第10話 終結
桂花「華琳様。我らの南方四里のところに新たな部隊が発見されました」
華琳「旗標は?」
桂花「孫。おそらく袁術の客将になっている孫策の旗かと。」
華琳「なるほど。虎が猿を喰う日も近いわね」
桂花「どういうことでしょう?」
華琳「ここには黄巾党本隊を倒すために各諸侯が集まっている。それは黄巾党の命脈が尽きかけていることをすでに知っているからでしょう?」
桂花「はっ。大陸全体を見るに、黄巾党はすでに風前の灯。多少、戦略眼がある人間ならば、この好機を逃さず、この場所に集結するはずです」
華琳「そう。それなのに袁術は西方に向かい、逆に孫策は寡勢ながら賭けに出た。・・・そしてその賭けは成功するでしょうね」
桂花「各諸侯が集まれば黄巾党も怖くはない。・・・そういうことでしょうか?」
華琳「ええ。我が軍然り。袁紹、公孫賛、それに最近義勇軍ながら名をあげている劉備。そこに孫策が加われば、賭けと言う言葉にならないくらい確実な戦いになるでしょう。そしてここで名を上げれば、これからの群雄割拠の時代に有利になる」
桂花「そして袁術からの独立を果たす。・・・そうなるとお考えなのですね」
華琳「さすがは江東の虎の謳われた孫堅の娘。・・・今後が楽しみだわ」
桂花「それでは今後、孫策の周辺に細作を放ち、情報を手に入れましょう」
華琳「よろしく」
桂花「それにしても・・・あの男はここに来るでしょうか?」
華琳「一刀のことかしら?」
桂花「あの男は春蘭に勝ったほどの武を持ちます。それならば、この戦も有利になるのではないですか?」
華琳「あら?桂花はあの男のことがきになるのかしら?」
桂花「そんなことはありません!私は男など信用していません!ですが、あの武だけは利用出来るかと」
華琳「そうね。ここに来れば一刀は必ず私たちに味方するでしょう。それに一刀がいれば我が軍の損傷も最低限で済むかもね」
雪蓮「曹、袁、公孫、それに劉。良い感じに集まってるわねぇ」
冥琳「計算通りだな。これだけ集まっていれば敵とは互格に戦えるだろうな」
祭「しかし、これだけひしめいていては功名も立てられんぞ?」
雪蓮「そうよねぇ・・・。どうする、冥琳?」
冥琳「ふむ・・・穏。確か城内の地図があったはずだが?」
穏「はいは~い。ありますよ~。元々は太守さんのお城でしたからねぇ・・・これです」
冥琳「ふむ・・・攻めづらい作りだな」
穏「攻めづらく、守りやすい。まさに教科書みたいなお城ですね~」
蓮華「広いのは前面のみ。左右は狭く、そして後ろは絶壁」
雪蓮「もうめんどくさいから、全軍で突入しちゃおうよ」
蓮華「バカな冗談はやめてください!」
雪蓮「結構本気なんだけど・・・」
蓮華「なお性質が悪いです」
冥琳「・・・北郷」
一刀「ん?」
冥琳「お前ならどう攻める?」
蓮華「冥琳!?この男には無理だ!」
雪蓮「蓮華。黙りなさい」
蓮華「っ!」
雪蓮「あなたが一刀を嫌うのは勝手。でもここは戦場なの。あなたにも分かるはずでしょ?」
蓮華「はい・・・」
一刀「・・・俺なら、まずはここの倉の辺りが死角になっていることを利用させてもらい、兵糧攻めをする。そして夜襲をかける」
祭「そんなことが出来るのか?」
冥琳「・・・出来るな。祭殿、諸侯が引き上げたら正門へ軍を集結させてください」
祭「それはいいがどうするのじゃ?」
一刀「・・・囮か」
冥琳「そう。祭殿の軍が奴らの目を引き付けている間に興覇と幼平の部隊が中に侵入。そして放火活動にうつる」
一刀「俺も行こうか?」
冥琳「いや、北郷は祭殿と一緒に前線の部隊にいてくれ。中の状況に合わせて祭殿は雪蓮と合流し、混乱する城内に突入する。・・・これでどうかしら?」
雪蓮「良いんじゃない?ワクワクしちゃうわ♪」
蓮華「し、しかし、成功する確証が無い以上、お姉さまを前線に出すわけにはいきません!」
雪蓮「蓮華。戦に絶対は無い。それぐらい分かっているでしょ?」
蓮華「しかし、状況が母様が死んだ時とよく似ていて・・・」
雪蓮「私が城攻めで死ぬ?無いわよ。そんなこと。だって私が指揮するのは突入部隊だけ。城攻めは祭に任せるもの」
蓮華「それならば、北郷一刀がいけばいいではないですか!あの男なら指揮も出来るでしょう!それにお姉さまは今後も呉に必要な人物。しかしあの男は・・・」
雪蓮「蓮華!それ以上言ってみなさい。いくらあなたでも言っていい事と悪い事があるわよ」
蓮華「お姉さま・・・」
一刀「いいよ」
雪蓮「一刀!?」
一刀「孫権の言うことも最もだ。雪蓮は呉に必要な人物だ。それに比べたら俺は呉の客将でいついなくなるかも分からない。だったら王が行くより俺が行った方がいいだろうな。まぁ、そんな簡単に俺は死なないさ」
蓮華「・・・・・」
雪蓮「一刀・・・」
一刀「そういうわけで、冥琳」
冥琳「あぁ、分かった。それでは北郷が突入部隊を指揮してくれ」
一刀「あぁ。任せてくれ」
冥琳「それでは、興覇と幼平は編成部隊を率いて作戦を検討しておけ。祭殿と北郷はしばらく待機。蓮華様と穏は後方で待機。穏、蓮華様の補佐頼んだぞ」
穏「了解でありま~す♪」
冥琳「雪蓮と私は北郷たちが突入した後の総仕上げを行う」
雪蓮「了解♪」
蓮華「・・・・・」
それから俺たちは陣地を構築したあと、夜を待った。
一刀「俺ってかなり嫌われてるなぁ」
祭「あれは愛情の裏返しとは言えんぐらいじゃったのぉ」
一刀「まぁ、孫権の言うことも分かるんだ」
祭「どうしてじゃ?」
一刀「俺も雪蓮には死んでほしくないし、傷付いてほしくない。それは冥琳や祭さんや穏、思春や明命、孫権にだって言えることだからさ」
祭「・・・なかなか嬉しい事を言ってくれるのぉ」
一刀「だからあんまり無理はしないでくれよ?」
祭「分かっておる」
一刀「それなら良かった。ただ、戦がどういうものかは知ってる。必ず誰かが死ぬんだ。だからこんな甘い事言ってられない。それでも、俺の力で誰も傷付けさせない!それが俺の覚悟だ!」
祭「ふむ。北郷は本当に良い目をする。普段は飄々としていて胡散臭いかと思えばこうして人のことを思いやり、前をしっかりと見据えて物事をとらえることが出来る。それは誰にでも出来る簡単なことじゃない。しっかりとした覚悟を持った人間が出来ることじゃからのぉ。本当に良い男じゃよ」
一刀「や、やめろよ。恥ずかしいだろ///」
祭「・・・蓮華様のこと嫌ってやらんでくれよ」
一刀「・・・あぁ。分かってる。戸惑っているんだろう。帰ってきていきなりこんな戦になり、俺みたいな得体の知れない男がいるんだからな」
祭「本当に良い男じゃ・・・」
一刀「だから、やめろって・・・」
穏「それにしても良かったんですか?」
蓮華「何がだ?」
穏「一刀さんのことです」
蓮華「別に私は悪い事をしたとは思っていない」
穏「それでもあれはさすがに・・・」
蓮華「私は思ったことを言ったまでだ」
穏「はぁ~・・・」
蓮華「・・・・・」
雪蓮「あの子もまだまだね」
冥琳「そうだな」
雪蓮「もっと素直になればいいのに・・・」
冥琳「お前みたいにはなれないさ」
雪蓮「私みたいじゃなくていい。もっと自分を見てほしいのよ」
冥琳「今の状況じゃ難しいだろう」
雪蓮「一刀ならなんとかなると思ったんだけどな・・・」
冥琳「まぁ、北郷なら大丈夫さ」
雪蓮「あっ、冥琳ったら一刀のこと信じてるのね」
冥琳「当たり前だろう。惚れた男のことを高く評価しないでどうする」
雪蓮「やっぱり♪でも一刀はあたしのなんだから冥琳にはあげないよ♪」
冥琳「ふっ。私も負ける気はしないな」
冥琳「作戦を開始する!興覇、幼平。行け!」
2人「はっ!」
思春と明命は作戦のため、城内へと向かった。
冥琳「祭殿は、北郷と共に正面へ。あとは作戦通りに頼みます」
祭「任せておけ。北郷、行くぞ」
一刀「了解」
雪蓮「一刀。気をつけてね」
一刀「大丈夫だ。心配するな」
冥琳「陸。蓮華様と後方へ下がっていろ」
穏「は~い。行きましょ、蓮華様♪」
蓮華「待て!北郷・・・」
一刀「なんだ?」
蓮華「武運を祈っておいてやる」
一刀「へっ?」
蓮華「だから!・・・死ぬな!生きて帰ってこい!」
一刀「任せておけ!」
雪蓮「・・・最初っから素直になっておけばよかったのにね」
冥琳「まったくだ」
うおおおおおおおおおおおおおおお
雪蓮「始まったわね」
冥琳「弓兵。準備をしろ!雪蓮、左を頼む」
雪蓮「えぇ。孫策隊!左翼へ行くわよ!」
冥琳「周瑜隊は右翼前線へ。黄巾党を全滅するぞ!」
黄巾党1「なぜ燃えてるんだ!」
黄巾党2「敵の火計です!」
黄巾党1「くっそ~~!・・・焼け死ぬくらいなら討って出るぞ~!」
黄巾党「「「おーーーーー!」」」
祭「奴らが来るぞ!全員気を引き締めてかかれ!」
呉兵「「「おぅ!」」」
一刀「俺たちも行くぞ!」
呉兵「「「おぅ!」」」
闇夜に乗じての火計が成功し、黄巾党は1人残らず殺されていった。
一刀「ふぅ~・・・」
雪蓮「一刀。良かった、無事で」
一刀「当たり前だろ。また無事帰ってくるって言っただろ?」
雪蓮「そうだったわね・・・」
蓮華「・・・北郷」
一刀「どうしたんだ?」
蓮華「あの・・・その・・・」
一刀「言いにくいことなら、また今度でも良いよ?」
蓮華「いや、今言わせてほしい」
一刀「そうか。ゆっくりで良いから」
蓮華「・・・あの・・・失礼なことを言ったことなんだけど、ごめんなさい!」
一刀「!」
蓮華「・・・・・」
一刀「孫権は・・・」
蓮華「えっ?」
一刀「孫権は雪蓮のことが心配だったんだ。だからあんなことを言った。そうだろ?」
蓮華「えっと・・・その・・・」
一刀「俺も雪蓮が傷付いたりしたら嫌だもん。だから、俺は何とも思っちゃいない。ただ、孫権はもっと自分を大事にしたほうがいい」
蓮華「自分を・・・大事に?」
一刀「雪蓮は立派だよ。王としても1人の女性としても。でも孫権は雪蓮じゃない。孫権は孫権だ!姉のあとを追うんじゃなく、孫権にしか出来ないことを見つけて頑張ればいい!次期王だとか、そんなことに縛られてたら見えるものも見えなくなる。分かったかい?」
蓮華「分かったわ。あなたと話していると新たな自分を見つけれそうよ」
一刀「それは良かった」
蓮華「それで・・・今までのお詫びとお礼に受け取ってほしいのがあるんだが・・・」
一刀「いいよ。別に俺は気にしてないから」
蓮華「私が気にするんだ!だから受け取ってもらいたい」
一刀「そうか」
蓮華「私の真名なんだが、蓮華と言う」
一刀「うん。ありがたくもらうよ。ありがとう、蓮華」
あとがき
第10話書きました!
はっきり言って眠いですね・・・。
なにせ昨日からほとんど徹夜ですから。
三国無双6頑張りすぎちゃって・・・。
三国無双をやってて、武将の名前をついつい真名で呼んでいました。
こんな経験した人いるのかな?
それになんか武将を倒すのに抵抗があったりして・・・。
病気!?軽く病気ですか!?
今日も休みみたいですから第11話投稿出来たらします。
次回か次々回で遂にオリキャラ登場させます!
今度は嘘じゃないです!
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第10話連続投稿!
体力が続く限り書いていきます!
三国無双6呉が終わりました。
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