「とある桂花のデレ日記 ~八の記~」
▽月◆日。
止まれ私の体!
それ以上先に進んじゃいけない!
お願いですから止まってください!!
あっーーーーーーーー!!
「・・・・・・桂花?どうかし」
「・・・・・・ごろにゃん♪」
「ぐはっ!?」
・・・止まんなかった。
彼の体にしがみつき、すりすりと甘える私。
いっとくけど、好きでやってんじゃありません。・・・いや、ほんとはすごく嬉しいんですよ?いつもしたいと思っていたことなんだから。
けど。自分の意思じゃないんです。体が勝手に動くんです。
「かずと~。ふにゃあ~ん」
「桂・・・花?い、いったいどうしたの?」
「桂花さん?」
そんな私の行動に、彼の傍にいた華琳さまと、呉の猫狂いが不可思議そうな視線を投げかけてくる。
「にゃあ~ん。にゃにって、大好きにゃ一刀さまに甘えているにゃん♪・・・ごろごろごろ」
『か、可愛すぎる・・・・・・・!!』
こっちは恥ずかしすぎて死にそうです!誰か止めてー!!
「・・・あれ?桂花さん、その尻尾は・・・!!」
「尻尾お?!・・・・・・あ、ほんとに生えてる。て、ことは」
「・・・また、猫本尊の仕業?」
・・・猫本尊?・・・って、何?
「・・・桂花さん。もしかして、裏通りにある、小さな猫の形の像に、悪口とかいったんじゃありませんか?」
「言ったにゃ。思春が拝んでいたから、にゃにこの汚い像って。猫にょ形にゃんかして、意味がわかんにゃいって」
わー!口が勝手に動くー!・・・てか、あれが原因なわけ?!
「けど、あれが原因にしてもよ?ここまで性格変わったりまでしたかしら?」
「・・・・・・たぶん、のろいが相当に進行しているんじゃないか?・・・でなけりゃ、あの桂花がこんなことしてくるとは、到底思えないよ」
いやまあ、確かにそうなんですけど。・・・一刀の口から改めて言われると、なんか、すごく悲しい。
・・・一刀が好き。
そこに関しては事実なわけだから。
「で?治るの?これ」
「・・・・・・・・・まあ、一応。方法は、あるけど」
あるの?!よかった~。こんな状態で好きって言えたって、甘えることが出来たって、何も意味がないもの!
「・・・けど、な。その方法ってのが・・・その」
「・・・何?」
「・・・一刀さんに、ですね。その、”してもらう”こと、です。・・・はい」
・・・・・・・・・・・・・・・・・は?
してもらう。
つまり、”あれ”ですか?
”おらおら”ですかあー!?(意味不)
「・・・・・・・じゃ、一刀、頑張ってね」
「わ、私もこれで失礼しますね?!」
「ちょ!?二人とも!!」
取り残される一刀と、いまだに彼にしがみついてごろごろ言ってる私。
「・・・・・・・・・・参ったな。・・・しょうがない。よっと」
「にゃん♪」
お姫様抱っこされました。嬉♪・・・・・・じゃなくて!
「・・・・・・ほんとは、あんまり気が進まないけど、仕方ないよな」
・・・気が進まない?・・・そっか。・・・そうなんだ。・・・私なんか、抱きたくないんだ。・・・ぐすっ。
彼の腕の中、表面上は、のろいによって甘えている私だけれども、その心のうちは地獄の底みたいな状態だった。
仕方なく。
理由も無しには、私なんて、愛したくない。それが、彼の本音なんだ。・・・そっか。
でもって、そのまま彼の部屋に連れて行かれました。寝台の上に組み敷かれる私。口付けを交わした後、彼がぽつりと言いました。
「・・・ごめんな、桂花。弱みに付け込んで、君に、その、こんなことをしちゃって。・・・あとで、たっぷりなじってくれていいから、ちょっとだけ、我慢してくれな」
・・・・・・・・・ああ、そうか。
正気じゃない今の私に、これからすることへの罪悪感。それを、一刀は感じているんだ。だから、仕方なく、と。そんな言葉が出たんだ。
・・・・・・やっぱり、優しいな。一刀は。うん、いい男だわ。さすが私の見込んだ、たった一人の男性。
で。
しっかり、たっぷり、これでもかってくらい、一刀は私を愛してくれました。そのおかげで、猫本尊ののろいも、無事に解けました。
そんでその翌日。
「こら~!そこのど変態!昨日はよくも、これ幸いにと人を好き勝手してくれたわね~!!」
「だ~か~ら~!!それは桂花ののろいを解くために・・・!!」
「それはそれ、これはこれ!・・・か、感謝は一応、とりあえず、してるけど!このままただで済むと思ってんじゃないでしょうね!?」
相も変わらず。でもって、昨日彼が言っていたとおり、毒舌を思い切りぶつける私。けど、
「だから、その。・・・わ、悪いと思ってるなら、今日一日!私の下僕になんなさい!掃除洗濯買い物その他諸々!ぜんっぶ!!従ってもらうからね!わかった!?」
「・・・・・・・ああ。そのくらいなら、喜んで」
「///・・・・・・な、何でそんな、嬉しそうに言うのよ?」
理不尽に罰を与えようとしてんのよ?ちょっとぐらい怒ったって。
「ん?・・・・・・さ、何でだろうな?」
「あ、あんたねえ!」
「ほらほら、最初は何をすればいいんだ?何でも言ってくれよ。何でもするからさ?」
・・・・・・・・私の負け。
そんな笑顔を向けるの、反則です///も、なにも言い返せないわよ、ほんとに。
「じゃ、じゃあ、まずは部屋の掃除からしてもらおうかしら?それから、荷物持ちもしてもらって、それからえっと・・・」
にこにこと、微笑む彼に背を向けて、私はその日一日、あれやこれやと指示を出しつつ、彼を独占し続けました。
・・・とりあえず、後で猫本尊を探し出して、お供えをしておこう。
・・・・・・・素敵な一日を、ありがとうございました、って。
~おわり~
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はっはっは。
言い訳はしない。
思いついたんだから仕方ない。
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