ある日の朝である。
「う~ん」
智樹が目を覚ます。
「おはようございます、マスター」
「おはようトモキ」
「おはようイカロス、ニンフ。…あれ、カオスは?」
もう一人の居候、カオスがいないことに気付く。
「カオスですか」
「あの子なら……」
イカロスとニンフが窓の方を向く。
智樹は外に何かがあると思い、カーテンを開いて窓の外を見る。
すると智樹の目にはかなりの量が積もった雪が外にあり、中庭には積もった雪で一人はしゃいでいたカオスがいた。
「あははは……ふふふふ……」
カオスはとても楽しそうであった。
「あ、お兄ちゃん!」
カオスは智樹が見ていることに気付いて、智樹の方を見る。
「お兄ちゃん、雪だよ!」
「ああ、分かってる」
「一緒に遊ぼうよ~」
「ちょっと待ってくれ」
智樹は窓を閉める。
そして慌てて身支度などをしようとすると、部屋にはイカロス達がいることに気付く。
「……あの……イカロスさんにニンフさん……」
「……あ」
「申し訳ありません、マスター」
二人は慌てて部屋の外に出て行った。
智樹は着替えなどを終え、イカロス達と中庭に出て行った。
「お兄ちゃ~ん」
カオスはいきなり智樹に抱きついてきた。
「うわっと…」
「お兄ちゃん、雪だよ。雪」
「そんなにはしゃぐ事でもないだろ」
「だって私、雪見るの初めてだもん」
「……そういえばそうだな」
カオスは生まれたのは大体春の中旬~夏の上旬。
カオスにとっては冬自体が初めてであり、初めての雪である。
「雪って冷たいね」
「ああ、そうだ。雪は冷たいんだ。そしてこんな事もできる!」
智樹はそう言って、カオスを体から離して、突然中庭に積もった雪に向かって倒れる。
智樹が起き上がり、智樹が倒れたところには智樹の型が残っていた。
「うわぁ~お兄ちゃんだ~」
「とまあこんな具合で型を取る事だって出来る」
「面白そう。私もやる~」
そう言ってカオスは中庭の雪で倒れながら自分の型をいくつも作っていった。
そんな時であった。
「おお~い」
秋山の声が玄関の方からしてきたのであった。
雪山でスキーをしようとする智樹。
しかし転んでしまい、雪だるまの体になってしまう。
そこにタイトルの書かれた雪だるまの頭が落ちてくる。
「猛攻の雪将軍(やまおう)」
雪だるまの体から顔を出す智樹。
智樹の頭に胸から突っ込むアストレア。
空から飛んでくるイカロスとニンフ。
そりで滑るカオス。
「うわぁ~、綺麗~」
智樹達はそはら、守形、美香子、アストレア、秋山とともに雪山スキー場に来ていた。
何でこうなったのかというと少し前に遡る。
「おお~い」
秋山はそはら、守形、美香子、アストレアと共に智樹の家を訪ねてきた。
「は~い、今行きま~す」
智樹は秋山の声を聞いて、急いで玄関に向かった。
そして秋山達と会った。
「秋山か……何か用すか?」
「よう、桜井、スキーしようぜ」
秋山がどこかのやんちゃな子供みたいに智樹をスキーに誘う。
「スキーか……。でもスキー板なんて持ってないぜ」
「そんなもん借りればいいんだ」
「智ちゃん、一緒にスキーしようよ。あ、もちろんイカロスさん達も…」
そはらが智樹の後ろにいるイカロス達を見ていった。
「スキーって何?」
「簡単にいえば板に乗って滑るもんだな」
「現地に行けば分かるだろ」
そんなこんなで秋山達は智樹達を連れて、スキー場に来たのだ。
全員がスキーウェアを着ている中、秋山はいつもの格好であった。
「あんた、寒くないの?」
「前にも言ったろ。俺は無意識に発せられるオーラの力で常に適温でいられるんだ」
「でもそんな格好してたら見てるこっちが寒くなるわよ」
「耐えろ」
「そんな~」
アストレアはとても寒そうに、体を震わせる。
「お前な~、エンジェロイドならこれくらい大丈夫だろ」
「身体的には大丈夫でも、寒いものは寒いもん!」
「カオスを見たらどうだ?」
秋山がカオスの方を見る。
カオスの格好もいつもの格好に紫色のマフラーをしているだけ。おまけに裸足。
そんな格好にもかかわらずカオスは寒がってはおらず、雪が大量に積もっている事に興奮してはしゃいでいる。
「あんな格好でも全然寒がってないぞ」
「カオスは別ですよ~」
「それにな……」
秋山は少し寂しそうな顔をする。
「深海ってのはこの雪山よりも寒い……可能性もあるんだぞ」
「え?」
アストレアが真剣な顔をする。
「雪山は夏とかになれば少しくらいあったかくなる。だが深海は常に寒いんだ。
そんな深海にカオスはずっと居たんだ……。このくらいの寒さはなんともないだろう……」
秋山はカオスが現れたときはとてつもない負の感情に支配されかけていた。
しかし二回目にカオスが現れ、戦った時に秋山はカオスの悲しみを感じた。
今ではダイダロスのお陰もあって最初の時とは打って変わってとても無垢で穏やかになり、秋山も今のカオスには好意を持っているくらいである。
「だからさ、お前達も頑張りな」
「…そうだね」
「まあそれはそうとさっさと滑ろうぜ」
秋山が気持ちを切り替えるように皆に滑るように勧める。
「そうね。折角リフトに乗ってここまで来たのだから、滑らないと~」
「でも滑れるかな? 初めてだけど……」
美香子は余裕そうだが、そはらは初めてなので不安がる。
「やってみなきゃわかんねえ!」
秋山がどこかのサイ○人みたいな台詞を言う。
「よーし、まずは俺から……」
智樹が滑ろうとするが……。
「へぶっ!」
智樹は派手に転んだ。
「あ、智ちゃん…きゃっ!」
智樹を立ち上がらせようとしたそはらだったが、スキー板をしていたため、上手く動けずに転んだ。
そはらが転んだ場所にはそはらの尻跡が出来ていた。
「大丈夫? トモキ、そはら」
「大丈夫だよ、ニンフさん」
「いてて…」
「最初はそんなもんだろ」
「それじゃあ英君、私達は行きましょうか」
「ああ」
そういいながら美香子と守形は巧みに滑っていった。
「すげ…」
二人の身体能力は中学生は愚か大人を軽く凌駕する。スキーを一発でやることくらいお手の物である。
「とりあえず転ぶ事から始めた方が良いな。誰かがそんなこと言ってた気がするし……」
秋山が智樹とそはらに転び方を教えようとするが……。
「ああ、お前達にも滑り方と転び方を教えてやろう」
「いいわよ、それにあんたスキー板してないじゃん」
ニンフが秋山にツッコミを入れた。
秋山の格好はいつもの格好。つまりは履いてるのはスリッパ(サンダル)である。
どう考えても滑ろうとする人間の格好ではない。カオスと似たり寄ったりであった。
「スリッパで滑れるわけ……」
ニンフが言い終えないうちに秋山は巧みに滑って行った。
「あら?」
「あのな、俺は基本的に何でもありだぞ。
だからスリッパのままでも滑れるのだ。
分かったら俺の教導を受けな」
秋山がそう言うと、それに反発するかのようにニンフ達は滑り出す。
しかしニンフとアストレアは転んでしまう。
「だから転び方を学べと言ったんだ。しかしイカロスは簡単に滑ってるな」
「イカロスお姉様、さすがだね~」
カオスも感心してみていた。
カオスはスキー板を持っていない。何故ならカオスのサイズに合ったスキー板がなかったからだ。
そのためカオスはソリを借りている。色は紫色と自分の瞳の色に合わせていた。
「うわぁあああああい!」
カオスはソリに乗って思いっきり滑った。
「何か、すごいスピードだね」
カオスの乗るソリのスピードを見てそはらは驚く。
「ソリって思ったよりスピードが出たりする。まあカオスは重くないからあれでも遅いほうだな。
っても滑り方によっては軽い奴でもかなりのスピードが出る」
秋山が解説を入れているとカオスは秋山に声をかけてきた。
「ねえ、ねえ、これどうやって止めるの?」
「転べ」
秋山がカオスの疑問に即答した。
「うん♪」
カオスは遠慮なく体を横に倒して転んだ。
「大丈夫か、カオス?」
智樹が心配してカオスに駆け寄る。
「大丈夫だよ。それより楽しいね、転ぶの♪」
「……」
智樹は少し心配した。
「そういやイカロスどこまで行ったんだ?」
イカロスが中々戻ってこない事を心配する一同。
「あっちの方にいるな」
秋山がイカロスの現在位置方角を指す。
「ちょっと、行ってみるか。そんなに遠くない」
そして一同はイカロスのいるところに向かった。
一同はイカロスのいるとされる場所までやって来た。
そして全員、イカロスが滑っているのを目撃する。
「うわぁ~、イカロスさん上手……」
イカロスがジャンプ中にターンを決めているのでそう思っても無理はない。
しかし一同はイカロスがスキー板ではなく別のものに乗っていることに気付く。
「うん?」
「どうしたんすか? 先輩」
「イカロスは一体何に乗ってるんだ?」
「スノーボード……とは少し形が違うわね~」
美香子も冷静にイカロスの乗っているものを見る。
そして太陽の光でよく見えない状態から解放された時、イカロスが何に乗っているかに気付いた。
「智ちゃん、あれ!」
「って県知事ーーーーー!!?」
なんとイカロスはいつの間にか県知事をスノーボード代わりにして滑っていたのだ。
「何で県知事が?」
「あ! そういえば今日、県知事さんが着てるってゲレンデの人が言ってたよ!」
「何!? でも何でイカロスのスノーボードになってるんだ?」
「そんな事より、アルファーをとめなきゃ……」
皆が必死になってイカロスを止めようとするが、イカロスの乗る人間スノーボードは思ったよりも早い。
いくら上手い守形や美香子でもすぐには追いつけない。おまけに足手まといが4人もいる。
「こっちもイカロスちゃんと同じじゃないとね~」
「へっ?」
「任せな」
美香子の考えを読み取った秋山が珍しく美香子に同調する。
秋山は智樹、守形、アストレアの背中を軽く叩く。
すると3人は突然地面にうつぶせになる。
「って、ちょっとなんですか!? これ!」
「まさか…」
「俺達をスノーボードにしたな」
「「えええええええ!?」」
守形の冷静な状況分析によって驚く智樹とアストレア。
「人間スノーボードには人間スノーボードで対抗したほうが良いだろ。
そはら、お前は智樹に乗れ。そんでニンフはアストレアだ」
「い、いいの?」
「よくチョップしてるだろ。今更何を言う」
「それじゃあ乗るわよ、デルタ」
「ちょっと、ニンフ先輩…ぐえっ!」
ニンフはアストレアの背中に乗る。
「それじゃあ、乗るね智ちゃん」
「え! ちょ!?」
そはらも抵抗がありながらも智樹の背中に乗った。
美香子は既に守形の背中に乗ってスタンバッていた。
「あなたはどうするの? カオスちゃんを乗せるの?」
「いや、カオスはこのままソリだ。そして俺は……」
すると秋山は自身の体を柔軟体操で両足を前に伸ばして両腕をその両足の先端まで伸ばす運動のような体勢を取る。
とは言っても両腕はそれぞれの足の横において、秋山の顔は前を見ていた。
「それじゃあ、いくぞ!」
秋山の力で自然に全員が動き出す。
「イカロス、待てーーーーー!」
イカロスの後ろにつく全員。
智樹が声をかけるもイカロスは聞こえていない様子であった。
「聞こえてないみたい」
「もっと近づく必要があるようだ」
「でもこの先って……」
イカロスが向かっている先は超上級者が進む、木が邪魔をしているコースであった。
「当然俺達も行くぜ」
「ええええええ!?」
イカロスの後を秋山達が追う。
イカロスは巧みな技で木々を避けていく。
それを習う形で美香子&守形ペアも木々を避ける。
そはら&智樹ペアはいびつながらも木々を避けていった。
残るニンフ&アストレアペアはと言うと……。
「ちょっとデルタ! しっかりしなさいよ!」
「だってニンフ先輩、胸が地面にこすれて~~~」
アストレアはその豊胸な胸のせいで石などが諸に当たって、智樹や守形と違って安定せず、ゆれているのだ。
(この~~~~)
ニンフはその豊胸な胸を持つアストレアを妬んだ。
ニンフは一度擬似成長装置で成長したことがあるが、100年後のおばあさんになっても胸は大きくならなかった。
イカロスとアストレアはともかく、カオスは今の見た目はかなりの幼女だが、自己進化機能で大人の女性になることが出来、その時のカオスの胸はイカロスやアストレアに匹敵するくらい大きい。
つまりはニンフは(カオスの大人の姿を入れれば)胸の大きさ的には一番下であった。ニンフ自身もたまに気にしている。
(何で私ばかりこうなのよ~~~!)
ニンフは心の中で思いっきり嘆いた。
その一方カオスと秋山は……。
「うわぁあああああい♪」
「なかなかやるな、カオス」
カオスと秋山は巧みな動きで木々を避けていた。
正直な話、スキー板よりも範囲のあるソリでは木に当たる可能性は高い。
しかしカオスは小柄なのでまず枝に当たることはない。
秋山も体勢がかなり低いので同じである。
おまけにこの二人は木に当たりそうになった瞬間、木を破壊して進んでいるのだ。
ちなみに壊した木は秋山が瞬間修復で治している。
「これって楽しいね」
「今度は智樹と一緒にやってもらえ」
「お兄ちゃんと……うん♪」
そしてそうこうしているうちにようやくそはら&智樹ペアがイカロスの横に並んだ。
「そはらさん、それに……マスター」
「「イカロス(さん)、止まれ(って)!!」」
「はい」
イカロスはその場で止まるもそはら&智樹は止まらなかった。
勢いがいつの間にか付き過ぎたのだ。後、秋山から止まり方を教わっていない。
「うわああああ! とまらねえ!」
「きゃああああ!」
二人が危ないと察したイカロスはすぐに翼を広げ、二人の救出に向かった。
イカロスは二人の前に立ち、何とか二人を受け止めた。
「ふぅ…」
「助かった……」
二人はひとまず安堵した。
そして……。
「イカロス! 何でお前、県知事をスノーボードにしたんだ」
智樹は助けれてくれた礼を言ってすぐにイカロスを叱った。
「実は……」
イカロスは説明した。
イカロスが滑っていると近くを通りかかった県知事とぶつかってしまい、自分の使っていたスキー板がいつの間にか県知事とすり替わっていたとのこと。
「つまり、さっきまで気付いてなかったと?」
「はい…」
「ばっかもーーーーーーん!!」
智樹はかなりの大声で怒鳴った。
「まあいいではないか」
そこに県知事がやって来て智樹をなだめる。
「県知事さん」
「思ったより……よかったしの…」
県知事は何か新しい快感を覚えたようだ。
「………」
その様子に一同は何も言えなかったそうだ。
おまけ
作者「久しぶりの『そらのおとしもの』シリーズの投稿だ」
一刀「数時間前に別の人が投稿したばっかりだけどな」
作者「まあな。まあ今日投稿しようと思っていたが、時期が被るとは思わなかった。
しかし被りは被りで見てくれる人がいそうだと思って投稿した」
一刀「そうか…」
作者「それと今回の話でカオスがいつ生まれたのかは俺の独自設定だな。
アニメの話を見る限り桜が咲いていなかったし、あの時は春だから、第5話の話は5月くらいだと思っている。そんで後の話の時間を考えるとカオスが一度空美町に来たのは大体7月。早くて6月。遅くて8月だな。しかしカオス戦後に学校に行った描写があるから6月下旬~7月中旬くらいが妥当だと俺は考えた。俺的にはカオスは6月生まれだな。まあ公式で出していればすぐに修正はするけど…」
一刀「(すごいカオスに思い入れあるな……)ところで恋姫キャラの俺が何でここにいるんだ?」
作者「俺が呼び寄せたからに決まってるだろ」
一刀「そうだな。俺に語らせたいことがあるから呼んだのか?」
作者「そうだ」
一刀「じゃあ、まずお前の言いたいことを言ってみろ」
作者「では言おう。『そらのおとしもの』の映画のメインキャストにカオスの名前がなかった」
一刀「そりゃあ、原作だといないからな」
作者「しかしアニメ設定だとニンフの羽復活とか第12話での1カットだけとはいえ日和の登場を考えると明らかに映画はカオスが最終回に登場した後になるだろ」
一刀「さすがファン。好きなキャラを擁護するか」
作者「それがファンだ。しかし俺はまだ慌てるような時間には入っていない」
一刀「何故だ?」
作者「既に公表されているキャスト以外にも確実にキャストはいる。その中にカオスも入ることを信じれば良い」
一刀「まあ明らかに出るであろうキャラ数名の名前がないからな。可能性はないとは言えないな」
作者「だから俺は信じるのさ」
一刀「それはご自由に」
作者「まあもし出なかったら俺が出るバージョンとかを作ってやるさ」
一刀「すぐに書いたらネタバレだけどな」
作者「そこは考えてるさ。前に言った事だが、最近は『テイルズ』シリーズと『まどか☆マギカ』をあわせた作品を書いている」
一刀「『テイルズ』シリーズってまんまにするのか?」
作者「流石に名前をまんま使うわけにはいかんだろ。あくまでモデルにした作品ってことだ。
それと一応RPG系の作品だからパーティーキャラの大まかな設定と世界観、プロローグは一応作った」
一刀「そうか」
作者「後は前にもやったようにカオス主役の作品でも書こうかな。ネタは思いついてないけど」
一刀「……好きにしろ」
作者「後は究極王の最終回の最後に書いたスパロボ作品だが、本当にかけるかどうか分からないし、全部書くと絶対時間掛かるからな。書くとしたら『アスラクライン』と俺の書いた『無双強靭究極王』がメインに絡む話だな」
一刀「本当に『アスラクライン』好きだな」
作者「アニメしか見てないけど、個人的にはかなり面白かったからな。操緒のキャラとか、ロボットとかもいいと思うし…。後、スパロボに合いそうな設定とか……。それでは!」
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この作品はアニメ「そらのおとしものf」の最終回後を二次創作で考えたものです。
そのため映画に出てくるであろう要素は一切入りません。
原作キャラクターの性格や口調が一部変わっていたりするかもしれませんが、その事はご了承下さい。
またこの小説には作者の分身とも言えるオリジナルキャラクター(秋山総司郎)も出てきます。
今回の話は最近まで週刊少年ジャンプであったネタを使っています。
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