三つの軍が官渡の地に集結した。夥しい兵士の数が官渡を覆う。その中でも袁紹軍の兵数は群を抜いていた。されど将の質は魏・明の二国が争う。そこに勝利のカギがあり、また軍師たちが勝機を見出した部分である。劉備軍が加勢しているとはいえ、彼女たちはまだ実践においては経験不足である故に危険の値は低くなる。
「曹操軍をやはり勝負をしかけてきたのう」
高台の上、両軍の陣営を見下ろす形となる我が陣営から聖は観察していた。地の利は明国が一番有利だろう。しかし、勝敗を左右するほどのことでもない。官渡はほとんどが平地であり、高台といってもそこまで高くはないのだ。
「………聖、この戦場はお前に任せる」
「主はどうなされるのじゃ?」
「許昌に赴く」
「………了解した」
寸前に俺は単騎で官渡を後にした。
行軍であれば許昌までの道のりは困難だが、単騎となれば速度は何倍にも膨れ上がる。俺は愛馬を全速力で走らせる。
問題は許昌への侵入方法だった。主だった将を官渡に赴いているとはいえ、信頼のない、又は、力のない将を置いているとも思えない。
「まだ残っているといいけど」
許昌から少し離れた場所に馬を止め、許昌の町へと入る。真正面から城内に侵入するのは不可能。だがこの城には抜け目がある。俺がまだ幼き頃、城外へ出る為に作った抜け道を作った。あれは俺だけが知る道だけに残っているはず。
「……たしかこのあたり……あった」
草でカモフラージュされている抜け道。壁にまん丸い穴があいていた。俺は城内に侵入して、寄り道することなくある部屋に向かった。
「……今日あたり来ると思ってたわ」
「お久しぶりです、母上」
俺は母と話すため官渡を抜けてこの許昌にきたのだ。
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袁将軍VS明国VS魏が官渡で挑む。