No.203365

真・恋姫無双 魏が滅亡した日 Part12 反則

見習いAさん

天の御遣いも敵から見れば

2011-02-23 21:15:08 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:3934   閲覧ユーザー数:3570

春蘭と秋蘭はすぐに会稽へ出発した

今、俺の周りにいるのは呉の人たちだけだ

 

「そんなに緊張しなくてもいいわよ」

 

孫策さんが声をかけてくれた

 

「情けない話ですが、魏以外の国に来るのは初めてで緊張してしまって・・・」

 

「ふ~ん」

 

春蘭達がいなくなってから空気が重くなってる気がする

 

「北郷一刀、始めに言っておくけど、私達は必ずしもあなたを歓迎していないの」

 

「・・・でしょうね」

 

当然そうだよな

 

雪蓮さんの脇に立っていた長身の女性が前にでてきた

周瑜さんだ

 

「私の名は周瑜、あの戦いの後、顔を会わせているはずだが覚えているかな?」

 

「はい」

 

「聞きたいことがある。赤壁、黄蓋殿の苦肉の策を見破ったのは貴様だそうだな」

 

「はい」

 

「神通力で見破った。我らはそう聞いている。しかしな、そんなものを信じることはできん」

 

「はい」

 

「貴様に神通力があるなら、華琳殿の居場所を神通力で見通さないのはなぜだ?」

 

「俺にそんな力はないからです」

 

「ならばなぜ黄蓋殿と私の策を見破れた!!!」

 

俺にそんな力は無い、あるとしたら

 

「俺は、歴史を知っていたんです」     

「歴史を知っていた・・・・だと?」

 

「そうです。赤壁の戦いで黄蓋さんが投降してくることも、火攻めをしてくることも、鎖を使って船の動きを封じることも、全て知っていたんです」

 

「まるで、赤壁を経験していたかのような言い方だが」

 

「経験はしていません。赤壁の戦いは有名で、どんな策を用いてどう戦ったのか知っていたんです」

 

この時、周瑜さんは俺の存在を理解したみたいだ

 

「では、我らが袁術から離反し独立することも、江東に呉を建国することも知っていたのか?」

 

「・・・・・はい、知っていました」

 

孫策さんも理解したようだ

 

「・・・・そんなの勝てるわけないじゃない」

 

そう、勝てるわけがない

俺の存在は反則以外何者でもないんだ

 

「貴様が・・・・貴様が・・・・」

 

次の瞬間、俺は周瑜さんの全力のビンタを受けていた

 

「貴様さえ、貴様さえいなければ!!」

 

「やめなさい冥琳!」

 

孫策さんの一喝で周瑜さんはもう一度振り上げた手を後ろに戻す

 

「ごめんなさい北郷、冥琳がこんなに感情的になるなんて思ってなかった」

 

「・・・・いいんです。周瑜さんが怒るのは当然ですから・・・」

 

「・・・・くっ」

 

次に出てきたのは、確か甘寧さんだ

 

「雪蓮様!」

 

「何、思春」

 

「は、北郷一刀は呉にとって災いとなりましょう。今すぐ切って捨てるべきです」

 

そう言うと、甘寧さんは刃物を取り出した

 

「彼を切って、その後どうするの?」

 

「は、野党に殺されたとして処分致します」

 

「・・・・だめよ思春。皆も聞きなさい、今より、北郷一刀へ危害を加えるものは厳罰に処す。よく肝に銘じておきなさい」

 

「しかし雪蓮様!」

 

「思春の気持ちもわかる。でもね、北郷は秋蘭達から預かっているの。裏切ることはできないわ」   

それからの居心地は最悪だった

特に冥琳さんの敵意は怖いぐらいだった

 

一通りの城内の案内を受けた俺は、あてがわれた部屋で1人、窓辺で空を見上げる

 

「ふぅ・・・・俺も会稽に行った方が安全だったんじゃないかな」

 

ため息をつくと、周りが敵だらけと言うのがこんなにきついのかって実感した

 

「・・・・ん?」

 

ドアの前に誰か来たかな

 

「北郷ー?入ってもいい?」

 

「孫策さん?どうぞー」

 

「お邪魔するわね~」

 

そう言って遠慮せず入ってくる孫策さん

その手には晩酌セット

 

「一杯付き合ってよ」

 

「・・・・喜んで」

 

俺は部屋にあった椅子と机を並べると、孫策さんと向かい合うように席についた

 

「さっきはごめんなさい、冥琳のことも許してあげて」

 

「大丈夫です。怒って当然ですから。でも、これだけは言わせてください」

 

「何?」

 

「華琳は俺の知識を知ろうとしませんでした。むしろ、歴史のことは言うなと口止めされていたんです。だから」

 

「ふふ、華琳のことだもん、きっと正々堂々と戦いたい、なんて言っていたんでしょ?」

 

「・・・はい」

 

「安心しなさい。呉は華琳達のことを認めてる。そんな風に思う将はいないわ」

 

「安心しました」

 

「ねぇ、どうして私のところじゃなく、華琳のところに現われたの?」

 

「わかりません。気づいたらこの世界に来ていて。気づいたら華琳に拾われて」

 

「そっか」

 

それからしばらく、俺たちは酒宴を楽しんだ   

「冥琳ね、あんなに怒ったのは、きっと祭のことがあったからだと思うわ」

 

「黄蓋さんのこと・・・ですよね」

 

「祭は私達の母親みたいな存在だったのよ」

 

「俺は、黄蓋さんとの面識が少なくて、ほとんど話しもできませんでした。でも、なんとなくわかります」

 

「傷を負った祭を助けることもできず、私達は目の前で失ってしまったわ」

 

黄蓋さんの最後、秋蘭の一撃を受け亡くなったそうだ

その瞬間を呉の人たちはみていたんだ

 

「冥琳は普段弱みをみせないのよ。深い傷を負っていても隠しちゃうの。それが爆発しちゃったのね。ほんと、ごめんね」

 

「いえ・・・・もし、魏の誰かがそうなった時、俺がそれを目の当たりにしていたら、周瑜さんと同じ行動をしていたと思います」

 

「そっか、・・・・春蘭達が羨ましいなぁ~~」

 

「羨ましい?」

 

「だって一刀ってば、本当に魏のこと愛してるんだもん。羨ましいわよ」

 

「呉の人たちも呉を愛してるじゃないですか」

 

「違うの、一刀は魏を愛してると同時に魏の将を愛してる、それが羨ましいの」

 

「孫策さんはこんなに美人で、孫策さんを愛する人は一杯いるはずです」

 

「あら、うれしいこと言ってくれるじゃない一刀~~」

 

「うお!」

 

俺は孫策さんに抱きつかれていた

 

「・・・・孫策さん?」

 

「・・・・私のことは雪蓮と呼びなさい、一刀」

 

「・・・うん・・・雪蓮」

 

「ふふ、合格」

 

夜はまだまだ長いことになりそうだ


 
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