「えへへ~♪」
家に帰るなりベッドに飛び込む。
「えへへ……えへっ♪ 明久くん……」
ベッドの上で思い浮かべるのは大好きなあの人。
そして自分の行動への称賛。
ついに、ついに明久くんをデートに誘う事が出来た。
あの二人の監視の目を潜って、なんとか誘う事が出来た。
これでアタシも明久くんとデートが出来るのね……
「えへ~♪」
「あ、姉上が壊れてしまったのじゃ……」
「……秀吉。あんた何勝手に人の部屋に入ってきてるのよ」
許可もなく、女の子の部屋に入るなんて非常識よ非常識。
しかも、壊れてるって何気に酷い事を言うわね。
秀吉のくせに……あまり調子に乗ると折るわよ。
「――っ、今物凄い悪寒を感じたのじゃが……」
「気のせいでしょ」
――チッ、無駄に感が鋭いわね。
「と、ところで姉上は何故、そこまでテンションが高いのじゃ?」
「うふふっ♪ それはね、やっと明久くんとデートが出来るからよ!」
「な、なんじゃと……っ!?」
「ふふん! アタシだってやる時はやるのよ」
デートに誘うまでに色々と障害はあったけど、それはまぁ……Aクラスの意地というか、
乙女の意地というか……とにかく頑張ったのよ!
「このデートを上手く使って、明久くんとの仲を進展させてやるわ!」
どうせ明久くんのことだから、アタシがデートに誘った意味なんて理解してないと思う。
だから、この機会に少しでいいからアタシの事を知って欲しい。
気持ちの全てを知って欲しいなんて我儘は言わないわ。だけど――
少しくらい好意があるっていうのは感じて欲しいかな。
そういうわけだから――
「秀吉。分かるわよね?」
「いや、全然分からないのじゃが」
「ふん!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ! 折れる! それ以上は骨が折れてしまうのじゃ――――っ!?」
「あんたがバカな事を言うのが悪いんでしょ! それよりアタシの言いたい事、理解出来てる
わよね?」
もし、理解出来てないって言うのなら…………死んでもらうしかないかもね。
「わ、分かっておるのじゃ! だ、だから放して欲しいのじゃ!」
ジタバタと暴れる秀吉。
そんな事をしても無駄なのにね。アタシが簡単にあんたを解放すると思う?
あんたの言葉に嘘が無いか確かめるまで放しはしないわよ。
「秀吉。何が分かったのか言ってごらんなさい」
「あ、あれじゃろ? 姉上のデートを誰にも邪魔させないようにすればいいんじゃろ!?」
「ええ、そうよ」
なんだ。ちゃんと理解してたのね。
「あ、姉上……そろそろ解放して欲しいのじゃが……」
「ああ、ごめんごめん」
ゴミを捨てるように秀吉を投げ捨てる。
「ふげっ」
情けない声をあげる秀吉。
はぁ……我が弟ながら情けないわ。
ま、こんな弟でもキッチリと役に立ってもらわないといけない。
「じゃあ秀吉。今度の日曜にデートするから頼むわよ」
「う、うむ……」
「もし失敗したら――」
分かってるわよね?
「したら?」
「生きて明日を迎えられると思わないでよ」
「りょ、了解したのじゃ……」
よし。これで準備は整ったわね。
後は本番を待つだけ。絶対に……絶対に今回のデート、成功させてみせるわ!
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何作目かは忘れましたが優子さんシリーズです。
久しぶりなんで色々忘れてますね。
でも優子さんの可愛さは忘れてませんよ!