No.206934

真・恋姫夢想 「とある桂花のデレ日記 ~八の記~」

狭乃 狼さん

はっはっは。

言い訳はしない。

思いついたんだから仕方ない。

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2011-03-18 21:41:18 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:18758   閲覧ユーザー数:14707

 

 

 

 

 

 

 

                          「とある桂花のデレ日記 ~八の記~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ▽月◆日。

 

 

 止まれ私の体!

 

 それ以上先に進んじゃいけない!

 

 お願いですから止まってください!!

 

 あっーーーーーーーー!!

 

 「・・・・・・桂花?どうかし」

 

 「・・・・・・ごろにゃん♪」

 

 「ぐはっ!?」

 

 ・・・止まんなかった。

 

 彼の体にしがみつき、すりすりと甘える私。

 

 いっとくけど、好きでやってんじゃありません。・・・いや、ほんとはすごく嬉しいんですよ?いつもしたいと思っていたことなんだから。

 

 けど。自分の意思じゃないんです。体が勝手に動くんです。

 

 「かずと~。ふにゃあ~ん」

 

 「桂・・・花?い、いったいどうしたの?」

 

 「桂花さん?」

 

 そんな私の行動に、彼の傍にいた華琳さまと、呉の猫狂いが不可思議そうな視線を投げかけてくる。

 

 「にゃあ~ん。にゃにって、大好きにゃ一刀さまに甘えているにゃん♪・・・ごろごろごろ」

 

 『か、可愛すぎる・・・・・・・!!』

 

 こっちは恥ずかしすぎて死にそうです!誰か止めてー!!

 

 「・・・あれ?桂花さん、その尻尾は・・・!!」

 

 「尻尾お?!・・・・・・あ、ほんとに生えてる。て、ことは」

 

 「・・・また、猫本尊の仕業?」

 

 ・・・猫本尊?・・・って、何?

 

 「・・・桂花さん。もしかして、裏通りにある、小さな猫の形の像に、悪口とかいったんじゃありませんか?」

 

 「言ったにゃ。思春が拝んでいたから、にゃにこの汚い像って。猫にょ形にゃんかして、意味がわかんにゃいって」

 

 わー!口が勝手に動くー!・・・てか、あれが原因なわけ?!

 

 「けど、あれが原因にしてもよ?ここまで性格変わったりまでしたかしら?」

 

 「・・・・・・たぶん、のろいが相当に進行しているんじゃないか?・・・でなけりゃ、あの桂花がこんなことしてくるとは、到底思えないよ」

 

 いやまあ、確かにそうなんですけど。・・・一刀の口から改めて言われると、なんか、すごく悲しい。

 

 ・・・一刀が好き。

 

 そこに関しては事実なわけだから。

 

 「で?治るの?これ」

 

 「・・・・・・・・・まあ、一応。方法は、あるけど」

 

 あるの?!よかった~。こんな状態で好きって言えたって、甘えることが出来たって、何も意味がないもの!

 

 「・・・けど、な。その方法ってのが・・・その」

 

 「・・・何?」

 

 「・・・一刀さんに、ですね。その、”してもらう”こと、です。・・・はい」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・は?

 

 

 してもらう。

 

 つまり、”あれ”ですか?

 

 ”おらおら”ですかあー!?(意味不)

 

 「・・・・・・・じゃ、一刀、頑張ってね」

 

 「わ、私もこれで失礼しますね?!」

 

 「ちょ!?二人とも!!」

 

 取り残される一刀と、いまだに彼にしがみついてごろごろ言ってる私。

 

 「・・・・・・・・・・参ったな。・・・しょうがない。よっと」

 

 「にゃん♪」

 

 お姫様抱っこされました。嬉♪・・・・・・じゃなくて!

 

 「・・・・・・ほんとは、あんまり気が進まないけど、仕方ないよな」

 

 ・・・気が進まない?・・・そっか。・・・そうなんだ。・・・私なんか、抱きたくないんだ。・・・ぐすっ。

 

 彼の腕の中、表面上は、のろいによって甘えている私だけれども、その心のうちは地獄の底みたいな状態だった。

 

 仕方なく。

 

 理由も無しには、私なんて、愛したくない。それが、彼の本音なんだ。・・・そっか。

 

 でもって、そのまま彼の部屋に連れて行かれました。寝台の上に組み敷かれる私。口付けを交わした後、彼がぽつりと言いました。

 

 「・・・ごめんな、桂花。弱みに付け込んで、君に、その、こんなことをしちゃって。・・・あとで、たっぷりなじってくれていいから、ちょっとだけ、我慢してくれな」

 

 ・・・・・・・・・ああ、そうか。

 

 正気じゃない今の私に、これからすることへの罪悪感。それを、一刀は感じているんだ。だから、仕方なく、と。そんな言葉が出たんだ。

 

 ・・・・・・やっぱり、優しいな。一刀は。うん、いい男だわ。さすが私の見込んだ、たった一人の男性。

 

 で。

 

 しっかり、たっぷり、これでもかってくらい、一刀は私を愛してくれました。そのおかげで、猫本尊ののろいも、無事に解けました。

 

 そんでその翌日。

 

 

 

 「こら~!そこのど変態!昨日はよくも、これ幸いにと人を好き勝手してくれたわね~!!」

 

 「だ~か~ら~!!それは桂花ののろいを解くために・・・!!」

 

 「それはそれ、これはこれ!・・・か、感謝は一応、とりあえず、してるけど!このままただで済むと思ってんじゃないでしょうね!?」

 

 

 相も変わらず。でもって、昨日彼が言っていたとおり、毒舌を思い切りぶつける私。けど、

 

 「だから、その。・・・わ、悪いと思ってるなら、今日一日!私の下僕になんなさい!掃除洗濯買い物その他諸々!ぜんっぶ!!従ってもらうからね!わかった!?」

 

 「・・・・・・・ああ。そのくらいなら、喜んで」

 

 「///・・・・・・な、何でそんな、嬉しそうに言うのよ?」

 

 理不尽に罰を与えようとしてんのよ?ちょっとぐらい怒ったって。

 

 「ん?・・・・・・さ、何でだろうな?」

 

 「あ、あんたねえ!」

 

 「ほらほら、最初は何をすればいいんだ?何でも言ってくれよ。何でもするからさ?」

 

 ・・・・・・・・私の負け。

 

 そんな笑顔を向けるの、反則です///も、なにも言い返せないわよ、ほんとに。

 

 「じゃ、じゃあ、まずは部屋の掃除からしてもらおうかしら?それから、荷物持ちもしてもらって、それからえっと・・・」

 

 にこにこと、微笑む彼に背を向けて、私はその日一日、あれやこれやと指示を出しつつ、彼を独占し続けました。

 

 

 ・・・とりあえず、後で猫本尊を探し出して、お供えをしておこう。

 

 

 ・・・・・・・素敵な一日を、ありがとうございました、って。

 

 

 ~おわり~


 
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