No.212991

不敗無双~恋姫達は顔を真っ赤に染めている!?~ 二話目

くらのさん

おまたせしました。二話です。楽進達の住む村にいる一刀。だけど何かを考えて……。もしよろしければ感想、コメント頂けると「ヒャッハー」って言いながら友達の家に乗り込んで狂喜乱舞いたします。それではケロリと楽しんでください。ケロリケロリ。

2011-04-23 02:11:44 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:7140   閲覧ユーザー数:5839

くわを振りおろして今日もせっせと農作業。

俺がこの世界にやって来て既に1ヵ月。

最初、ここが過去の中国。後漢だと聞かされた時は冗談だと思ったけど。流石に電気もガスも無い生活をすれば実感してしまう。

「ほんと、これからどうするかな……」

「師匠、どうかしましたか?」

「いや。で、楽進。相変わらず、その師匠を直してくれるつもりはないんだよね?」

「当たり前です。師匠は師匠なんですから。師匠を師匠と呼ばないのはおかしいです」

「だから俺は師匠なんて柄じゃないんだって」

 ため息を吐いて言った所で楽進の考えは変わらないらしい。

「それより師匠。そろそろ昼食の時間です」

「おっと、もうそんな時間か……」

 結局俺はあの戦いの後、楽進の家に厄介になることに。

 まさか、一人暮らしだとは思いもしなかった。流石にそれはまずいと断ったのだが、三人、とくに楽進が気にする様子どころか、懸命に進めてきたので泊まることにした。

「そういや、ここ最近。どこか空気がおかしいな……」

「空気、ですか?」

「ああ。なんて言うんだろう。こう、大きな戦いが起きる前のざわつきかな? ガンダムファイトが始まる時もこんな感じだった」

 出たことはないけど師匠が出ているのをそばで見ていた。その時の空気はどこか熱くて、それなのに冷たさを含んだ、どこか人の精神を高ぶらせるような。普段とは何か違うものだった。

それがこの辺りにも出てきていた。

「は、はぁ。がんだむふぁいと……」

「ガンダムファイトって言っても分からないんだよなぁ……」

「すいません」

「いや、楽進が悪いわけじゃないんだ」

 すまなそうにうつむく楽進の頭を撫でて苦笑すると、顔を真っ赤に染めた。

「そ、それで。このまま大きな戦いが?」

「ああ、多分、これまで以上に大きな騒乱が待ってる」

 多分。じゃない。既に黄巾党が起き始めている。

 俺はどうするべきなのだろうか。

右の手の甲にはキング・オブ・ハートの紋章が浮かんでいた。

 シャッフル同盟は「秩序の守り手」として歴史上の数多くの戦いや事件を影から調停してきた。

 そしてそれは俺も受け継がなきゃならない。だとしたら、俺が取る道は限られてくる。そして、そろそろ動かないと、時間がないのだ。楽進達を守るためにも。俺がやらなきゃならない。楽進達が人殺しなんてしなくてすむ世界を目指すためにも。

「師匠?」

 考え込みすぎていたのか、楽進が心配そうにこちらの目をのぞきこんでいた。

「ん、ああ。何でも無い。ちょっと今日の昼は何にしようかなって」

「あ、あの。それなのですが……」

 適当に誤魔化したのだけど、どういうわけか、顔を赤くして、視線をあっちへこっちへと漂わせ始めた。

「ん?」

「その、えっと。実はですね。その何といいますか。ずっとお世話になっていますので――」

「凪! まどろっこしいわ!」

「凪ちゃーん! そこは押し切るのー!」

「何やってんだ? 于禁に李典」

 家と家の間にある路地から顔だけを覗かしている二人。はっきりと言えばどこからどう見ても怪しい人物だった。

「真桜! 沙和!」

 凪の慌てる姿にほっこりしていると

「まぁ、兄さん。簡単に言うとな。お世話になってる兄さんにお礼を込めて凪がおもてなしをしたい! っちゅうわけなんや」

「そうなのー」

 俺らの前に立って笑いながら言う二人。誘ってくれるのは嬉しい。とはいえ、

「いや、俺は大したことしてないし」

 そんな人に褒められるようなことは一つもしてない。

「い、いえ! 師匠のおかげで私も気の扱いを知ることが出来ました!」

「そうやで。うちも沙和も戦い方を教えてもろたんや。これくらいせな罰あたりや」

「そうなの~」

 

あれから俺は三人に簡単な剣術を教えることになった。最初は楽進だけだった筈なのだが、気が付けば于禁と李典にも教えることになっていた。

 二人は楽進ほどの才能は無かったが、それでも十分な強さは見込めた。特に李典は凪ほどじゃないにしろ気を扱う才能があったのは行幸というべきじゃないだろうか。

于禁に二刀流を扱う才能があったのは驚きだった。二刀流を扱うのは難しいのに。

「そ、そうです! 私が今ここにいるのも師匠のおかげなんです! どうか、食べて行って下さい!」

「……じゃあ、御馳走になろうかな」

「はい!」

 三人が嬉しそうに俺の手をひっぱりながら俺が居候している楽進の家に入った。

「うお、一杯あるな」

「凪ちゃんが頑張ったの~!」

「うちらもやろうと思ったんやけど、どうもうちらに料理方面の腕前は全くないみたいやねん」

「いや、その気持ちだけで十分だよ。ってことはこれ全部楽進が?」

「は、はい! お口にあえばいいのですが」

そこには卓を覆い尽くすほどの料理が所狭しと並べられていた。俺が出るまで、こんな物は無かった。ということは俺が家を出てから作ったのだろう。相当頑張ったのが見て取れた。

「すごくうまそうだよ! 食べていい?」

 早速席に着いて食べようと聞いてみると頷いてくれた。

「じゃあ、頂きます」

 そう言って口に運んだのは麻婆豆腐。型崩れもしてなくて、赤い色が食欲をそそる。

「~! 上手い! これならご飯何杯もいける! 皆も一緒に食べよぜ!」

 俺の言葉に不安そうに顔色をうかがっていた楽進の顔がぱぁっと明るくなった。

「はい! ありがとうございます!」

「じゃあ、うちらも!」

「沙和もなの~」

 

「そういや、この前陳留に行ったんだろ? どうだった?」

 食べ終わり一服している時、この間の陳留のことを思いだした。四人が全員居なくなるわけにもいかず、俺が一人、この村に残っていた。

「いや~。この間作った全自動カゴ編み装置を面白がってくれたお客がおったねん」

「……大丈夫だったのか?」

 あれは試作品だったはず。竹のしなりが強すぎて爆発する可能性があって、使えないというのに。

「いや~。それがな。実演してみたら案の定、爆発してもうてな」

「だろうな」

 まぁ、竹かごは買って貰ったけど。と笑う李典を見て、何気にちゃっかりしてるよなと思うのは間違ってない。

「沙和はお姉さんとおしゃれ勝負出来て楽しかったの~」

「いや、カゴを売ってくれよ」

「ちゃんと打ったの~!」

 頬を膨らませて文句を言う于禁に笑って謝る。

「ごめん。んで、楽進は?」

「はい……。武の出来る方が買って行ってくれました」

「ああ、うん。ならいいんだ」

 ほんとは街の様子とかを知りたかったんだけど。

 と、その時于禁から声が上がった。

「あー! 一刀さんから言われてた品物を買って来たのに渡すの忘れてたの!」

 と、慌てて外に飛び出すとそれに釣られたように李典も声を上げた。

「そや! うちも兄さんから言われとった奴が出来とったんや! ちょい待っといて!」

どたばたとかけて行く李典を楽進と二人で見送った。

「何なんですか?」

「ああ、李典ってからくり好きだろ? だからちょっと頼んでたんだよ」

「はぁ」

「楽進と似たような手甲と剣をね」

「手甲ですか?」

「手甲ていうか、クローというか。まぁ、師匠が乗ってるゴッドガンダムっていう武器の一つ何だけど。分かんないよね?」

「は、はい」

 流石にあの形を想像するのは難しいと思う。

「それにしても剣って。師匠持ってますよね?」

「いや、あの剣とは別の。あの剣じゃ切れないから」

「切れない剣ですか?」

「そう、今の俺じゃ切れないんだよな」

 しみじみと思う。どうやれば切れるのか。というかどうやって切ったのだろうか。未だに明鏡止水の会得には程遠いのだろう。

 俺が渡した剣を抜いて驚いたらしく、目を丸くして聞いてきた。

「これで切れるのですか?」

「俺の師匠は大木を一発で綺麗に切って見せた」

「どういったお方なんですか?」

 どこか信じられないといった雰囲気で聞いてくるけど、それも仕方がないように思える。俺も話を聞いただけなら信じられない。

「う~ん。熱くて、まっすぐで。自分の信念を持っていて。すごく尊敬できる人だな」

「師匠みたいですね」

 目をキラキラさせながら見上げてくる楽進に苦笑を向けた。

「そうか? 俺なんかまだまだだよ」

 師匠のように早くも、力強い拳を持っていない。そして何より勝ちたいという気持ちが無いんじゃないかと思う。

「兄さん! 持って来たで!」

 李典が持って来た物を見て楽進が目を丸くした。

「これが、手甲ですか?」

「正確には違うけどね」

 受け取って見渡してみるけど、上手く出来ているように見えた。

「っと、こんな感じかな」

 実際嵌めてみると、変な形だった。

「なぁ、兄さん? どうしてこの手甲を指まで覆うようにしたんや?」

 まぁ、楽進の閻王でさえ、ナックル付きだけど、指までは覆ってない。

「師匠が使う技であるんだよ。まぁ、俺が使えるとも思えないけど。まぁ念のため。そういえばこの爪の部分はちゃんと稼働する?」

「あたりきやんか! なめんといてーな」

 そう言われ、半信半疑ながらもいつもより大量の気を流し込んでみる。次の瞬間、爪が展開された。

「おお! ちゃんと動いた!」

「やろ! ちゃんとできとるやろ!?」

「それにしても、指を使っての技。しかも、手甲が必要な。どんな技なんですか?」

「あ~。それは……」

 楽進の言葉につい口ごもる。流石に、相手の腹を突き刺すためとは言えない。 

「言えないですか?」

「ごめんな」

つまんなさそうに下を向く楽進がつい可愛くて頭を撫でてしまう。

「あ~、お二人さん? それよりも続けてええ?」

「あ、ああ。すまん」

「それでこの剣やけど……。兄さんの頼み通りに気が通りやすいようにしたで」

「ほんとに出来たんだ」

「そりゃ、兄さんのためやん。頑張るに決まってるやん」

 とそこまで話していると

「一刀さん、頼まれてたもの持って来たの~」

 そう言って渡されたのは大きな箱。

「師匠これは?」

 凪の言葉に俺は

「まぁ、見てのお楽しみってな」

 箱を開けるとそこには真っ赤な布。赤いマントと赤い鉢巻。

「師匠、これは一体?」

「まぁ、見ての通りのマントと鉢巻」

 バサリ、と広げて見せ、体に纏う。そして、頭に鉢巻を巻きつける。

「どう!?」

 実を言うと、昔から師匠の格好に憧れていた。特にあの赤いマントに鉢巻。真似をしようとするとレインさんに止められていた。だけど、ここにはそれを止める人が居ない。

「ん~。似合わないの~」

「なんやろうな。こう、しっくりこんちゅうか。なぁ、凪?」

「師匠にはその悪いのですが。何というかちぐはぐな感じがします」

 三人から駄目だしをされた。

「そうかなぁ。似合うと思うんだけど……」

 自分の服装を見ながらぼやく。

「ま、まあ。まだ着慣れとらんかもしれへんし!?」

「そ、そうなの~! きっといずれ多分、似合うなの!」

「そ、そうです! 師匠ならきっと似合うようになります!」

「うう、ありがと」

 マントを脱ぎながら、席に着こうとすると、楽進から提案があった。

「師匠。これから稽古をつけてもらえませんか?」

「今から?」

 ふと、外を見ればようやく、太陽が真上を超えた頃。稽古をする分には十分か。それに。

「いいよ。ついでに李典と于禁も軽くだけど付けてあげる」

「ほんま!? なんや珍しい。いつもは一人づつにしか教えへんのに」

「そうなのー。しかも凪ちゃん以外には滅多に教えないのに」

「いや、お前らがいつも逃げ出してるからだろうが」

 教えようかとするたびに二人は居なくなってるのだから。勘がいいというかなんと言うか。

「だって兄さんの怖いんやもん。いつもの優しさなんかないし」

「そうなのー。人格が変わってるのー!」

「いや。優しく教えても強くならないだろ」

「そうだぞ真桜、沙和。せっかく師匠が教えて下さるんだから」

「じゃ、早速やるぞー。この剣と手甲の使い心地も知りたいし」

 

 

外に出て、四人で軽い準備運動を始める。しばらくして体も温まって来た。

 本格的な修行を始めた時、俺は基本的に各個人に技を教えるようなことをしないで、ひたすら体力向上だったり、基本的な動きを教えるだけだった。

 日も暮れそうになる頃、俺は三人に声をかけた。

「それじゃ、楽進、李典、于禁。三人で同時にかかってこい」

 二人がそれぞれの武器を持ち、楽進が構えを取る。俺を中心に扇状に広がり隙を見いだそうとしている。一か月前に比べると格段に構えから何まで良くなっていた。

「来ないのか? 来なければこっちから行くぞ? 」

 けれど、軽く挑発するだけで楽進達の気に揺らめきが出た。精神的にはまだまだだな。

「真桜、沙和!」

「分かったなの!」

「おう! まかしとき!」

 三人が同時に向かってくる。初速から最速に近付くのはやはり楽進が一番だった。

「ハァッ!」

「鋭い、だけど遅い!」

 鋭い三連撃のけりをバックステップでかわす。

「軸ぶれている蹴りじゃ悪党一人倒すことが出来ないぞ!」

 即座に反撃に入ろうと構えようとした途端、空気を裂く音が聞こえた。

「うりゃうりゃうりゃーなの!」

と、于禁の連撃が入る。普通の人から見れば十分早い剣閃。だけど

「于禁! 剣に振り回されている! それじゃ、紙一枚きれやしない! 切れたとしても仲間の首だ!」

 手甲で全ての剣閃をはじき、逸らす。

「大振りの攻撃はもう少し、小さなン連撃の中に潜ませろ! じゃないとこうなる!」

「嘘なの……」

 上段からの大振りによる剣戟を見切って、剣の腹に拳を当てて弾き飛ばす。

呆然とした于禁の腹部に掌底を放つ。

「キャッ!?」

「なっ!? 兄さん喰らえ! うちの螺旋槍は止められへんよ!」

 吹き飛んだ于禁の下から這うような攻撃が繰り出される。だけど!

「止める必要はねえよ!」

その攻撃をジャンプすることでかわす。

「今や! 凪!」

「なっ!?」

「待ってました。師匠がそうするのを!」

 凪の体から気が漲る。

「これで、勝ちです! 猛虎襲撃!」

 気弾が飛んでくるの見えてきた。空中に居るせいでかわすことなど不可能。最初から三人はこれを狙っていたのか。

だけど、甘い!

「流派東方不敗が奥義! シャイニングフィンガー!」

「そ、そんな」

「嘘やろ……」

「掴むなんてありえないのー」

「これで! 終わりだ―!」

 楽進の放った気弾を潰す!

 激しい爆音が辺りに響く。

 

「ありがとうございました!」

「はい、お疲れ様。そこの二人もな」

「もう、動きたくないのー」

「ほんまや。こんなに疲れたんに兄さんほとんど汗かいてないし」

 楽進の横で背中を合わせてへこたれている二人。

「鍛え方が違うんだよ」

「最後は勝てたと思ったんやけどなぁ」

「ほんとなのー。っていうか普通なら勝ってたのー」

「流石師匠です」

「いや、あれは俺の負けだよ」

「「「え!?」」」

「言ってなかったけど。今回は奥義を使う気は全くなかった。っていうかまさか使うなんて思いもしなかった。それなのに使ったんだから俺の負けだよ」

「しかし……」

「楽進、誇りな。三人とはいえ、流派東方不敗の技を使わせたんだから。もうお前らは十分強いよ」

「おお! 兄さんに武で褒められるんは久しぶり、っちゅか初めて?」

「そうかもー。いつも一刀さん注意ばっかなのー」

「そう言えばそうだな」

 嬉しそうに笑う三人を見て改めて俺は決心した。

「うん。下手に褒めて慢心されたら困るからな。だけど、言っとくけど世の中は広い。お前達よりも強い奴はいくらでもいるんだ。精進を怠らないように」

「師匠?」

「どうしたのー?」

「なんかへんやで?」

 普段の俺と違うと気が付いたらしい。三人とも不思議そうに聞いてくるけど俺はそれを無視して話を進める

「楽進」

「はい?」

「お前は責任感が強くて何でも一生懸命やるのは美徳だけど、あまり何でもかんでも一人で背負いこむな。周りを頼ってくれ」

「李典」

「うん?」

「お前は手を抜きたがる奴だけど、周りをちゃんと見ることが出来るやつだ。それを胸にしっかり刻み込め」

「于禁」

「はいなの?」

「お前は武はそんなにあるわけじゃない。だけど雰囲気を作る時、お前は素晴らしいものを持ってる。それはそう簡単に人が持てるものじゃない。それを誇れ」

 三人は気付いたのか。信じたくなさそうな表情を浮かべていた。けど俺は止めない。

「三人とも。決して慢心するな。そして一人でやろうとするな。お前らは三人で一人。だからおれから勝利をもぎ取った。それを忘れなければお前らはどこまでも強くなっていく」

「これで、俺がお前らに最後に行う修行を終わりとする! これで俺の心残りは無くなった」

「ま、まさか!? し、師匠!?」

 楽進が口に出そうとするよりも早く、俺は口を開いた。

「明日、俺はこの村を出て行くよ」

「な、なんでや!?」

「俺にはやらなきゃいけないことがある」

「な、なんですか! やることって!? 私達を置いてまでやらなきゃいけないことなのですか!?」

「……ああ」

「な、なら私も付いて行きます!」

「私もなのー!」

「うちもや!」

 正直言えば、三人の言葉が嬉しかった。ここまで慕ってくれたことが。だからこそ俺は頷くわけにはいかない。こいつらにはこれ以上危ないことをして欲しくないから。

「お前らには関係のないことだ。それに、この村をどうするんだ? 俺がお前達に武術を教えたのはこの村を守るためだ」

「そ、それは」

 俺の言葉に三人は言葉を詰まらせる。

「悪いな。でも、もう決めたことなんだ」

「どこに行こうと思ってるんですか?」

 言うわけにはいかない。

「じゃあ、一つだけ聞かせてください。……帰って来てもらえますか? 私達の元に」

「この大陸が平和になったらね」

 俺の言葉に何を感じ取ってくれたのか。楽進はコクリと頷いた。

「おい、凪!? それでええん!?」

「凪ちゃん。それでいいのー?」

「ああ、師匠は帰ってくるとおっしゃたのだ。それを信じないでどうするんだ」

 ですよね、と視線で訴えてくる楽進が可愛くて、気が付けば俺の手は楽進の頭の上に。

「し、師匠!?」

「ありがとな。さ、夕飯を食べに行こう?」

「……そやな! もちろん兄さんの奢りやろ!?」

「お前、旅に出ようとしている人間にそれをさせるか!?」

「えー。一刀さんケチケチしないで欲しいの~。男の甲斐性なの!」

「それ甲斐性って言わない」

「……私は麻婆豆腐がいいです」

「楽進!? ああ、もう! 奢ってやるよ!」

 ワイワイと騒ぎながら歩いて行くのが楽しくて、そして寂しかった。

 

「さて、と」

 早朝、まだ太陽も満足に顔を出していない。見送りは……居ない。

「皆、ごめんな」

 多分、村人も勿論、楽進達も夢の中だろう。出て行くのはもう少し日が昇ってからと伝えていたのだから。

「さて、向かうは洛陽。中々、遠そうだな」

 見える筈もないものをみようとはるか先を見る。

 赤いマントに赤い鉢巻をして。歩き始めようと一歩踏み出した瞬間。

「師匠!」

 居るはずもない楽進の声が静寂を切り裂いた。多分、自分が家を出た時に気が付いたのだろう。

「……また」

「ん?」

「また……稽古付けてもらえますか?」

「ああ、弟子なんだ。当たり前だろ」

「っ! ……はい!」

 初めて弟子と呼んでもらえたが嬉しかったのだろう。満面の笑みを浮かべてくれた。

「じゃあ、いってくる」

「はい。お帰りをお待ちしております」

 深々と頭を下げる楽進につい、笑みが浮かんでしまう。

「ああ。またな楽進」

 歩きだそうと踵を返した時、楽進から小さな声がもれた。

「あ……」

 振り向いてみると、何かを言いたそうに、時折こちらを見ていた。首を傾けてみると。ついに心が決まったのか、大きく息を吸うと、

「私の名は! 性は楽、名は進。字は文謙。そして……真名は凪と言います! 受け取って下さい!」

 その言葉にどれだけの想いをこめてくれたんだろうか。それが嬉しくて。

「ああ! 確かに受け取った。またな、凪!」

「はい! 師匠!」

 凪に大きく手を振りながら俺は、前へ踏み出した。

 

 

 せーの。すいませんでした! こんなに遅くなるとは一週間前の俺は思いもしなかったのです。と被疑者のくらの氏は語っており……。

で有名なくらのです。いえ、ほんとに申し訳ありません。ほんとはもっと前に出来あがる予定だったんです。ただ、ちょっとやってみたい展開が出来まして。ほんとだったら、

「し、師匠の馬鹿ー!」

「ぐはぁー!」

 一刀は凪の一撃を受け、暁の空に消えて行きました。

 って終わりにしようかと思ってたんです。っていうか、書きました。

そして、後書きで「どうです? 次回予告の意味がこれだとは思いもしなかったでしょ? ヒャッハー」ってやつるもりだったんです。けれど、それじゃ俺が書きたい展開に行けない。ということで急遽転換! こんな形で。

さて、本題。アンケートの結果発表! ヒャーハー。

今回のアンケート結果

一つ目『璃々ちゃん頑張ります!』 4人

二つ目『一刀君家出事件!?』   3人

三つ目『一刀が外に愛人を!?』  3人

その他              2人

ということで……『璃々ちゃん頑張ります1』に決定!

 ということで早速製作に取り掛かりますね。出来るだけ早いうちに上げときます。ただ、大学が始まったのでどうなるかは……。

さて、次回の不敗無双は!?

 へ、へぅ~。えっと月です。え、え~と良く分かりませんが詠ちゃんが『天の御遣い』様を連れて来てくれました。

何でも流星に乗って落ちてきて所を保護? したようです。天から来たのに、すごく優しくて、そ、その……///。

が、頑張ります! え、何をって……。へぅ~。

『御遣いの動き始まる! 地上に降りた御遣い!』

 次回をお楽しみに! それでは次回に向かって! レディ~、ヒャッハー!

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
33
4

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択