三人になっちゃったけど、大丈夫?」
「はい、問題ありません」
・・・なぜだろう
「よし、それなら話が早い。行こう」
「うん。さぁ、行くわよ思春」
「・・・御意」
なぜか、モヤモヤする
「一刀!あそこ行ってみようよ!」
「OK」
二人してまるでカップル(北郷曰く男と女が一緒に居るとそういわれるらしい)みたいにはしゃいでいる。他の人が見てもそれ以外にみえることはないだろう
「・・・」
「どうしたの思春?」
「・・・えっ?」
また気が抜けていたみたいだ。らしくない
「さっきからボーっとしてるみたいだけど・・・」
「・・・貴様に心配される筋合いは無い」
「相変わらずツンデレだなぁ、思春は」
いつの間にそんな名で呼んでいるのだ貴様は。意味が分からぬぞ
「思春、具合悪いんじゃないの?ずっと私に付きっきりだし」
「臣下が主君に付きっきりなのは当然です」
「それにしたって・・・ねぇ、一刀?」
「・・・」
まただ
「そうだな・・・」
また、モヤモヤし始めた
「いえ、蓮華様、私は大丈夫ですので、心配しないように」
「そんなのダメよ・・・貴女に何かあったら、皆に怒られるわ」
「ですが・・・」
「そうね・・・じゃあ」
「?」
「今日は城に帰って休憩しなさい。これはお願いじゃなくて命令よ、思春」
「なっ・・・!何を言っておられますか!そのようなこと・・・!」
「思春」
「・・・・・・・・・御意」
逆らえる訳も無く、私は城に帰ることにした
「大丈夫かな?思春・・・」
「思春なら大丈夫よ。ほら、あそこに行ってみましょうよ」
「う、うん・・・」
二人の楽しそうな会話にモヤモヤしながら
「・・・」
私は城に帰ってきた後、飯を食べる気にもならず、城壁に座りながら佇んでいた
「何をしているのだろう・・・私は」
「ここに来てから・・・蓮華様は楽しそうにしてらっしゃる」
「そんな蓮華様の笑顔を見ることが出来るのは良いことなのだ」
「だが・・・この心の奥にあるモヤモヤは・・・なんなのだ」
そんなことを考えながら耽っていると
「どうしたのじゃ?」
そう言いながら声を掛けてきたのは
「・・・公覆殿」
「何やら浮かない顔をしておるのう?」
「いえ・・・別に、なんでもないです」
「そうかのう?なにやら言えなさそうな悩みを持ってるように見えるのじゃが」
「・・・」
この人は人の心を読むような能力でもあるんじゃないだろうか?
「いやいや、長い間生きているが、そのような能力に目覚めた実感はないぞ?」
・・・絶対に確信犯だろう、この人・・・
「まぁ只悩むだけではスッキリもしなかろう、話すだけ話してみるのはどうじゃ?」
「・・・そうですね」
半ば諦めた私は、このモヤモヤについて話していた
「ふむ・・・なるほど」
話を聞き終えた祭は、納得したような顔をしながら
「それはな、興覇殿」
「はい・・・」
「恋というものじゃな」
「こっ・・・恋、ですか?」
いきなり何を言い出すのか、この人は?
「うむ。想い人ができ、その人のことを想うと胸がいっぱいになる。そして、その人に対する気持ちで心がモヤモヤする」
「・・・」
「図星のようじゃな」
「・・・」
私が、恋を?
私のようなものが、恋をしているとでも?
そんなこと・・・
「口では嘘をいえても、心の中には嘘はつけぬぞ?」
「・・・」
「まぁまだ本人には自覚がないようじゃな」
「・・・」
「なら、今夜にでもその人に会ってみてはどうじゃ?」
「!?」
また急に何を言うんだ、この人は
「興覇殿はそのような感情は持っていないのだろう?ならば、会っても問題はないであろう?」
「・・・」
そのとおりだ。別に私にはそのような感情があるわけがないのだから
「無理にとは言わないが、ぞのモヤモヤの正体を知りたければ、会ってみるのじゃな」
そう言いながら、祭は立ち去っていった
「・・・」
大きな酒瓶を持ち歩きながら
「で・・・来てしまったか」
あれから祭の言葉に「恋をしているのか?」「そんなまさか」と何回自問自答しただろうか
「私が・・・あいつを気にしている?」
何回自問自答しても、モヤモヤが消えることはない
「ええいっ・・・イライラさせる・・・」
あいつに会ったら意も言わせずに殴ってやろう。そうでもしなければ、今日の苛立ちを何処にぶつけるというのだ
「よし・・・」
気づかぬに早足になっていてのか、部屋に着くまでそう時間は掛からなかった
「北郷、入るぞ」
「う・・・ん?誰・・・?」
よし、油断しきっている。今なら殴りかっても気づかれ・・・
「・・・」
「・・・」
「・・・・・・」
「・・・思春?」
「・・・えっ?」
声を掛けられて気づくと、北郷が目の前に立っていた。
「なっ・・・」
何故私は気を抜いていた?入る前は集中していたのに・・・
いつから・・・
そう問われたら・・・
「大丈夫?」
こいつの顔を見てからだ
「なんでもない、心配などいらん」
「そう?ならいいけど・・・」
相変わらず心配性なのだなこいつは
「で、どうしたの?何か用事?」
「う、うむ・・・」
用事・・・このモヤモヤも消すために来たのに、そう言っては不思議がられるし、かと言って・・・
「・・・もしかして」
「?」
「俺に逢いに来てくれたとか?」
「!?な、なにを言っている貴様!そんなわけがないだろう!」
「でも、他に来そうな理由なんて・・・」
「そ、そうだ!今日の蓮華様の様子をだな!あの後何があったか私は知らないからな!」
ナイスな理由だ私。これなら怪しまれる心配も・・・
「そっか。まぁちょっとさっきのを否定されたのは悲しいけど」
心配?
「じゃあ入り口だとなんだし、部屋の中にでも・・・」
「・・・」
何故そんな心配をしなければいけない
私は只、蓮華様のためを思って・・・
「えっと・・・思春?」
別に私が会いたいからとかそんなんじゃなくてだな・・・
「おーい・・・」
だから、私は・・・
曖昧になりながら考えていると
あの言葉が出てきた
「それは・・・恋というものじゃな」
「!!!????」
「思春!?どうしたの!?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「急に顔が真っ赤になったけど・・・」
「・・・るな」
「へ?」
「今の私の顔を・・・」
そう言いながら私は
「見るなぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁ!!」
「どうs・・・がふぅ!?」
北郷に、強力なボディーブローを撃っていた
「くそぉぉぉぉぉおおおおぉぉぉぉ!!どうしたのだ私はぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁ!!」」
そして、勢いよく走り去っていた
「・・・若いとは良いのぉ」
そう祭が微笑みながら、長い一日が終わったのだった
あとがき
最後まで読んでいただきありがとうございます
今回は恋姫では人気ありまくりな思春さんを書いてみましたよ
そういえば蜀以外書くのって初めてですね・・・
思春って蓮華以外の絡みってあまりみないからあってるかどうか微妙ですが・・・
とりあえず、まだまだ下手でありますが、沢山書いていきたいと思います
ではでは!
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今回は恋姫の人気ツンデレ、思春の物語です
原作崩壊してなければ幸いです
では、どうぞ!