No.204438

真・恋姫無双 魏が滅亡した日 Part17 守るべきもの

見習いAさん

コメントいつもありがとうございます。

2011-03-01 23:28:54 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:3539   閲覧ユーザー数:3250

「どう考えても、罠、だよな」

 

「うむ、姉者の処刑が目的なら、猶予を与えたりせん」

 

「意図的に時間を与えたってことか?」

 

「恐らく、司馬懿の狙いは我ら魏の生き残りの燻り出しだろう。姉者を餌に、救出作戦を実行させたいのだ」

 

「開いた虎の口に自分から入っていくようなもんか」

 

「・・・・だが、姉者を見捨てることなどできん。罠だろうとなんだろうとやってやるさ」

 

「秋蘭、無理はやめてくれよ」

 

「・・・・保障はできない」

 

秋蘭との付き合いはそろそろ長いと思ってる

けど、こんなに怒ってる秋蘭は始めてだ

無理はない、だけど、こういう時こそ俺が冷静でなくちゃいけないんだ

 

「後6日、せめて、春蘭がどこに囚われているのかわかれば手を打てるのに」

 

「都の警備は厳重だ。それに、北郷と私の顔は都に知れ渡っているからな。口惜しいが動きが取れん・・・・」

 

ちょっとした偵察は出来ても、本格的な行動を起すには難しい状況だ

何より、たった二人しかいないのがさらに厳しい

 

「せめて、季衣と合流できれば・・・・」

 

その時だった

 

ドンドン ドンドン

 

扉を叩く音が聞こえる        

「・・・・北郷」

 

「ああ」

 

秋蘭は弓を構えた

本気の秋蘭を見るのはいつ以来だろう

俺は秋蘭に頷くと、扉に近づいた

 

ドンドン ドンドン

 

鼓動が激しくなる

喉もからからだ

 

ドンドン ドンドン    シュウランサマー

 

この声・・・・

 

「季衣か?」

 

「兄ちゃん?僕だよ兄ちゃん!」

 

俺は勢いよく扉を開けた

 

「しーっ!しーっ!大きな声出しちゃだめだ!」

 

「北郷、お前が大きな声を出してどうする」

 

「うっ・・・・」

 

「兄ちゃん、秋蘭様、無事でよかった・・・・グス」

 

「季衣、心配かけたね」

 

「うむ、季衣、寂しい思いをさせてすまなかった。・・・ところでその髪型はどうしたのだ?」

 

「あ、これはですね、あれから蜀の白蓮さんにお世話になってて、それで白蓮さんと同じ髪型にしてるんです」

 

「蜀の白蓮さん?」

 

「う~む、蜀の白蓮・・・・はて、聞いたことがないのだが」

 

「はは・・・僕も人のこと言えませんけど・・・ほら、公孫賛さんですよ、白馬将軍の」

 

「公孫賛?・・・・秋蘭」

 

「うむ、名は聞いたことがあるのだが、姿が思い出せん。季衣、その方は信用できるのか?」

 

「あ、会えば思い出すと思います・・・。少なくとも、僕は心から信用してます!」    

季衣の案内で白蓮さん?が滞在している屋敷に来れた

季衣も慣れた物で、警備の手薄な道を選んでくれたから楽だったよ

 

「白蓮さん!思ったとおり合流できましたよ!」

 

「おおおおお季衣!お手柄だぞぉ~グリグリ」

 

「やめてくださいよぉ~」

 

季衣の頭をグリグリするその人

どっかで見た気がするな

 

「御仁、季衣がお世話になっているようで感謝致します。私は夏侯淵、以後お見知りおきを」

 

「おいおい、冗談がきついぞ秋蘭」

 

「御仁・・・」「え?」

 

一瞬だった

一瞬で公孫賛さんは秋蘭に腕を決められた

 

「あいでででででちょっとまって!まってえええええ!」

 

「御仁、季衣の恩人とは言え、初対面で真名を呼ぶとは許しがたい。返答次第では折らせていただくが」

 

「いだだだだだ、ごめん!謝るから!折れる!折れるーーーー!」

 

「秋蘭様!だめです離して!!」

 

「季衣?」

 

季衣が秋蘭に怒ってる?あの季衣が??

 

「いだだだ、つぅーーーーっ」

 

「白蓮さん、大丈夫ですか?早く冷やさないと」

 

「うぅぅ・・・大丈夫・・・と言いたいとこだけど・・・・・腕が・・・・・」

 

「痛めちゃったかも・・・・秋蘭様!謝ってください!!」

 

「う、うむ・・・・すまなかった御仁」

 

あ、あの秋蘭が・・・謝った???      

それから俺達は公孫賛さんを運び手当てを施した

腕は折れていなかったけど痛めてしまったようで、これでは剣は振れない

 

「白蓮殿、本当に申し訳なかった!真名を交換した相手を勘違いで・・・・私はなんと軽率な」

 

「はぁ・・・もういいよ、慣れてるからさ。それより、この腕じゃ救出作戦に参加できないか・・・・すまん季衣」

 

「僕のほうこそ・・・もっとしっかり説明しておくべきでした。ごめんなさい」

 

秋蘭らしくないミスだ

秋蘭もかなり無理が響いてるみたいだな

このまま当日を迎えて救出がうまく行く可能性は低いか

 

「三日・・・三日だけ完全休養にしよう。救出作戦のために動くのはそれからだ秋蘭」

 

「何を言う北郷!姉者の処刑までもう6日しかないのだぞ、休んでいる暇など」

 

「秋蘭、無理しすぎて注意力も散漫になってきてるよ。今は動くことよりも休むことを優先した方がいい」

 

「しかしだな!」

 

「その方がよさそうだな。冷静な秋蘭なら私も腕を怪我することはなかったよ・・・・手加減なしだもんなぁ」

 

「うっ・・・」

 

「情報収集はうちの部下に任せて、秋蘭と北郷はゆっくり疲れを癒すといい」

 

「公孫賛さん、助かります」

 

「それから、北郷、私のことは白蓮と呼んでくれ」

 

「良いんですか?」

 

「北郷の噂は聞いてるよ。たった一人で国を揺るがす男に真名を預けるのは当然さ」

 

「そんな・・・俺はそんなんじゃないです」

 

「ははは、季衣や秋蘭の北郷を見る目を見れば、噂が本当だってわかるさ。

それと秋蘭、救出作戦の準備は進めている。だから安心して休んでいいぞ」

 

「進めている?どう言うことですか」

 

「ふふーん、これを見てくれ」             

「ここに来る前、朱里からこれを預かっていてな」

 

「・・・・これは、煙幕弾ですか?」

 

「そう、三国会議で真桜が使って見せてさ、それを見た朱里が真桜に製造方法を教えてもらい

蜀に帰って研究してたんだ。これは朱里特製の火薬入り煙幕球さ」

 

「火薬入りですか」

 

「うん、護身用だから殺傷能力はないけど、煙幕と同時に大きな音を出すんだ。初めて使った時は腰が抜けたぞ」

 

「それでですね、火薬入り煙幕球を僕が高いとこから投げ込んで、大混乱にしてやるんです」

 

「季衣の力ならかなりの距離から投げ込めるはずだ。後は、刑場内部に潜入させた別働隊が春蘭を救出するって寸法さ」

 

これならいけるかもしれない

いくら司馬懿でも火薬入り煙幕球の存在は知らないはずだ

 

「秋蘭!これならいけるかも。後は細かい部分を詰めて行けば、春蘭を救える!」

 

「姉者を救える・・・・姉者を・・・・・・あね・・・・」

 

「秋蘭」

 

春蘭を救えると聞いて張り詰めていた気が切れたのだろう

秋蘭は意識を失い、俺の腕の中で眠っている

 

「北郷、秋蘭のこと頼むぞ。こっちはこっちで進めとくよ」

 

「はい、本当にありがとうございます白蓮さん」

 

「はは、お礼は春蘭を助けた時にしてくれよ」

 

「それでも、本当にありがとうございます」


 
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