手を伸ばす
何度も、何度も
もう終わりだって、わかっていても
これが、終わりじゃないって信じてるから
だから、俺は手を伸ばす
いつまでも、何度だって
“君たち”に届くまで、俺はこの手を伸ばし続ける
それが、世界が俺についた嘘だったとしても
それが、たとえ夢だったとしても
それが、俺が見てきた幻だったとしても
嘘なんかじゃないって
夢なんかじゃないって
幻なんかじゃないって
俺は・・・ただ一人でも、信じ続けるから
だから、俺は手を伸ばす
伸ばし続ける
そして、いつか・・・
≪真・恋姫†無双-夢笑顔-≫
「北郷・・・」
声が、聞こえる
ああ・・・この声は、春蘭かな
そう思い、ゆっくりと開いていく視界の中
見覚えのある、二人の姿が見えた
黒く長い髪に眼帯をした女性と、青い髪の落ち着いた雰囲気の女性
ああ、やっぱり春蘭だった
それと、秋蘭も一緒か
「おはよう、北郷」
言われて、俺は今が朝なんだと初めて気づいた
そっか・・・朝だったんだ
なんか、全然わかんなかったな
「体調は、どうだ?」
秋蘭のその言葉に、俺は“大丈夫”という意味も込めて微笑んでみせた
もっとも・・・本当に笑えているかどうかは、疑わしいものだが
本当は言葉で伝えられたらいいんだけど、それはもう叶いそうもないから
「そうか・・・ならば、よかった」
そんな俺の心配もよそに、無事に俺の意思は伝わったようで・・・彼女は安堵の溜め息と共に、寝台の傍の椅子へと腰をかけた
そのすぐ隣では、春蘭が苦虫を潰したような表情のまま立っている
「北郷・・・本当に大丈夫なのか?
どこか痛いところとかはないか?」
はは・・・春蘭が、俺のことをこんな心配してくれてるなんて
嬉しいなぁ、ホント
けど大丈夫だよ
俺は、大丈夫だから
そう伝えたくて、俺はまた彼女に向かって笑い掛ける
その笑顔の意味が伝わってくれたのか、彼女は“そうか”という言葉と共に秋蘭の隣に座り込んだ
そして、二人は話始める
“今日の皆の予定”
“昨日は、こんなことがあった”
“皆、心配している”など、様々なことを
寝台に横たわる俺に向け、ゆっくりと話していく
俺はその話を、笑顔のまま聞いていた
そんな時間が・・・今は、堪らなく嬉しくて
俺は、ずっと笑っていたんだ
ーーーー†ーーーー
それは、あの賑やかなお祭りが終わってからのことだった
はじめに感じたのは、微かな違和感のようなもの
自分の体のはずなのに、自分のものじゃないような感覚
“気のせい”だと、そのころはそう決めつけていた
きっと、疲れているんだと
そう思っていたんだ
だけどそうじゃないと気付いたのは、それからすぐのこと
俺の体は、日に日に弱ってきたのだ
そしてやがて・・・俺は、立つことさえできなくなってしまった
皆はそんな俺のことを心配してくれて、様々な手を考えてくれた
しかし、俺の体調は一向に良くならない
あの華佗でさえ、原因がわからないというのだ
もうお手上げといったところか
それでも、皆は諦めず未だに色々と探してくれているようだ
自分たちの仕事があるにもかかわらず
そんな忙しい中でも、こうして毎日誰かが俺の部屋に来ては色々と話を聞かせてくれる
昨日は確か、星だったかな
それから、その前の日は・・・
「北郷・・・?」
ふと、聞こえた春蘭の声
だけど、その声がさっきよりも遠く聞こえる
「眠いのか?」
言われて、“ああ、そうなのかな”と思う
瞼が、とても重い
「無理はするな
眠いのならば、少し休むといい」
秋蘭の言葉に“ありがとう”の意味も込め、俺は微笑んだ
それから、瞼をゆっくりと閉じていく
視界が、暗闇に覆われていく
意識が、闇に沈んでいく
「「おやすみ・・・北郷」」
ああ・・・おやすみ、春蘭・・・秋蘭
ーーーー†ーーーー
「あら、目を覚ましたのね」
次に目を覚ました時、俺の視線の先には桃色の髪が見えた
雪蓮、か
彼女は寝台の傍の椅子に座り込み、何やら本を読んでいるようだ
いったいどんな本を読んでいるんだろうか
「あ、コレ?
なんか冥琳が面白いっていうから、試しに勝手に借りてみたんだけど
思ったよりも、面白くないわね」
そんな俺の視線に気づいたのか、彼女は笑いながら本を机の上に放り投げた
いや、それって借りたっていうか勝手に持ってきたんじゃないか?
そう思い、浮かべた苦笑
それが伝わったのか、彼女は“細かいことは気にしないの”と笑う
「それよりも、おそよう一刀・・・もうお昼よ?」
ああ、今は昼なのか
じゃあ、もう起きなくちゃな
もうろくに動かない体のくせに、そう思ってしまう自分に笑ってしまいそうになる
「ん~、なんか面白いことでもあったの?」
その笑いに、雪蓮は何かを期待するような目で俺を見てきた
俺は、“何でもないよ”と笑う
彼女はその笑顔を見て、同じように笑っていた
「ねぇ、一刀・・・」
ふいに、雪蓮が小さく呟く
その表情は先ほどまでとは打って変わって、とても暗いものだった
「一刀は、私の前から・・・いなくなったりしないわよね?」
そして、紡がれる言葉
その一言に、俺は一瞬だけ胸が痛んだ
彼女の言葉に、どう答えたらいいのかわからなくて
ただ・・・笑うことしかできなかったんだ
ーーーー†ーーーー
「ご主人様・・・?」
次に目を覚ました時、薄暗い視界の中に長く美しい黒髪がうつった
ああ・・・愛紗かな?
「おはようございます・・・といいましても、もう夜もふけてしまいましたが」
うん、やっぱり愛紗だ
ていうか、もう夜か
そっか・・・だからこんなに薄暗いのか
あれ?
もう夜なんだよな?
なら、なんで愛紗がここに・・・
「私のことならば、どうかお気になさらずに
私が、望んでここにいるのですから」
そっか、なら・・・いいのか?
「いいのですよ♪」
そうですか
なら、いいか
実際、凄く安心するし
「最近は、よくお眠りになられますね」
ああ、そうだな
なんか、眠いんだよ
今だって・・・ついさっきまで眠っていたはずなのに、凄く眠いんだ
「私は、恐いです
いつか・・・そのまま、目を覚まさないんじゃないかと
不安になります」
愛紗・・・ごめんな
心配、かけちゃって
けどさ、大丈夫だよ
俺なら、大丈夫
だから・・・
「・・・ょ」
力を振り絞り、声を出してみる
だけど、彼女には聞こえていない
ああ、ちくしょう
悔しいなぁ・・・俺にはもう、彼女のことを笑顔には出来ないのか?
“今の俺”には、もう・・・
ーーーー†ーーーー
「ご主人様・・・私の声が聞こえるかしらん?」
ふと、聞こえた声
目を開けなくたってわかる
この逞しく野太い声を、忘れるはずがない
貂蝉だろ?
「ええ、そうよん
ご主人様が今もっとも求めてやまない、絶世の美女こと貂蝉ちゃんよん♪」
いや、お前のことなんて一ミリも求めてないから
むしろ、今の今まで存在すら忘れてたし
「くすん・・・しどい、しどいわご主人様」
はは、悪かったって
冗談だ・・・むしろ、忘れろっていう方が無理だろ
インパクト的な意味で
「んもう、そうやって私を虐めて興奮するのねん!」
ねーよ
「と、冗談はここまでにして
驚かないのね・・・私が、御主人様の考えていることをこうして読んでいることに」
ああ、そのことか
そういや、そうだよな
俺って今、喋れないんだっけ
はは・・・すっかり忘れてたよ
けどまぁ、どっちにしろ驚きはしなかったと思うよ
それに・・・何となくだけど、“そんな気がしてたんだ”
「そう・・・御主人様は、“気付いていた”のねん」
気付く・・・とは、少し違うと思う
だって未だに、俺自身もよくわかっていないんだから
けど、そうだなって気はしていたよ
「なら、細かい話はいらないわねん
単刀直入に言うわ・・・御主人様は、もう助からない
いいえ、違うわねん
“この物語”は、もう間もなく終わりを迎えるわん」
そっか・・・“やっぱりか”
貂蝉の言葉に、俺は閉じていた瞳を開いた
そのボヤケる視線の先、貂蝉が表情を歪め立っているのが見える
「ご主人様は・・・天の御遣いの役目は、乱世を終わらせること
乱世が終わった今、天の御遣いの・・・“北郷一刀”の物語は終わってしまったわ
故に、あるのはもう終焉のみよん」
なるほどな
早い話が、俺はもうここにはいられないってことだろう?
「そういうことねん」
そっか・・・やっぱり、そういうことだったんだな
ずっとさ、気にはなってたんだ
乱世が終わった今、俺はどうなってしまうんだろうって
けど少しずつ弱っていく自分の体に気づいた時、全部わかったんだ
“ああ、そっか・・・こういうことか”って
「その割に、随分と落ち着いているのねん・・・」
はは、まさか
これでも、結構参ってるんだ
すっげぇ恐いし・・・すごく、悔しいよ
「ご主人様・・・」
けどさ・・・俺はまだ、ここにいるんだ
まだ、この世界で生きてるんだ
皆の前で、こうして息をしてるんだ
だからさ、笑わないと
愛してる彼女達の前で泣き顔なんてカッコ悪いから
最期まで笑ってやろうって
そう、決めたんだ
だから・・・俺は、最期まで笑顔でいるよ
「そう・・・」
しばしの沈黙の後、ため息と共に貂蝉が口を開いた
それから、そっと俺の手をとる
「なら、私は最期まで見届けるわん
貴方の・・・最愛のご主人様の、頑張る姿を
最期まで、見届けるわん」
ああ、頼む
「どぅふふ♪
それじゃ、今日はもう帰るわねん・・・ぶるあぁぁぁぁあああああああああ!!!!!」
う、うるせぇ
苦笑と共に、心の中で愚痴る
瞬間、心地よい微睡が襲いかかってきた
今日は、もう眠ろう
「おやすみなさい、御主人様」
歪む視界の中・・・貂蝉は、微かに笑みを浮かべていた気がした
ーーーー†ーーーー
「一刀っ!!」
目を覚ました瞬間、誰かの悲鳴にも似た叫び声が聞こえてくる
この声は、華琳か?
確かめようにも、開いているはずの瞳には僅かな光しか映らない
それに、いつもよりも体が重い
ドクン・・・
ああ、そっか・・・今日が、最期なのか
「ご主人様!!」
この声は、桃香だな
ああ、声だけでわかるよ
きっと、顔をくしゃくしゃにして泣いているに違いない
そう思い、俺は心の中でクッと笑う
「一刀、しっかりして!」
今度は蓮華か
彼女も多分、泣いているのだろう
声が、震えている
でも俺には、その涙を拭ってやることはできない
参ったなぁ・・・カッコ悪すぎだろ
「主様!!
返事をしてたも!!」
美羽・・・短い付き合いだったのに、こんなにも俺のことを心配してくれているのか
ははは、なんか嬉しいな
「ご主人様・・・」
この声は、愛紗だ
いつものように凛とした声ではなく・・・微かな震えを伴った声
彼女も、泣いているのだろうか?
「逝くの、ですね?」
その言葉に、俺は内心で息を呑んだ
彼女は、気付いていたのかもしれない
こんな俺の考えなんて、もうとっくの昔に気づいていたのかもしれない
「ならば、私は見送りましょう
貴方を愛した、一人の女として」
愛紗・・・ありがとう
俺を、“信じてくれるんだな”
ああ、そうだ
確かに、ここでの俺の物語はもう終わりかもしれない
俺はもう、ここにはいられないのだろう
けど、それで全部が終わりなのか?
違う
そんなの、まだわからないだろう?
だったら・・・俺は、信じてみるよ
この終わりの先、新しい始まりがあるって
俺は、信じてる
だから・・・
「・・・ょ」
“笑ってよ”
最期の力を振り絞り、声を出してみる
もっとも・・・本当に皆に聞こえたかどうかはわからない
けど、これでいいと思った
たとえ声には出なくたって、きっと・・・
体から、力が抜けていく
意識が、薄れていく
だけど・・・狭かったはずの視界は広がっていった
そんな中、俺は見たんだ
「ほらな・・・やっぱり、届いた」
広がっていく景色の中
並ぶのは、愛しい彼女達の“笑顔”
中には涙を流しながら笑顔を浮かべる者もいたけど
皆が、俺に笑顔を向けていた
それが、堪らなく嬉しくて
その笑顔が、本当に愛おしくて
俺は笑っていた
そして・・・改めて、誓ったんだ
「手を、伸ばすから」
手を伸ばす
何度も、何度も
もう終わりだって、わかっていても
これが、終わりじゃないって信じてるから
だから、俺は手を伸ばす
いつまでも、何度だって
“君たち”に届くまで、俺はこの手を伸ばし続ける
それが、世界が俺についた嘘だったとしても
それが、たとえ夢だったとしても
それが、俺が見てきた幻だったとしても
嘘なんかじゃないって
夢なんかじゃないって
幻なんかじゃないって
俺は・・・ただ一人でも、信じ続けるから
だから、俺は手を伸ばす
伸ばし続ける
そして、いつか・・・
「いつか、きっと・・・また会えるから」
ーーーー†ーーーー
手を伸ばす
何度も、何度も
もう終わりだって、わかっていても
これが、終わりじゃないって信じてるから
だから、俺は手を伸ばす
いつまでも、何度だって
“君たち”に届くまで、俺はこの手を伸ばし続ける
それが、世界が俺についた嘘だったとしても
それが、たとえ夢だったとしても
それが、俺が見てきた幻だったとしても
嘘なんかじゃないって
夢なんかじゃないって
幻なんかじゃないって
俺は・・・ただ一人でも、信じ続けるから
だから、俺は手を伸ばす
伸ばし続ける
そして、いつか・・・
いつか、きっと・・・また・・・
ーーーー†ーーーー
「起きろ、北郷っ!!」
「ふ、ふぁいっ!?」
ガタンと、大きな音が響き渡った
それと同時に覚醒していく頭
クスクスと聞こえる小さな笑い声を聞き、俺はようやく自分がしでかしたことに気づいた
「あ、あれ・・・俺、もしかして寝てた?」
「もしかして、じゃなくてバッチリとな」
そんな教師の言葉に、教室の中に大きな笑いが広がっていく
ああ・・・俺、授業中に寝ちゃってたのか
うわ、すっげぇ恥ずかしい
こんなことなら、昨日徹夜なんてするんじゃなかった
「まったく・・・“仕事”で疲れてるのはわかるが、お前の本業はあくまで学生なんだ
しっかりと授業は受けるんだぞ」
「はい・・・」
教師の言葉に頷き、俺は気まずそうに教科書を開く
そんな俺の様子に満足げに頷くと、教師は再び授業を再開した
ただ、俺はその授業の内容が頭に入らないでいた
今の今まで眠っていたせいというのもあるだろう
けど、それだけじゃない気がした
もっと・・・何か、理由があるような
そんな気がしたんだ
そんな状態が、結局放課後まで続いてしまった
当然、授業の内容なんか覚えちゃいない
「まぁ・・・テスト前にノートでも見せてもらえばいいか」
そう一人で納得し、俺は教科書を閉じた
「お~い、かずピー!」
「ん?」
そんな俺に向いかけられた声
聞き慣れたその声に、俺は視線をそちらへと向ける
「なんだよ、及川
なんか用事か?」
「なんか用事かって、かずピーがワイに頼んだんやろうが
“握手会”の手伝いをしてくれっちゅうて」
「ああ、そっか」
言われて、俺は思い出す
そういやそんな話してたな
「悪い悪い
ちょっとボ~っとしてたら忘れちまってたよ」
「大丈夫か?
天下の“北郷先生”の身に何かあったら、ファンの皆に殺されるんはワイやで?」
「ははは、ごめんごめん」
笑い、俺は及川に軽く頭を下げる
しかし・・・“北郷先生”、かぁ
「なんか、未だに慣れないなぁ」
「な~にいっとんねん
ベストセラー作家が、そないな心持でどうするんや?
もっと、ドッシリと構えとかな」
「善処するよ・・・」
俺の返事に、及川は苦笑を浮かべていた
だけど、仕方ないじゃないか
まさか、あそこまで人気が出るとは思わなかったんだ
俺の書いた、あの小説が・・・
終わらせなければいいと思った
終わりなんてなければいいいと思った
たとえ終わったとしても・・・それが、新しい始まりの合図になればいいと思った
気付いた時には、俺は“この物語”を書いていた
時に悩み、時に苦しみ・・・だけど、それ以上に楽しいことがあったんだと
そう、思い浮かべながら
そうして出来た、一冊の本
誰のかはわからない・・・けれど“大切な想い”が込められた本
一人の少年と、沢山の乙女からなるこの本は
自分でも知らぬ間に、沢山の人に読まれ・・・そして広がっていった
「そんじゃ、行くか及川」
「よっしゃ、了解や」
だけど・・・まだ、“届いていない”
伸ばした手
その手は、未だ何も掴んではいない
けど、“予感”がするんだ
“もうすぐだって”
もうすぐ、俺は“また会えるんだって”
そんな・・・予感がしたんだ
ーーーー†ーーーー
「ほら、急いで二人とも~!」
「はいはい、わかったから服を引っ張らないでよ」
「まったく・・・」
ワイワイと賑わう街中を、三人の少女が歩いていた
一人は人懐っこい笑顔を浮かべた赤茶色の長い髪の少女
もう一人は、大人びた雰囲気の桃色の髪をした少女
最後の一人は、金髪にクルクルとした髪型の背の低い少女
その三人は笑顔を浮かべる少女を先頭に、街中を軽い足取りで歩いていく
「あ~、楽しみだなぁ握手会
憧れの北郷先生に会えるなんて、幸せすぎてどうにかなりそうだよ~♪」
「まったく、子供みたいにはしゃいじゃって・・・」
「そう言う貴女だって、そのかばんの中にはバッチリと色紙を入れてたじゃない」
「な、なんでそのことを・・・!?」
「あら?
テキトーに言ったのだけれど・・・まさか、本当に入っていたなんてね」
「っ!!?」
「「ぷっ・・・!」」
笑みを浮かべ、三人は歩いていく
その手には、一冊の本が握られていた
艶やかな表紙の、一冊の本
それを見つめ、彼女達はまた笑う
「でもさ、すごい偶然よね」
「そうだよね♪」
「まぁ、確かにそうよね」
顔を見合わせ、三人はクッと笑う
それから、金髪の少女が空を見上げ小さく呟いた
「まさか・・・私たち三人の名前が、この物語の登場人物と同じなんてね」
ーーーー†ーーーー
手を伸ばす
何度も、何度も
もう終わりだって、わかっていても
これが、終わりじゃないって信じてるから
だから、俺は手を伸ばす
いつまでも、何度だって
“君たち”に届くまで、俺はこの手を伸ばし続ける
それが、世界が俺についた嘘だったとしても
それが、たとえ夢だったとしても
それが、俺が見てきた幻だったとしても
嘘なんかじゃないって
夢なんかじゃないって
幻なんかじゃないって
俺は・・・ただ一人でも、信じ続けるから
だから、俺は手を伸ばす
伸ばし続ける
そして、いつか・・・
「あ、あの・・・私、北郷さんの本の大ファンで、その!」
「ちょっと、落ち着きなさいよ!」
「はぁ・・・まったく」
「あはは・・・いいよ、俺は気にしてませんから」
いつかきっと・・・
「あ、あの・・・握手、いいですか?」
「いいですかも何も、これって握手会・・・」
「もうツッコまないであげましょう」
「はは、賑やかですね
勿論、いいですよ」
「やったぁ!
あ・・・そういえば私達、この物語の登場人物とおんなじ名前なんですよ!」
「へぇ~、すごい偶然ですね
失礼ですが、お名前を聞いてもいいですか?」
「はい!
私の名前は・・・」
また・・・会えるから
私の名前は、“桃香”って言います・・・よろしくお願いしますね♪
「ああ・・・」
だから、その時はさ・・・笑ってくれるかな?
こんな俺に向かって、笑い掛けてくれるかな?
「ほらな・・・やっぱり、届いた」
もし、笑ってくれるなら
もし、こんな俺でもまた愛してくれるのなら
俺も、笑うから
皆に向かって、精一杯の笑顔で
この伸ばした手を、掴んだ手を
もう二度と、離さないから
だから・・・
「また・・・一緒にいてもいいかな?」
また、皆と一緒にいてもいいかな?
また、皆と共に生きていくことを許してくれるかな?
「当たり前じゃない・・・“一刀”」
「もう勝手に消えたりしたら、許さないわよ・・・“一刀”」
「ずっと、一緒だよ・・・“ご主人様”」
心の中、じんわりと響いていく・・・“懐かしい声”
ああ、届いた
ずっと伸ばしていた手が
ようやく・・・届いた
「ありがとう・・・桃香、雪蓮、華琳」
頬を、温かなものが伝っていく
それが、彼女が持っていた一冊の本へと落ちて・・・沁みこんでいった
それは、大切な思い出を
彼女達への想いを
そして・・・歩んできた、幾つもの道のりを示した
“俺たちの物語”
≪真・恋姫†無双≫
さぁ始めよう
俺たちの、新しい物語を
☆あとがき☆
どうも、お久しぶりです♪
月千一夜と申します
え? 誰?
な、なんかすいません
す、すぐに帰りますんで・・・あ、石を投げないで
と、冗談はさておき
本当にお久しぶりですね
といっても、まだ完全復活ってわけじゃないんですがw
さすがに放置は心苦しいので、書きだめていたうちの一作を公開します
久しぶりの、ガチシリアスですね
萌将伝のその後のお話です
勝手に最終回wwwwっていうノリです
実際面白かったけど、どこか不完全燃焼でしたからねぇ
むしろ、PSPで出てくれないかなぁ
そしたら、船でも気軽に出来るのに
復活までは、まだまだ時間がかかりそうです
まず、休みがないww
ミクシィでたまに、テキトーなイラストを描くくらいしかできないww
そんな僕ですが、今後ともお待ちいただけるという御方がいらっしゃったらすごく嬉しいです♪
それでは、またお会いしましょう
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どうも、皆さんお久しぶりですw
生存報告も含めた、短編を一個だけ投稿します
舞台は、萌将伝のその後のお話
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