No.210476

恋姫†無双的 ~ドキッ☆幼女だらけの三国志演義~

AC711さん

ロー○製薬の歌詞を幼女に変えて歌ってたら閃きました。

2011-04-07 20:59:57 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:4648   閲覧ユーザー数:3477

 

………。

……………。

 

一刀「えーっと…。」

 

なんだろ?

気づくと辺り一面なにも無い荒野。

青く澄み渡った空には白い雲が流れていく。

目を凝らすと遠くの方に山が幾つか見える。

 

一刀「うん。いい天気だなぁ…。」

 

これはもう絶好のピクニック日和だ。

昨日から準備していた甲斐があったってもんだ。

おっと、おやつはもちろん300円までだぞ。

 

一刀「って、なんじゃこりゃああああー!?」

 

小学校の遠足当日にまで飛んでいった意識を元に戻す。

そしてもう一度辺りを見回す。

 

一刀「え?なに?ギャグ?ドッキリ?」

 

目に映る景色は明らかに近所のものじゃない。

それどころか日本の景色ですら無いような…?

 

一刀「はは、そんな馬鹿な。」

 

日本の景色じゃない?それじゃここは何処だっていうんだ。

……………。

ホント、どこだっていうんですかね?

落ち着け。落ち着いてよく考えるんだ。

 

一刀「昨日、俺は…何処にいた…?」

 

……………。

部屋にいました。

で、気づいたら此処にいた。

 

一刀「これは…まさか…俺は死んd……」

 

??「おい。」

 

ん?

いま声が聞こえたような…?

 

??「おい!貴様、私を無視するんじゃない!」

 

まただ。今度は気のせいじゃない。

しかし、声の主は一体何処に…?

遠くを見回してみるが誰もいない。

おかしいな?と思った俺の足に激痛が走った。

 

―――ゴン!

 

一刀「痛ッ!?」

 

??「貴様!何処を見ている!下だ馬鹿者!」

 

痛みに堪えながら俺は声の指示に従い下を見てみる。

するとそこには赤い服を着た髪の長い幼女が立っていた。

 

一刀「えーと、キミはえっと…なに?」

 

元譲「私か?私は夏侯元譲!そんなことも知らんのか馬鹿者め!」

 

一刀「夏侯…元譲…?もしかして夏侯tいぎっ!?」

 

妙才「そして私が夏侯妙才だ。」

 

後ろにもう一人居たらしい。今度は青い服を着た髪の短い女の子だ。

っていうか、この子いま踵をザリッ!ってやりやがった。

地味に痛いので良い子は真似しないように。

 

元譲「怪しい奴め。こんな場所に一人で突っ立ってるかと思えば急に一人でブツブツと。」

 

妙才「まあ、待て姉者。まずは話を聞こうではないか。」

 

ほっ、どうやら妙才と名乗る子の方は比較的まともそうだ。

 

妙才「身体にな。」

 

そうでもなかった。

冷静に言っている分、姉よりもタチが悪そうだ。

 

元譲「うむ。流石秋蘭だな!では早速…。」

 

早速って何!?そしてそのお子様には不釣合いなでっかい剣をどうする気だ!!

めっちゃ笑顔だよこの子!幼女の笑顔ってこんなに怖いものだったか!?

いやー!!こんな訳の解らない所で幼女に殺されるー!!

 

妙才「と、言いたい所だが…姉者。」

 

元譲「なんだ秋蘭?悪いがこいつの首は私のだぞ。」

 

妙才「いや、そいつの首なんかどうでも良いが、そろそろ夕飯の時間だ。

   早く帰らないと母様に叱られるぞ。」

 

元譲「むぅ。じゃあさっさとこいつの首を斬ってから帰ればいいだろう?」

 

妙才「それもダメだ。前に血で剣をダメにして父様に叱られたのを忘れたか?」

 

妹にそう言われてシュンっとなる姉。

端から見ている分には可愛い仕草だ。

シュンっとしている理由が俺を殺せなくて残念っていうのでなければな!

 

元譲「フン。命拾いしたな。行くぞ秋蘭。」

 

ズンズンと歩きだす姉の後ろを少し遅れて付いていく妹が俺の方を一度振り向きニヤリと笑った。

どんどん小さくなっていく二人の姿を俺はボケッと眺めていた。

 

一刀「なんだったんだ…。」

 

あんな小さな女の子が剣を持っている以上、ここは俺がいた日本では無いだろう。

二人の衣服は中華っぽかった。そして二人の名前。

何か嫌な予感がする。

 

一刀「ん?なんだ?」

 

遠くに去っていった二つの影の内、青い方が止まっているように見える。

そして何かを構えて…まさか!?

 

―――ヒュッ!

 

一刀「うおお!?」

 

咄嗟に横に飛び退く俺。

すると俺の居た場所にドスッ!っと矢が刺さった。

 

妙才「チッ。」

 

元譲「どうした?秋蘭?」

 

妙才「いや…、なんでもない。」

 

あのクソガキ~!!俺を狙って矢を撃ちやがった!!

姉にはあんなこと言っておきながら油断した所を狙うとはなんて野郎だ!!

あ、女の子だから野郎じゃないか?

いや、そんなことはどうでもいい。

とりあえずこれで解ったことがひとつある。

 

一刀「ここは命を狙われる可能性があるってことだな。」

 

そう。ここが何処か?よりも油断すると殺される可能性があるという方が問題だ。

こんな荒野に何も持たずに立っていれば何時殺されても不思議じゃない。

 

一刀「となると、まずは街を探すべきか…。」

 

あの二人の姉妹にも家族は居るようだし、身なりからもある程度の生活水準はある様に思える。

街…とまではいかなくても、おそらく集落の様なものはきっとある筈だ。

しかし、そうなると再びあの姉妹に遭遇する危険もあるんだけど…。

 

一刀「この荒野を何の道標も無しに進むよりはマシか…。」

 

そう自分に言い聞かせ、姉妹が歩いて行った方向に進むことにした。

 

 

 

 

歩くこと数時間。

姉妹の後を追って進むと荒野から森に出た。

一応、道はあるにはあるんだけど、どう見ても獣道です本当にあr(ry

それでも進むしか無い俺は草薮をかき分け、へろへろになりながらも前に進んだ。

気が付くと辺りは既に真っ暗になっていた。

 

一刀「まいったなぁ…。明かりになるようなものは持っていないし…。」

 

都会に暮らしている人には分かりづらいだろうけど、夜の森は物凄く暗い。

時折、月明かりが道を照らすものの、殆ど目を瞑って歩いているようなもんだ。

こんなに暗い中を迂闊に進むのは危険だと判断し、腰を下ろせそうな場所で休憩することにした。

 

一刀「べ、別に暗いのが怖い訳じゃないからな!?疲れたってだけなんだからね!」

 

などと一人でツンデレってみても虚しいだけでした。

ぐぅぅう…。

腹が減った。考えてみればずっと歩きっぱなしで何も食べてないもんな。

あと喉も乾いた。ポケットには小銭がいくらか入っているが、自販機もないんじゃ仕方ない。

 

一刀「これからどうなんのかなぁ…。」

 

雲間に見える月を見上げて一人呟いてみる。

そして俺はいつしか眠りに落ちていった。

 

 

 

 

??「フゴッ。フゴッ。」

 

一刀「んー…。」

 

??「フゴッ。」

 

なんか顔に生暖かい風が…。

 

??「フゴッ!」

 

一刀「冷たっ!?」

 

なんだ?ぬっちょりしたもんが俺の顔に…。

 

??「フゴッ!フゴッ!!」

 

目の前にはなんかでかい獣がいた。

っていうか猪だった。

なんか臨戦態勢っぽいです。

 

一刀「…さ、さぞかし名のある山のぬしぃいやあああああああッ!?」

 

寝起きで猛ダッシュ!!追っかけてきてる!めっちゃ追っかけてきてるぅぅぅ!!

 

猪 「フゴッ!!フゴォオオ!!」

 

しかもめっちゃ怒ってるよ!!なんだこれ!?

私、オッコ○ヌシ様の目に…なんて言ってる場合じゃねえ!!

 

一刀「なんだってんだ!チクショウ!!」

 

必死に逃げる俺。

猪超怖い。あと超早い。

 

猪 「フゴォ!フゴゴッ!!」

 

オレサマ、オマエマルカジリ。とでも言ってるんだろうか。

涎とかベロンベロンである。

 

一刀「ダメだ!普通に走ってたんじゃ追いつかれる!!」

 

単純な足の速さでは追いつかれてしまう。

しかもこっちは慣れない山道。

あの巨体が通れない道や障害物が多い場所を選んで走ることにする。

 

猪 「フゴッ!?フゴッ!」

 

どうやら作戦は成功した様だ。

猪はどんどんと速度を落としていき、俺との距離が離れていく。

 

一刀「よし!このままいけば…!」

 

振りきれる!…と思った瞬間。

 

―――突然地面が消えた。

 

あまりにも慌てて走っていたせいで気付かなかった。

猪が速度を落としたのは走りにくい場所だったからではなく、その先が崖であることを知っていたからだったんだ。

そして空を見上げて気づく。

いつのまにか朝になっていたん…

 

一刀「だなぁぁぁあああぁああああああぁぁぁ………!!!!!!!」

 

まるでこうなることが運命づけられていたかの様に俺は崖の下へと落下した。

こうして俺の短い生涯は幕を閉じたのであった。

 

 

 

 

それは運命の出会いでした。

私がいつもの様に山に篭もり、川辺で修行をしていた時のことです。

突如眩しい光(ただの朝日です。)が辺りを包んだかと思うと、

天より(ただの崖の上です。)雷鳴(ただの絶叫です。)と共に人が降ってきたのです。

神々しい衣服(ただの学生服です。)に身を包んだその方はとても凛々しいお顔をしていて、

私は一目見てこの方は天の御使いさまだと直感したのです。

                                   愛紗の日記より

 

 

 

 

 

??「大丈夫ですか!?大丈夫ですか!?御使いさま!!」

 

一刀「うーん………。ハッ!?」

 

勢いよく飛び起きる。

あれ?ここは何処だ?俺は確か猪に追いかけられて…。

そう。それで崖の下に落ちたんだ。そうだ。

 

一刀「…い、生きてる?」

 

慌てて自分の身体を確認してみる。

何故かびしょ濡れではあるが、別にどこも怪我はしていない様だ。

 

一刀「生きてる!やった!俺は生きてる!!生きてるぞー!!

   ざまあみやがれオッ○トヌシめ!ひゃっほう!!」

 

などど一人で盛り上がっていると幼女が不思議そうに顔を覗き込んできた。

 

??「あのぅ…。その…だ、大丈夫ですか?」

 

一瞬、ビクッ!っとなったが、どうやらあの極悪姉妹ではなさそうだ。

…いや、油断してはいけない。

この子が俺の命を狙わないという保証はないのだ。

 

??「えっと、御使いさま?お身体の方は…?」

 

御使いさま?なんのことだ?

 

一刀「ああ、身体の方は大丈夫。でもその御使いさまって?」

 

??「はい?天より世の平和の為に遣わされるお方のことですが…?」

 

天?平和の為?何を言っているんだ、この子…?

 

??「御使いさまが天より降りてきた時は何事かと思いましたが、幼き頃より伝え聞いた伝説は本当だったのですね。」

 

あー…、なるほど。

崖から降ってきた俺を見て、天から降ってきたと勘違いした訳か。

そりゃ確かに空から人が降ってきたらビックリするよなぁ…。

 

??「あ!し、失礼しましちゃ!我が名は関羽!字は雲長!真名は愛紗といいましゅ!!」

 

なんか慌てたせいで壮絶に噛んでるけど…。

あ、ちょっと赤くなってる。可愛い。

またどっかで聞いたような名前が出たけど、もはや気にすまい。

 

一刀「えーと、関羽ちゃん?」

 

愛紗「はい!でも私のことは愛紗とお呼びください!」

 

一刀「ああ、わかった。それでえーと…。」

 

愛紗「?」

 

可愛らしく首をかしげる愛紗。

 

一刀「ガッカリさせて悪いんだけど、俺…天の御使いじゃないんだよね。」

 

愛紗「!?」

 

あ、ガーン!って感じの顔してる。

テンション高かっただけに凄い落ち込んでるのが解る。

女の子を悲しませることはしたくないけど、本当のことを隠してるよりはいいよな。

 

愛紗「…もん。」

 

一刀「は?」

 

愛紗「御使いさまだもん!!絶対そうだもん!!天から降ってきたもん!!」

 

なにぃ!?頭をぶんぶん振りながら頑なに現実を受け入れ拒否!?

っていうか「もん」ってこっちが素か?

やっぱりあの堅苦しい喋り方は無理してたんだな。

 

愛紗「御使いさまは愛紗のご主人さまだもん!そうじゃなきゃヤダー!!」

 

だ、駄々っ子!?

いや、しかしそんなこと言われても俺は天の御使いじゃないしなぁ…。

 

一刀「って!ちょ!まっ!?」

 

やばい!マジで泣きそうだ!

ただいまフル充電中って感じだ!

ど、どどどどどうしよう!?え!どうする!?

 

愛紗「ひぃ~………」

 

一刀「だーッ!!そうです!実は天の御使いでした!」

 

愛紗「ふぇ?」

 

一刀「はっはっは!俺の正体に気づくとはやるじゃないか、愛紗ちゃん!」

 

勢いに任せてビッ!っと親指を立てる俺。

ええい、もうどうとでもなれ。

 

愛紗「ホント?んじゃ愛紗を部下にしてくれる…?」

 

一刀「おう!なんだってやってやるぜ!…って……部下?」

 

部下?部下っていうと…部下だよな。

○○君。これ30部ほどコピーしておいてくれ。とかいう…。

 

愛紗「うん!愛紗は世の平和の為にご主人様と共に頑張るの!あ、頑張るのです!」

 

いや、言い直さなくてもいいから。

泣きそうになった時点で既に手遅れだし。

 

一刀「世の平和の為…ね。」

 

まあ、考えてみれば子供のお遊びみたいなもんだろう。

俺も子供の頃は仮○ライダーとかに憧れたもんさ。

それにこの子に付いて行けば街がある場所くらい解るかもしれないよな。

…また泣かれても困るし。

 

一刀「よし、わかった。んじゃ愛紗ちゃんは天の御使いである俺の部下ということで街まで案内してくれるかな?」

 

愛紗「はっ!わかりまちた!!」

 

こうして、ビシィ!って感じで勢いよく返事に失敗した愛紗と共に街を目指すことになった。

 

愛紗「ご主人さまー!早くー!」

 

一刀「やれやれ…。前途多難だな…。」

 

 

 

 

 

一刀「それで、愛紗ちゃんはなんであんな山の中に?」

 

愛紗「はっ!己を鍛える為には山に篭もり修行をするのが一番だと思いまして。」

 

一刀「そっか。…あとその口調じゃなくて普通に喋っていいからね?」

 

愛紗「む。べ、別に無理ちてる訳じゃありましぇん!あ。」

 

べ、ベタだ…。

いやまあ、無理して勇ましい喋り方をしている様も可愛いんだけどね。

やっぱり女の子なんだし、普通に喋ってくれた方がいいと思う。

みんなもそう思うだろ?

 

一刀「ほら。無理するから。」

 

愛紗「む、無理してないですもん…。」

 

一刀「俺は愛紗ちゃんが普通に話してくれる方が嬉しいな~。」

 

愛紗「……本当ですか?」

 

一刀「もちろんだよ。素の愛紗ちゃんが一番可愛いと思うよ。」

 

愛紗「~~~~!!」

 

あ、照れてる。

うんうん。やっぱり子供は素直な方が可愛いな。

 

一刀「で、話戻すけど、なんで一人で修行を?ご両親は?」

 

愛紗「あ、はい。親はもうおりませんので…。」

 

一刀「え?」

 

また口調が元に戻ってるってそんなことはどうでもいい。

親はもういないだって?

 

愛紗「私がもっと小さい頃に賊に…。私は兄に庇われて難を逃れましたが、家族は…。

   それ以来、私は悪を倒し平和な世を築こうと、その為に修行をすることにしたのです。」

 

一刀「………。」

 

正直、絶句した。

だってそうだろう?こんなに小さい子が家族を失ったというのに健気に頑張っている。

一人山の中で孤独に修行をし続けてきたんだ。

自分と同じ様な思いをする人が居なくなるように、世界の平和を願って…。

 

愛紗「ご主人様?」

 

俺の顔を覗き込む愛紗。

気づくと俺は愛紗を抱きしめていた。

 

愛紗「ちょ!ご主人さま!?なんですか!?」

 

暴れる愛紗を構わず抱きしめ続けた。

そして優しく頭を撫でてやる。

 

愛紗「ご主人さま~!おヒゲちくちくします~!!」

 

??「あらあら~。」

 

突然声がした。

 

愛紗「!? 誰だ!って、ご主人様!いい加減離して!もう!」

 

一刀「ぐふっ。」

 

愛紗に肘打ちされた。

痛みに耐えながら声がした方向に振り返る。

 

??「幼い少女に獣の様に襲い掛かる白い男。~通行人は見た!~」

 

なにその火曜サスペンス?

目の前に現れた女性は愛紗より年上の…高校…いや中学生くらいかな?

それにしては随分と艶があるような…。

 

??「驚きですわ~。現実は火サスよりも奇なりとは言いますけど、本当ですのね。」

 

火サスってはっきり言った!?

 

愛紗「何を訳のわからんことを…。お主、ごすじんさまに仇なちゅ…ちゅもりなりゃ………ぐすっ。」

 

一刀「わー!良い所で噛んだからって泣きそうになるなー!!」

 

??「あらあらあら~。可愛いですわ!なんかこう思わずR18なことをしたくなるくらい可愛いですわ!」

 

一刀「するな!!」

 

はっ!思わず突っ込んでしまった。

っていうか、この娘さっきから頬が赤いって、なんか興奮してるし…!?

ええい、今は愛紗だ!とりあえず落ち着かせないと!

 

一刀「大丈夫か?落ち着いた?」

 

愛紗「(コクッ)」

 

よし、これで愛紗はOKだ。

問題は…こっちの娘だな。

なんかさっきから愛紗を見てハァハァしてるし。

 

一刀「…で、キミは一体なんなんだ?」

 

??「え? …あらまあ、わたくしとしたことが…殿方と幼女という組み合わせに些か興奮してしまいました。」

 

些かっていうレベルじゃなかったけどな。

 

??「申し遅れました。わたくし黄忠と申します。…で、そちらのお嬢ちゃんと強姦魔さんは?」

 

一刀「強姦魔じゃないから!さっきのはだな…その…なんか勢いでつい…。」

 

黄忠「勢いでつい…幼い蕾を散らそうと?」

 

一刀「違ーッう!! 愛紗のあまりにも重い話に思わず抱きしめてしまっただけだ。他意はないぞ。ホントに。」

 

黄忠「あら、そうなんですの。がっかり。 それでそちらのお嬢ちゃんは…?」

 

ガッカリ…?

うわ、本当につまらなさそうな顔してるよ。

なんなんだこの娘は。俺と愛紗をどうしたかったんだ?

 

愛紗「我が名は関雲長!天の御使いであるご主人さまの家臣です!」

 

黄忠「天の御使い?なになに?どういうことなの~?」

 

あ、なんか面白いこと見つけたって顔してる。

こういうのは無視して先に進むのに限る。

 

愛紗「実はですね…。」

 

って、説明してるー!?

 

愛紗「??? どうしましたご主人さま?」

 

一刀「あー…いや。続けてくれ。」

 

………。

……………。

それから話をすること数十分。

 

黄忠「あらあらあらあら~!!」

 

なんか号泣しだしたよ、この娘。

いや、愛紗の話には俺も正直泣きそうになったけどさ。

 

黄忠「なんて健気で良い子なの!いじらしい!」

 

ヒシッ!っと愛紗に抱きつく黄忠。

それを嫌そうに振り払おうとする愛紗。

ここだけ見てみると中の良さそうな姉妹に見えるんだけどなぁ…。

 

愛紗「離せ黄忠!ご主人様といい、なんなんら!?」

 

黄忠「いやですわ。水くさい。私のことは紫苑と真名で呼んで頂戴。」

 

愛紗「わかった!わかったから離~れ~ろ~!!」

 

そんな感じで暫く暴走していた黄忠だったが落ち着いたのか、ようやく愛紗を離した。

あれ?なんかお肌つやつやになってませんか、黄忠さん?

 

愛紗「ぜーはー…。し、紫苑。私のことは愛紗と呼んでいい。」

 

紫苑「あら?私にも真名を預けてくださるの?」

 

愛紗「真名を預けて貰っておいて、私だけ真名を預けぬ訳にはいかないです。」

 

うん。なんかよく解らないけど、二人の中に友情らしき物が芽生えた様だ。

あれ?ひょっとして俺空気?

 

紫苑「ご主人さまも私のことは紫苑とお呼びくださいな。」

 

一刀「え?あ、俺もいいの?」

 

紫苑「もちろんですわ。愛紗ちゃんのご主人さまですもの。」

 

一刀「ああ、ありがとう。えっと、せっかく真名?を預けてくれて悪いけど、俺たち先を急ぐからこれで…。」

 

そう言って、愛紗の手を引きながら街への旅路を急ぐことにした。

やれやれ何か変なのに関わったせいで疲れたな…。

 

暫く道を進むとやがて日が暮れてきた。

 

一刀「暗くなってきたな。そろそろ野宿の準備をしようか。」

 

紫苑「あら。いけませんわ。こんな所でなんて乙女心が解っておりませんのね。」

 

一刀「……あえて聞くけどさ。」

 

紫苑「もちろん処女ですわ。」

 

一刀「違う。なんで居るの?」

 

紫苑「それはもちろん面しr…こんな小さな愛紗ちゃんを放っておける筈がないですもの。」

 

面白そうだからか。

いや、そんなことだろうとは思ってたけどね。

そんなことを考えながら愛紗の方を見る。

 

愛紗「愛紗は別にいいよ?」

 

そうか。愛紗は別にいいのか。

うっかり素に戻ってるけど、あえて突っ込むまい。

 

紫苑「いやですわ。突っ込むだなんて。」

 

一刀「あんたエスパー!?」

 

愛紗がエスパーってなにー?って顔してるが、すまない。説明する元気はもう無いんだ。

どうせ何を言っても無駄だろうから紫苑の同行は認めざる得ないだろう。

はぁ…。先が思いやられる…。

 

紫苑「ところでご主人様?」

 

一刀「…なに?」

 

気のない返事を返す。

 

紫苑「野宿などしなくてもこの先に民家がある筈ですよ。今日はそこに泊めてもらうというのはどうでしょう?」

 

一刀「え?本当に?」

 

意外だ。紫苑からまともな意見が出てくるなんて。

ここに来てからまともな場所で寝たことが無かった俺にとって、民家に泊めて貰えるというのは有り難い話だ。

愛紗も久しぶりに暖かい布団で眠りたいだろうしな。

 

一刀「んじゃそこに案内してくれるか?」

 

紫苑「もちろんですわ~。うふふ…。」

 

紫苑の含みのある笑顔に嫌な予感がしつつも民家を目指し歩みを進める俺たちだった。

 

 

 

 

 

??「さあ、これで綺麗になりましたよ。」

 

一刀「すいません。泊めてもらった上に洗濯までして頂いて…。」

 

??「フフ、いいのよ。それにお連れのお嬢ちゃんが悲しそう顔をしていたしね。」

 

一刀「ああ…。愛紗には気にしなくていいって言ったんですけどね。」

 

??「小さくても女の子ですからね。はい、これ。」

 

一刀「ありがとうございます。水鏡さん。」

 

水鏡さんという美しい婦人が渡してくれたのは俺の上着だ。

実は昨日、民家に向かう途中に疲れて眠ってしまった愛紗を背負って歩いていたんだけど、

余程疲れていたのか、気づいたら背中が愛紗の涎まみれになっていた。

翌朝、俺の上着を涎で汚してしまったことを知った愛紗が大層落ち込んでしまったので、

それを見かねた水鏡さんが上着を洗濯してくれたという訳だ。

 

愛紗「あ、あの…。」

 

一刀「ん?ああ、愛紗か。どうした?」

 

愛紗「その、ご主人様の服を汚してしまって…あの…ごめんなさい…。ぐすっ。」

 

一刀「そんなに気にしなくていいって。ほら、水鏡さんが綺麗に洗濯してくれたから大丈夫だよ。」

 

な?っと洗って貰ったばかりの上着を愛紗の前で広げて見せる。

上着が綺麗になっていることに安心したのか、愛紗は泣くのをやめてにっこりと笑った。

 

愛紗「うん!えへへ、綺麗になって良かったぁ。」

 

一刀「そうだろう? じゃあ、愛紗も一緒に水鏡さんにお礼を言おうな。」

 

愛紗「うん!水鏡さん、どうもありがとうございました!」

 

愛紗と一緒に頭を下げる。

どうやらもう大丈夫みたいだな。

 

水鏡「どういたしまして。こちらこそ朱里の面倒を見てもらえたから助かっちゃったわ。」

 

紫苑「うふふ。朱里ちゃんは賢いわね~。」

 

朱里というのは紫苑がいま抱いている赤ん坊のことだ。

 

水鏡「ありがとうね。紫苑さん。」

 

紫苑「いえいえ。あら?ご主人さま。上着は綺麗になったのですか?」

 

一刀「…おかげさまでな。」

 

紫苑「それは良かったですわ。ね?愛紗ちゃん。」

 

愛紗「うん!あ、うむ!」

 

何をしれっと言ってるんだか…。

そもそも愛紗は朝までずっと寝ていたのだから言わなきゃ涎のことなんて気づかなったのに、

わざわざ「ご主人様の上着が愛紗ちゃんのいけないお汁まみれですわ。」なんて言うから愛紗が凹んだんじゃないか。

っていうか、なんで毎回発言が卑猥なんだよ?

 

紫苑「それが私に求められているものだからですわ。」

 

だから心を読むな。

 

愛紗「ご主人様、ご主人様。」

 

一刀「ん?なんだ愛紗?」

 

愛紗「朱里ちゃん可愛いねー。」

 

一刀「ああ、そうだな。」

 

紫苑「こんな赤子にまで!?なんという広範囲守備なのかしら!!」

 

一刀「何を言ってるんだお前は。」

 

本当に何を言ってるんだか…。

あ、紫苑の奴いま舌打ちした!?

 

水鏡「ええ、本当に…。血の繋がりは無くても可愛いものです。」

 

一刀「え?」

 

血の繋がりが無い?

ということは朱里ちゃんは孤児なのか…?

 

水鏡「話せば長くなるのですが…。」

 

 

~回想始まり~

 

この子はとある幸せな夫婦の元に生を受けました。

美しく優しい妻に、勤勉で真面目な夫。

しかし、朱里がこの世に産まれ落ちた時、既にこの子の不幸は始まっていました…。

 

夫 「う、産まれたか!?」

 

産婆「ああ、元気な女の子じゃ。」

 

夫 「女の子か!そうか!よく頑張ったな!」

 

妻 「ええ…。さあ、私の可愛い赤ちゃん。声を聞かせておくれ。」

 

産婆「ほら、お前のお母さんの頼みだ。元気に泣いておくれよ。」

 

ペシン!と産婆が赤子の尻を叩く。

すると…

 

朱里「はわわっ!はわわっ!」

 

夫 「……。」

 

妻 「……。」

 

産婆「……。」

 

朱里「はわわっ!はわわっ!」

 

夫 「……。」

 

妻 「……。」

 

産婆「…ほ、ほら。元気な産声じゃないか…!」

 

朱里「はわわっ!はわわっ!」

 

夫 「……。」

 

妻 「……。」

 

夫 「…きめぇ。」

 

朱里「はわっ!?(ガーン!)」

 

 

~回想終わり~

 

 

水鏡「憐れ、朱里は産声がキモかったばかりに産婆に預けられ、そして私の元へと引き取られる事となったのです…。」

 

一刀「……。」

 

愛紗「……?」

 

紫苑「というか、別に長くはないような?」

 

一刀「ちょ!お前そういうことは言っちゃダメだろ!!」

 

そして突っ込む場所はそこじゃない!

 

一刀「あー…まあ、確かに…ちょっと個性的な泣き声だなぁ?とは思ってたんですよ?ちょっとは…。」

 

水鏡「いえ、いいんですよ。私も変わった泣き声だとは思っておりますから。」

 

あー、そうですか。いやまあ…うん。

なんだろう?産まれた瞬間に親から見放されて産婆から水鏡さんの所へとたらい回しにされて、

そこそこヘビーな話題の筈なのにいまいち同情できないというか…。

 

朱里「はわ~?」

 

愛紗「朱里ちゃんこんなに可愛いのにね?」

 

愛紗が首をかしげて俺を見つめてくる。

や、やめろ!俺をそんなつぶらな瞳で見つめないでくれ…!

 

一刀「そ、そうだな。それに利発そうだし、将来は軍師なんかになったりしてな。」

 

はわわ軍師とかな。

ぶほぅ!いかん、自分で言ってちょっとツボに入った。

俺が笑いを堪えていると朱里が水鏡さんにはわはわ言い出した。

 

朱里「はわわ。はわ。はわはわわ。」

 

水鏡「え?なになに…私の才能にお気づきになるとは流石は天の御使いと呼ばれることはあります。

   わかりました。平和な世を作る為、私も御使いさまにご同行いたしましょう!…ですって?」

 

………え?

ちょっと何を言っているのか解らない。

そもそも赤ん坊がそんなこと言う訳無いし…。無いよな?

ということは水鏡さん…もしかして俺たちに朱里を押し付けよう…とか?

え?マジで?

 

朱里「はわっ!」

 

いや、「はわっ!」じゃねえよ。なんで自信満々顔だよ。

お前はいま捨てられるかどうかの瀬戸際なんだぞ。

 

水鏡「そう…。決意は固いのね。」

 

えー!?今の「はわっ!」は決意表明だったのー!?

っていうか絶対嘘でしょ水鏡さぁーん!!

 

水鏡さんはすっと立ち上がりコチラを見つめて来る。

俺は「いや、それは流石に無理ですよ。」っていう意思をそっと目で訴えかけてみる。

すると水鏡さんはそっと無言で頷き…

 

水鏡「何を言っているの朱里?貴女はまだ赤ん坊なんだから旅なんて無理でしょ?

   せめて私と同じくらいバインバインになってからになさい。いいわね?」

 

朱里「はわッ!?(ガーン!)」

 

良かった!水鏡さんがまともな人で本当に良かった!

…あれ?ということは水鏡さんが言っていたことは本当ってこと?

朱里ちゃんは喋れるの?いや、はわん語だったけど、あれ?え?…あれ?

…………。

よし、深く考えるのはよそう。

朱里ちゃんはここでバインバインになるまで健やかに育つ。

それでいいじゃないか。

 

紫苑「そして熟した所をパクっと♪」

 

一刀「しないから。」

 

紫苑「あら?嘘つきなご・主・人・さ・ま♪」

 

ああもう、疲れるから紫苑の相手はしないでおこう。

とにかくだ。服も乾いたことだし、長居をしても水鏡さんの迷惑になる。

時刻ももうすぐ昼だし、街を目指すならそろそろお暇すべきだろう。

俺はその旨を水鏡さんに伝える。

すると水鏡さんは食料と水を少し分けてくれ、街までの簡潔な地図を描いてくれた。

朱里は最後まで「はわはわ。」言っていたが、その都度水鏡さんに笑顔で「だめよ~。」と、制されていた。

準備が整い、愛紗と紫苑と共にもう一度お礼を言い、俺たちは水鏡さんの家を後にしたのだった。

 

 

 

 

 

道中、小川で休憩をしていると空から一枚の紙切れが降ってきた。

なんだろうと思い、地面に落ちたその紙を拾ってみた。

 

紫苑「あら?ご主人様、さっそく下着ドロですか?」

 

一刀「なんでやねん。」

 

紫苑を軽くスルーして降ってきた紙を見る。

なにやら文字が書かれていた。

 

紙 「登場キャラの年齢を若くしたせいで孔明よりも年下であろうキャラは登場しません。

   登場しないキャラの基準はゲーム本編での張飛を始めとする幾人かのロリキャラから

   私の独断と偏見により勝手に選ばせて頂きます。

 

   それでは引き続き物語をお楽しみください。

                                    紙より。 」

 

って、なんだこりゃ?紙より?

訳がわからん。

 

愛紗「ご主人様?その紙はなんですか?」

 

一刀「ああ、そこに落ちてた。なんか文字が書いてあるけど、意味不明だから多分誰かの悪戯じゃないかな?」

 

愛紗「そうなんですか。じゃあ、それ焚き火を付けるのに使っていいですか?」

 

一刀「いいよ。はい。」

 

紙を渡すと、それを使って器用に火を起こす愛紗。

そこにさっき紫苑が捕ってきた魚を地面に刺し、塩焼きにする。

 

一刀「んー、いい匂いだな。」

 

紫苑「はい、ご主人様。焼けましたわ。」

 

一刀「ありがとう。紫苑。」

 

紫苑から魚を受け取ってそのままかぶり付く。

ハフッハフッ!熱い!でも美味い!

やっぱり外で食べる焼き魚は最高だな!

 

愛紗「美味しいね。ご主人さま。」

 

一刀「そうだな。」

 

愛紗も小さな口でちまちま食べる。

ふと横を見ると紫苑がなんか悦ってた。

…放っておこう。

 

―――ガサッ!

 

一刀「!? 誰だ!?」

 

咄嗟に音がした方に向き直る。

ガサガサッ!という音と共に現れたのは…

 

一刀「女の子…?」

 

歳や背格好は愛紗と同じくらいか?

しかし、様子がおかしい。

気のせいか、力が無く若干目が虚ろだ。

 

??「いい匂い…。(ぐぅぅ~)」

 

女の子はそう言うとお腹を鳴らして力が抜けたかの様に座り込んだ。

 

紫苑「ご主人様…。」

 

こちらを見つめる紫苑に俺は無言でうなづいた。

 

紫苑「わかりました。服を脱がして手篭めにするんですね?」

 

一刀「ちっげえよ!! お腹を空かしてるみたいだから魚を捕ってきてくれって言ってんの!!」

 

紫苑「ちょっとした冗談ですのに…。」

 

どこがだ!毎回毎回アンタはどこぞのエロ親父か!

俺に怒られ、不満気にしながらも魚を捕りに行ってくれる紫苑。

まあ、根は良い人なんだよな。ちょっと思考がアレなだけで…。

 

??「(ぐぎゅるる~…。)」

 

一刀「っと、悪い。水飲めるか?」

 

少女はこくっと頷くと水筒からゆっくりと水を飲み始めた。

 

??「けほっ!けほっ!」

 

一刀「おっと!慌てなくていいぞ。ゆっくり飲んでくれな?」

 

??「けほっ!…ありがとう。お兄ちゃん。」

 

お礼を言って少し笑顔になる少女。

うーん、どうやらかなりお腹を空かせているらしい。

紫苑が魚を捕って戻ってきても焼くまでに時間が掛かる。

何か他にすぐ食べれそうな物は無かっただろうか?

 

一刀「愛紗、他に何か食べれそうな物とか無かったっけ?」

 

愛紗「えーと…。あ、これとかどうですか?」

 

そう言って愛紗が差し出したのは大人の握り拳二つ分くらいの瓶。

あー、なんだっけ?確か水鏡さんが割と保存が聞くし、塩分も摂取できるって言ってくれたんだっけ。

正直これ単体で食べるのは味が濃い気がするけど、この際仕方ないか。

 

一刀「ごめんな。今直ぐ食べれそうなのはこれくらいしか無いんだ。我慢してくれるか?」

 

??「いえ…だいじょぶです。ありがとう。」

 

そう言って、瓶の中身を口に運ぶ少女。

パクッ。

 

??「!?」

 

うお!?

な、なんだ?目が見開いたぞ!?

 

??「こ、これは!?…なんという美味さだ!!この様な美味い物がこの世にあろうとは!!

   パクパクパクッ!う、美味い!この感動を伝える言葉に美味以外の言葉が思いつかん!!

   そこの御仁!この食べ物はなんという名なのですか!?」

 

一刀「え…?メ、メンマ…だけど……。」

 

急に立ち上がりオペラ宜しくな感じで高らかにメンマを歌いあげる少女。

余程美味しかったのか、感動で若干涙ぐんでいる。

あと口調はおろか、声質まで激変している。

 

??「メンマ…。おお…この味に相応しい美しい名だ…。

   この世にコレほど美味しい食べ物があろうとは…この趙子龍、感服の極みなり!!」

 

…………。

まいった。まともそうな子だと思ったら、また変な子だった。

もしかしたらここにはまともな子が居ないのかもしれないな…。

まあ、関わってしまったものは仕方ない…よな?

 

一刀「あー…。えーと趙子龍さん?」

 

子龍「シッ!メンマ中はお静かに…!」

 

一刀「あ、はい。すいません…。」

 

なんだよ、メンマ中って?

でも何だかよく解らない迫力に負けて黙る俺。

愛紗はさっきから不思議そうに眺めている。

暫くして紫苑が戻ってきた。

 

紫苑「あら?どうしたんですか、ご主人様?」

 

一刀「いや…。」

 

子龍「けぷっ。ごちそうさまでした。」

 

どうやらメンマを完食したらしい。

いくら腹が減っていたからと言って、まさかあの量を完食するとは…。

 

紫苑「??? えーと、お魚食べるでしょう?」

 

子龍「あ、はい。食べます。」

 

あ、声が元に戻った。

なんだったんださっきのは…。

もしかして食べている間だけああなるのか、この娘は…?

しかし、その後に魚を焼いて子龍ちゃんに食べさせても声が変わることはなかった。

紫苑と愛紗はニコニコしながら子龍ちゃんと会話をしている。

愛紗も子龍ちゃんの変化を見ている筈なのだが、どうも気にしていないらしい。

 

一刀「なんだったんだろうな、アレは…。」

 

紫苑「はい?何か仰りました?」

 

一刀「いや、なんでもない…。」

 

そうか、気のせいだな。うん。

頭を振って雑念を無理やり追い払う。

気づくと子龍ちゃんが俺の目の前に立っていた。

 

一刀「ん?どうかした?」

 

子龍「愛紗ちゃんから聞きました。お兄ちゃんは天の御使いさまだとか。」

 

一刀「ああ…。一応そういうことになっているね。」

 

ん?愛紗ちゃん?二人の方に目をやると楽しそうに手を振られてしまった。

なるほど。俺が一人で悩んでいる間に仲良くなってたのか。

流石は同年代の女の子同士だな。

 

子龍「それでですね。実は…。」

 

子龍ちゃんの話を要約するとこうだ。

実は子龍ちゃんも一人で修行の旅に出ていたらしい。

愛紗の様にご両親と死別した訳ではなさそうなのが救いか。

旅の道中で食料が付き、たまたま魚の焼ける匂いに釣られて俺たちの前に現れたと、まあこういう訳だ。

 

一刀「なるほどね。それで俺たちに同行したいと?」

 

子龍「はい!一食の恩は忘れません!……それにメンマ美味しかったですし(ボソッ」

 

ん?今なにかボソっと言わなかった?

まあ、確かにこんな小さな子の一人旅は危険だよな。

現に飢えて死にそうだったし…。

俺は子龍ちゃんの申し出を快く受け入れることにした。

 

子龍「ありがとうございます。私の真名は星です。これからよろしくです、ご主人様!」

 

こうして星という新たな仲間が加わった。

 

 

 

 

 

その後、ようやく小さな街に辿り着いた俺たち。

街に辿りつくまでには色々なことがあった。

あえてここでは語らないがそりゃもう凄かった。

量で言えばラノベ3冊分はあったね。

 

紫苑「あえて語らないのはR18なことをしていたからですよ。」

 

一刀「違うから。キミの頭の中にはそんなことしかないのかね?」

 

紫苑「いやですわ、ご主人様。私くらいの年代の女の子は常にエロいことを考えているものですよ。」

 

一刀「そんな馬鹿な!?」

 

俺が毎週の様に近所の駄菓子屋でメタル○ラッグに情熱を燃やしていた頃、

クラスの女子の脳内はそんなけしからんことに!?なんてこった!!

 

星 「勉強になります。」

 

勉強するなー!?

やめろ!星をそっちの世界に連れていくのはやめてくれ!!

ああ、なんかメモ取ってるし…。

 

愛紗「さっきからどうしたんですか?」

 

一刀「いや…。なんでもない…。」

 

星とは違って愛紗は紫苑の発言をあまり気にしていない様だ。

うう…、いつまでもそのままのキミで居てくれ。

こんなことを繰り返しながら街の中心へと来た俺たち。

 

一刀「…………。」

 

街の中心へと来た訳ですが。

……………ふむ。

 

一刀「どうしよう?」

 

街に着いたはいいが、何をしたらいいんだ?

荒野に居た時は街に行けば何とかなるだろうと思っていたけど、

考えてみれば何の宛ても無いんだった…。

 

愛紗「ご主人様、これからどうなさるのですか?」

 

一刀「ああ、今それを考えている。」

 

考えろ!考えるんだ俺!

まず宿を取ろうにも金が無い。

金が無いということはつまりこのままだと食事もできない。

となると、やはり金を稼ぐのが最優先か?

見知らぬ街で働き口を探すとか俺にできるのか?

いや、やるしかない。

今や俺には養わねばならない子供が3人もいるんだ。

 

紫苑「あの…ご主人さま?」

 

一刀「なんだ?金のことなら心配するな。俺が働いて稼ぐからな!」

 

紫苑「はぁ…。それは嬉しいですけど、そうではなく。」

 

どうしたんだ?

紫苑が真面目な感じだと調子が狂うな。

 

紫苑「行く宛てが無いのでしたら、とりあえずこの街の領主を尋ねたら如何でしょう?」

 

一刀「おお!」

 

なるほど。とりあえず街のお偉いさんに事情を話して何か有益な情報を聞くって訳か。

あわよくば泊めてくれるかもしれないしな。

よし、それでいこう。

 

一刀「という訳でこの街で一番偉い人の屋敷を目指そうと思う。」

 

愛紗「はい!」

 

紫苑「了解ですわ。」

 

…………。

あれ?星は?

 

一刀「星が居ない気がするんだけど…。」

 

もしかして迷子か?

おいおい。いくら小さい街とは言え、この人混みの中で子供一人探すのは大変だぞ…。

と、思っていたらくいくいっと袖を引っ張られる。

 

愛紗「ご主人様。星ちゃんあそこ。」

 

そう言って指を差す愛紗。

その先には食糧店の前でしゃがみこんで瓶を見つめる星の姿があった。

もしかしてアレは…

 

紫苑「メンマですわね。」

 

やっぱり。

遠くから見ても凄い涎を垂らしているのが解る。

店のおじさんがどうしたもんかと困っている様だ。

 

一刀「すいません。ほら星、行くよ。」

 

星の手を引いて店を後にしようとするも凄い力で引っ張られて動けない。

振り向くと星が涙目でイヤイヤしていた。

 

一刀「はぁ~…。そりゃ買ってやりたいけど、俺この国のお金持ってないんだよ。」

 

そう。前に水鏡さんの所で「珍しいお金を持っているのね。」と言われたことがある。

つまり、俺が持っているお金はこの国では何の価値も無いのだ。

 

一刀「だから買ってやりたいけど、今は我慢してくれな?」

 

星 「う~!!うぅ~~!!!」

 

駄目だ。我慢してくれそうにない。

もう顔から色んな汁が吹き出してぐちゃぐちゃである。

 

店主「へい。まいど。」

 

紫苑「はい、星ちゃん。」

 

そう言って紫苑が星に差し出したのはメンマが入った瓶。

 

一刀「へ?」

 

俺が驚いて紫苑の顔を見つめると、紫苑は微笑んで言った。

 

紫苑「お金くらい私も持ちあわせておりますわ。」

 

なるほど。確かに紫苑はこの国の人だし、年齢も愛紗たちよりは上だしな。

お金を持っていたとしても何の不思議もない。

 

一刀「助かったよ…。」

 

紫苑「いえいえ。」

 

紫苑に礼を言い、メンマを買って貰えてご満悦な星を連れて領主の屋敷を目指す。

道中、ご機嫌な星を見て愛紗が

 

愛紗「星ちゃんいいなぁ…。」

 

などと言っていた。

すまん愛紗。お金が手に入ったら何か買ってあげるからな。

悪いけど、それまで我慢しててくれ。

俺は改めて金を稼ぐ決意をするのであった。

 

暫く行くと大きな屋敷が見えてきた。

見えてきたのはいいんだけど…

 

一刀「入り口はどこだろう?」

 

そう。入り口らしきものが見当たらない。

普通こういう屋敷は街の中心側に入り口があるもんなんだけどな。

仕方ないので壁を伝って入り口を探すことにする。

 

愛紗「ご主人様。あそこに女の子が…。」

 

愛紗の声に従い横を見ると女の子が何かを干していた。

大きさから布団の様だけど、なんでこんな裏手の方に?

まあいい。この屋敷の子かも知れないし、声をかけてみることにした。

 

一刀「すいませーん。ちょっといいかなー?」

 

??「!?」

 

俺が声を掛けると女の子は突然慌てだし、布団の前でわたわたしている。

 

一刀「?」

 

どうかしたのだろうか?

俺はとりあえず女の子に近づいてみることにした。

 

??「だ、だめだ!来るなー!だめー!!」

 

一刀「え?」

 

なんだなんだ?この慌て様は?

一体何が…?

そこまで考えて気づいた。

後ろの布団に大きなシミがあることに。

 

紫苑「あらあら~。大きな地図ですわね~。」

 

??「○×▽○□○××△!?」

 

ひでぇ。容赦ないな紫苑。

 

紫苑「うふふ~。」

 

女の子は恥ずかしさの余り、固まってしまった様だ。

これ泣くんじゃないか?大丈夫か?

 

愛紗「だ、大丈夫。この事は誰にも言わないから。」

 

??「…ホントに?」

 

おお!ナイスフォローだ、愛紗!

 

愛紗「ああ、私の名前は関雲長。天にこの事は誰にも言わないと誓おう。」

 

??「…アタシは馬超。」

 

愛紗「馬超か。よろしくね。」

 

ぎゅっと握手を交わす二人。

うんうん。流石は愛紗だ。

馬超と名乗った子もどうやら立ち直った様だ。

 

星 「…お漏らし馬超。(クスッ)」

 

うおおおい!!星ーッ!!

 

馬超「……ひぐっ。」

 

あ、やべ。

 

馬超「うわぁぁあああああんん!!!!!!!」

 

だーっ!!やっぱり泣いたー!!

ちょ!これ屋敷の人が出てきたらまずいんじゃないの!?

こんな小さな子を泣かしてる所を見られたら色々とアウトだろ!!

 

一刀「お、おちつけ!オシッコくらいどうってこないって!!」

 

紫苑「まさか飲尿の性癖までお持ちとは…。」

 

一刀「なんでそうなる!?」

 

ああもう!紫苑の奴ニヤニヤしやがって!!

絶対にこの状況を楽しんでやがるな!

くそ、そんなことしてる場合じゃないってのに!

 

馬超「うぇええええんん!!!!!」

 

愛紗「そ、そうだぞ。馬超!お漏らしくらいなんだ!お漏らししたって馬超は馬超だろう!

   決してお漏らし馬超なんかじゃないぞ!お漏らししちゃっても馬超には変わりない!

   だから馬超はお漏らしくらいしちゃってもいいんだ!」

 

星 「ぷっ!」

 

馬超「うわ゛ぁぁああぁああああんんん!!!!!!!!」

 

愛紗ー!!それ逆効果ー!!

星も笑うなー!!

あー!もうどうしたらいいんだよ!?

 

―――ビュウゥゥ!

 

俺がどうしたものかと考えていたその時、突然風が吹いた。

それは文字通り神風となって吹き荒れたのだった。

 

一刀「なっ!?」

 

干してあった布団が俺目がけて倒れてくる。

 

一刀「むがー!?(なにー!?)」

 

紫苑「あらあら、本当に馬超ちゃんの黄金水をお飲みになるおつもりで?」

 

一刀「もごむがもがらー!!(そんな訳あるかー!!)」

 

愛紗「ご主人さま!?」

 

馬超「うえ゛え゛え゛え゛え゛え゛ぇぇんんん!!!!!!!!」

 

星 「クスクスクスッ。」

 

事態が悪化した。

これを神の御業と言わずなんと言おう。

もちろん神の前に邪と悪とかが付くけどな!

 

一刀「っも、むがうがらもがもががー!!(って、そんなこと言ってる場合じゃねー!!)」

 

やばい。息が…。できな…い…。

あれ…?なんか意識が…。

 

愛紗「大丈夫ですか!?ご主人さま!?」

 

ああ、大丈夫だよ…。

大丈夫…。

…………。

………………。

そして俺は意識を手放し、暗闇へと落ちて行った。

 

 

 

 

 

あとがき。

 

 

3月の頭くらいに突発的に思いついた話でしたが、どうだったでしょうか?

 

今まで、思いついたネタの大まかな流れをメモ帳に書き記したことは多々あるのですが、

こういう風にちゃんとした物語を書くというのは恐らく初めての事だと思います。

 

最近はBaseSon様の新作の戦国†恋姫のオーディション絵や震災応援絵を描いたりしていて、

なかなか着手できなかったのですが、先日ようやくこのSSを書き起こせました。

…すいません。嘘つきました。単にめんどくさかっただけです。

昨日、家出していたやる気が帰ってきたので一気に書き上げました。

 

なので、ちゃんとした物語になっていなくても多目に見てやってください。

一応ゲーム本編を意識して書いたのでそれっぽくなっていればいいな。

 

 

物語についてですが、一応ここまでで前半部分が終了しました。

ネタ帳には最後までの流れがちゃんと書き記してあるのですが、

続きを書くかどうかは再び旅に出たやる気次第です。

一応、後編は呉からの魏からのその他っていう流れになっております。

 

あとキャラについて補足しておきます。

 

えーと、まず惇と淵について。実は淵の方がヤンチャ設定です。

前にハロウィン絵で二人は描いてたから比較的イメージしやすかったのではないかと。

 

次に関羽。こちらも前にフヒーヒwで描いてたのでイメージしやすいと思います。

特徴のひとつとしては言葉使いが安定してません。

強く凛々しくあろうとする気持ちと、素が入り交じった感じになっております。

別に私の脳内設定が定まってない訳じゃないですよ?

 

黄忠、ネタ帳には最年長1○歳って書いてあります。

…いや、本当に女子中○生が日々エロいことを考えているかは知りませんよ?

北郷くんと対等に漫才できるキャラが欲しかったんです。

黄忠さんが好きな人、ホントごめん!!

 

孔明、私の中では張飛よりも少し年上くらいの認識です。

なので今回登場するキャラの中で最も歳が若い設定になっております。

水鏡先生は前編唯一の良心です。

 

趙雲、この子は昔、それはとてもとても可愛らしいロリボイスでお花畑な感じだったんです。

しかし、メンマを食べる毎にどんどんと凛々しい性格になっていくという…。

正直いまいち活かしきれなかった感じです。すいません。

 

馬超、馬超→幼女→お漏らし という結果に至るまで3秒掛からなかったね。

なんか虐められる為だけに出てきたようなそんな感じ。

 

猪、ラスボスです。

 

 

では皆さん、後編でまた会いましょう。

 

 

 


 
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