時代は群雄割拠の時代に突入しようとしていた。それを証明するかのように嵐の前の静けさが大陸を覆っている。各地の英傑が力をため、戦に備えている。その中、長安にひっそりと佇む小国があった。活気に溢れて民の笑顔が絶えない。
「聖、この案件なんだけど」
緑髪に眼鏡こと詠は聖と急ぎの案件の話を進めていた。ここは逃亡した後に彼女たちが落とした城であり、頭首が指名した待ち合わせ場所だった。されど明星の頭首は未だ帰還せず、行方不明となっていた。
「主よ必ず帰ってきてくだされ。この国にも世界にも貴方は必要なのじゃ」
案件を済ませた後、城壁と出て蒼天を見上げながら聖は呟いた。
青く茂った森林内にひっそりとせせらぐ小川で俺は休んでいた。虎狼関からの逃亡には成功したが、その代償が全身に至る夥しい火傷の数だった。熱が冷めることはなく、激痛が常に全身をほとばしる。体に鞭を打って何とかここまで来たが、そろそろ限界が見え始めていた。そのとき、
「な、大丈夫か!?」
桃色の髪に際どい戦装束を纏った美少女がかけつけてきた。どこかで見たことのある姿だった。
「………――っ!」
返事をしようとするが焼けたのどが痛く返せない。
「しゃべらなくていいわ。まず治療をしないと……思春!」
「はっ!」
「城へ戻るわよ。このままでは死んでしまうわ」
「御意」
自分の思惑とは違う所で話は進み、そのおかげで一命は取り留められることになった。
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