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真・恋姫†無双 外史の欠片 -刀音†無双- 第6話 穏やかなその場所で

ネムラズさん

こんばんは、ようやく第6話が完成しましたので投下します。
今回は一気に登場人物が増えて賑やかな事に。
オリキャラ多数なので苦手な方はご注意下さい。

しばらくの間は今回登場したメンバーが中心になる、かな?

続きを表示

2011-04-22 01:29:24 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:2473   閲覧ユーザー数:2043

※注意※

この作品には以下の点が含まれる可能性があります。

 

 

・作者の力量不足によるキャラ崩壊(性格・口調など)の可能性

 

・原作本編からの世界観・世界設定乖離の可能性

 

・本編に登場しないオリジナルキャラ登場の可能性

 

・本編登場キャラの強化or弱体化の可能性

 

・他作品からのパロディ的なネタの引用の可能性

 

・ストーリー中におけるリアリティ追求放棄の可能性(御都合主義の可能性)

 

・ストーリーより派生のバッドエンド掲載(確定、掲載時は注意書きあり)

 

 

これらの点が許せない、と言う方は引き返す事をお勧め致します。

 

もし許せると言う方は……どうぞこの外史を見届けて下さいませ。

 

第6話  穏やかなその場所で

 

 

 

丁原に縋り付き涙を流した夜から数日が経ち一刀はある程度平静な様子を取り戻していた。

ひとしきり泣いたのが功を奏したのだろうか、少なくとも眠れないと言う事もなければ考え込む事もない。

まだ自分の中で整理は付いていないのだろうがそれでも無理に思い悩む事を止めた様だった。

 

あの夜一刀の事を見ていた陳宮は翌日から出来るだけ傍にいようとしており、もし落ち込んでいたら励まそうと考えていたが

どうやら大丈夫そうだとわかると、目に見えて安堵していた。とはいえ一刀の傍から離れようとはせず、むしろ守ると言わんばかりに

これまで以上にくっついている。事情を丁原から聞いたのであろう張遼や呂布もその様子を温かく見守っていた。

 

一行は現在漢中の城へとあとわずかという地点にまで差し掛かっていた。途中二、三度賊と遭遇したがいずれも一蹴してきている。

民間人であり保護されているという立場である一刀や陳宮は当然賊との戦闘に出て行く事もなく、残って指揮を行う丁原の傍にいた。

戦闘の話は出撃していった張遼や呂布が報告するのを丁原の隣で聞くに留めていたのである。

 

「もうすぐ漢中やな……向こうに着いたら二人はどうするん?ウチらはしばらく漢中に留まって、賊を討伐してから天水や武威まで行くんやけど」

「予定としては陳宮のお母さんに一度会ってから天水まで行くつもりだったんだけど……陳宮、どうする?」

「むむ、ねねとしてはやはり母上に会うまでは決められないのです……母上は元気にしているでしょうか……?」

「まあしばらくは漢中に滞在する事になるやろうし、出発までにじっくり考えてなー。同行するなら構わへんから」

 

漢中の城の前で待機している官軍の一団。立ち並ぶ兵達の中で張遼と一刀、陳宮が言葉を交わしていると城の門が開きだした。

先に丁原と呂布が太守である張魯へ面会に来たと門番に告げて門を開かせたのである。最初に二人で向かったのは丁原の、

官軍とは言えいきなり軍勢が押し寄せれば相手を驚かせてしまうと言う配慮からであった。

 

「それじゃみんな、行くわよ~?兵舎や厩はあちらが用意してくれたからそれぞれ案内して貰ってね~。今日は休んで良いわよ~。

……恋ちゃんに霞ちゃん、一刀君と陳宮ちゃんは挨拶に行くから、おか~さんに付いて来てね~?」

「了解や~。それじゃ行くで~」

「……ん」

 

一刀達一行は丁原の先導で城の奥へと向かっていく、その途中で丁原は皆に張魯に付いての説明をしていた。

「張魯ちゃんは最近この漢中の太守兼五斗米道の教祖になったばかりなのよ~。元々は母親の張衡ちゃんが務めていたんだけれど、

いい歳だからって役目を譲ったらしいわ~。張魯ちゃんは小さい頃から知っているけれど、元気で可愛い子だったわよ~。

それにしても、最近会っては居ないけれど私と変わらない歳なのに……張衡ちゃんも隠居だなんて気が早いわよね~?」

どうやら前太守は丁原の知り合いなのか、とても気安い友人の事を紹介する様な口調で喋る丁原。

やがて数名の番兵が守る一際大きい扉をくぐり、謁見の間へ入った一行。

そこで待っていたのは玉座に腰掛けた朱色の髪をした年若い少女と、その背後に控える二人の人物。

玉座の少女……張魯は人形の様に整った顔立ちに、朱色の髪を前はぱっつん、横や後ろは姫カットで切り揃えている。

背後に控えた二人の女性の内、一人は朱色の長い髪をした豊満な体つきの女性であり恐らく彼女が張衡であろう。

そしてもう一人は赤い髪をしておりどこかただ者ではないという印象を持たせる美青年、と言っても良いであろう男性であった。

 

「洛陽より賊討伐に派遣されました騎都尉・丁建陽です、賊討伐の要請に応じ本日よりしばし滞在させて頂きます」

「ありがとうございます丁原殿。漢中の太守として、我らも出来る限りの助力をさせて頂きます」

丁原がまず最初に口を開き、玉座の少女がそれに応える。戦闘とは異なる緊張感が謁見の間に漂い……。

 

「それじゃ~堅苦しいのは此処までにして~……久しぶりね~、稲穂ちゃん~♪元気にしてたかしら~♪」

「霧おばさん、お久しぶりです!お元気そうで何よりですっ、あたしは母のおかげでもう嫌と言うくらい元気ですよ!」

途端に雰囲気が緩み、二人の弾んだ声が室内に響き渡る。そのギャップに驚いて周囲の様子を伺えば張遼は苦笑し、

呂布は興味を持っているのか二人をじっと見つめている。逆にあちら側はと言えば張衡と思われる女性は額を押さえており、

赤い髪の青年は屈託のない笑みを浮かべていた……と、張衡が意を決した様に割って入る。

 

「あのね、あんた達……一応今は公式な会見だと思うのだけど?その辺りをちゃんと分かっているの?」

「も~。命ちゃんってば相変わらず固~い。久しぶりに会えたのに、友達にそんな台詞だなんて酷いわ~」

「そうだよ母さん、久しぶりに霧おばさんに会えたのに。最初はしっかりやったんだから後は仲良くしてても良いじゃない!」

「仲良くするのは良いけれど時と場所を考えなさいっていつも言ってるでしょうがっ!もう忘れたの!?」

「忘れてないから最初に挨拶したんでしょ~!だから別にもう良いじゃない~!」

「そうだそうだ!久しぶりに会えた知り合いと仲良くして何が悪い!!」

張衡の突っ込みに連合して反論を試みる丁原と張魯。この様子を見る限りこうしたやりとりは日常茶飯事なのだろう。

心底疲れたという表情で怒鳴る張衡に一刀が同情していると、申し訳なさそうな顔で赤毛の青年が近づいてきた。

 

「騒がしくて悪いな……俺は華陀という、医師だ。五斗米道(ゴットヴェイドー)の技を学び、病魔を滅ぼす為各地を旅しているんだ。よろしくな」

「俺は北郷一刀、こっちは陳宮。向こうに居るのが張遼さんに呂布さん。二人とも丁原さんの部下なんだ。よろしく、華陀さん」

にっ、と邪気のない笑顔で手を差し出してくる華陀に握手を返しながらざっと説明する一刀。と、陳宮が華陀をじっと見つめながら、何かを聞きたそうにしているのが目に入った。

そう言えば陳宮の母を漢中へ連れて行った人物が華陀と以前聞いた様な……?

 

「なあ華陀さん、一つ聞きたいんだが……陳宮の母親を此処まで連れてきたと思うんだが、今は何処にいるんだ?」

「ああ、今それを言おうと思っていたんだ。陳宮殿で良いかな、君のお母さんの事なんだが、実は今……!?」

背後で未だに丁原達の騒ぐ声が聞こえる中、緊張感を孕んだ様子で華陀は口を開きかけ、一端大きく息を吸い込んだ。

深呼吸して落ち着いたのか、意を決して口を開こうとする華陀であったがその瞬間、ビクリと体を震わせ硬直する。

その視線の先にはいつの間にか翡翠色の長い髪を後ろで一つに束ね、スレンダーな身体をジーンズ生地のパンツと長いコートで覆った背の高い女性が立っていた。

彼女はややタレ気味の琥珀色をした瞳で大騒ぎをする丁原達を見つめて微笑んでいる。最も目だけは笑っていないのだが。

その様子をみた華陀はますます体を震わせており、一刀も彼女の発する気配に押されて言葉が出ず陳宮は別の意味で硬直していた。

 

「少し待っていて下さいね……静かにさせてきますから……」

硬直している一刀達三人ににこりと微笑みかけると、拳を固めて女性は丁原達へ近づいていき……。

 

「ちんっ……ゆう……っ、ぱーーーーんちっ!」

「ぐはぁぁっ!?」

掛け声と共に勢いよく拳を突き出す。最初に犠牲者となったのは張魯。彼女は拳を叩き付けられた瞬間大きく吹き飛び、

謁見の間の壁に思い切り激突した。轟音が響き入り口から何事かと兵が飛び込んでくるが、拳を振り抜いた女性を見ると硬直。

顔を青くしながら何も見なかったと言わんばかりに踵を返して部屋の外へと逃げ出していった。

 

「え……あ、ち、ららちゃん、これは違……ぎゃんっ!?」

突然の闖入者に固まっていた丁原は相手が誰なのかを悟った瞬間顔を真っ青にして何事か言いかけたが、時は既に遅し。

拳骨を頭に落とされ悲鳴を上げながら床に沈む丁原。ヒットの瞬間ずしん、という音が聞こえたのは幻聴だと思いたい。

呆気に取られている一刀や何故か青くなっている陳宮だけでなく、張遼や呂布もその様子を見てがたがた震えている。

 

「ふぅ……さて、命ちゃん?」

拳の着弾を確認した彼女が笑顔のまま振り返ると最後に残った張衡は既に彼女の前で土下座していた。

この間、僅か数秒にも満たない程。張遼や呂布も呆気に捕られた様子で彼女を見つめる事しか出来ていない。

遠くから見ていた一刀達には張衡が土下座を行うまでの一連の動作に一切の迷いも躊躇いも無いのが見て取れたという。

こうして騒いでいた丁原達を物理的に静かにさせた女性は、一刀達の方を振り向くと笑みを浮かべてこう述べた。

 

「お見苦しい所をお見せしました、私はこちらで文官を務めさせて頂いている陳夕と申します……久しぶりね、ねねちゃん」

 

 

「驚かせちゃったでしょう?ごめんなさいね、きっとすぐ戻ってくるから二人の事は心配しなくても平気よ」

「母上……あれだけの事が出来るなんてもうすっかり良くなったんですね……ううぅ~!」

「あらあらねねちゃんったら、泣かなくても平気よ?私は華陀さんと稲穂ちゃんのおかげでもうすっかり元気だから」

「元気すぎるのも困「何か言ったかしら、命ちゃん?」いいえ何でもないです」

未だに回復してこない丁原と張魯の復活を待つ間、一刀達は陳宮の母である陳夕と話をする事にした。

陳宮が泣きながら陳夕に抱きついているのを皆優しい瞳をして見つめており、陳夕は優しく陳宮を撫でている。

何とか制裁を免れた張衡も話の輪の中に加わっている……彼女は未だに真っ青だったりするのだが皆気付かないふりをした。

 

「華陀殿、母上を治して頂いて本当にありがとうございます」

「俺は医者だから当然の事をしたまでさ。それに元気に見えているが以前言った通り完治には数年掛かるだろう。

それでもこれだけ元気になったのは稲穂……張魯のおかげなんだぜ?」

頭を下げる陳宮に華陀は笑いながらそう述べる。どういう事だろうかという疑問の表情を見て取ったのだろう。

華陀と陳夕がそれぞれ口を開いた。

 

「稲穂は俺が学んでいる五斗米道(ゴットヴェイドー)の技術の他に、五斗米道(ごとべいどう)の術も習得しているんだ。

良く妖術や不思議な力なんだと思われているが、実際には食事を用いて病を退散させ体を癒す方法なんだぜ。

五斗米道はゴッドヴェイドーと違ってすぐに効果が出る訳じゃないが、その分効果は後々まで残る優れものさ」

「毎日美味しい食事を作って頂いて恐縮ですけれど……だから恩返しも兼ねて、私は稲穂ちゃんに仕えているの。

それで、ねねちゃんはどうして漢中まで?陳留で曹操様に仕えると言っていなかったかしら」

「それはですね……その、話すと少し長くなるのですが……」

陳夕の問いかけに迷った様子を見せる陳宮は一刀へ伺う様な視線を向ける。これまでの出来事を話せば必然的に一刀にも

話の矛先が向かう事は間違いないからである。だが一刀は躊躇う事無く一つ頷いた、話しても構わないと。

 

「母上が漢中へ向かってから……」

陳宮はこれまでの事を語り始める。洛陽を逃げ出した事、陳留で献策を盗まれた事、それを聞き衝動的に飛び出してしまった事。

夜盗に襲われ掛けた所で一刀に出会った事、二人でしばらく旅をしていた事、張三姉妹と知り合った事。

そして賊に襲われ張遼らに助けられた事。一刀が所々で補足を入れつつ説明を終える頃には丁原や張魯も復活しており、

皆と一緒に話を聞いていた。

 

「なんや、結構苦労しとったんやな。ウチもあの時は洛陽におったけど凄い騒ぎになっとったもんなぁ……大変やったな陳宮」

「本当に~、あの時の騒ぎは二人の事だったのね~。凄く驚いたわ~……もし知ってたら絶対止めたのに~」

「……ちんきゅ~、がんばった。よしよし」

丁原一行は洛陽に居た為か、主に洛陽を出る切欠となった事件の話で憤り、或いは慰めようとしていた。

 

「なるほど、それであれだけ悪化していたのか……。後一月遅かったら危なかった所だ」

華陀は陳夕の様子を思い出し、間に合って良かったと何度も頷いている。

 

「でも一人で飛び出すなんてちょっと短慮すぎるわね……彼と出会えて運が良かったわね」

「確かに。気持ちは分かるけど熱くなりすぎだね。ちゃんとご飯食べてたか?お腹が減ると短慮になりやすいからな」

張衡と張魯は逆に、何も考えて居ないまま陳留を飛び出した陳宮の行動を諫めに回っていた。

陳宮もあの時の自分の行動が不味かったと自覚している為か言い返す事もせず神妙にしている。

 

「でも本当に無事で良かった……北郷さん、ねねちゃんを助けてくれて本当にありがとうございました。

もし何かあったらと考えるだけで……」

「いや、俺の方こそ陳宮には色々とお世話になりっぱなしで……お礼を言うのはこちらの方です」

陳夕は項垂れた陳宮を抱きしめると一刀に向かい深々と頭を下げ謝意を示した。

皆に視線を向けられ、一刀も慌てた様に頷き返す。年上の女性に頭を下げられると言う事態に慣れておらず、

気恥ずかしさの様な物もあったからであった。その結果二人して頭を下げ合う奇妙な光景が展開されていた。

 

「まあ二人ともそれ位で……何はともあれ無事に会えたから良かったじゃないか。そうだ、良い時間だしご飯にしよう。

話の続きは食べながらでもやれば良いじゃないか。と言う訳であたしは厨房に……」

「稲穂ちゃん?まだ政務は残っているわよ?それともまた壁に叩き付けられたいのかしら」

「それではあたしは政務をこなすので母さん、食事の手配をお願いしますっ!」

「私も手伝いがありますから……また後程」

席を立って厨房に向かいかけた張魯に陳夕が笑いかけると、真っ青になりあっさりと意見を翻した。

そして陳夕を伴って部屋から出て行くと、誰とも泣く溜息が漏れる。

 

「霧はん、知り合いなんやったら詳しく説明しておいて欲しかったわぁ……心臓に悪いで。いきなり人が吹き飛ぶし。

張魯さんや張衡さんだけでなくて、陳夕さんとも知り合いなんやろ?せめて抑えて貰うとか」

「……凄く、怖かった……」

「ららちゃんを止めるなんて私じゃ無理よ~!私より強いのに~!」

「へ?あの、丁原殿。母上は文官ですぞ……?」

「わかってるわよ~、それでも私よりずっと強いんだもん~!」

「……陳夕さんって、一体……」

大騒ぎする一行の様子を前に一刀がぽつりと漏らした瞬間、謁見の間の扉が開き陳夕が顔を覗かせる。

途端にビクリと固まった一行を不思議そうに見ながら彼女は口を開いた。

 

「どうかなさいました?もうすぐお食事ですから、こちらへいらして下さいね」

 

食堂にて一行は大きな卓を囲み食事を取りつつ自己紹介も兼ねて話をしようという事になった。

卓の上には山盛りの炒飯や粽、野菜の炒め物や点心類が並んでおり湯気を上げている。

 

「じゃあ改めて自己紹介も兼ねて……あたしは漢中太守、張魯だ。よろしくな!」

「私は張衡、前漢中太守で今はのんびりと医者をやっているわ。よろしく」

「俺は華陀、医者をしながら各地を旅している。よろしく頼むぜ」

漢中組の自己紹介を受けて張遼や呂布も自己紹介を行う。呂布が丁原の義娘と聞いた時に、陳夕と張衡が

この子がそうなのかと納得した様子で以前丁原から娘自慢をされた事を話し出したりと賑やかであった。

そして一通り皆の紹介が済んだ所で、視線は一刀と陳宮へ向けられた。気安い者同士の食事会とはいえ、やはり

官軍に属する皆に先んじて自己紹介など……とこれまで話を聞くのに徹していたからである。

 

「私は陳夕が第一子、陳宮と申します。母を救って頂いて本当にありがとうございます」

陳宮の言葉に張魯や張衡はニコニコと微笑みながら頷き、一刀にも紹介する様にと視線で促す。

更に張魯が口調を崩しても構わないと述べ、丁原や張衡も頷いたのでその言葉に甘える事にした。

 

「俺は北郷一刀、偶然陳留へ向かっていた時に陳宮と出会って一緒に旅をしています。それから……」

陳宮に視線を送ると一つ頷きを返してくる。一刀も頷き、これまでよりも言葉に力を込めて口を開いた。

 

「俺は、恐らくこの世界の人間ではありません。どこか別の所から来たんだと思います。それも……多分、未来から」

一刀の言葉に場が一瞬静まりかえる。張魯や呂布は何を言っているのか分からないといった風情で首を傾げ、

張遼はお前は何を言っているんだという視線を向けてきており、張衡や丁原はどういう事か更なる説明を視線で求めている。

やはりと言った感じの反応に内心苦笑しながらも言葉を続けようとした時、陳夕が一刀に問いかけた。

 

「北郷さん、未来から来たというのは……私達の事を知っていると言う事でしょうか?」

「概ね知っているという感じですね、ただそうでないとも言えるんです。……失礼な言い方に聞こえるかも知れませんが……。

俺の世界に伝わっている話では、陳夕さんは名前すら出ていませんし他の皆は、その、男性なんです」

周囲からの何を言っているんだこいつ、な視線がますます強くなる中更に陳夕は言葉を紡ぐ。

 

「そうなのですか……では、此処に居る皆がこの先どうなるかという事も知っているのでしょうか?

そしてこれまで何をしてきたかと言う事も……」

「俺のいた所の話であれば、ある程度は知っています。けれどその知識が現実の物になるのかは分かりません。

例えば、俺の世界でも呂布さんは丁原さんの養子になっていましたが、今よりずっと後の事の筈なんです」

黄巾の乱や董卓の暴政などは口に出すべきではないと時期だけを述べる一刀に、皆はまだ半信半疑な様子を見せていた。

だがその時華陀が少し良いか、と手を軽く挙げて一刀に視線を向けた。

 

「北郷殿でいいかな、一つ聞きたい。俺の事は北郷殿の世界には伝わっているのか?」

「え?ああ……伝わっているよ。並ぶ者の居ない名医だとも、齢百を超えていたとも言われているけど……」

そうか、と華陀は幾度か頷き二つの袋を取り出して一刀に見える様に差し出した。

 

「これには俺の作った特殊な薬が二種類入っている。一つは痛みを消すための薬、もう一つは腹の中を清める薬。

それだけ俺が有名なんだったら薬の名も伝わっていると思うんだが……答えられるかい?」

華陀の言葉に一刀は頷くと、記憶を思い返しながら口を開く。

 

「痛みを消す方は麻沸散……であってるかな。それから腹の中の方は、幾つか伝わっているんだけど……。

多分屠蘇、かな?大黄や鳥兜を使ってるんならあってると思う。俺の世界では正月に呑んだりもしてたよ」

「……正解だ。麻沸散はまだ使った事があるからどこかで聞いていれば分かったのかもしれないが、屠蘇は造ったばかりだ。

それも原料まで知っているのは俺だけだろう……本物なんだな、北郷殿」

一刀の言葉に華陀がそう答えれば、皆に驚愕の表情が浮かぶ。逆に一刀の顔には安堵の色が浮かんでいた。

 

「……だけど、その話が本当なら……北郷、だったかしら。今後の身の振り方には気をつけた方が良いわよ。

未来を知っているだなんて知られればどんな手段を使ってでも聞き出そうとする者も居るでしょうし最悪、消されるわよ」

皆の驚愕が去った後冷徹な声で言ってのけたのは張衡である。長い間漢中にて太守を務め政治に携わっていた事もあり、

人間の暗い面もよく知っている。彼女自身は一刀を利用して何かしようという気は毛頭無いが、一刀が知らないまま利用される、

或いは危険に晒されるのは寝覚めが悪いと思ったのだろう。その忠告からはそんな気持ちが感じられた。

 

そして、洛陽で文官を務めていた陳夕からも同意の声が上がる。

 

「そうですね……下手な人物の耳に入れば攫って拷問にでも掛ける、くらいは平気でやりかねません。

北郷殿、今までこの事を誰かに話したりはしましたか?」

真剣な顔で聞く陳夕に、一刀は首を横に振りながら話したのは陳宮にだけだと答える。

その瞬間張衡と陳夕の視線は陳宮に向けられるが、こちらも頷く事で一刀の言葉を肯定した。

 

「流石に陳宮には話さざるを得なかったけど、俺にも下手にこう言う事を喋るのは危険だと分かるからさ」

「それに最近巷で流れる天の御遣いの予言もありますし……言いふらしたりなんてとても」

「ん?ちょい待ち。未来云々はよう分からんかったけど、天の御遣いやて?それが何で今出てくるん?」

口を挟んだのは張遼だった。丁原も何か言いかけていたが先を越されたのだろう、口を尖らせ涙目で張遼を睨んでいる。

 

「天の御遣いって言うとあれか?白き衣を纏い流星に乗って現れる……とかいう。せやけど北郷はそんなの着てないやん。

それともホントに流星に乗って降りてきたんか?」

「いや、何と言えばいいのかな……俺は自分の事を天の御遣いとか言うのだとは思ってないんだけどね。

こっちに来た時に着てた服や持ってた荷物がさ……」

「荷物て、あの絶対に触るなって言うてた?」

「そうなのです。紙の本が一杯だったり見た事もない物ばかり持っていて、実に驚いたのです」

張遼の問い掛けに一刀が返し、陳宮も続く。だが結局は実物を見ないと分からないという結論にいたり、

食事の後で見せて貰おうという事になったのだった。

 

「さて、そうと決まればしっかりと腹ごしらえをしておかないとな。ほらほら、みんなもっと食べろ!

うちのご飯は美味しいからな、特に米は最高だろ?だからもっとお米食べろ!」

「稲穂……余り食事中に叫ぶなっていつも言ってるでしょうが。それに米ばかり勧めない」

張魯と張衡の母子が掛け合いを演じるのを切欠として、食事が再開される。

呂布の大食具合に驚いたり、もきゅもきゅと食べる様子に心から癒されたり、給仕の様に食べ物を追加する丁原に

陳宮と陳夕の母子が自分も混ぜて欲しいと言い出したりと実に賑やかである。

 

「そうだ、北郷殿。君がいた世界の医学はこちらの物と違うんだろうか?良かったら教えて欲しいんだ。

もし同じならより多くの人を救うために役立てる事が出来そうだからさ」

「うーん……ちょっと口で説明するのは難しいかな。後で何かに纏めて持って行くよ。でも余り期待しないで欲しいな」

「いや、十分さ。協力に感謝するよ!」

一刀の方はそんな光景に笑みを浮かべながら、華陀との間に男の友情を築いていたのであった。

 

「これが、俺がこの世界に着た時の格好なんですけれど……」

聖フランチェスカ学園の制服を纏った一刀に、その場の皆は一様に溜息を吐いている。

腰に帯びた日本刀も相まって不思議な雰囲気を醸し出している姿は成程天の御遣いと思われるのも分かる、

そう一刀以外の皆に認識させたのであった。事実呂布でさえも普段より僅かに目を見開き驚きを示している。

 

「ふわ~……いつもの一刀君じゃないみたいね~……でも格好良いわ~♪」

「見違えた……」

「へぇ~……北郷くんはよく見たら格好良いんだなぁ!」

「ホンマに北郷なん?偽物だったりせえへんよな?……雰囲気がらっと変わったなあ」

「ええ、驚いたわ……この素材は未来の物なの?少なくとも私は見た事がない代物だわ」

「私もないわねー……だけどこれならねねちゃんが天の御遣いだって思ったのも納得できるわ」

丁原や呂布、張魯は素直に感心しており、張遼や張衡、陳夕は驚きを見せていた。

 

「それからこっちには書物や色々な道具もありますが……一つ残念なお知らせがあるんです。特に華陀さん。

さっき改めて書物を調べたら医学についても簡単に書いてある書物はあったんですが……」

「あったのか!良かった。しかしそれなら何が残念なんだ?」

一刀の済まなさそうな様子に華陀が訝しげに訪ねる、先の言葉が正しいなら喜ばしい事だが……。

そんな疑問がありありと浮かぶ華陀の顔に苦笑しながら、一刀は続けた。

 

「実は陳宮に聞いて貰っても分かるんですが……俺の世界とこの世界。使っている文字が違うんです。

だから多分本を読んでも内容が分かる分からない以前に、文字が読めないと思います」

これなんですが、と一刀が取り出した本は以前学校で使っていた生物と保健体育の教科書。

華陀はそれを受け取りページを開いていくが、だんだん唸り声を上げ始めている。他の皆も興味を持ったのか、

一刀が取り出した本を読もうとしているが皆同じ反応を示すばかりであった。

 

「ちなみに、最初は北郷殿もこちらの文字が読めなかったのです……だから二人で互いに教えあったのですぞ。

今ではねねも北郷殿も、どちらの文字でもしっかり読む事が出来るのです!」

自分が通ってきた道を懐かしく思う気持ちとその場の皆に先んじているという興奮が入り交じった声色で陳宮はそう言った。

その台詞に解読を諦めたらしい皆が顔を上げて視線を向けてくる。張遼や張衡は面白いネタを見つけた、という顔で。

丁原や張魯は素直に凄いなと言う感心の視線を、そして陳夕と華陀は……。

 

「まあ、ねねちゃん凄いのね……お母さんにも教えてくれるかしら?北郷さんも勿論一緒に」

「俺からもお願いしたい、どうか俺にも教えてくれ!この通りだっ!!」

と、頼み方は違えど二人に文字を教わる事を願い出たのであった。初めは戸惑っていた一刀と陳宮も、

二人の熱意に押され承諾する。すると自分も頼むと他の者も言い始め、気付けば全員に教える事になっていたのだった。

 

こうして漢中に滞在する事になってから凡そ二週間が過ぎた。丁原や張遼、呂布は付近に現れたという賊を討伐する為に

遠征に出かけ、張衡も案内役として同行しており城には不在。また一刀と陳宮も立場的には一般人である為同行はせず、

漢中に残り張魯や陳夕、華陀にに文字を教える事となった。その代価として彼女達からは政務や医術の手解きを受けている。

また張魯からは武術も教えてくれと請われた為に自分も修行中だと予め断った上で簡単な指南を行っている。

幸い書物の中に空手に関する物が数冊あり、また張魯自身が武器を持つのは好まないと言った理由もあった。

陳宮は陳夕より文官としての手解きの他、軍師としての心得も教わっている。陳夕の言に依れば昔丁原の軍師の様な事をしており、

ある程度であれば教える事が出来るからと言う。殆どの場合が文字の勉強の後に続けて行われていた為一刀も共に教わっていた。

 

そんな生活の中で一刀は幾人かの真名を預かっていた。

彼に最初に真名を預けたのは張魯である。人形の様に整った外見と異なり熱血系、体育会系の性格であった彼女は

日々の鍛錬を欠かさず、また医術や五斗米道にも偏見を持たず学ぼうとする一刀をすっかり気に入っていたのである。

陳宮とも仲が良く、まるで姉妹の様であるとは城内の者達の声。政務をサボって陳夕に粛清され、更に陳宮に説教を喰らっていたり、

共に料理の練習をしていたりと微笑ましい姿が目撃されていた。そして一刀よりも一足早く真名を交換していたのだった。

 

「なあ、北郷くん。あたしの真名を受け取ってくれないか?音々より先にと言うのは少し気が引けるけど……。

世話にもなったし一緒に居ると新しい事をどんどん知れて、とても楽しいんだ。北郷君になら真名を預けても良いと思うんだ」

「俺なんかに、って言うのは失礼に当たるよな……分かった。ありがたく受け取らせて貰うよ。代わりに俺の事も一刀と呼んで欲しい」

「うん、分かったよ……あたしの真名は「稲穂」と言うんだ。よろしく、一刀君」

「ありがとう。こちらこそよろしくな、稲穂」

武術の鍛錬が終わった後の練兵場で頬を染めながらそういう張魯に一刀も緊張しながら言葉を返していく。

どちらも気恥ずかしいのか軽く頬を朱に染めながらのやりとりを終えるとしばし沈黙し……共に笑い出した。

 

「あははは、なんだかちょっと照れくさいな!さ、戻ろう戻ろう!戻ってご飯にしよう!」

「はは、そうだな。今日は何にするんだ?期待しても大丈夫かな?」

「喜べ、今日は音々と一緒に作る予定だからな。一刀君の分は愛情たっぷりに仕上がると思うよ?」

「友情たっぷりの間違いだろ?陳宮と稲穂のさ」

「あたしとしてはそれでも良いかな?あははははっ!」

笑いあいながら軽快に言葉を交わし城へと戻っていく一刀と張魯。その雰囲気は長年一緒に居た友人の様に、

気安く親愛に満ちた物であった。

 

 

またこの数日後、彼女は陳宮としばらく何事か話していた。話が終わった後一刀を呼び真名を預けたのである。

 

「北郷君。しばらく貴方を見ていて……大丈夫だと信じられました。私の真名を預けたいと思います、受け取ってくれますか?」

「え、でも俺はまだずっと一緒だった陳宮からも預かっていないのに……」

陳夕にそう切り出された一刀は張魯の時と異なり迷いを見せた。と言うのも一番付き合いの長い陳宮から未だに真名は預かっておらず、

それなのに彼女の母親である陳夕の真名を預かっても良いのだろうかという考えがあったのであった。

 

「うふふ……良いんですよ、私が預けたいんですから。それにねねちゃんがまだ真名を預けていないのも、訳がありますから。

私もそうだったのですが、うちの家系の女性は伴侶にしても良いと思える男性にしか真名を預けないんですよ」

「そうなんですか、それなら仕方ない……え?でも、陳夕さん?それなら俺に真名を預けるのって……」

「私としては構いませんよ?とても優しいですし勤勉ですし……でもそれだけではなくて砕けた所もありますし。

もしねねちゃんより先に出会っていたら……うふふ♪」

真っ赤になった一刀を僅かに熱を帯びた瞳で見つめる陳夕、その台詞の半分はからかいや演技であっただろう。

楽しげにくすくすと笑いながら一刀が落ち着くのを待って、陳夕は再度口を開いた。

 

「私の真名は「楽々楽(ららら)」と言います。呼びにくいなら気軽にらら、と呼んで頂いても結構ですよ?」

「あ……分かりました。でしたら、ららさんと呼ばせて貰いますね。俺の事も一刀と呼んで下さい」

「うふふ、分かりました。ねねちゃん共々よろしくお願いしますね、一刀君♪」

にこにこと笑いながら一刀の手を取り、腕を絡ませる陳夕に真っ赤になって焦る一刀。

その様子を城に戻る途中で陳宮に発見され、何事かと詰問する陳宮に真名を受け取った事を話した結果……。

 

「母上!?真名を北郷殿に許したと言う事は、まさか……!?」

「ええ、ねねちゃんの思っている通りよ?とても素敵な人だと思うわ♪」

「ななな、何ですとーーーー!?」

城内に陳宮の悲鳴が響き渡ったのであった。

今回は此処まで、しばらくの間行動拠点となる漢中勢との出会いでした。

本来はもっと短くなる筈だったのですが……説明書く程場面が増えるね、ぽぽぽぽ~ん。

それに伴い期間も増えて……どうしてこうなった。

 

今回登場したオリキャラの方々は以下の様な感じです。

 

・張魯(稲穂(いなほ)):漢中太守。母張衡より五斗米道とゴッドヴェイドー両方の技を伝授されている。

一人称はあたし、前髪ぱっつん+おかっぱで髪は朱色、黙っていれば人形の様に整った顔立ちだが口を開くと体育会系。

スレンダーな体をタンクトップとスパッツで包み、大きなエプロンを身に付けている活動的な美少女。

食こそ生きる為に必要な物という考えを持っており医食同源の言葉を実践すべく料理の腕を日々高めている。

口癖は「お米食べろ!」や「もっと熱くなれよ!」等。華陀の影響で微妙に男口調だったりする。

華陀とは顔なじみであり喧嘩友達。太守としての政治仕事は苦手であり陳宮の母(陳夕)に任せきり。

その為良く陳夕から「陳夕ぱんち」でお仕置きされ、壁に叩き付けられている。

一刀とは良い友人であり好意を隠そうとしない。しかし恋愛感情はまた別の話。

 

・張衡(命(めい)):張魯の母。世間一般には妖術使いと言われているが実際は医術と薬剤調合の達人。霧の古い友人。

朱色のロングヘアに豊満な体つき、イメージは雌豹。黒いチャイナドレスの上に白衣を纏う。

冷徹さと妖艶さを兼ね備えた大人の女性、と言った感じの外見であり、性格も清濁併せのむ強かさと冷徹さを持つ。

ゴッドヴェイドーの技は習得こそしているが暑苦しいのが嫌いなので基本的に使わない。

太守を張魯に譲ったのは隠居と言い張るが実際は医者として自由に動ける時間を増やす為である。

武力は低いがその知恵と知識で張魯を陰から支えているつもりだが実際には隠居前と変わらないとは家臣一同の共通認識。

張魯程ではないがこちらも料理上手である。ただし薬膳料理に限る。

 

・陳夕(楽々楽(ららら)):陳宮の母。療養しつつ文官経験を活かし漢中にて政治を担当している。霧の古い友人。

一人称は私、酔うとらら。翡翠色の長い髪に琥珀色の瞳、ただしタレ目。すらりと背が高くスレンダーな体型。未来の陳宮。陳宮と並んでも年の離れた姉にしか見えない若々しさ。

普段は穏やかであるが仕事をさぼったり公の場で大騒ぎしたりすると、彼女の必殺技「陳夕ぱんち」が炸裂する。派生として「陳夕すくりゅー」「陳夕あっぱー」「陳夕通打」等が存在する。

その威力は稲穂を一撃で壁に叩き付け、霧を大地に沈め、陳宮をがくがくぶるぶるさせる程である。

文官ではあるが長い手足を利用しての体術は下手な武将顔負けの実力を誇る。

娘の事を何より大事に思っており時が来た際には格闘術を教える気満々であったりするお茶目さん。

一刀の事は娘の恩人でありすぐに祝言を挙げてしまっても構わないと割と本気で述べている。

また彼女の家系では異性に真名を預ける事は結婚しても構わないという愛情表現でもある。

 

 

※五斗米道とゴットヴェイドーについて

五斗米道は古くから続く宗教であり人々の病を治療する代わりに米五斗(約10リットル)を寄進する事を求めていた集団。この外史世界においては食事療法と簡単な治療を主とする集団である。

主な活動値は漢中であり、他の大きな都市にも支部は存在するが大々的な活動はしていない。

来る者は拒まず去る者は追わず、が基本姿勢である。

 

ゴットヴェイドーは五斗米道より派生した集団であり技術習得者は五斗米道信者も兼ねる者が多い。こちらは肉体の治癒・病の根絶を目的としており各地を旅して怪我人や病人を捜す活動を推奨している。非常に習得困難な技術の為人数こそ少ないが、逆を言えば習得している者は皆凄腕であると断言しても良い。ただしゴットヴェイドーを修めた者は治療の際に例外なく暑苦しくなるという。

 

 

この様な感じでした。それでは、またいずれ。


 
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