No.207236

真・恋姫†無双 外史の欠片 -刀音†無双- プロローグ

ネムラズさん

初めまして、拙いながらもふと浮かんだネタを世に送り出してみようと思い投稿しました。

シリーズをやり込んでいると言う程でもない上に、これが初投稿作品となる為及ばない部分もあると思います。
どうぞ暖かく、時に厳しく見守って下さい。

2011-03-20 17:49:18 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:2870   閲覧ユーザー数:2209

 

※注意※

 

この作品には以下の点が含まれる可能性があります。

 

 

・作者の力量不足によるキャラ崩壊(性格・口調など)の可能性

 

・原作本編からの世界観・世界設定乖離の可能性

 

・本編に登場しないオリジナルキャラ登場の可能性

 

・本編登場キャラの強化or弱体化の可能性

 

・ストーリー中におけるリアリティ追求放棄の可能性(御都合主義の可能性)

 

・ストーリーより派生のバッドエンド掲載(確定、掲載時は注意書きあり)

 

 

これらの点が許せない、と言う方は引き返す事をお勧め致します。

 

もし許せると言う方は……どうぞこの外史を見届けて下さいませ。

 

 

プロローグ

 

 

夜空に輝く月の光、その仄かな明かりが差し込む部屋の一室にて。

 

部屋に置かれた大きな寝台の上から身動ぎをする音と共に布団が動く。

やがて一人の男が身を起こすと寝台から降り、寝台の傍に置かれた卓の上をを手で探り始めた。

しばらく卓上を探っていた男は澄んだ水で満たされた水差しを見つけると満足そうに一つ頷き、

傍に置かれていた碗へと水を注いで一息に呷り、大きく息を吐く。

そして何かを振り返る様に小さな声で、呟いた。

 

「随分と懐かしい夢を見たな……あれからもう、何年になるんだったか。

昔の俺が今の俺を見たら、どう思うか……きっと信じられないだろうなあ」

 

そんな言葉と共に男が浮かべたのは懐かしさと喜びや悲しみが入り交じる不思議な表情。

夢の余韻が残っているのか感傷的な気分に浸っていると寝台の方で小さな声が聞こえた。

その声で我に返った男が目をやれば、寝台の上に一人の女性が身を起こしている。

 

まだ年若い、少女とも呼べる年齢に見えるその女性は一糸纏わぬ姿で男を見つめている。

起きてしまったじゃないか、と言いたげな視線に男は苦笑を浮かべ、ひとまず謝罪する事にした。

 

「ああ、起こしちゃったか。悪い、急に目が覚めちゃったせいか喉が渇いてね……ん?

喉が渇いたのか、分かったよ。ちょっと待っててくれ、すぐに持って行くから」

褥を共にしていた相手が寝ぼけ眼のまま発した要求に笑顔で頷くと水を碗に注ぎ、寝台へと戻る。

男は水で満たされた碗を、零さない様にな、と声をかけつつこちらを見つめる相手に差し出した。

 

「ん?普段はそんな事ないのに何で今日に限って、って……別にそんな事はないぞ?

時々起きる事もあるし、そんな時はこっそりと可愛い寝顔を楽しんでって痛いから!

抓るな捻るな、冗談!冗談だって!……はあ、分かったよ。ちょっと夢を見たんだ。何の夢かって?」

からかった代償として脇腹を抓られる痛みに悶えながらも男は何とか相手の髪に指を這わせ、頭を撫でる。

相手もその感覚を楽しんでいるのだろう、満足そうに笑みを浮かべる相手の耳元に顔を寄せて男は囁いた。

 

「俺達があの時、あの場所で初めて会った瞬間から……今日までの夢さ。思えば色々あったなって」

男は再び寝台に横たわると相手の髪を撫でるのを止め、自分の方へと抱き寄せた。

わ、と小さな声を上げて自分にもたれかかってくる相手の温もりを愛しく思いつつ、男は笑う。

小さく上がる抗議の声など当然聞こえないふりだ。相手も諦めたのか口を閉ざし、顔を赤くして睨み付けながら

抗議の意志を示す方法に転向した。昔から変わらぬその態度に男の笑みはますます深くなる。

 

「ごめんごめん。だけどさ、これまでの話を出来る相手は多くても全部を知っている相手は少ないから。

それこそ一番最初から最後まで知っているのは二人だけじゃないか……ああ、特別だよ。

だからあんな夢を見たんだと思う……ん?はは、そうだな。一緒に眠れば二人で見られるかもな。

じゃあ二人でもう一度寝直すとしようか。明日は予定も無かっただろ?夢が少しばかり長くなっても問題ないさ。

余り遅すぎたら部屋に怒鳴り込まれそうだけどな。ああ、それじゃあお休み……」

男は愛しい相手を再び抱き寄せ唇を重ねた。相手もまた満ち足りた幸せな表情で男の唇を受け入れる。

数秒の後に唇を離し、二人で小さく笑い合う。この一連の動作も昔から少しも変わらない。

そんな相手と共にある事を幸福だと思いながら、男は再び夢の世界へと落ちていった。

室内を動き回る気配を感じてふと目を覚ましてみると、傍らにあいつが居なかった。

まだ夜であるし急に招集が掛かった訳でもない。ならば部屋のどこかにいるのだろう、とまだいつもの回転を

取り戻さぬ頭で考えつつ、寝ぼけ眼で室内を見渡せば……ああ、見つけた。

あいつも急に目が覚めたのだろう。そういえば喉が渇いているし、丁度良いから水を持ってきて貰おうか。

そう思いながら寝台の上で身を起こした時には、口が勝手に水を持ってきてくれと声を上げていた。

 

水を飲み干し、渇きと眠気が去った為に頭の回転も戻った所でふと気になった。何故あいつが起きているのか。

特に眠りに落ちる前まであれだけ激しく動いていたのに、と考えた所で頬が熱を持ったのを感じる。

それを誤魔化す様にあいつに疑問をぶつけてみたが、帰ってきたのはからかいの言葉だったので取りあえず抓っておいた。

別に脳裏に浮かんだ、眠りにつく前のあいつとのあんな事なんて一切関係無いのだ、無いったら無いのだ。

あいつは悲鳴を上げつつこちらの髪に指を絡めて頭を撫でる……昔からこれには弱いと知っているのに、ずるい。

あいつに撫でられてしまえばこれ以上抓ったりする気も起きないじゃないか、と頬が緩むのを自覚しつつ心の中で抗議する。

まあいい、昔から変わらぬじゃれ合いが今でも出来る事が嬉しいし、今はあいつの手の感触を堪能していよう。

 

こちらが落ち着くと同時にあいつも落ち着いたのだろう、撫でるのを止めて頭から手を離してしまう。

離れていく温もりに声を上げそうになった時、あいつが耳元にまで顔を寄せてその理由を囁いた。

初めて会った時からか……思い返してみれば確かに一言では言い表せない位、色々な事があった。

そうして過去に意識を割いていたからだろう、気付いた時にはあいつに抱き寄せられていた。

わ、と小さく漏れた声を聞かれたのかあいつが笑みを深くする。慣れているのだが、やっぱり何か悔しい。

だからいつもの様にあいつに文句を言ってやるが、これまたいつもの様に流されてしまった。

やっぱりあいつには文句より睨み付けてやる方が効くのだろう。抗議の意味を込めて睨んでやる。

なのにあいつはますます笑みを深くして……ああ、悔しいけれどその顔が愛しくて仕方がない。

 

更に続けられたあいつの言葉に胸が高鳴った。そうだ、あいつと付き合いのある人間は確かに多い。

それこそあいつの周りに居る人間に嫉妬していないなんて言えば嘘になってしまうし、自分がどれほど独占したくても

叶わないのを自覚している位には、だ。

だからこそ、あいつに特別だと言われた事実が嬉しく、あいつの特別なのだと思えた事が嬉しかった。

そう、だからこそこんな言葉をあいつに囁いてしまったんだろう。

 

「だったら一緒に眠れば、同じ夢を見られるかも知れませんね」

 

その言葉を聞いたあいつの顔がとても嬉しそうで、とても幸せそうで、心が一杯に満たされた。

そしていつもの様に冗談も交えた挨拶を交わすとあいつの腕の中に再び抱き寄せられる。

あいつの顔が近づき、二人の唇が重なる。もう何度も繰り返した行動、何度繰り返しても幸せな行動。

唇が離れるのを合図とする様に目をあいつに向ければ、あいつと目が合い思わず笑ってしまう。

なんて幸せそうな顔だろう。きっと自分もそんな顔をしているに違いない。何度見ても見飽きない、あいつの顔。

誰よりも愛しいあいつの幸せそうな顔を今日も見られた事を喜びながら、再び夢の世界へ落ちていった。

第1話、プロローグと言う事で今回は此処まで。

今回のお話に出てきた男と女性が主役となる予定です。

 

女性=ヒロインは既に決定しておりますが、まだその正体について今回は秘密です。

バレバレかも知れませんが次回以降をお待ち下さい。

 

それでは、またいずれ。

 

 
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