No.205419

真・恋姫†無双 ー紅白の天ー 第13話

黒山羊さん

本編再開です。
拠点書くのに疲れたので、当分なしという方針で、一刀は普通にしていてもフラグ建てるし、ジェネシスの基本方針は本編中にフラグを建てる方針だったので、今度の拠点はこの反董卓連合編の後となります。

第1話
http://www.tinami.com/view/201495

2011-03-07 00:04:16 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:2753   閲覧ユーザー数:2374

この物語は真・恋姫†無双という外史に、

CRISIS CORE FINAL FANTASYⅦのジェネシス・ラプソードスが来たいう設定です。

作者である私、黒山羊が原作を何度もやりなおし、(CCFF7:現在4周目のニブルヘイム・セフィロス戦前)

登場人物を原作通りにしたつもりです。

ですが、解釈が幾らでも可能であるように、登場人物が皆様のご期待にそえるかどうかはわかりません。

また、作者は関西人なので、気をつけているつもりですが、

セリフが関西弁臭くなってしまうかもしれません。

あらかじめご了承ください。

読者の皆様が楽しめたら幸いです

 

 

 

 

視点:一刀

 

間諜の知らせにより、5万の黄巾党が皇帝のいる洛陽を攻めようとしたが、長安の領主だった董卓の軍が討伐に乗り出したらしい。

洛陽の南門を呂布の軍3000が防衛し、洛陽を攻めてきた黄巾党を神速と謳われている張遼の軍と猛将華雄の軍1万が背後から叩いた。賊や農民出身で構成された黄巾党は錬度が低いため、挟み撃ちに耐え切れず、すぐに壊滅させられた。

しかし、この時、黄巾党の首謀者である張角は逃がしてしまったという。

その時の呂布の戦いぶりは凄まじかったらしく、3000で5万を相手にして城門を守り抜き、1人で3万人の黄巾党を倒したとのこと。

また、呂布の髪は深紅であり、深紅の牙門旗を持つことから、一部では呂布こそが紅の御遣いで武の御遣いだという声もある。

俺からすれば、ジェネシスさんも、呂布も十分化け物じみていた。2万も3万も対して変わらない。

 

また、張角が曹操に打ち取られたという情報も俺たちの元に飛び込んできた。

黄巾党の残党はまだ残っているものの黄巾党がこれ以上に大規模な拡大をすることは無くなったということだ。

俺たちの平原でも、最近黄巾党に襲撃されたという知らせがそんなに入ってこないというのは、張角が打ち取られたことにより、黄巾党が保てなくなったからであろう。

 

皇帝より、董卓は洛陽の防衛の任と洛陽を治めること任され、曹操は位が上がり、刺史から州牧へとジョブチェンジしたという。

 

そんなことが起こってから数カ月後…

 

俺は桃香といつも通り竹簡と格闘している。朱里と雛里も手伝ってくれる。愛紗と鈴々と星は調練。ジェネシスさんは数日前からどこかに行った。

愛紗の堪忍袋は膨れ上がり、緒が切れる寸前である。かろうじて、何とか桃香や俺で状態維持させている。

頼むから、ジェネシスさん仕事して!愛紗が怖いです。

 

一刀

「はあ……。」

 

??

「どうした?北郷?」

 

後ろを向くと、愛紗と仲が悪く、機嫌を悪くさせている原因のジェネシスさんが居た。

 

桃香

「ジェネシスさん、何処行ってたの?軍議は何時もだけど、晩御飯の時も居ないし心配したんだよ。」

 

ジェネシス

「ここ7,8日上空から平原全ての村の見回りをしていた。

西の国境沿いに賊が居たぞ。

賊は商人と手を組み、賊が他の商人から奪った塩を商人に売り、商人はその塩を高値で売っていたから、賊は討伐。商人は海に捨ててきた。今頃ニホンカイのど真ん中だ。大好きな塩まみれになっているだろう。」

 

一刀

「……。」

 

桃香

「………。」

 

朱里&雛里

「「…………。」」

 

みんな唖然としている。そりゃそうだ。俺が自分で行える警羅の範囲はこの町が限界である。それなのにこの人は7,8日でこの平原の全てを周ったというのだ。

それにしても、悪徳商人を日本海まで運んだって…、この人の言葉からして、飛んで運んだのだろう。この時期に海のど真ん中で捨てられたら、まず助からないな。寒いし、日本海だし、御愁傷様。

この人、仕事させずに好きなようにさせている方がいいのかもしれない。だが、それで愛紗が納得するかは分からないけど…

 

そして、俺は再び竹簡を向き合う。今見ている案件は「農協」についての案件だ。当然この知識は俺の世界から来ている。農協は村単位に存在する農民の集合体で、農協は国から農民への技術提供や農作物の販売経路の提供等重要な役割を果たしている。こういったことを1人1人行うことは難しい。そのため、このような集合体が必要になってくる。そのため、俺の世界での知識が必要だ。

ジェネシスさんの世界の知識はあまり役に立たなかった。ジェネシスさんの世界の制度は今は亡き神羅カンパニーに、産業や技術はこの世界にはないライフストリームに依存していたため、あまり役に立たないものだった。

それを考えると日本の教育ってすげーな。俺ビックリだわ。

 

ジェネシスさんは執務室の長椅子の上で横になり、右足を曲げて、昼寝を始めた。寝息が聞こえてくるが、決して五月蠅いモノではなく、作業用BGMになる五月蠅くない心地よい寝息だった。

 

桃香

「こうやってジェネシスさんの寝顔を見ると凄い穏やかで、ジェネシスさんがとっても強いなんて思えないね。」

 

一刀

「そうだな。すごい安心しているんだろうな。前の世界が壮絶だっただけに、」

 

朱里

「そうですね。」

 

雛里

「……。」

 

雛里はジェネシスさんが横になっている長椅子の空いているスペースに座り、ジェネシスさんの顔を見ている。

そして、右手を伸ばし、ジェネシスさんの髪を撫でる。

 

一刀&桃香&朱里

「「「雛里((ちゃん))?」」」

 

雛里

「あわわ……。」

 

桃香

「どうしたの?」

 

雛里

「兄弟で遊んでいる町の子たちを見て羨ましくて、お姉ちゃんやお兄ちゃんが欲しくて…。それで…。あう………」

 

雛里は帽子のつばを掴んで下げ、顔を隠そうとする。

 

一刀

「兄か姉が居たら、甘えたかったの?」

 

あ、固まった。肯定って意味だな。

 

桃香

「あぁ、でも何か分かる。ジェネシスさんって私達の中では最年長だし、何か頼りになるよね。」

 

朱里

「わかります。」

 

一刀

「確かに俺らの兄貴分って感じだよね。基本ジェネシスさんから俺たちに直接構ってくれないけど。」

 

桃香

「あはは。言えてる。」

 

突然、執務室の扉が開き、愛紗が入ってくる。

 

愛紗

「ご主人様!桃香様! 間諜の報告で一部の商人と賊が結託し、塩を売りに来た西からの商人を襲撃し、奪った塩を高値で売っているという報告が入ってきました。

塩は我が国では貴重です。このままでは民や我が財政に問題が生じます。至急対策を…。

それから…

って、ジェネシス殿!この非常時に何を寝ている!雛里どけ!」

 

堪忍袋の緒が切れた愛紗は怒鳴る。雛里はそんな愛紗が怖かったのか、半泣きになっている。

 

一刀

「愛紗。それなんだけど、さっき解決したよ。」

 

愛紗

「はい?」

 

 

 

 

 

さっきのジェネシスさんの話をした。

鬼の面のような顔をしていた愛紗は次第に、冷静になっていきいつもの顔になる。

 

愛紗

「そうだったのですか。ひどい誤解をしていたようだ。しかし!一声かければ良いものを、」

 

一刀

「それはそうだな。でも、愛紗も怒る前に相手の言い分聞かないと周り被害が出ているぞ。ほら。」

 

俺は雛里を指さす。愛紗は指さした方を見た。そこには、目から涙をポロポロ出して静かに泣いている雛里が居た。

愛紗は泣いている雛里を見て、慌てる。

 

雛里

「ヒック…ッエ……」

 

愛紗

「す…すまない。雛里。泣かないでくれ。先ほどは怒って悪かった。」

 

桃香

「ああ、愛紗ちゃんが雛里ちゃんを泣かした。」

 

雛里が泣きやむまで、愛紗は色々した。そして、雛里は落ち着く。

 

一刀

「塩の件以外に、もう1つ何かあるみたいだけど、何かな?」

 

愛紗

「えぇ、実は袁紹の使いが先ほど来まして、面会を申し出てきました。至急、桃香様とご主人様に玉座の間に来てもらいたいのですが、」

 

一刀

「分かった。袁紹がこの時期になんだろう?もしかして…」

 

桃香

「分かるの?ご主人様?」

 

一刀

「おそらく、でもあくまで推測だけど…」

 

黄巾党の乱の後に発生する袁紹関連の戦と言えば、反董卓連合!そして、袁紹との使者との面会で予感は的中した。

 

使者が持ってきた書簡には

 

『洛陽の防衛の任と洛陽の統治を皇帝より任せられていることを良いことに董卓は暴政を働いている。現に自分たちに反対する十常侍の半数が処刑され、独裁状態にあり、洛陽の民はこれまで以上の重税に苦しめられている。

そのため、我らは洛陽の民を救うべく、諸侯は一致団結し、董卓を打たなければならない。

連合に参加してくれる諸侯は1ヶ月の満月の日の午の刻に汜水関より西に40里の所で陣を張って待つゆえ、軍を率いて来られたし。』

 

と書かれていた。

 

使者はこれを俺たちに渡すと次の諸侯の所も行かなければならないので、と言ってその場を去った。

そして、面会後これについて軍議が行われた。

 

 

 

 

桃香

「許せない。天子様のいる洛陽でそんなことをするなんて許せないよ。この連合に参加して、洛陽から董卓さんを追いだそう!」

 

愛紗

「桃香様の言う通りです。洛陽の民たちに重税を課し暴政を働く董卓を力なき民に代わり討ち、洛陽の民たちを暴政から救いましょう。」

 

鈴々

「弱い者を虐める奴は鈴々がぶっ飛ばしてやるのだ!」

 

3人はこう言った。でも、俺は正直この内容を疑った。なぜなら、以前ジェネシスさんを襲った刺客は張譲の関係者の可能性が高く、その張譲の敵対勢力の董卓だったからだ。

次に、董卓が統治していた長安は善政が行われていたということ。

しかし、洛陽に行っていた間諜からあいかわらず荒んだ都だと報告がある。

それに、この書簡の内容は一方的である。

その十常侍と敵対する董卓が暴政を働くような人物なのかどうか全く持って不明だ。俺の世界の董卓は暴政の限りを尽くしたと言ったが、この世界の董卓は分からない。

それに、この書簡の意味はそれだけではないことを俺は察知した。

だから、俺は軍師の2人に聞いてみた。

 

一刀

「朱里と雛里はどう思う?」

 

朱里

「はい、判断に困る内容ですね。」

 

愛紗

「どうしてだ?董卓は暴君なのだぞ!民を救おうと思わないのか?」

 

「落ち着け、愛紗。今は最後まで軍師殿の話を聞こう。」

 

愛紗

「すまない。朱里」

 

朱里

「この書簡だけでは、董卓さんが暴君なのかどうかが分かりません。なぜなら、ジェネシスさんの一件があったからということ、間諜さんから昔治めていた長安には善政を行っていたこと、今の洛陽には暴政を行っているという報告、書簡の内容が一方的過ぎるかと…

それに袁紹さんの董卓さんに対する嫉妬心がこのような形になったのではないかと思います。」

 

雛里

「そうです。この書簡と今までの情報だけでは董卓さんの善悪の判断が困難です。書簡の内容が嘘と言うこともあり得るわけですから…」

 

一刀

「百聞は一見に如かずってことか。

百回同じ物事の説明を聞いても、それは実際に見たことより劣るって意味。」

 

桃香

「うーん。そこまで、深く考えないとダメなのかな?でも、実際に洛陽では暴政は行われているんだよね?だったら、董卓さんは悪者だよね。」

 

一刀

「洛陽で暴政を行われている事はそうだが、その暴君が董卓かどうかは分からない。董卓を誰かが操っている可能性だってあるわけだから、」

 

朱里

「ご主人様の言う通りです。」

 

「では、軍師殿はどうするべきかとお考えか?」

 

雛里

「私はこの連合に参加するべきかと思います。」

 

桃香

「ええ?董卓さんが悪者かどうかわからないんだよね?」

 

雛里

「はい。参加理由は2つ。

まず、1つ目は袁家の袁紹さんの影響力は絶大です。ここで、参加しなければ、連合軍に敵対する勢力として判断されかねません。

2つ目は、皇帝の権力が低下してきています。このような状況からすぐにでも立ち直ることのできないとやがて漢王朝は崩壊します。今の漢王朝に忠誠を誓っている人は少なく、有能な人も少ないです。漢王朝が崩壊すれば、当然乱世となります。今回の反董卓連合で有力な諸侯の力を見て、今後の指針にしていきたいと思います。

以上の事から私は連合に参加すべきと思います。」

 

一刀

「それに、俺たちが行けなくて、洛陽の人達が苦しんだままっていうのも気分悪いしね。自己満足の為にも。

だったら、自己満足の為にも、洛陽の民の為にも、国の方針の為にも連合に参加しようか。」

 

桃香

「でも、董卓さんが誰かに操られていて、悪者じゃなかったら、どうする?連合の主旨は董卓さんの討伐なんだよね?悪くない人を倒すっていうのはいやだな。」

 

一刀

「そうだな。連合の趣旨には反するけど、俺は董卓が悪者でなかった場合、助けたいな。だが、いずれにしても、暴君董卓には死んでもらうしかないな。」

 

愛紗

「董卓を助けるのに、董卓を殺すとはどういうことですか?」

 

一刀

「董卓が暴君だったら、そのまま死んでもらう。だけど、董卓が暴君じゃなかったら、助けて、代わりに暴政を働いていた人を暴君董卓に仕立て上げて連合の主旨に沿った事をしよう。」

 

「なるほど。その考え方ならば、真なる暴君に罰を受けてもらうということですな。」

 

桃香

「わかったよ。私もご主人様の意見に賛成。皆で本当に悪い人を退治して、弱い人を助けよ。」

 

愛紗

「私も賛成です。我が青龍偃月刀は邪悪なる強き者を討ち、弱き者を救うためにあるもの。洛陽に弱き者が居るのなら、その者達を救うために正義の刃振るいたい。」

 

鈴々

「鈴々も賛成なのだ。」

 

「主や桃香様がそこまでお考えて出した結論、異論はありません。」

 

朱里

「私もそれで良いかと思います。」

 

雛里

「……(コクコク)」

 

一刀

「よしこれd-。」

 

 

 

 

ジェネシス

「ところで、お前らは具体的にどうやって真なる董卓の善悪を見定め、善なる董卓をどうやって救うつもりだ?」

 

腕組みし、椅子にもたれかかり、椅子をギコギコ揺らしながら、ジェネシスさんはそう言う。

確かにそうだ。俺たちはおそらく連合の中でも最弱の分類。他の勢力よりも早く、董卓の善悪を見極め、善なる董卓を救うことは困難だ。

これでは、絵にかいた餅同然だ。

 

一刀

「確かに、誰よりも早く真なる董卓の善悪を判断し、救出するのは困難だな。朱里、董卓に関する情報は無い?」

 

朱里

「はわわ!残念ながら、董卓さんには素顔、容姿、年齢、性別等の情報が全くありません。そのため、誰が董卓さんなのか分かりません。」

 

一刀

「そうか。でも、連合軍の集合場所に行けば、なんかしらの情報は手に入るだろう。でも、洛陽に間諜は放ったままにしておこう。なんかしらの情報が入ってくるかも。」

 

朱里

「そうですね。洛陽に着いてからでは善なる董卓さんの救出は困難ですが、連合軍の集結時ぐらいなら、まだまだ董卓さんの善悪を判断し、善なる董卓さんを救えると思います。その時になんかしらの手を打ちましょう。」

 

桃香

「そうだね。目的も方法も決まったし、皆で連合軍参加に向けて頑張っちゃお。」

 

朱里

「兵糧の備蓄について考えていて今思い出して、言いにくいことなのですが、連合に参加したくとも、少しばかり難しいかもしれません。」

 

桃香

「え?どうして? もしかして、少ないの?」

 

朱里

「はい、仮に我が軍の1万の内、賊対処の為に3千をこの城に残して、連合に参加したとします。その場合、兵糧は2カ月分しかありません。」

 

桃香

「そんなあー。じゃあ、連合に参加できないの?」

 

桃香は不安そうに朱里に聞く。だが、朱里も良い案がないのか、無言になる。

俺はある事を思いついた。

 

一刀

「豚もおだてりゃ木に登る作戦で行くか。」

 

桃香

「どういう策?」

 

一刀

「袁紹をほめちぎれば、幾らか兵糧は貰えるだろう。袁紹頭足りてないし。」

 

桃香

「さっすがご主人様!良い策だね。」

 

鈴々

「袁紹は馬鹿だから、絶対にご飯くれるのだ。」

 

「確かにそうですな。」

 

雛里

「……(コクコク)」

 

朱里

「皆さんひどいですね。」

 

一刀

「でも、朱里もそう思うだろ?」

 

朱里

「はい……。」

 

愛紗

「ですが、他力本願でよろしいのでしょうか?我の勢力の弱さを露呈させてしまいます。それに、私個人の矜持には」

 

「では、愛紗は何か良い策はあるのか?」

 

愛紗

「それは……。」

 

一刀

「愛紗。気持ちは分かるけど、そうも言ってられないよ。乱世を生き抜き、弱者の暮らしのために戦うのならば、そこは我慢しないといけないよ。」

 

愛紗

「分かりました……。」

 

一刀

「他に何か問題はあるかな?」

 

シーーーン

 

一刀

「よしそれじゃ、皆に仕事振り分ける。」

 

皆に今からやることを伝える。

愛紗、鈴々、星には軍の編成を頼み、朱里には兵糧と錙重隊の手配。雛里には連合軍の集結場所までの移動計画等の作戦計画を練ってもらうことになった。ジェネシスさんは好きなように動いてもらい、俺と桃香は政務に戻ることになった。

 

一刀

「じゃ、解散!」

 

皆は席を立ち、それぞれの仕事をこなそうと玉座の間から出ていく。しかし、1人だけ席を立たず、頭を抱えている。愛紗だった。

俺と愛紗の2人きりになった。俺は愛紗の横に座り、愛紗の方を向き言う。

 

一刀

「愛紗。さっきも言ったけど、自分達の見栄と民の暮らしだったら、後者の方が大事だと言うのは分かるよね。」

 

愛紗

「……はい。分かってはいるのですが……。」

 

一刀

「大丈夫。俺は愛紗が誇り高い事を知っている。だから、今回は我慢してくれ。

ごめんな。俺がもう少し頑張っていれば、この国をもっと安定させていれれば、愛紗がこんなに苦悩せずにすんだのに、ごめん。」

 

俺は頭を下げる。

 

愛紗

「ご主人様!お止めください。私こそ、面子に囚われ過ぎて、ご主人様を困らせてしまい、申し訳ありませんでした。」

 

一刀

「でも、愛紗。そういうしっかりした信念があることは良いことだよ。でも、今回は仕方が無かったということで納得してくれる?」

 

愛紗

「はい!では、連合に向けて、軍の編成に向かいます。ご主人様も政務頑張ってください。」

 

そういうと愛紗は出ていった。心のモヤは取れたのか、晴れやかな良い顔をしている。

いつもの愛紗に戻っていた。

俺は執務室に戻る。執務室では桃香が政務をやっていた。朱里と雛里は政務を中断し、連合参加の仕事をしているため、俺と桃香の机の上の竹簡は増えていた。俺はその光景を見て、ため息が出た。

朱里は蔵に行き、兵糧や錙の数を確認している。

雛里はここから連合集結場所までの距離や道の確認をしている。

ジェネシスさんは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寝てる!

 

なんで、また執務室で寝るの?

 

さっきは報告が有ったから仕方がなかったとして、

 

今回は態々此処で寝る必要無いですよね。

 

嫌がらせですか?  虐めですか?

 

それでも、少しは空気読んでください。

 

 

 

一刀

「はあ……。」

 

桃香

「どうしたの?ご主人様?」

 

一刀

「何でわざわざ、ここで寝るのかな?ジェネシスさんは…」

 

桃香

「実はね、ご主人様。ジェネシスさん寝ながら、私達が逃げないように監視しているみたいだよ。」

 

一刀

「マジで!」

 

桃香

「うん、だってそうとしか考えられないよ。ジェネシスさんがここに居る時にサボると城門を出る前に、ジェネシスさんに見つかって連れ戻されてしまうもん。例え寝ていても…。」

 

ありうる。十分ありうるな。ジェネシスさん凄いな。

 

そして、1カ月後、諸侯は集まり、連合となる。

 

 

 

 

連合の集結場所にたどり着いた。目の前には様々な牙門旗が見える。

袁紹、袁術、曹操、孫策、馬謄等さまざまだ。まるで、牙門旗博覧会のようだった。俺たちは陣に近づくと、目の前から黄金の鎧を着た兵士が来た。容姿からして袁紹軍の兵士だろう。

 

兵士

「連合の参加、誠にありがとうございます。貴殿のお名前と兵数をお聞かせ下さい。」

 

桃香

「平原の相、劉備です。7千の兵を率いて参陣しました。袁紹さんにお会いしたいのですが、取り次ぎお願いします。」

 

兵士は竹簡と筆を取りだすと、竹簡に書き込んでいく。書き終わると、

 

兵士

「ですが、もう間もなく軍議が始まります。劉備様と護衛の方は軍議にご参加ください。他の方はここで待機ということでお願いします。」

 

一刀

「もう、軍議始まるのですか?」

 

兵士

「はい、ご案内します。」

 

 

 

 

 

 

 

俺と桃香、朱里はこの袁紹軍の兵士についていく。

着いた場所には様々な将が既にいた。知っている将は袁紹、文醜、顔良、白蓮ぐらいで、他は分からなかった。

俺たちは一番の下座に座る。勢力的なことを考えれば、当然の結果だろう。隣は白蓮だった。

 

袁紹

「おーほっほっほっほ!これで皆さんお揃いですわ。これでようやく軍議を始めることが出来ますわ。では、初対面の方が多いですので、自己紹介から始めましょう。私h」

 

?1

「有名だから自己紹介しなくても大丈夫よ。我が名は曹孟徳、後ろに居るのは部下の夏候惇と夏候淵よ。軍議さっさと終わらせるためにも馬鹿とブ男は発言しないで頂戴。」

 

コイツが曹操。袁紹みたいに縦巻きロールでツインテール。髪留めがスカルってセンスどうなの?

それより、俺はブ男ですか。桃香は後ろに居る俺に小声で「ご主人様はかっこいいから大丈夫だよ。」って言ってくれる。

桃香ありがとう。俺負けない。

 

?2

「わらわは袁術なのじゃ。後ろに控えておるのは客将の孫策じゃ。」

 

?3

「あたしは涼州の馬謄の代わりに来た馬超だ。」

 

白蓮

「公孫瓚だ。」

 

桃香

「平原の相、劉備です。後ろの二人は知の御遣いの北郷一刀さんと軍師の諸葛孔明ちゃんです。」

 

がやがや。

 

桃香の自己紹介を聞いた諸侯は騒ぎ出す。それほど、天の御遣いは有名なのだろうか。

知の御遣い本人としては少し恥ずかしい。

 

袁紹

「さあ、皆さん。我ら連合には兵数、武器、兵糧、将は十分にいますが、1つ足りないモノがあります。皆さんは何だと思いますか?」

 

しーーん

 

袁紹がそう言うとさっきまで騒いでた諸侯は静かになる。

何せ、袁紹が軍議で喋ったのだ。あの袁紹だ。下手に発言すれば、何か面倒な事に巻き込まれることは必至だ。

袁紹は続ける。

 

袁紹

「この連合に必要なモノ。それは可憐で優雅で雄々しく、頭が切れる美しい総大将ですわ。」

 

ああ、やっぱりな。そんな事だとは思っていたさ。

他の諸侯もため息を漏らしている。

 

袁紹

「この強大な連合を纏める才能、諸侯の皆さんに信頼されるだけの仁徳、2つの関を攻め落とす策を考えることのできる智謀、董卓の将を討ち取る事のできる武、連合の長にふさわしい家柄、が総大将には必要ですわ。そんな完璧超人な人を皆さん知りませんか?」

 

ああ、帰りたい。面倒だ。これだったら、星のメンマ話や愛紗の説教を聞いている方がマシだ。

誰か、袁紹を総大将に推薦しろよ。

俺は目をつぶり、腕組みをして考えているふりをする。

すると誰かが言った。

 

 

 

 

 

??

「あのお、もう総大将は袁紹さんで良いと思います。」

 

そうだ。そうだ。良く言った。でも、お前さん馬鹿だな。

総大将の推薦なんてすれば、当然何かしらの責任を取らなくちゃならない。

 

袁紹の事だから、汜水関攻めの時に先陣の任を任されるだろう。ああ、助かった。俺達は汜水関戦は傍観できる。

 

だが、何処かで聞いたことある声だよな。この声。なんかいつも聞いているような気が…。

俺は目を開けた。

不安的中。目の前の桃香は立ち上がり、袁紹に言う。

 

桃香

「こんなところで、総大将を決めている間に董卓さんは軍備を整えてしまいます。その前に、汜水関を攻めないと、董卓さんの討伐に時間がかかってしまいます。今でも洛陽で苦しんでいる人が居るんですよ。早く洛陽に行きましょう。」

 

袁紹

「分かりましたわ。劉備さんの推薦で、この連合の総大将は私袁本初がやらせていただきますわ。おーほっほっほっほっほ!」

 

袁紹はいつもの高笑いをする。そんなに総大将に成りたかったのか…。慣れてよかったな。

でも、袁紹は当てにならないから、俺たちの事は自分で何とかしないと…。

この連合で信用できるのは俺の仲間と白蓮ぐらい。でも、頼れるのは仲間ぐらいだな。白蓮も他の諸侯なんだ。

 

袁紹の高笑いが終わると、桃香は董卓について聞く。

 

桃香

「皆さんに聞きたいことがあるのですが、私達は洛陽の暴政を働いている董卓さんの情報を全く掴めていません。誰か、董卓さんの事を知っている人は居ませんか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しーーん

 

 

誰も居ないってことは董卓の素性を知っている諸侯は誰も居ないってことか、隠す必要がある。

董卓のことを知っているのに連合の中で隠す必要はあるのか?

 

考えろ! 北郷一刀!

隠す必要は連合に知られたくないから、

だとすれば、知っている奴は董卓の素性を知っており、董卓を救うために連合に参加したことになる。となると、董卓は善なる者の可能性が出てきた。

しかし、誰が董卓を助けようとする側の人間だ?

史実の事を考えると馬騰の勢力が最も妖しい。董卓は馬騰と組み、黄巾党を倒すという話があったからだ。

だが、今ここに居るのは馬超。董卓との接点を最も持つ者ではあるが、あくまで俺の世界の話、この世界ではどうか分からない。

 

袁紹

「では、劉備さん。汜水関攻めの先陣をお任せ致しますわ。」

 

うわあああ、やっぱり!どうすんの?俺達この中じゃ最弱よ。どうしよう?朱r…。

朱里は頭を抱えてうなっている。そりゃそうだ。7千程度で、汜水関を落とすのは不可能だ。ジェネシスさんが居るが、あまりジェネシスさんの強さが漏えいするのは防ぎたい。

ジェネシスさんの秘密がばれたら、諸侯に叩かれる恐れがある。ジェネシスさんに戦って貰うにしても、本気で戦って貰うのは最後の手段。

当初の予定通り『豚もおだてりゃ木に登る作戦』行きますか…。

 

一刀

「可憐で優雅で雄々しくてお美しく、崇高な志を持ち、空のように広い心を持ち、谷のように懐の深く、女神のように慈愛に満ちた袁紹総大将にお願いがあるのですが、聞いていただけますか?」

 

袁紹

「あら、知の御遣いさん私にどのようなお願いですの。」

 

一刀

「はい、我々の憧れである袁紹総大将の役に立ちたいのですが、我らは貧乏故、兵糧と兵が足りません。我らに幾らか恵んで頂けないでしょうか。

袁紹総大将の兵があれば、汜水関を攻め落としやすくなります。ここで協力していただけたのなら、袁紹総大将の名も挙がるもの。いかがでしょうか?」

 

おれは、総大将を強調して、袁紹を褒めちぎる。こんなに人を褒める事は生まれて初めてだ。ついでに嘘をついたのも。

それを聞いた袁紹は総大将という響きが良かったのか、褒められて気分が良くなったのか分からないが、気分を良くして、2つ返事で了解してくれた。

さすが、俺が考案した『豚もおだてりゃ木に登る』作戦。でも、こんなに効果があるとは…。

こんなに効果があると逆に不安になってきた。

 

一刀

「さすが、袁紹総大将!歴代袁家の中でも群を抜いて全てにおいて秀でた袁本初総大将は違いますな。」

 

袁紹

「そうでしょう。そうでしょう。おーっほっほっほっほっほ!私こそが袁家最高の当主ですわ。おーっほっほっほっほっほ!」

 

そう言うと、俺はチラッと袁術の方を見る。袁術も馬鹿なら、意地を張って、袁術自身か孫策さんを先陣に出してくれるだろう。

そして、軍議も終わり、解散となった。

 

 

 

 

どうも、黒山羊です。

 

なんか、アンケートで各上位3人が決まる前に書き終わってしまいました。

まあ、あらすじはほとんど出来ているので、後は肉付けしていくだけなので、拠点を書くより容易です。

と言う訳で、2話連続桃香(○:投下)しました。

とうとう来ました。反董卓連合編。ここからは原作とは違う流れになっていきます。楽しみにしていてください。

 

現在、私はCCFFⅦをしながら、合格した院の入学前図書を読み、これを書いています。CCFFⅦはミッションばかりやっているので、進みが遅いです。だって、捨て身パンチ欲しいもん。HP限界突破したいもん。

次回の拠点は反董卓連合終了後としますが、勉強もあるので、進みが遅いです。

楽しみにしている方、誠にすみません。

そして、前回アンケートに参加して下さった皆さんありがとうございました。

これからも、紅白の天を読んで、コメントの書き込みやアンケート参加していただけると嬉しいです。

宜しくお願いします。

 


 
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