無題
長かった冬も終わり、季節は春に移ろうとしている。
博麗霊夢が彼女に出会ったのは、そんなある夜のことだった。
真夜中の博麗神社、霊夢は本坪鈴の鳴る音で目が覚めた。
こんな時間に参拝客だろうか。
とはいえ妖怪が神様にお祈りをするとは思えないし、どんなに悪戯が好きな妖精だってもう眠っているに違いない。
不本意ながら、ただでさえ人の寄り付かない神社である。
夜遅くにわざわざ参拝に出向いてくる人がいるとも思えなかった。
急用があるのなら直接声を掛ければいいだけである。
それに、もしそこまで信心深い人がいるのなら昼間にも来てほしいものだ、とぼんやり考えながら境内に出る。
すると賽銭箱の前に一人の少女が佇んでいた。
本殿に出ると、少女はこちらに気付いたらしい。
顔を上げて驚いた表情を見せる。
人が住んでいた、ということが意外だったようだ。
夜分遅くにごめんなさい、と少女は言う。
「別にいいのよ、気にしないで」
そう言葉を返し、改めて少女を観察する。
里では見掛けない出で立ち、恐らくは外来人なのだろう。
※改行は調整済み、画像は表紙と裏表紙
表紙絵を描いてもらう暇がなかったのでこんな感じに
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