No.213235

いっ奇なり モテ期

 今年で社会人3年目、いつの間にか彼女居ない暦2桁に到達してしまった主人公、七海 奏(ななみ かなで)は、出席した友人の結婚パーティーで、10年前の約束と邂逅する。

 昨日までの自分とはさよなら、いつの間にかドロドロの○角関係に発展してしまう、モテ期到来らぶコメ、ここにスタート!

2011-04-24 16:32:05 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:528   閲覧ユーザー数:523

 

今朝、懐かしい夢を見た。

私が高校2年の夏だったと思う。バレーの合宿で顧問の先生の実家に行った時に

迷子の女の子を家に送って行ったことがあった。

 

別れ際、女の子は私に何かを聞いてきた気がする。

質問は忘れてしまったけれど、とても真剣な表情が印象に残っている。

 

「10年経ったらまたおいで、そしたらいいよ?」

 私はどんな質問にそう答えたのだろう??

 

女の子の名前は確か…フウぴぴぴぴぴぴぴp!

 

目覚ましがなった。朝である。

 

会社に行く準備をする頃には、夢のことなどすっかり忘れてしまった。

 

夕方、今日はいつもより早い時間に退社。今夜は友人の結婚パーティーに参加する。

 

今回のパーティーは、友人たる新郎と、その若き伴侶の親しい人たちを招いたものになる。

受付で名前を言う。

受付には高校生位の女の子が居た。新婦のご家族だろう。

「七海 奏です」

「はい、・・・七海 奏、綺麗なお名前ですね・・・っ!」

 顔を上げ、私の顔をみた少女はなぜか目をパチパチさせていた。

「えと…」

「おぉ~~奏!来たか!!」

どうしたものか、固まっていると、本日の主役、私の友人、新郎がやってきた。

 

「おめでとう」

「おう!ん?どうした?なんかあったのか?」

「ん?いや、なんでもない」

「そうか、それじゃ、中に行こうぜ、皆もう来てるぞ」

 

パーティーはとても楽しいものであった。新婦の知り合いはほとんど知らなかったけれど

大学時代に戻ったようであった。

 

私達は大学を卒業し、就職して、友人が結婚した。嬉しさ反面、独り身のわが身を思う。

いつか夢見たバラ色の生活、彼女。しかし残念ながら、高校以来彼女はいない

大学時代はとにかく山登りに夢中で、色恋沙汰は正直二の次にしていた。

あいつと自分の違いは何なのだろう、幸せそうな新郎の横顔を見ながら思う。

今年で社会人3年目、そろそろ仕事にも慣れてきたし、周囲は結婚の話もちらほらだ。

 

宴もたけなわになり、そろそろ二次会の会場に移動するかという時間帯になった。

残念ながら明日はどうしても外せない用事があるため、自分は帰らなければならない。

 

 もう一度新郎新婦に挨拶に行く。

こんな奴だけれども宜しくお願いします。

「こんなやつとはなんだよ~、はっはっは、焼くな焼くな。」

「そういえば奏、おまえはどうなの?」

 幸せいっぱいの友人が聞いてくる。無言で首を振る。

「そうか、それは~それは良かった!」

 なにが良いものか、少しムッとするが、まあ今日ぐらい許してやるか。

「それじゃ、また、今夜は学生時代に戻った気分でした」

「俺もだよ。今度家に飲みに来いよ!な」

「おう!」

 

 帰り道、ホームで電車を待つ。

そういえば、去り際、新郎新婦はやけに、笑顔で手を振っていたような

ま、二人とも酔っていたからな。

携帯電話を取り出す。メールは特に無し。

時刻表を見る。電車はあと2、3分か…

帰ったら明日の用意だな…と思っていると

「あの…」

後ろから私の名を呼ぶ声がした。誰だろう?

振り向くと少女と目が合った。高校生だと思う。可愛い。

見たことがあると思ったら、受付に居た子ではないか。

「あなた・・・七海 奏さん?」

 

「はい・・・そうですけど・・・?」

「高校生の頃、萩森の旅館で合宿していませんでしたか?」

「萩・・・あぁ、確かコーチの実家がそんな名前だった気がっ!!」

言い終わる前に身体に衝撃!

「~~~~っ!!見つけた!!」

「え・・・って~~うわっ!!」

 少女は満面の笑顔で私の首に抱きついてきて言った。

「10年経ちました!私との約束覚えてますか??」

 固まって動けなくい私に向かって彼女は続ける。

「私を彼女にして下さい」

 

 
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