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IS<インフィニット・ストラトス> ~あの鳥のように…~第一話

やっと原作開始か…。

2011-03-07 19:59:01 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:5802   閲覧ユーザー数:5261

桜舞う春の空。暖かな風は花も甘い香りを運び学園の桜の樹を揺らす。

 

「ん~~♪」

 

今日の気分は気分は絶好調。この良い天気と暖かな気温は空を飛ぶのにもってこいのコンディションだろう。私は屋上で空を眺めてそんな事を考える。しかし何故だろう。何か忘れている様な気がする…。

 

「………ん」

 

ん、まぁいい…。

 

忘れると言う事はきっとどうでも良い事なのだろう。私は引っ掛かる事を記憶の奥の方に仕舞い込んで空を眺める事に集中する。本当にいい天気だ。千冬や真耶にイカロスを使っては駄目と言われているから使わないが、本当なら今直ぐにでも飛んでいきたい気分だ。でも、飛んだら千冬が怒るからやめておく。千冬は怒ると叩くから苦手だ。

 

「むぅ…」

 

早く飛びたい。真耶が言うにはもう少し我慢したら好きなだけ飛んで良いよと言っていたが、何時まで我慢すればいいのだろう?

 

「ん~~…」

 

もう少し我慢する。今はこのぽかぽかで暖かな日差しの中で空を眺めて、お昼寝でもしよう。

 

「すぅ…」

 

そうして、私は今日もいつも通りお日様に見守られながら眠りについた…。

 

クリス…。

 

優しい母に包まれて眠る夢を見ながら…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第一話「白き少女」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――Side 織斑 一夏

 

 

 

 

 

「全員揃ってますねー。それじゃあSHRを始めますよー」

 

にっこりと笑顔で微笑み黒板の前でそう告げるのは俺のクラス副担任である山田真耶先生。身長は低めで外見も生徒に混じっても違和感ない程だというのにこれで先生だと言うのだから世の中分からないものだ。

 

しかも着ている服も少し大き目でサイズが合って無く。なんだかその姿は背伸びをする子供を連想させる。本人に言ったら怒りそうだが…。

 

これもこの学園だからこそ、なのか?な訳無いか。

 

入学式で他の教員を見たが別にそう言う訳でもなかったし。まぁ、それでも他の学校と比べれば若い先生も多くて皆女性教員だったけど。

 

「それでは皆さん。一年間よろしくお願いします」

 

『…………』

 

し~ん…

 

柔らかな笑顔での挨拶。本来なら見惚れても良い程のその笑顔もこの教室を包む変な緊張感の中では何の意味もなさない。誰一人山田先生の挨拶に無反応なのだ。まぁ、その変な緊張感というのは多分、自分が原因だろう。絶対。だってこの教室に入った時からずっと背中に視線が突き刺さって痛いんだもん…。

 

「じゃ、じゃあ自己紹介をお願いします。えっと、出席番号順で…」

 

ああ、可哀そうな山田先生。まさか無反応だなんて思わなかっただろうに…。

 

でもスイマセン。反応してあげたいんですけど突き刺さる視線で金縛り状態なんです。動かないんです。むしろ俺を助けて下さい。何故?何故って、お前…。

 

俺以外のクラスメイトが全員女子だからだ!

 

そう、此処は女性にしか動かす事が出来ない兵器。IS(インフィニット・ストラトス)の操縦者を育成するための学校。つまり、女性しか入学出来ない訳である。本来なら…。

 

突き刺さる視線の理由は当然クラスにぽつんと男子が一人だけ居るから。しかも目立つ『真ん中の前から二列目の席』。そりゃ目に入るし気にならない訳が無いし視線も集まる。しかもこの学園に来る前に、ニュースで大々的に世界に自分の存在を放送されたのだからちょっとした有名人だ。自分は望んでなんていないし有名になっても嬉しくもないが。何故なら現在の様に見世物状態になるのだから…。

 

何でこんな事になったんだっけ…。

 

思い起こせば今年の2月。俺、織斑一夏が試験会場を間違ってISを起動させてしまったのが原因だ。女性にしか動かせない筈が何故か男の俺が動かしてしまって俺の意思に関係無く強制的に入学させられてしまったのだ。まぁ、ぶっちゃけると誰が悪いか問われれば会場間違えた自分が悪いですすいませんでした。って話になる訳だが…。

 

弾ならハーレム最高!とか言って喜ぶんだろうけどなぁ。

 

実際に男一人で女に囲まれるという体験している身から言わせてもらえれば、男子校行きたいです。マジで…。

 

ちらり

 

「………」

 

救いを求めて窓側の席に視線を向けるのだが、その視線の先に座っていた無慈悲な幼馴染 篠ノ之 箒は視線を送っても顔を逸らすだけ。箒さんや、それが6年ぶりに再会した幼馴染に対する態度でしょうか?もしかして俺嫌われてる?俺何かした?なんにも記憶にないのですが…。

 

「……くん。織斑 一夏くん!」

 

「は、はいっ!?」

 

目の前から聞こえる自分の名を呼ぶ大きな声によって逃避していた魂を現実へと引き戻され、はっとして裏返った声で返事をしてしまう。

 

「あっあの、大声出しちゃってごめんなさい。お、怒ってる?怒ってるかな?ゴメンね、ゴメンね!自己紹介、『あ』から始まってい今『お』の織斑くんなんだよね。だからね、ゴメンね?自己紹介してくれるかな?だ、駄目かな?」

 

掛けているメガネがずり落ちそうになる程ペコペコと頭を下げる山田先生。何て言うか、その、先生としての威厳が全く無い…。生徒にそんなに頭を下げるのはまずいんじゃないだろうか?それに今日は入学初日であって生徒に舐められる様な事はしない方が…。

 

「いや、あの、そんなに謝らなくても…っていうか、自己紹介しますから、先生も落ち着いてください」

 

「ほ、本当ですか?本当ですね?や、約束ですよ?絶対ですよ!」

 

がばっと顔をあげて、俺の手を取り熱心にそう聞いて来る山田先生。

 

いや、そんな熱心に言わなくても…。ていうか皆自己紹介してるのに俺だけやらないって言うのは不味いでしょ。雰囲気悪くなるし。てか近い、近いって!

 

何にしても、自己紹介は入学初日のイベントみたいなものだからやるしかないだろう。やると言ってしまったしやってやろうではないか。何事もはじめが肝心だ。最初の印象が交友関係を大きく左右させる。

 

さてと、何と喋るべきか…ん?

 

自己紹介を始めようと席を立ったは良いものの。俺の意識は自分の前の席に集中する。

 

空席…?

 

そう、空席である。入学初日に。別に珍しいと言う訳ではないだろう。風邪かもしれないし家の都合かもしない。でも、俺は前の空席が妙に気になった。さっきまで現実逃避して気付かなかったくせにとは言わないで貰いたい。色々と一杯一杯なのだ俺も。

 

「あの…」

 

気になったので山田先生に聞いてみる事にする。副担なんだしこの空席の生徒の事も知ってるだろう。

 

「はい?何ですか?」

 

「いや、どうでも良い事なんですけど。前の席の人はどうしたんです?」

 

「え?ミコトちゃ…こほん。オリヴィアさんですか?さ、さぁ、どうしたんでしょう?入学式にも居なかったですし…あわわ!もしかして事故に遭ったんでしょうか!?」

 

いや、俺に聞かれても…。

 

大丈夫なのかこの先生は?涙目でうろたえている山田先生にそう思わずにはいられなかった。とりあえず分かった事は前の生徒の名前はオリヴィアさんって事と、先生も理由が知らないって事だ。

 

まあ、知らないならしかたないし。ただ単に気まぐれで気になっただけでそこまでして知る事でもないから良いか。

 

「山田君。オリヴィアは学園で暮らしてるのだから事故に遭う訳無いだろう」

 

…え?

 

沈黙の教室に凛として聞きなれた声が響いた途端、教室中がざわめき出す。だが、俺はそんなざわめきなど耳に入って来ない程に混乱していた。何故なら、突然現れて俺の目の前に立っていたのは…。

 

「あ、織斑先生。会議は終わられたんですか?」

 

「ああ、山田君。クラスの挨拶を押し付けてすまなかった」

 

世界で唯一人の家族で姉である織斑 千冬だったのだから…。

 

職業不詳で家にろくに帰ってこないで危ない仕事でもやってるんじゃないかと思ってたらまさかIS学園で教師をしてただなんて…。

 

「そ、そんなことより大変なんですよ織斑先生!オリヴィアさんが!」

 

「どうせまた自由気ままに散歩でもしているんだろう。入試の時だって…」

 

「あの時は心配しましたよ~!試験会場に来ていないって連絡を聞いた時は授業ほっぽりだして飛び出しちゃいましたもん!」

 

おい教師!

 

「まぁ、結局は学園の屋上でぼーっと空を眺めてただけというオチだったがな」

 

そいつも随分とフリーダムですね!?

 

今の会話を聞いていると随分とアレな奴だと言うのが分かる。て言うか良く合格できたな。フリーパスで此処に来ている俺が言うのも何だが。

 

「まぁ、アイツの事はどうでも良い。どうせふらっと此処に来るだろう」

 

良いのか。それにしても珍しい。あの厳しい千冬姉が規則違反を許すなんて…。

 

一体どんな人物なのだろう?千冬姉がそんな自由気ままな行動を許すなんて束さん位しか思い浮かばない。まぁあの人は色んな意味で規格外なので参考にすらならないけど。それに千冬姉も許していると言うより諦めていると言った方が正しい。

 

「諸君、私が織斑千冬だ。君達新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。出来ない者には出来るまで指導してやる。逆らっても良いが私の言う事は聞け。良いな」

 

何と言う暴君。流石は千冬姉だ…。

 

無茶苦茶な暴力発言に批判の声が上がるかと俺は思った。しかし、教室にはそんな声はまったく無く、それどころか喜びに満ちた黄色い声が響いた。

 

「キャーーーー!千冬様、本物の千冬様よ!」

 

「ずっとファンでした!」

 

「お姉様に憧れてこの学園に来たんです!」

 

お姉様って…いや、何も言うまい。

 

元々此処は女子高みたいなもんだし、そう言う物なんだろう。そうに違いない。そう自分に言い聞かせる。

 

「あの千冬様にご指導していただけるなんて嬉しいです!」

 

「私、お姉様のためなら死ねます!」

 

有名なんだなぁ千冬姉は。でも最後の人は落ち着こうな。

 

きゃーきゃー騒ぐ女子生徒達。まるで人気アイドルを前にして騒ぐファン達の様だ。たぶん間違ってはいないのだろうが騒がれている千冬姉本人はかなりうっとうしそうにしている。

 

「毎年、よくこれだけ馬鹿者が集まるものだ。感心させられる。それとも私のクラスだけ集中させているのか?」

 

頭を押さえて本当にうっとうしそうに溜息を吐く千冬姉。毎年これなら気持ちは分からなくもないが、しかし愛想良くしても罰は…。

 

「きゃあああっ!お姉様!もっと叱って!罵って!」

 

「でも時には優しくして!」

 

「そしてつけあがらないように躾して~!」

 

前言撤回。今のままで宜しいかと存じます。むしろ毎年良く我慢できるね。流石、千冬姉である。

 

「やれやれ…まぁいい。織斑続けろ」

 

「え?…あっ、ああ!」

 

自己紹介ね。忘れてたよ。場の空気に流されて…。

 

濁流だったけども。

 

「えっと………織斑一夏です。よろしくお願いします」

 

名乗り終えると、頭を下げそして上げる。はい終了これで終わり!と言うつもりで頭を上げたのだが…目の前の女子生徒達は『もっと色々喋ってよ』的な視線を送って来る。そして『これで終わりじゃないよね』と言う場の空気。すいません終わりです。別に話す事なんて特にありませんし自慢する程の趣味や特技もありません…。

 

『………』

 

し~~~~ん…

 

…えーと。

 

どうする?どうするよこの空気。頼む助けてくれ幼馴染!と視線を箒に向けるがやはり逸らされる。薄情者め…。

 

い、いかん。このままじゃ『暗い奴』のレッテルを貼られてしまう。

 

考えろ。考えろ俺。まだ何か方法がある筈だ。俺は脳をフル稼働し思考を巡らせ、そして…。

 

「以上!」

 

大きな声で堂々と自己紹介の終了を告げる。それを聞いた途端、一斉にずっこける女子生徒達。彼女達は一体俺に何を期待していたのだろうか…。

 

パァンッ!

 

「いっ―――!?」

 

無駄にでかい音と共に後頭部に衝撃と激痛。後ろを振り向けば千冬姉が出席簿を片手に俺の真後ろに立っていた。あの出席簿で叩いたのかそりゃ痛い訳だ。

 

「挨拶も満足に出来んのかお前は」

 

「いや千冬姉…俺は…」

 

「学校では織斑先生と呼べ」

 

パァンッ!

 

よ、容赦ねぇ…。

 

二度目の衝撃に「うおおおお…」と呻き声を上げながら頭を抱えて縮こまる。

 

「え?織斑くんって、あの千冬様の弟…?」

 

「それじゃあ、世界で唯一ISが使えるのも、それが関係して…」

 

しまった。今のやり取りで俺と千冬姉が姉弟だと言う事がクラスの皆にばれてしまったようだ。まぁ、遅かれ早かればれる事だから問題無いだろう。

 

「無駄な事に時間を使ってしまったな。では次の生徒自己紹介を……まったく、漸く来たか。馬鹿者め」

 

え?誰がだ?

 

俺の自己紹介が終えて次の生徒の番に移ろうとした時、突然千冬姉が妙な事を言いだした。漸く来たか。確かに千冬姉はそう言った。しかし、教室には誰もやって来てはいない。俺を含めて千冬姉を除く教室の全員が困惑するが千冬姉本人はそんな俺達の事を気にもしないでその『誰か』が来るのを待つ。

 

ガラッ

 

ホントに来た!?

 

すると、驚くべき事に千冬姉の言う通り黒板側のドアが開いて前の空白の席の主であろう生徒が入って来たのだ。しかし本当に驚くべき事はそれでは無かった。その生徒が入ってきた途端。再び教室中がざわめき出し、誰もが自分の目を疑った。俺も、今まで我関せずだった箒も目の前にある光景に言葉を失う。何故なら…。

 

「遅刻だ。何をしていた馬鹿者」

 

「空…みてた」

 

教室に入ってきた千冬姉と並ぶ白い少女は背や髪、肌の色は異なるものの、千冬姉と瓜二つだったのだから…。

 

「え?千冬様の妹?」

 

「そっくり…」

 

「でもオリヴィアって名字だよね?」

 

そんな訳が無い。俺に妹なんていないし俺は彼女を知らない。全くの初対面だ。

 

え?ど、どう言う事だよ!?

 

他の生徒達は千冬姉の小さい頃を知らないから似てる程度にしか思わないだろうが俺は千冬姉が小さい頃から知ってるから分かる。そっくりとかそう言うレベルでは無い。同じなのだ。まったく。千冬姉の黒とそっくりさんの白でまるでコントラストを見ている気分だ…。

 

パァンッ!

 

千冬姉にそっくりな少女に千冬姉は俺と同様に容赦無く出席簿を少女の頭に叩き込む。

 

「あぅ…」

 

頭の痛みに叩かれた所を両手で押さえる白い少女。先程俺も叩かれたから分かる。あれ、痛いよね。

 

「馬鹿者が。いい加減自由放漫な態度は直せと言っているだろう。…まぁ良い。自己紹介をしろオリヴィア」

 

「…ん」

 

若干恨めしげに視線を送りながら頷くオリヴィアと呼ばれた少女。そして千冬姉の指示通りに戸惑う俺達を前に自己紹介を始める。

 

「…ミコト・オリヴィア」

 

『………』

 

し~~~~ん…

 

あれ?デジャヴ?

 

静まり返る教室にそして名前を言った後、黙りこむオリヴィアさん。この光景さっきにもあった様な気がするのは気のせいでは無いだろう。だって当事者は俺な訳だし。

 

「(え?それだけ?)」

 

「(他にも言うべき事あるよね!?)」

 

「(千冬姉様の関係とかほら!)」

 

何やら期待やら好奇心に満ちた視線を送る生徒達だが、その視線を向けられる当のオリヴィアさんはまったく気にしていないというより気付いていない様子。たぶんこのまま放置すれば自己紹介は終わるだろう。俺みたいに。

 

「あ、あの~、オリヴィアさん?他にも色々ありますよね?昨日練習したよね?ね!?」

 

「?」

 

何故か山田先生が必死になって訊ねるがオリヴィアさんは唯首を傾げるだけ。しかし昨日練習したと言うのはどう言う事だろう。山田先生とオリヴィアさんは私生活でも親しい間柄なのか?

 

「す、好きな物とか苦手な物とか~!」

 

涙目でそう訴える山田先生。何て言うか見てるこっちが辛くなって来る。生徒を不安にさせる教師ってどうなんだろう?

 

『(だから何故先生がそんなに必死になってるんですか…)』

 

恐らく、慌てふためく山田先生を見て教室に居る生徒全員がそう思っただろう。

 

「…好きな物は空と鳥。嫌いな物は暗いところ。狭いところ」

 

後半のやつは物じゃなくて場所だな。

 

「あと、専用機持ち…」

 

専用機と聞いてざわっと教室中がざわめく。

 

ん?専用機?

 

専用機と言う単語は俺には良く分からないのだが、周りの生徒の反応から察するに随分と凄い事のようだ。良く分からんが…。

 

「…おわり」

 

パァンッ!

 

「あぅ…」

 

「織斑と言いお前と言い…もう少しマシな挨拶があるだろう」

 

「…苦手な物は千冬」

 

パァンッ!

 

「あぅ…」

 

「織斑先生と呼べ。馬鹿者」

 

容赦ねぇ…。

 

しかし今の会話で千冬姉もオリヴィアさんと知り合いだと言う事が分かった。オリヴィアさんが千冬姉に似ているのはやっぱりそれと関係しているのだろうか?

 

ま、まさか!?顔も知らぬ親の隠し子!?

 

可能性は0じゃない。寧ろその可能性がかなり高―――。

 

パァンッ!

 

「な訳あるか」

 

何故俺の考えた事が分かるんだ…。

 

と、そこんな事をしている間にチャイムが鳴る。

 

「さぁ、SHRは終わりだ。諸君らにはこれからISの基礎知識を半月で覚えて貰う。その後実習だが、基本動作は半月で体に染み込ませろ。いいか、良いなら返事をしろ。良く無くとも返事をしろ。私の言葉には返事をしろ」

 

選択肢が無いじゃないか…。

 

何と言う鬼教官。千冬姉が厳しいのは承知しているがこれは俺が知っている家に居る千冬姉の比じゃない。実はこの人、千冬姉に変装した別人では無いだろうか。そっくりさんが目の前に居る訳だしもう一人くらいそっくりさんが居てももう俺は驚かないぞたぶん…。

 

それにしても…サプライズ満載な入学初日だ。女子生徒だけの教室に実の姉が担任で、しかもその姉のそっくりさんまでいると言う。俺はこんなんでこの先やっていけるのだろうか?不安である。

 

「何時まで呆けている。馬鹿者」

 

パァンッ!

 

…本当に、不安である。

 

「…ジィ~」

 

「な、何だよ?」

 

自分の席にやってきたオリヴィアは、そのまま席に座るかと思いきや何故かじっと俺の方を見つめて来ては一向に座る気配が無い。

 

「…同じ?…違う…少し違う」

 

「は?何を言って…」

 

突然、意味深な言葉を言い出すオリヴィアに俺はどう言う意味か気になり、訊ねようとしたのだが、それは千冬姉の出席簿により阻まれてしまう。

 

パァンッ!

 

「あぅ…」

 

「早く席に着け」

 

叱られて素直に席に座るオリヴィア。しかし俺は今の言葉がどうしても気になってしまう。『…同じ?…違う…少し違う』あの言葉はどう言う意味なのだろう?同じとは何だ?何を指しているんだ?それに、彼女の纏う雰囲気。どうしても俺は彼女と他人の様な気がしなかった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

祝!原作開始!

 

てか主人公なのに登場シーン短いなおい!?


 
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