No.209143

真・恋姫無双 魏が滅亡した日 Part23 思春覚醒

見習いAさん

蒼天航路は最高にかっこいい三国志と思います

2011-03-31 20:54:58 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:3559   閲覧ユーザー数:3163

赤子が泣き出した

母は赤子のご機嫌を伺うが一向に泣きやまない

困った母は「遼来遼来」とささやいた

すると赤子はぴたりと泣き止んだ

 

次に母は「黄来黄来」とささやいた

赤子は微笑み眠りについたと言う

 

 

 

第一次合肥攻めの処理にひと段落をつけた冥琳は祭のところに来ていた

 

「今や民達の語り草、まさに英雄です」

 

冥琳よりも先客の雪蓮は既に1人で一杯始めていたりする

 

「祭ってばおいしいとこだけもってっちゃってさー、私が鍛錬さぼってたのは認めるけど・・・・祭はずるいわよ」

 

「だが、今度ばかりは黄蓋殿に足向けできんぞ雪蓮」

 

「まあね・・・・それにしても」

 

「あいたたたたたた、うぐぅぅぅ」

 

「歳も考えずに無理するから・・・・」

 

「英雄も、蓋を開ければ、腰痛持ち、か・・・・ハァ」

 

雪蓮と冥琳は同時にため息をついた

 

大活躍をした祭だったが、無理がたたったのか腰痛が悪化

絶対安静の診断を受けた                           

「誰が歳も考えずにじゃ!わしだってその気になれば、あぎゃ!いたたたた」

 

「はいはい、無理しないの」

 

思わず起き上がろうとした祭だったが腰痛が酷い

雪蓮に抱きかかえられると安静な姿勢に戻されてしまった

 

「まったく、祭には聞きたいことが山ほどあるんだから」

 

雪蓮と冥琳は祭の前にガバッと顔を寄せた

 

「「今まで何やってたのよ!?(いたのです)」」

 

「ぅぅ、けが人にやさしくない奴らじゃのう」

 

「何を仰いますか!祭殿が姿を消してから、我らがどれほど悲しんだことか」

 

「ほぉ、公瑾はそんなに悲しんでくれたのか?」

 

「ぐぅっ」

 

「ははは、照れるな照れるな、公瑾の言葉は最もじゃ。心配をかけてすまなかった」

 

「それで、秋蘭に撃たれた後どうやって生き残ったの?」

 

「弓で射られ長江に落ちた後、下流に流されましてな、偶然通りがかった華佗と言う医者に助けられたのです」

 

「華佗?五斗米道の華佗ですか?」

 

「その通りじゃ公瑾。五斗米道と言うとあやつは酷く怒るのじゃが・・・・とにかくワシは華佗に助けられた」

 

「凄い医者なのね。それで、今まで隠れてた理由は?」

 

「それは・・・・ですな。ほれ、これからは次の世代の時代ですじゃ、いつまでもわしのような老躯がでしゃばってはいかんじゃろう?」

 

「本当は?」

 

「・・・・・・・・恥ずかしかったんじゃもん」

 

「・・・・恥ずかしかった?」

 

「あのように大言壮語して死に損ねるなど・・・・恥ずかしいじゃありませぬか」

 

雪蓮と冥琳は顔を合わせた

 

「・・・ぷ・・・・ふふ・・・く・・・・ぎゃっはっはっはっは恥ずかしかったですってーー」

 

「・・・こ・・・これ雪蓮・・・・笑っては失礼だろう・・・ブフゥー・・・ククク」

 

「じゃから隠れとったと言うに・・・・」                

「ごめんごめん、祭ってばかわいんだもーん」

 

「ふふ、こんなに笑ったのはいつ以来だろうな。黄蓋殿が帰ってきたんだと実感が沸いて来ます・・・・おかえりなさい黄蓋殿」

 

「私からも言わせて、おかえり、祭」

 

「恥ずかしながら帰って参りました」

 

「・・・・・黄蓋殿・・・・世代の違いを感じるネタですね」                  

 

「と、ところで祭、張遼のことだけど、祭はどうみた?」

 

「うむ、あやつの力は底が知れぬ。わしと戦ったときも全てを出し切っておりませんでした

油断をついて武器破壊を成功したわけですが、逆を言えば、それ以外に奴を止める術がありませんでした

次に戦えば止められるかどうか」

 

「もう一度あの突撃を受けたら絶対絶命?」

 

「そこまでは言っておりませぬ。呉は人材豊富、あやつを止められる人材が既におりますでしょうに」

 

「へぇ~それは誰のことかしら。私のこと?」

 

「残念ながら今の腑抜けた策殿ではござらん。わしの目が確かなら、張遼を止められるとしたら思春でしょうな」

 

「明命は?」

 

「明命はまだまだ若すぎる。思春にしか務まりませぬ」

 

「黄蓋殿、つまり思春の得意な戦場、例えば森の中での戦いなら思春に分があると言うことですか」

 

「それはちと違うぞ公瑾」

 

「違うのですか?」

 

「思春を甘く見すぎじゃ、どんな戦場であろうと思春なら張遼を止めるじゃろう。思春は強い」

 

「思春がそれほどまでに・・・・雪蓮はどう思う?」

 

「祭に同意、今の思春は蓮華の護衛に縛られていない。蓮華自身が成長したことで、思春は自分の戦いに専念できる。縛られない思春は強いわよ」

 

「ふむ・・・・お二人がそう言うのならそうなのだろうな。分かった、次の戦いは思春を張遼に当てるようにしよう」

 

「あ、そうそう冥琳。次の戦いはもう始まってるの。思春ならとっくに張遼に当てちゃった」

 

「どういうこと雪蓮?」

 

「合肥でね、思春と張遼が戦ったらしいのよ。それが不完全燃焼だったみたいで、これから単独で復讐しに行くって言うから許可しちゃった。テヘ」

 

「・・・・テヘ じゃなああああい!!」              

合肥城門

 

数で呉軍に劣っている守備兵だが、その分ここにいるのは精鋭揃い

霞、凪、真桜の直轄部隊で固められた難攻不落の要塞と言ってもいい

 

「酷い雨だ。これでは呉の陣が見えんぞ」

 

「先日はこちらが優位に進めたとは言え呉は侮れん、しっかり見張らないとな」

 

厚い雨雲に覆われた空のおかげで昼間なのに真っ暗だった

嵐、合肥は嵐に見舞われていた

 

「おう、交代だ。ゆっくり休んでくれ」

 

「すまん、これほどの嵐だ、時間は短縮してこまめに交代しよう」

 

「そうしてくれ、これだけの雨と風だ。敵さんだって大規模な行動はできんさ」

 

「そうあって欲しいけど」

 

交代した兵は奥に下がっていった

 

「・・・・何だ貴様」

 

「・・・・・・・・」

 

「何者だと聞いている」

 

「ニイ メン ハオ」

 

「何を言って・・・・」

 

兵の首が飛んだ

 

「て、敵襲ーーーーーー!!!!」              

敵襲を告げるドラの音が鳴り響いた

思春に飛び掛る兵士達

しかしその全てが切り倒されていた

 

「だめだ、弓!弓隊はどうした!!」

 

「嵐で狙いが定まりません!」

 

「狙いなんていい、撃て!撃ちまくれ!!!」

 

近接戦闘では止められないと判断され、思春に矢の雨が降る

しかし強い風と雨で思春の元に届く矢はわずかだった

 

「下がれ、下がれ!近づけば切られるだけだ。下がれ!!」

 

精鋭揃いの兵達が距離を取る

思春は何事もないかのように前へ進むだけだった

 

「あっちゃ~~、誰かと思えば思春はんやん、ついてないわ~」

 

「李典将軍」

 

「あんたらの手に負える相手やない、下がっとき」

 

「はっ」

 

「おひさしゅう思春はん、ちっとうちの実験に付き合ってもらえん?」

 

思春は真桜を無視して歩み続ける

 

「・・・・・・」

 

「ちょ、ちょっとでええねんて!少し話しましょうて」

 

「・・・・・・」

 

カチッ     

 

「・・・・ちっ」

 

思春が何かを踏んだ

すると虎の彫像の口から槍が飛び出してくる

思春は咄嗟に伏せると頭上に槍をかわす

 

「だ~か~ら~、ちっとだけ話ましょうて、せっかちは嫌われますよ?」

 

(そこら中に罠が仕掛けてあるのか)

 

罠を警戒した思春は歩みを止めた                    

「ふぅ、さてさて、思春はんは蜀の桔梗さんの武器、見たことありますよね?豪天砲です」

 

「・・・・・」

 

「ずっと疑問だったんです。豪天砲は誰が作ったんやろ?」

 

購入したのは蜀の武器屋だそうだ

しかし、誰が作ったのかは不明だった

 

「調べたんですわ。したら判明したんです。遠く西方、ローマから流れてきたらしいです。正式名称はガンランス」

 

思春は話が長いと言わんばかりに怒りの表情を示した

 

「まぁまぁ、こっからが面白いとこですねん。んでな、そのガンランスの技術をうちの螺旋槍に取り込んでみたんですわ」

 

真桜が螺旋槍を思春に向け構えた

 

「こんな風に・・・・・ぶちかましたりいいいいいいい!!」

 

「!!」

 

ドンッ!と言う破裂音と共に真桜の螺旋が打ち出された

螺旋はその回転から嵐を物ともせず一直線に思春に向かっていく

 

「くっ!」

 

腕を少し掠めながらぎりぎりで交した思春は大きく横に飛びぬいた

思春のいた場所に突き刺さった螺旋

そこには大穴が空けられていた

 

「・・・・たいした威力と速さだな」

 

「そうでっしゃろ?でも、まだまだ驚くのは早いで、ほれ、戻り!」

 

(鎖か)

 

真桜が手元に戻れと槍を引き上げると螺旋は元の位置に戻った

 

「どうです?中々凄い改造になってますやろ?言うときますけど、こいつを動かしてるのはうちの氣ですねん」

 

「氣だと?」

 

「そうや、だからうちの氣が使える限り何度でも撃てますよって!」

 

ドン!!

 

「確かに早い、そして確実に致命傷を与える破壊力、だが・・・・・攻撃が直線的すぎる!」

 

思春はその速さから螺旋をすり抜けると、真桜に向かった            

「終わりだ、真桜」

 

「それも想定ずみですわ」

 

カチッ

 

(また罠か)

 

思春の足元から複数の槍が飛び出す

それを高くジャンプしてかわしたのだが

 

「もらったで!」

 

「ちっ!」

 

真桜の手元に戻った螺旋槍が空中の思春に狙いを定めていた

 

「これで終わりや!」

 

3発目の螺旋槍

空中では思春でもかわすことができない

真桜は勝利を確信した

 

しかし思春は諦めなかった

隠していたもう一振りの鈴音を構える

 

「二刀流?」

 

二振りの鈴音を前で交差させ、螺旋の先端を下に叩きつける

反動で衝突をさけた

しかし同時に回転に巻き込まれ横に大きく飛ばされた思春は城壁に衝突してしまった

 

「なんつー無茶苦茶な避け方や・・・・」

 

思春の吹き飛んだ城壁は土ぼこりが舞っていた

その土ぼこりも嵐ですぐに消し飛ぶ

そこには思春が立っていた                       

「ほんま助かります。思春さんほどの超人相手には、うちの螺旋槍真亜区2はまだまだ改良の余地ありと分かりました」

 

真桜は嬉しそうに螺旋槍を元の形に戻した

 

「貴様がそれを改良することはない。貴様はここで終わるのだからな」

 

思春は再び前に歩み始める

 

「何考えてますの?」

 

「・・・・・罠など関係ない」

 

カチッ

 

再び思春に槍が襲い掛かる

しかし思春は何事もなかったかのように飛び出した槍を切ってしまった

二刀流となった思春には飛び出す槍など造作も無いものとなった

 

「真名を交した仲故付き合っただけ。だが、それも終わりだ」

 

真桜の背中に冷たい汗が沸く

 

(相変わらず怒らせたらおっそろしい人やで・・・・)

 

「けどま、うちの仕事はこれで十分ですよて、な、凪」

 

「ここは私が引き受ける」

 

「・・・・・凪か」

 

真桜の後方に凪が立っていた

 

「お久しぶりです思春さん。ぜひ私と手合わせ願います」

 

「用があるのは張遼だ」

 

「姉さんなら飛竜堰月刀が直るまで戦わん言うとりますよ?」

 

「霞様はまだ思春さんと戦えません。ですから、私がお相手します」        


 
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