昼休み、クラスメイトのほとんどが秀治に集まっていた、その質問はさまざまでどこから来たとか前の学校はなど普通の質問の中に怜奈さんとはどういう関係だとか彼女なのかなど主に男連中が血走った目で聞いてきた
「怜奈は昔からの幼なじみなだけだよ……それに小学校のときに転校しちゃったてから会わなくてまさかここにいるとは知らなかったんだ」
必要以上に聞いてくる男数人を説得しながら秀治は逃げるように廊下に飛び出した
「……いで!!」
すると出た瞬間壁にぶつかり背中から床に倒れそうになった
「……………?」
しかしいくら構えても衝撃は来ない、かわりにゴツゴツした岩のような感触に目を開けた
「大丈夫……か?」
目の前にはレクライが立っていてその大きな手で秀治を支えていた
「あ………ありがとうレクライさん………」
秀治がお礼を言うと静かに秀治を話した
「俺は……レクで……いい」
そういったレクライの顔はわかりにくいが笑っているように見えた
「わかった!ありがとう、レク!」
「お!!いたいた!お~~い沢崎!!」
すると広一が二人のほうに駆け込んでくると思いっきり秀治の首に腕を巻き付けた
「いでで!なんだよ!えっと上原!」
振りほどこうとしながら暴れるが広一は笑いながらさらに首を締めた
「俺は広一でいいぜ!俺もお前を秀治って呼ぶけどな………そんなことより吐け!!お前怜奈ちゃんとどういう関係だ!!いきなり"怜奈"なんて呼び捨てにしやがって!!」
「いでで!べ、別に関係なんて……ただの幼なじみだよ!!だいたいなんでみんなそんなに怜奈を気にするんだ?」
秀治が聞くと広一はピタリと止まって手を離した
「そりゃお前怜奈ちゃんはクラスの人気者だからだよ。容姿端麗で勉強はトップクラス、スポーツも万能でおまけにやさしい!こんな完璧美女いるか?クラスの半分は怜奈ちゃんを狙ってるんだぜ」
広一が自分の世界に入りながら熱く語っているのを遠い目で見つめながら秀治は考えていた
「へ~~~あの怜奈が…………俺が知ってる怜奈はやかましくて、事あるごとに俺に着いて来ていっつもわがままばっかで、おまけに喧嘩ぱやくてすぐ殴ってくるんだぜ………それがまぁ………いでっ!!」
昔を思い出しながらぶつぶつと文句いってると誰かがバックか何かで後頭部を殴られた
「沢崎君ちょっといいですか?」
頭をさすりながら振り返ると笑顔の怜奈が立っていた。その手にはかばんが掴まれていた
「………怜奈?」
顔は笑っているが額に怒りマークが見える怜奈に背筋に寒気を感じた
「いいからついて来て下さい」
有無を言わさず手を掴んで秀治を引っ張っていった
「広一………みんな……行った」
いまだに自分の世界を語る広一にレクライが言うが、聞こえてないとわかると二人の後を追って行った
「どうだ?これで少しはわかった…………あれ?レク?秀治??」
廊下に一人残された広一のむなしい声が響いた
一方怜奈と秀治は屋上に上がると人がいないことを確認し、掴んでいた手を離した
「悪かったわね暴力的で!」
今度はかばんの角で殴られた
「~~~ってえな!!何すんだよ暴力女!!」
「あんたが何にも成長してないからでしょ!!」
「んだと!久しぶりの幼なじみとの再会にいきなりかばんで殴り付けてくるやつに成長してないは言われたくねえな」
「どーだか!転校初日から遅刻しといて、昔からそうだよね!自分じゃ起きれなくてカズ君や私に起こされてたくせに!」
「何年前の話だ!………今日はちょっと目覚ましの時間間違えただけだ!」
「ほらみなさい!やっぱり成長してないじゃない!」
「ぐっ…………だ、だいたいお前だって猫かぶってるじゃねえか!広一ってやつの話だと暴力的でわがままが抜けてるじゃねえか!!」
「あんたこそいつの話してるのよ!私はね!成長したの!馬鹿なあんたと比べないで!!」
「そんなやつがかばんで殴ってくるか普通!!」
二人はがみがみと相手の揚げ足をとりながらいつしか昔の話題になっていた
「4年生のときだってカズ君に負けたからって授業抜け出してふて腐れてたくせに!」
「てめえだって裏山でぬいぐるみ落としたって言って泣きべそかいて俺に頼みにきたくせに!」
「なによそれ!いつまで覚えてるきよ!」
「お前こそいちいち覚えてんじゃねえ!」
『……………………』
ふいに二人は無言で睨み合った
「…はぁ~………なんか昔もこんなふうにケンカした気がする……」
ため息をかいて秀治を見ながら怜奈は言った
「ああ……いつもはカズが仲裁に入ること忘れてた」
秀治もさっきの冷たい雰囲気がなくなり、床に座った
「ほんと………カズ君いないと終わんないね」
怜奈もその隣に腰を降ろした
「そういえばカズ君元気?前の学校でも一緒だったんでしょ?」
秀治はそのまま床に寝転がりを空を見上げた
「ああ、あいかわらずだ。でも驚いたな~まさか怜奈と同じ学校の同じクラスになるなんて」
青い空は雲一つなく温かな日差しが心地よかった
「ホントだよ、お父さんの都合でこっち来たけど秀治は何にも連絡くれないし」
最後のほうは少しだけ刺がある言い方だった
「それはだな~~~~……………それより俺も親父がいきなり引越すとか言い出してさ、いつのまにか知らないけどここの編入手続きまですませてあったんだぜ!」
言葉を濁し話題を変えながら秀治は思い出しムカッ腹をたてた
「へ~~おじさんが………でもお仕事は?」
「ああ、なんかこっちにツテがあるらしくてそこに行くとか言ってたな………確かターミナルの搬出を検査する仕事だかなんだか………えっと星箱局?違う……星なんとか局だったような」
秀治の言葉に怜奈は目を開いた
「え?それって星運局?お父さんの勤めてる会社だ」
「そうそうそんな名前…………って怜奈のおじさん?ちょっと待て!じゃあこっちのツテって!」
秀治は思わず起き上がった
「うちのお父さん?」
怜奈は目をパチクリとさせていた
「……………はめられたな」
秀治はガクッとうなだれた
「みたいだね……………」
(あのくそ親父何考えてるんだよ………帰ったらぜってい一発殴ってやる)
思い出すがたいのいい男がワハハと高らかに笑っていた
「……………でもこれからよろしくね秀治!」
顔をあげると手を差し出し笑っている怜奈
「………ああ、よろしく」
その手を掴みながら起き上がった
キーンコーンカーンコーン
「ああ~~授業始まっちゃう!!」
慌てて駆け出した怜奈に捕まっていた手を引っ張られる秀治
「ほらはやく!!」
「いででで!!だあああ引っ張るな!!」
手を振りほどきながら怜奈の後を追って走り出した
学園に響く鐘の音は平穏な学園生活を期待する秀治の思いをもろくも崩れ去るとは予想もしていなかった
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二作目になります。短いですし話しも進んでいませんが、よろしくお願いします