「お酒~。甘くておいしいお酒はいらんかね~」
とある町の大通り。
背中に大きな瓶を背負い、「お酒あります」と書かれたのぼりを背負って俺は歩いていた。・・・・・・次なる獲物を見つけるために♪
「世に二つとない珍しいお酒だよ~。今なら一瓶たったの一文だよ~。安いよ~。いらんかね~」
けど、この町には来ないほうがよかったかもしれない。まあ、被害にあうのは主にあいつなんだが、”この二人”が相手だと、さすがに同情を禁じえないわけで。
「あ~ら、一文とはずいぶん安いじゃな~い?」
「へ~い。ただいま格安御奉仕期間中に・・・・・・ぎゃー!化け物ー!!」
「どぅあれ~が、この世のものとも思えない、異世界からの物体エックスですって~!?」
「おまえだー!」
そう。
ピンクのひもパン一丁の筋肉だるまが、この世のものとは思えないおぞましさでそこにいた。
「貂蝉よ。なにをやっておる」
「あら卑弥呼」
「変態増えたーーーーー!!」
「ふぬうううううん!誰が変態かーーーーー!!」
今度はふんどしがきたーーーーーー!!やめてくれーーーー!目がつぶれるーーーー!!
「や~すいお酒を売ってるんですって。ご主人様に持っていこうかと思って」
「ふむ。確かに手ぶらでは、だーりんに失礼というものか」
「そゆことよん。商人さん、そのお酒、くださいな」
「へ、へい、まいど・・・・・」
・・・・・・・まずい。
こんなところにこいつらがいるとは。
正体がばれないうちにさっさとずらから無いと。
「じゃ、じゃあ、お代の二文、たしかに。それではこれで!」
たったかたー、と。その場をさっさと立ち去る俺さま。
「妙な商人じゃな。・・・どこかで見たようなオーラをしておったが」
「いいじゃないの、卑弥呼。さ、ご主人様のところに急ぎましょ♪ぶるああああああ!!」
「それもそうじゃな。今行くぞ、だーりん!待ってておれ!ふんぬううううう!!」
・・・とりあえず、助かったな。・・・まあ、あいつには、ご愁傷様、ということで。
「ご主人様~!あ~いしてるう~~~~!!」
「やめろーーー!ひっつくなーーー!頬ずりすなーーー!股間をまさぐるなーーーー!!
「ええ~い!貂蝉よ、だーりんから離れぬか!師匠に譲る気概というのは持っていないのか!」
「も~ってるわけないでしょ!?あんたみたいな褌、師匠とは思ってな~いわよ!!」
え~。ごほん。
現在の状況。
この俺、北郷一刀に引っ付いている二人の漢女。さらには、普段見たことのない、この二人の口喧嘩が、俺の上で飛び交っております。
ずいぶん冷静だなって?
・・・・・・なんか、突き抜けちゃいました。
それはともかく、この二人から漂ってくるこの匂い。
例の酒独特のほのかな香り。
うん。間違いないですね。
「いい加減離れろお前ら!・・・酔っ払ったまんま人に迫るんじゃない!」
いやまあ、ぶっちゃけ、しらふでも絶対お断りですが。
「わ~たしは、よ~ってなんかいないわよん?ひっく」
「わしも酔って等おらんぞ?・・・うい」
いやいや、思い切り酔ってますから。
「例の性格反転酒ですかね、これは」
「まあ、そうでしょうね。・・・けど、言動はまったく変わってないわね。人によって効果が違うのかしら?」
「冷静に分析してないで助けてー!!」
「いいじゃないの、一刀。あの酒を飲んでその行動ってことは、この二人、中身は正真正銘のおんなだったってことで」
「そうね~。よっ!この女殺し♪」
「そーゆー問題じゃないってー!!」
みんな人事だと思って~!あとでおぼえてろ~!
「・・・貂蝉よ?どうあっても退かぬか?」
「退かぬ!譲らぬ!それこそ漢女道継承者の名にかけて!」
「その意気やよし!・・・なれば久々に、馬鹿弟子に見せてくれよう!前・漢女道正式継承者の名にかけて!」
え?え?え?お二人さん。何をなさる気で?
『漢女の股間が真っ赤に萌える!〇〇〇を貫けといぃぃぃきりたああぁぁぁぁっつ!!』
ちょ!やめて!それ以上やったら放送禁止になるから!!
『ばあああくねつ!!おっっっとめ(ぴーーーーー)がああああっっ!!』
らめえーーーーーーーーーっっっ!!
ただいま映像が乱れております。暫くお待ちください。
「おい聞いたか?」
「ああ、都での話か?」
ん?なんだなんだ?
街道を歩いていた俺様の耳に入ってきた、通りすがりの人の話し声。
「なんでも、都で大惨事があったらしいじゃないか」
「ああ。なんか、桃色の空気が都中に充満して、人間や犬猫までもが、正気じゃなくなっていたとか」
・・・・・・は?
「それだけじゃないらしい。空を飛んでる鳥まで全部気絶して墜落したとか」
「城のほうから『アッー』って言う絶叫が聞こえたと思ったら、一瞬後にはもう、そうなっていたらしい」
・・・・・・え~・・・・・っと。
これは・・・・・・・あれかな?
うん。
多分そうなんだろうなー。
ちょっと責任感じるな~。・・・・・・けど。
・・・・・・・・・・・・・・・ま、いっか♪
「さてっ、と。今度こそこれを明命に売りつけに行ってこないとな♪まあ、なんとなく結果は予想つくけど、それはそれで面白そうだし・・・・・・・・フヒーヒ♪」
人の気配が無くなったところで、俺はかりそめの姿から本来の姿に戻る。うむ!今日もわが牙は立派だ。毛並みも好好。
「やっぱこっちの姿のが落ち着くわ~。さ~て。とっとと行くべかね~♪ガアオオオン!!」
~続く・・・はずwww
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はいはい。
お酒ネタ、第六弾ですよん。
今回メインはタイトル通りでございます。
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