「白き光よ!我らを導け!」
「(我が黄泉への道を切開け!)」
一刀と韓湘子の声が重なった瞬間
一刀の右手に、純白の日本刀が現れた
「『白帝剣』!!!!!」
新・外史伝『希望』編 第18話『白帝の継承者』
先に仕掛けたのは呂布。
先程とは、比べものにならないくらいの速さで一刀に近寄る。
「・・・はぁ!!」
ガッキィィィィン!
一刀は剣を巧に使い受け止めた。
ガィイィイン!!
「っく!強ぇ!」
そういいながら一刀は一歩大きく下がる。
張譲は本を片手に命じた
「畳み掛けろ!呂布!!」
「がぁああ!!」
叫びながら切りかかってくる呂布の攻撃に
「これならどうだ!」
一刀は白帝剣を合わせ、打ち合った
一撃…
一刀は白帝剣を斜めに構え、呂布の攻撃をいなした
二撃……
呂布は戟を上段に構え振り下ろし、一刀は白帝剣を振り上げた
けたたましい爆音と共に、両者の攻撃が弾かれる
三撃………
今度は、一刀が仕掛ける
白帝剣を持つ腕を回外させながら、上段に構える
呂布の戟めがけて回転を加えた攻撃を繰り出した
「がぁあああ!?!?!」
戟に当たった攻撃は呂布を怯えさせるには十分だった
呂布は雄たけびをあげながら後ろに後退する
そんな攻防を繰り返す中…
一刀は焦っていた
「(まずい…!
俺がさっき見た韓湘子の記憶では…
あの二人の戦いでは…
もっと、もっと、白帝剣は輝きを放っていたはずだ
そして、その力も俺の白帝剣とは雲泥の差では!?)」
そう、彼の白帝剣は薄い灰色の刀身をしていた
しかし、彼が記憶の中でみた白帝剣は…純白
そして、その力も凄まじいものだった
今の彼は呂布の相手をするのみで精一杯だった
「(俺では…この剣を使いこなせないのか!?)」
焦る一刀の攻撃は、荒々しいものになっていった
操られ、正気を失っているにも関わらず彼女の力は衰えていない
一刀は呂布の攻撃にあわせるコトが出来ず、ついに隙が出来てしまう。
今の彼の精神状態も相まって、その隙は大きなものだった
「がぁああああ!!!!!!!!。」
その隙を…彼女は見逃さなかった
叫びながら呂布は得物を突き出し、一刀の
「ちぃ!!」
白帝剣で弾き、呂布の戟の軌道を変える
しかし
「がぁああああああ!!!!!!!!!」
「なぁ!何っ!?」
呂布はそのまま追撃を仕掛けて来た。
「・・・はぁっ!!」
今度は下段からの攻撃だった
ガッキィィィィン!
一刀は何とか刃振り下ろす形で防しだが、一刀は数十センチ浮かんでしまう
「(な、なんて…力だ!)」
呂布はさらに追撃を仕掛けてくる
そのまま一刀の首を叩き落さんと戟を振るう
「ぐるぅううう!!!!」
「(まずい!)」
一刀は白帝剣を上段に構え呂布の攻撃を何とか防いだ
しかし、数十センチとはいえ空中にいた一刀
彼は仙人ではない
当然、左慈達の力なく宙に浮かぶことなんて出来ない。
その為、踏ん張るコトが出来ず…
「うわぁぁぁぁぁ!」
一刀は大きく吹っ飛ばされ、壁にたたき付けられた
「ぐはっ!」
そのまま地に倒れる一刀。
「いいぞ!!止めを刺せ!!!」
張譲の命令のもと、呂布が戟を掲げながらかけてくる
(「やばい……
やはり、人間の力では、呂布には勝てないのか…」)
SIDE 一刀
このままでは…負ける
俺は…こんなにも無力なのか?
白帝剣の力を引き出せず…
いや…そんなことはどうでもいい!
俺は…目の前の少女を救いたい…
いや!
救うんだ!!
『そうだ…それでいい。』
この声は…韓湘子?
『あぁ…
北郷一刀。貴様は今、己の無力さを知り、それでも尚救いたいと願っている
白帝剣を操るためには…貴様のように己の弱さを受け入れなければならない』
己の…弱さ?
『あぁ…己を知り、相手を知る。
白帝剣は弱者のための剣なのだ。
当然、ふるう者自身も…弱者でなくてはならん。
かつてのオレは…それを忘れ、そして敗北した
己の弱さを見つめ、人を思い、慈しむ心…
それらがあれば、お前は≪奴≫のように白帝剣の担い手になれるはずだ
今は無理でも…いつかは必ず
だから…今は、ただ…彼女を救うことだけ考えてみろ
そうすれば、白帝剣は答えてくれる
お前を継承者と認めてくれるだろう…
頑張れよ、北郷一刀』
韓湘子の声は次第に小さくなり、消えていった
「そうだ…今は、ただ…君を救おう」
一刀は白帝剣を構える
「白帝剣!!
お前の力を貸してくれぇ!!!!!!!」
とたんに、白帝剣が輝き呂布の戟を防いだ
「がぁっああ!!!!!!!!」
呂布は攻撃の手を休めない
一刀の白帝剣と呂布の戟が再び激突する
呂布は雄たけびをあげながら一刀を叩き潰そうと、腕に力を込め、弾いた
「殺ぅうううううう!!!!」
そのまま戟を突き出し、一刀の胸を抉り取らんとする
その一撃は確実に一刀の胸を貫いた
……はずだった
けたたましい轟音と共に弾かれる呂布の戟
呂布の瞳が映したものは…ありえない光景だった
白帝剣の刃先が捻じれ切れ、一刀の胸元を守っていたのだ
張譲は驚きの余り声を上げた
「な、何!?」
「むぅ?」
呂尚も同様に驚愕していたが、直ぐに頭を切り替え分析に入る
「(これが…噂に聞いた『白帝剣』ですか。
神剣『白帝』……一本で数多の奇跡を起こしうると聞いています。)」
≪終わり≫という絶対的な理を…捻じ曲げた!
今度は鍔迫り合いだった。
しかし、呂布が腕にいくら力を込めようとも一刀の白帝剣は一mmも動く気配が無い
この男の≪終わり≫を世界が拒んでいるかのように、戟は白帝剣に止められてしまう
一刀は距離をとるために後方に跳躍する。
そして、白帝剣を上段に構え、念じた
「(頼む!
呂布ちゃん達を救う力を…奇跡を…俺にくれ!!)
はぁああ!!!!!」
一刀が気合をかけると、白帝剣が金色の光を放ちだした
その光に呂布は怯えだす
「あぁあああ…がぁああ…」
「ど、どうしたんだ!呂布!!早く奴を倒せ!!!」
しかし、呂布は白帝剣を見つめたまま動けない
「…わい…」
「えっ!?」
「れぇん…こぉわぁい…」
彼女の声は弱弱しく、聞き取ることでやっとだった
「いくぞ!『白帝剣』!!
チェストォオオオオオオ!!!!!」
気合を込めて、剣を思いっきり振り下ろす
すると、その金色の光が剣先から斬撃となって放たれた
斬撃は呂布の体を貫き、その体から張譲のかけた呪詛のみを打ち払った
洗脳を解かれた呂布は、よろよろと崩れ落ちそうになる
「…呂布!」
一刀は呂布のもとに駆け寄り、抱きとめる
そのまま崩れ落ちる呂布の顔は穏やかであった。
「…お前は?」
「俺は一刀。
北郷一刀…君たちを助けに来たよ。」
にこりと優しい笑みを浮かべる一刀に呂布も微笑を浮かべる
「…お義母さん達…この奥にいる。
恋の変わりに…救ってあげて?」
「あぁ…分かった。
だから、安心して休んでくれ。
必ず、君の仲間を救うから。」
呂布は嬉しそうに頷くと、気を失ってしまった
呂尚はわが目を疑った
あの力は…あの光は…
かつてに肯定者であったときに一度だけ共に戦った少女の技。
その少女の名は、アーサー
そして、一度だけ見たことがあるその宝具の名は…
「…馬鹿な!?エクス…カリバー…?
い、いや…違う…
(どうやら奇跡とは何かしらの宝具の持つ固有能力のことのようですね。
それを数多に起こす。つまり、一振りの剣がいくつもの宝具としての能力を持つ…
そう考えるのが妥当なところです。
なるほど、北郷殿は無意識のうちに引き出しているようですが…)
これでは、分が悪すぎますね…」
「ば、馬鹿なぁ!」
張譲は目を見開き倒れ付した呂布をみる
「潮時か…」
呂尚は張譲の肩をつかみ
「ここは、おとなしく引きましょう。
呂布を失った時点で、貴方に勝機は皆無です」
撤退を呼びかける
「ぐぅううう!!!
し、しかし!まだ、この本があるじゃないか!?」
錯乱した張譲の額に術布を取り付けながらに言う
「今の貴方の精神状態ではろくな朮は仕えませんよ。
さて、では…北郷一刀殿。今回は、これで失礼しますが…。
次にお会いするときは、念入りに料理して差し上げますよ」
「ま、待ちやがれ!!」
張譲の部下達をぶっ飛ばし終えた左慈が叫ぶが…時既に遅し
「転移!」
呂尚の言葉と共に、二人の姿は掻き消えていた
洛陽から遠く離れたとある城
その城下の裏路地に二人の男がいた
呂尚と張譲であった
「呂、呂尚!!
は、早く城にもどれ!!!
あいつらを始末してくれよぉ!!」
睨みながら叫んだ
しかし
「・・・・・・・」
呂尚は動こうとはしない
「呂、呂尚?」
その時だった
???「(いい加減。飽きたわねぇ~…)」
どこからとも無く女の声が響いた
「な、何者!?」
張譲はあたりをしきりに見渡すが…誰もいない
「これはこれは…虞美人様。わざわざお出でとは…」
呂尚はゆっくりと頭を垂れる
「(張譲に付いたらもっと面白くなるかと思ったけど、計画の前段階で奴らにかぎつけられるなど論外ですわ。
せっかく盛り上がってきたのに、興醒めですわ!
もう少し楽しませてもらおうかと思いましたが、もう貴方には利用価値はありません。
呂尚…始末しておきなさい。)」
女の声はゆっくりと小さくなっていき、やがて消えていった
呂尚は無言のままゆっくりと張譲に振り向き、右手を虚空に差し出した
「来なさい…黒天(コクテン)」
その言霊と共に、一振りの大剣が彼の手に現れる
「お聞きの通りです。
残念ですが…時間切れですよ」
そう呟くと、張譲を切り伏せた
そのまま後ろへ倒れこむ張譲の手から太平妖術の書を奪い取る
「貴方の役目はここまでです。
これ以上の勝手は…正史に影響が出かねませんからね」
そういいながら歩み去る呂尚
「しかし、あなたのおかげで多くの負の力をこの書物に封じることが出来ました。
それについては…まぁ、感謝しておりますよ…。
これで、我が主もお喜びになることでしょう」
張譲は己の海に溺れながら、叫ぶ
「呂・・・呂尚ぉおおおおおおおおおおおおおお!?!?!?!?!?
ぎ、ぎざまぁああああ!!!!がぁっ…ぅ!!」
それが、彼の生涯最後の言葉だった
時を同じくして…
桃香は公孫賛の元で小さな村の管理人のような仕事をしていた。
賄賂なんかを請求してくるものは、基本無視を決め込んだ
そんなある日から、賄賂の請求がパタリと途絶えた。
洛陽からの連絡がぱったりと途絶え、皆それどころでは無くなったのだ
「劉備様!太守様…公孫賛様から伝令です!
洛陽にて、董卓が十常侍と何進大将軍を抹殺!
暴政を敷いているとのことです!
これに対し、袁紹様を盟主とする反董卓連合軍を結成!
劉備様もご参加くださいとのことです!」
そう…
賄賂を請求していた官連中は十常侍の命を受け、官になったもの達だったのだ。
彼らの官を保証していたものが一晩のうちになくなってしまい、ただの平民に成り下がってしまったからだった。
「街で噂になっている董卓さんの暴政は許せないよ!」
「その通りです。桃香様!我々も連合軍に参加しましょう」
「なのだ!!」
愛紗の一言でみんな肯定の意を表す。
連合への公孫賛軍としての参加を桃香たちはうけることにし、桃香たちは再び戦場に赴いていく
桃香「さぁ!洛陽を…陛下を助けよう!!」
劉備・公孫賛軍「「「おぉ~!!!!いざ!劉備様と共に!!!!」」」
公孫賛「おぉ~い!!ちょっと待てぇ~!!!お前達の太守は、私!わ・た・し・だぁ~!!!!!!!!」
公孫賛の叫びが虚しく野山に響くのだった
つづく
あとがき
投稿が遅くなって申し訳ありません
次回はもう少し早く執筆できるように頑張ります
今回は、バトルのみですが、次回から一刀の最強スキル「◎馬」が発動する予定です。
さて…本編もあとがきも短いのですが、今回は、ここまでとさせていただきます。
では、また次回のあとがきでお会いしましょう!
今回もご覧いただきましてありがとうございました
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皆さまお久しぶりです。
皆様の心温まるご支援の数々、本当にありがとうございます。これからも変わらぬご支援をよろしくお願いいたします。それでは、ごゆっくりお楽しみください。