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真・恋姫†無双~赤龍伝~第49話「子供は好き?」

さん

嫌がる黄蓋と警邏に行く事になった赤斗。
警邏中、子供たちに遭遇。そこに太史慈が現れて。

この作品は、基本的に呉√にそっては行きますが、他√に
脱線することもあります。また、主人公も含めてオリジナルキャラクターが出てきます。

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2011-03-31 02:17:36 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:4179   閲覧ユーザー数:3590

真・恋姫†無双~赤龍伝~第49話「子供は好き?」

 

 

 

赤斗が冥琳と、今後の事について話をしながら廊下を歩いていると、明命を見つけた。

 

赤斗「あれ、明命?」

 

明命「冥琳様、赤斗様。こんにちはなのです」

 

赤斗「こんなところで、どうしたの?」

 

明命「はいっ! これから警邏なのですっ!」

 

冥琳「ん、明命。お前は今日、警邏の予定はなかったはずだが……」

 

明命「はいっ! 祭様にどうしても代わってほしいと頼まれました!」

 

冥琳「祭殿に?」

 

赤斗「もしかして祭さん、身体の具合でも悪いの?」

 

明命「いえ、そのようには見えませんでしたが」

 

冥琳「そうか……明命よ。私からの連絡が行くまで、城門で待機していてくれ」

 

明命「はっ、了解なのです!」

 

明命は返事をすると城門へと駆けて行った。

 

冥琳「では、風見。祭殿のもとに行くぞ」

 

赤斗「分かった」

 

赤斗と冥琳の二人は、城内に居るはずの祭を探すことになった。

 

 

赤斗「祭さーん、どこですかーっ?」

 

赤斗と冥琳は二手に分かれて、祭を探していた。

 

赤斗「……どこにいんだろ。厨房には居なかったし、中庭でお酒でも飲んでいるのかな」

 

祭「おう。赤斗ではないか」

 

赤斗の後ろから、祭が声をかけてきた。

 

赤斗「さ、祭さん! いつの間に!!」

 

祭「どうした? 」

 

赤斗「どうしたも何も、祭さんを探していたんですよ」

 

祭「儂を?」

 

赤斗「そうですよ。今までドコに居たんですか?」

 

祭「ちょうどぽっかり予定が空いたのでな、暇を持て余していたところじゃ」

 

冥琳「ほう。確か祭殿は、これから街の警邏に出向く予定だったと記憶しておりましたが?」

 

祭「ぬっ!? 冥琳っ!?」

 

祭は背後から聞こえた声に驚き、咄嗟に身構えて冥琳を振り返った。

 

祭「いつからそこに……」

 

冥琳「祭殿が風見に声をかけた直後からです」

 

祭「なっ……」

 

冥琳「さて、祭殿。先ほど、そこで明命に会って聞いたのですが、何やら祭殿に頼まれて警邏を代わったとか」

 

祭「う……うむ。確かに明命に頼みはしたが……」

 

明命「理由をお聞かせ願えますか?」

 

祭「理由は……なんでも良いではないか」

 

冥琳「良くないから、こうして風見と一緒に伺いにやって来たのです。何かご不満があるのなら仰って下さい。改善する努力はいたしますので」

 

祭「不満などはない。ただ……」

 

赤斗・冥琳「ただ?」

 

祭「…………言いたくない」

 

赤斗「祭さん」

 

冥琳「祭殿」

 

祭「言いたくないといったら言いたくないんじゃ」

 

冥琳「…………」

 

まるで子供のように意地を張る祭に、冥琳はあきれて溜息混じりに首を横に振る。

 

冥琳「そこまで仰るのであれば、無理にお聞きするのはやめておきましょう。……ただし、警邏には出向いていただきますぞ」

 

祭「もう明命が出かけている頃だろうし、無理に儂まで出る必要はあるまい」

 

赤斗「大丈夫ですよ。明命には冥琳からの連絡が行くまで、城門で待機して貰っていますよ」

 

冥琳「今頃、城門で首を長くして待っている事でしょう」

 

祭「むっ……」

 

冥琳「風見。すまんがお前も一緒に行ってくれるか?」

 

赤斗「了解♪」

 

祭「ぬぅ……」

 

 

見るからに渋っている祭と一緒に、赤斗は街へとやってきた。

 

祭「ええい、冥琳め。本当に可愛げのない娘に育ちおってからに……」

 

赤斗「はは……」

 

冥琳の姿が見えなくなってから、すでに何度となく愚痴を繰り返している祭と一緒に、のろのろと道を行く。

 

赤斗「で、祭さんは、何で警邏に出るのを嫌がっていたの?」

 

祭「別に、警邏に出る事自体が嫌だったわけではない」

 

赤斗「そうなんですか? じゃあ何で?」

 

祭「それは……」

 

言いあぐねて、祭は赤斗から顔を逸らす。

 

子供①「あ~っ! 黄蓋様だ~っ!」

 

祭「しまった!? もう見つかったか!」

 

急に慌てて、祭は逃げ出そうとする。

 

だけど、その行く手を遮るように、わらわらと子供が集まってきた。

 

子供②「ほんとだっ! 黄蓋様~っ!」

 

子供③「わ~いっ! 黄蓋様~っ!」

 

祭「くっ……」

 

祭は瞬く間に子供たちに囲まれて、身動きが取れなくなってしまった。

 

子供④「黄蓋様、こんにちは~♪」

 

子供⑤「こんちには黄蓋様。今日はどんな御用できたの?」

 

祭「用というか……その……儂は……」

 

子供⑥「黄蓋様、遊ぼっ♪ ねえ、遊ぼうよっ」

 

祭「こ、こら、服を引っ張るな!」

 

子供③「黄蓋様、お話して、お話」

 

子供①「うん。黄蓋様のお話聞きた~い」

 

祭「話といわれても、お主らに話してやれるような面白い話は何もないぞ」

 

子供②「じゃあ、黄蓋様みたいに強くなるにはどうしたら良いのか教えてー」

 

祭「それはもちろん、鍛錬あるのみじゃ!」

 

子供④「たんれんて?」

 

祭「鍛錬というのはじゃな……っ!? だ、誰じゃっ! どさくさにまぎれて胸に触った不届き者はっ?」

 

子供③「ごめんなさい……黄蓋様に触りたくて、手を伸ばしたら当たっちゃって……」

 

祭「いや……わざとでないのなら構わんが……。赤斗! 他人事のように眺めておらんで助けんか!」

 

赤斗「助ける? ……何で? 人気者でいいじゃないですか」

 

祭「早くせんかっ!」

 

 

嶺上「おお、赤斗に祭殿ではないか!」

 

赤斗「嶺上!」

 

子供①「嶺上様だ~~ッ!」

 

子供②「ほんとだっ!」

 

子供③「わ~いっ! 嶺上様~っ!」

 

それまで、祭の周りに集まっていた子供たちが、瞬く間に嶺上の周りに集まっていく。

 

嶺上「おー! 皆、元気だな!」

 

子供⑥「元気だよ♪ ねぇ、嶺上様、遊ぼうよっ」

 

嶺上「よし! 遊ぶか♪」

 

子供たち「わ~~~いっ♪」

 

子供たちに囲まれて、うろたえていた祭とは違い、嶺上は手慣れように子供たちを相手していく。

 

祭「ふぅ~……酷い目に遭ったわい……」

 

嶺上が全ての子供たちを引き受けてくれたため、ようやく祭は解放された。

 

赤斗「祭さんも嶺上も子供に人気なんですね」

 

祭「だからといって、あんなふうに纏わりつかれては怖くて堪らんわ……下手に身体を動かして、拳が当たってもみろ? あんな小さな身体だ。怪我をして泣いてしまうかもしれんではないか!」

 

赤斗「確かに、泣き出した子供って手がつけられないよね」

 

祭「そうじゃ。泣き出した子供には手がつけられん。言葉は通じぬし、周りの奴らもつられて泣き出すし……そうなったらどうしろと言うんじゃ」

 

赤斗「祭さんは子供が苦手?」

 

祭「苦手なのではない! ただ好かんだけじゃ!」

 

赤斗「へぇ~。本当に好きじゃないの? さっきまで、ちゃんと相手してあげてたじゃないですか」

 

祭「当然だ。子は国の宝。ないがしろになどは出来ん」

 

赤斗「でも、祭さんが好きじゃなくても、子供たちは祭さんの事がとても好きみたいだね」

 

祭「それは恐らく、この間、ここらで暴れていた馬鹿を一人のしてやったのだが、その時に泣き出してしまった娘がおってな……。儂が泣きやまそうと、必死になだめておったのだが……」

 

赤斗「ああ、何となく先が想像できる……」

 

祭「それを周りで見ていた者たちが、妙に懐くようになってな。あの様じゃ」

 

赤斗「ふふ……やっぱりね。そういえば、嶺上は手慣れているみたいだけど、嶺上は子供が好きなの?」

 

祭「あいつは昔から子供好きでな。よく街の子供たちと遊んでおるわ」

 

赤斗「そうなんだ」

 

そう言って、広場で子供たちと一緒に遊んでいる嶺上を見る。

 

広場では、嶺上が両腕に子供たちを抱えて、その場でメリーゴーランドのように回っている。

 

子供③「わーいっ」

 

子供④「もっとやって~っ♪」

 

嶺上「そうか、よーしっ!」

 

子供たちに言われるがまま、嶺上が回転速度を上げる。

 

子供③「きゃはは……」

 

子供④「早ーーいっ♪」

 

子供①「いいな~。嶺上様、僕にもやって~」

 

子供②「私も私も~」

 

嶺上「分かった分かった。持っていろ!」

 

嶺上は抱えていた子供たちを降ろして、次の子供たちを抱える。そして、再び人間メリーゴーランドを始める。

 

子供①「わ~い、回ってる~っ♪」

 

子供②「きゃーーっ♪」

 

その後、人間メリーゴーランドに乗り終えた子供たちは、満足して帰っていった。

 

 

嶺上「さすがに目が回ったな……」

 

赤斗「嶺上、お疲れ~」

 

嶺上「応っ。赤斗に祭殿」

 

祭「助かったぞ、嶺上」

 

嶺上「子供に弱いのは、相変わらずっすね。あんなに可愛いのに。それに子供たちも祭殿を慕っているっすよ」

 

祭「まったく。儂はどちらかというと、子供には怖がられる方だったはずなのだが……わけが分からん。子供の相手はお主に任せる」

 

嶺上「それは構わないっすけど、それじゃ祭殿に子供ができた時に困るっすよ。なあ赤斗」

 

赤斗「っ! な、何故、そこで僕に話をふる?」

 

嶺上「何故って、お前の役目は孫呉に天の血を入れる事だろ?」

 

赤斗「……そうだった」

 

赤斗は火蓮との呉に天の御遣いの血が入れるという約束を思い出して、祭と嶺上の顔を見る。

 

祭「なんじゃ? まさかお主、儂との間に子が欲しいとでも言うつもりか? やれやれ。儂のような年増にまで手を出そうとは、物好きというか……ウチの小娘共だけでは物足らんという事か?」

 

赤斗「…………はい?」

 

嶺上「祭殿、子供は良いすっよ。早く自分の子供が欲しいと思わないっすか?」

 

祭「……そうじゃな。自分の娘でも出来れば、多少は扱い方も分かるかもしれんな」

 

赤斗「あの、ちょっと………」

 

祭「どうじゃ赤斗。本当に儂と一緒に天の血を引く子を作ってみぬか?」

 

赤斗「え……え、ええ……と」

 

祭「何を驚いておる? この地で子を成す事は、お主の義務であろう?」

 

嶺上「そうだぞ。赤斗、私も構わないぞ」

 

赤斗「あ……あ、あ」

 

祭「なんじゃ、話を聞いておるのか?」

 

赤斗「き、聞いてますよ。ただ……」

 

祭「ただ。なんじゃ? 明命には手を出したんじゃろ」

 

嶺上「ほぅ」

 

赤斗「な、なな何で、祭さんが、そそそ、その事を?」

 

祭「堅殿が嬉しそうに話してくれたぞ♪」

 

赤斗「………あの人は」

 

祭「しかし、どうして嫌がるのじゃ? やはり、儂のような年増に興味はないという事か?」

 

赤斗「そ、そそそ……」

 

嶺上「落ち着け。赤斗」

 

赤斗「すーはーー。すーはーーー」

 

赤斗は深呼吸して落ち着こうとする。

 

嶺上「落ち着いたか?」

 

赤斗「そ、そんな事ありませんよ。祭さんはきれいだから、全然嫌じゃありません。けど……」

 

祭「けど?」

 

赤斗「こんな風なのは嫌なんですよっ! “疾風ーーっ”!」

 

そう言うと赤斗は、疾風を使い全速力でその場を逃げ出した。

 

嶺上「赤斗!」

 

祭「こら、待たんか赤斗!」

 

 

祭「逃げおったか……」

 

嶺上「祭殿がいけないんじゃないすか」

 

祭「なぜじゃ?」

 

嶺上「いきなり子作りしようなんて言うから」

 

祭「お主が話を始めたんじゃろが、それにお主も乗り気だったじゃろ」

 

嶺上「そうすけど……」

 

祭「しかし……久しぶりに、そういう気分になったというのに、まさか断られるとは思わんかった……。中々、見所があるようだし、身体を委ねてやるのも、やぶさかではないと思ったのだがな……」

 

嶺上「赤斗の性格を考えたら、あんな風に迫っても駄目かもしれないっすね」

 

祭「こんな風は嫌だとか言っておったの……」

 

嶺上「赤斗は、雰囲気を大事にしたいという事なんじゃないっすか」

 

祭「生娘か。だが、雰囲気と言われても、若い男の趣味は、よう分からんし……さて……どうしたもんじゃろう……」

 

 

 

つづく


 
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