No.210921

真・恋姫無双 ~黒天伝~ #6

cherubさん

ついに黄巾党との戦いが始まる
そんな中友哉に異変が!?

2011-04-09 23:42:14 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:1850   閲覧ユーザー数:1692

一刀はじっと友哉を見つめている。友哉は月を見上げたままだ。そこで一刀はようやくその視線に気づく。友哉にならって月を見上げる

 

一刀「きれいな夜空だね」

 

一刀の言葉に友哉は反応せず、月を見続けている。そんな様子を、劉備と関羽はじっと見守っている。少しの間沈黙が流れ、漸く友哉が答える

 

友哉「日本じゃ、こんなに綺麗な夜空は見られませんからね」

 

一刀「一度君と話がしたかったんだ。この世界で日本人は俺達二人だけだからね。しかし、日本人にしては綺麗な空色だね」

 

ここでやっと友哉は一刀の方を向き、その目をじっと見つめる

 

友哉「三度目です。それを言われたのは今日三度目」

 

一刀「綺麗だからね、しょうがないよ。」

 

友哉「そういえば、何で俺が日本人だって分かったんですか?」

 

一刀「『パターン』なんて言ってるのは、この世界にはいないからね。おっと自己紹介がまだだったね。俺の名前は北郷一刀」

 

劉備「劉備玄徳です。よろしくね」

 

関羽「関羽雲長だ」

 

友哉「俺の名前は天城友哉です。今日よろしくなんて言われたのは初めてです。みんな少しは殺気を出しているんですが。劉備さんは変わってますね」

 

劉備「変わってるとは、思わないんですけどね」

 

関羽「桃香様は、充分変わってます」

 

劉備「もぉ~。愛紗ちゃんまで」

 

二人のやり取りに一刀と友哉は苦笑してしまう。そんな二人を見て漫才コンビは

劉備・関羽「何で笑ってるんですか!」

 

一刀「そりゃあまぁ、ねぇ?」

 

友哉「面白かったのでつい、すいません。ところでお話というのは何ですか?また勧誘ですか?」

 

一刀「それは先の二人の前例があるから、遠慮しとくよ。俺たちが聞きたいのは、君はこの世界でなにがしたいか、それだけだよ」

 

友哉はそれを聞くと、再び視線を空へと戻し月を眺める。少し微笑んで答える

 

友哉「大切な人を、家族を守りたい」

 

一刀「そうか・・・向こうの世界に帰りたいとかは思わないの?」

 

今度は少し表情を暗くして答える

 

友哉「思いません。向こうは一人ぼっちですから」

 

一刀「いい仲間をもったんだね」

 

友哉「どうしてですか?」

 

劉備「天城さん気づいてないんですか?さっき『守りたい』って言った時、笑顔でしたよ?」

 

友哉「ついつい顔に出ちゃいましたか。北郷さんはどうなんですか?」

 

一刀「俺も大体おんなじかな。桃香も愛紗も大切な俺の家族だよ。ただ少しだけ向こうの世界を思

い出すことはあるけどね。それじゃあ、そろそろ失礼しようかな。眠くなってきたしね。明日はお

互い頑張ろうね」

 

友哉「無事に生きて帰りましょう!」

 

二人は一歩ずつ歩み寄りしっかりと握手した

 

 

斥候「申し上げます!」

 

翌日、予想通り袁紹軍は突撃しその後ろを各諸侯が追いかける形となっていた

 

曹操「そう。袁紹軍が壊滅したのね。」

 

荀彧「まさか、あの山の中に一万五千も隠れていたなんて」

 

曹操「どうするのかしら、桂花?」

 

荀彧「はい。ここは各諸侯と足並みをそろえ反転し、董卓軍を第二の風除けとして使うのが良いかと」

 

曹操「そうね。それは私が天城の戦いを見たいというのを見越しての判断かしら?ご褒美をあげないといけないわね。それでは我が軍はこれより各諸侯とともに反転、董卓軍の後ろに着く!」

 

 

--劉備陣営--

 

諸葛亮「桃香様!曹操より連絡です!敵に伏兵あり。袁紹軍は壊滅。各諸侯は共同で反転。董卓軍を第二の風除けとして使うそうです」

 

鳳統「おそらく、天災の戦いを見たいのかと思われます」

 

劉備「どうする?ご主人様?」

 

一刀「そうだね。俺も気になるし、それに乗ってもいいんじゃないかな」

 

劉備「それじゃあ、朱里ちゃん雛里ちゃん。各部隊に伝令お願いね」

諸葛亮・鳳統「はい!」

 

 

--孫策陣営--

 

周瑜「どうするつもりだ?雪蓮」

 

孫策「そんなの乗るに決まってるじゃな~い。面白そうだもの」

 

周瑜「やはりな。隠!各部隊に通達しろ!これより・・・」

 

 

ねね「現在我々は袁紹を盾として、その後ろに横一列に並んでいるのです!」

 

莉空「旗は、まず左から孫の牙門旗。そこに周と陸。兵数は約一万。そして劉・十文字の牙門旗。そこに関と張と趙。兵数は約八千。その次に我ら董卓軍。兵数は約一万二千。そして最後に曹の牙門旗。そこに夏侯が二つに楽と于と李。兵数は約二万。ほかの諸侯はまだ後ろのようだな」

 

友哉たちは敵砦に移動しながら、現状を確認していた。

 

霞「おいおいおいおいっ!どないしたんや!」

 

恋「・・・みんな、下がってく」

 

突然横並びだったほかの諸侯が反転、我々の後ろにつき再び横一列に再展開。退路をきっちりとふさがれたのだ

 

友哉「どうなってるんだ!」

 

兵たちの間にも動揺がはしる。そこに一人の斥候が帰ってくる

 

斥候「申し上げます!敵に伏兵あり!前方の袁紹軍は壊滅状態!」

 

莉空「なんだとっ!」

 

霞「どないなっとんねん!」

 

将軍さえも動揺が隠せないでいる

 

ねね「おそらく、ほかの陣営は早いうちにこの情報を得て、我らを二つ目の盾にしようとしているのです!」

 

霞「どうするんや!敵さんは四万もおんねんで!」

 

恋「・・・後ろには、下がれない」

 

ねね「やるしかないのです!幸い敵は篭城せずに全軍を砦前に集結させているのです!霞は騎馬隊を率いて遊撃!友哉は右翼、莉空は左翼!恋殿は本隊を率いてくださいなのです!本隊を前にして、両翼を本隊よりやや後ろに配置!敵の突撃を両側に受け流して後ろのお馬鹿さんどもに送りつけてやるのです!」

 

莉空・霞・友哉・恋「了解!(・・・りょうかい)」

 

そういって将軍たちは自分の持ち場へと戻っていった

 

霞「なぁ友哉。最初は隊の中心で戦場の空気を味わいや。いきなり戦おうても、やられるんが落ちやわ。これが初陣なんやから、少し慣らしたらええわ」

 

友哉「ありがとうございます、霞さん。そうさせてもらいます」

 

 

曹操「どうなっているの?桂花」

 

荀彧「はい、華琳さま。董卓軍は我々に敵を受け流すつもりのようです。中央最前線に深紅の呂旗。そしておそらく遊撃で張の旗、左翼に華の旗。そして我らの前方右翼に紺碧の天旗です」

 

曹操「おそらく、それが天城ね。すぐに迎撃体制を取らせなさい!」

 

その時前方で大きな咆哮が聞こえた

 

曹操「どうやら始まったようね。状況は逐一私のところに報告なさい」

 

さぁ、どんな戦いをするのかしら。見せてもらうわよ

 

 

 

 

 

 

一般兵「申し上げます!董卓軍右翼が崩壊しました!」

 

曹操「どうなっているの!?」

 

曹操は伝令のあった右翼のほうへ視線を向ける。するとそこには紺碧の天旗のもとにはすでに1千ほどしか兵が残っていなかった。それにどうやら友哉はまだ戦っていないようだった。

 

曹操「個人としての武はあっても、将軍としての才はなかったようね」

 

 

友哉「クソッ!何で震えるんだよ!これが戦場なのか!」

 

友哉の脚はガタガタと震えていた。目の前で打ち付けあわれる金属の音。そして敗者から噴き出す赤い液体。すべてが友哉が今まで経験したことのないものだった。そして何よりも、訓練で親交を深めた自分の部隊の兵士たちが、目の前で命を落としていくのだ。

 

目の前に部隊でもっとも仲のよかった兵士が後ろから切り付けられようとしている。

 

友哉「クソッ!ヤメローッ!」

 

気づくと抜いていた蒼天から赤い液体が滴り落ちていた。前を見ると首と胸に大きな裂傷があり、そこから血を流しながら倒れていく敵兵がいた。

 

友哉「・・・」

 

人を斬った。人を殺した。斬った時の感触、音、血の臭いが頭の中でいっぱいになっていく。すると頭の中に不思議な光景が思い浮かぶ

 

二人の女が縛り付けられている。一人は四十代ほど、もう一人は中学生ぐらい、どうやら親子のようだ。二人は何かを必死に叫んでいる。そこに黒装束に身を包んだ何人もの男たちが現れた・・・

 

そこでその光景は終わり戦場の光景へと意識が戻る。しかし異変はそれだけではなかった。

 

体が熱い。まるで燃えているようだ。中から何かが湧き上がってくる。そして次の瞬間、友哉の意識はなくなってしまう

 

 

曹操「何!?あれは」

 

曹操が友哉の様子を見ていると突然異変が起こった。友哉が初めて戦いに参入し一人殺したときだった。友哉は頭をかかえうなだれてしまった。しかしすぐに背筋を伸ばし、立ち直ったと思ったそのときだ。突然紺碧の天旗が燃え出した。

 

そして紺碧は燃えている紅蓮の天旗へと変わったのだ。わけが分からず友哉へと視線を戻すと、彼もまた体から炎が上がっているようだった。しかし、次第にその炎は弱くなりついに消えてしまう。そこで中から姿を現したのは、空色の髪の少年ではなく、朱色の髪をした少女だった

 

 

 

 

 

 

 

 

??「まったく。もう俺の出番かよ!道空も厄介なことしてくれたもんだぜ!」

 

なんと炎の中から姿を現したのは、腰まである朱色の髪をした少女。その姿は紛れもなく友奈だった

 

友奈「ナイスだ、友哉!朱雀を持ち歩いてるとは、わかってるじゃないか!そんじゃあ、こいつがおさまるまで派手に暴れさせてもらうぜ!」

 

友奈はすぐに愛剣『朱雀』を逆手に構えると。敵軍勢の中へと赤い疾風のごとく駆け出した

 


 
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