No.206153

真・恋姫夢想 ~とある桂花のデレ日記~ 五の記

狭乃 狼さん

日記シリーズ五つ目~w

ほんと、桂花のデレネタは、考えてて楽しいわwww

ということで、

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2011-03-12 16:23:22 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:25395   閲覧ユーザー数:20060

                        

 

 

 

 

 

                         「とある桂花のデレ日記~五の記~」

 

 

 

 

 

 

 

 「ふう。・・・日記帳もこれで五冊目、か。・・・習慣って、一度つくとなかなか抜けないわね」

 

 引き出しの鍵付隠し箱からそれを取り出し、私は一人そうつぶやく。

 

 普段は決して表に出せないこの感情を。この気持ちを。彼に対する想いを。

 

 私こと、荀文若、真名を桂花は、まるでそれらを封じ込めるかのように、そこにつらつらと書き綴っていく。

 

 三国一の女たらし。

 

 魏の種馬。

 

 呉の孕ませ王。

 

 蜀のち○こ太守。

 

 そんな二つ名ばかりが世に浸透している、三国同盟の象徴にして、今私が居している、大陸の新たな都の主。

 

 

 天の御遣い、北郷一刀。

 

 

 私と彼の最初の出会いは、まだ三国同盟が成立するはるか前。

 

 私がまだ、敬愛する華琳さまこと、曹孟徳さまの軍師になる前。一食糧管理官でしかなかった私のところに、華琳さまに拾われて間もなかった彼が、報告書を取りに来た時だった。

 

 一目惚れ。

 

 そんなものがこの世にあるのだと、心底痛感した瞬間だった。けれど、私の口から出ていたのは、彼に対する、これでもかというくらいの悪口雑言だった。

 

 何でそんなことを口走ったのか、そのときはまだ分からなかった。ただ、彼を見てると、彼の声を聞いていると、無性に恥ずかしくなる自分がいた。

 

 

 そして、それが今の関係を形作ってしまった。そう言っていいと思う。

 

 それからというもの、彼と顔を合わすたびに、私は思いつく限りの罵声を、彼に浴びせ続けてきた。時には手どころか足まで出る始末。

 

 だから、こんな評価が定着してしまった。

 

 荀文若は、北郷一刀を、この世でもっとも嫌っている、と。

 

 「・・・・・・自業自得、ね。・・・・・・さて、と。今日の日記を付けようかな。えっと、今日は・・・・・・」

 

 さらさらと。

 

 日記帳に筆を走らせ始める。

 

 自分の苦悩と幸せを、そこに封印するかのように。

 

 荀文若の、北郷一刀に対する、真実の想いを・・・・・。

 

 

 某月▽日。

 

 この日の私は、超が上に何十個とつくくらいご機嫌だった。

 

 それは昨日の夜。華琳さまの閨に、私は呼ばれた。

 

 ただ。

 

 そこに”彼”も同席していた。・・・というより、後ろ手に縛られて、目隠しをされた状態で、床に転がされていたんだけど。

 

 私と華琳さまの愛の営みを、彼はその状態でずっと聞かされていたわけである。

 

 で、ことが済んだ後。

 

 彼の戒めを、華琳さまが解かれた。

 

 ・・・・・・・・・・・・・も、凄かった。

 

 野獣だったわね、あれは。

 

 結局、精魂尽き果てるまで、彼は私と華琳さまを求め続けた。

 

 私も久々で嬉しくて、ついつい調子に乗って、けど表面上はいやいやながらを装いつつも、彼の求めに答え続けた。で、その結果。

 

 ・・・翌朝には、完全に干からびてる彼がそこにいた。

 

 華琳さまも、

 

 「・・・ちょっとやりすぎたかしら?」

 

 といっておられたけど、まあ、彼のことだし、多分大丈夫だろう、と。彼を放ったまま、私と華琳さまは、朝議に出向いた。

 

 

 なお、彼は次の日にはもう、すっかり元気になって、三羽烏といちゃいちゃしてた。

 

 ・・・・・・・・今度はもっと搾り取ってやろう。うん。

 

 

 ◎月○日。

 

 呉からの使者として、甘寧こと思春が魏の屋敷を訪れた。

 

 そのこと自体は別に何でもない。

 

 私にとって重大なことは、この娘も、彼に惚れている様だという事。

 

 彼女もまた、外面的には、普段から彼につらく当たっているのだが、その彼女が、この時たまたま魏の屋敷を訪れていた、彼に向ける視線を見たとき、私ははた、と気づいた。

 

 この娘も、私と同種だと。

 

 一見、彼を毛嫌いしながらも、その内では、心底から彼を好いている、と。

 

 

 同病相憐れむ、という。

 

 あっという間に意気投合した私たち。

 

 

 その日の夜。

 

 普段は決して口にできない、彼に対する赤裸々な想いを、二人で一晩中語り明かした。そして、

 

 「どっちが先に、彼の子を授かるか」

 

 なんていう、勝負まで約束してしまった。

 

 

 「・・・・・・・・勝てるといいなあ・・・・・・」

 

 彼の子供を抱いて勝ち誇る自分を妄想し、ぽや~っとする私だったりした。

 

 

 

 @月◇日

 

 今日は三国会談の日だった。

 

 

 けれど、その席に彼の姿は無かった。

 

 どうやら風邪を引いたらしく、今日は朝から臥せっているとのこと。

 

 彼抜きで進められていく会議。

 

 けれど、私は心中穏やかではなった。

 

 表面上はいつもどおりにしながらも、考えているのは彼のことばかり。

 

 熱はどれくらいあるのだろう、とか。

 

 薬はちゃんと飲んでいるのだろうか、とか。

 

 食事はちゃんと摂れているのだろうか、とか。

 

 うなされて、苦しんではいないだろうか、とか。

 

 会議の内容なんてまったく頭に入ってこない。

 

 だからといって、そわそわとなんか出来ないし、まさか会議を抜け出すわけにもいかない。

 

 そうして悶々とする内に、ようやく会議が終了。

 

 そして、その日の夜。

 

 皆が寝静まったころを見計らって、私はこっそりと、彼の部屋に行った。真っ暗な部屋の中、聞こえてくる彼の、静かな寝息。そっとその傍に近づき、その額に手をやる。・・・・・・熱は下がってるようだった。

 

 「・・・・・・・・子供みたいね、一刀の寝顔は」

 

 ぽつりと。素直に思ったことを呟いた。

 

 「う・・・・う~ん・・・けい・・・ふぁ」

 

 「!?」

 

 おきたのかと思った。けど、寝返りをうっただけで、すぐにまた寝息を立て始めた。

 

 「・・・びっくりした。・・・いま、私の名前を呼んだわよね?・・・どんな夢を見てるんだろ」

 

 多分ろくな夢じゃないと思う。普段が普段なわけだし。で、静かに聞き耳を立てていると、彼がまた、寝言を言った。

 

 「・・・桂・・・花・・・。愛してる・・・」

 

 ボッ///!!

 

 それを聴いた瞬間、なぜか部屋を飛び出していた。

 

 ・・・いま、なんて言った?

 

 夢でも。

 

 うわごとでも。

 

 私を、あ、愛してるって・・・・・・・?

 

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・あは」

 

 顔が自然と緩んだ。

 

 ・・・今夜は、いい夢を見れそう。

 

 「・・・・・・・・お休み、一刀」

 

 

 「・・・・っと」

 

 ふう、と。

 

 一息ついて、私は筆を置く。

 

 「・・・・・・面と向かって、愛してるなんて言われたら、まず間違いなく、手が出ちゃんだろうなー。・・・はあ。わたしって、ほんと、なんて天邪鬼なんだろ」

 

 天邪鬼。

 

 自分の気持ちに、正直になれない者という意味の、天の国の言葉だと。

 

 彼からそう教わったとき、これほど自分に当てはまる言葉は無いな、と。

 

 私はつくづく、そう思った。

 

 「その上意地っ張りときたものだもの。・・・・・・当分、素直になんかなれっこないかな」

 

 ごろん、と。

 

 日記を再びしまい直した後、私は寝台に仰向けになり、じっと天井を見つめる。

 

 「・・・・・・・華琳様には、素直にいえるんだけどな・・・。な~んで、あいつを目の前にすると、言えなくなっちゃうのやら」

 

 

 自分でも不思議なもので。

 

 自分で自分のことが、まったく理解できない。

 

 

 「・・・さて、と。あいつも、明日には復帰できるでしょうし、私も今日は寝ておこうかな。・・・・・・皮肉たっぷりの激励言葉でも、何か考えておこう。・・・ふふ」

 

 北郷一刀。

 

 この世で唯一、私を惚れさせた男。

 

 これからも、彼の傍にいられますように。

 

 そして願わくば。

 

 いつか素直に、面と向かって言えますように。

 

 そう。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「貴方を、愛してる」

 

 

 

 

 

 その、たった一言を。

 

 

 

 

 

 

 ~えんど~


 
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