No.203232

真・恋姫†無双 ー紅白の天ー 第10話

黒山羊さん

「前回のあらすじ」
一刀・朱里・雛里は黄巾党に拉致られた。
桃香の下にその脅迫文が届く。
ジェネシスはその脅迫文の指示通りにその村に行く。
ジェネシスはひたすら殴られる。

続きを表示

2011-02-23 01:04:46 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:3761   閲覧ユーザー数:3409

   この物語は真・恋姫†無双という外史に、

   別作品から1人ある人が来たいう設定です。

   作者である私、黒山羊が原作を何度も読み返し、

   登場人物を原作通りにしたつもりです。

   ですが、解釈が幾らでも可能であるように、登場人物が皆様のご期待にそえるかどうかはわかりません。

   また、作者は関西人なので、気をつけているつもりですが、

   セリフが関西弁臭くなってしまうかもしれません。

   あらかじめご了承ください。

   読者の皆様が楽しめたら幸いです

 

 

 

視点:朱里

 

賊が槍を突き出して雛里ちゃんに迫ってきます。

 

朱里「イヤー。雛里ちゃん!」

 

でも、突然、松明しかなく暗かった部屋が更に暗くなりました。

賊が見えなくなりました。

さっきまで雛里ちゃんを貫こうとした槍も見えなくなっていました。

わかりました。

私の目の前を何かが遮ったのです。それが槍を弾いたことも、

それは――――、

 

翼?

黒い翼です。

こんな大きな黒い翼は見たことはありません。

だって、黒いカラスの翼もここまで大きくありませんから、

10畳はあろうかというこの部屋を覆うことのできそうな程大きい翼。

 

賊3「ひぃー、妖だ!」

 

??「そうだ。俺はモンスターだ。」

 

アヤカシ? モンスター?

モンスターという言葉聞いたことが無かったけど、妖という言葉は聞いたことがあります。

モンスターというのは妖のことですか、

なるほど、この黒い翼は妖でしたか、だって、こんな大きな翼見たことなかったから。

 

視界が開けます。賊は倒れこんでいました。

翼が折りたたまれたのか、部屋が見渡せます。

翼は―――。

 

朱里「ジェネシスさん?」

 

ジェネシスさんのものでした。

彼の左肩から、大きな大きな黒い翼が生えているのが見えました。

でも、服の上から翼は生えない。

あぁ、なるほど、服の背中の切れ込みはこの為だったのですか。

 

雛里「あ…わわ……。ジェ…ジェネシスさん、その翼は?」

 

ジェ「俺が妖の、モンスターの証だ。」

 

妖? ジェネシスさんが?

私は分かりませんでした。

 

ジェネシスさんは部屋から何も言わず、出て行ってしまいました。

ご主人様もついて行こうとします。

私と雛里ちゃんも2人について行こうとしますが、

ついてきたご主人様を突き飛ばし、扉を閉めるとジェネシスさんは扉を向こう側から衝撃を与えたのか、轟音と共に、扉がゆがみます。

 

一刀「おい! ジェネシスさん! おい!」

 

ご主人様が扉を必死に叩きますが、動きません。

私達3人は5つの死体の転がった部屋に閉じ込められてしまいました。

後で話してくれますよね。ジェネシスさん

あの翼でどこかに飛んでいきそうな、悲しそうなあの人にそう願った。

 

 

 

 

視点:ジェネシス

 

そうだ。

俺はモンスターだ。

 

胎児だった時、神羅のホランダーにジェノバの細胞を埋め込まれた俺はモンスターだ。

 

例えどこに行こうと、何をしようと

 

誰にも求められないモンスターだ。

 

俺の2人の親友もそうだった。

 

 

 

 

ジェネシス

 「よう 相棒」

 

親友は剣を俺に向ける

 

ジェネシス

 「結構

 ついに心を決めたというわけだ

 幼なじみの 意思は尊重しよう

 しかし―

 そっちの世界で生きていけるのか?」

 

 

 

 

 

ジェネシス

「お前の細胞をわけてくれ

『君よ 希え

命はぐくむ女神の贈り物を』」

 

セフィロス

「おまえの言葉が

俺をまどわせるためのたわごとか―

それとも俺が探し求めた 真実なのか―

どちらにせよ―」

 

俺の差し出すリンゴを親友は取らなかった。

 

セフィロス

「朽ち果てろ」

 

 

 

 

俺がモンスターだったから、俺の親友は俺から離れて行った。

 

俺がこの世界でモンスターであることを隠さなければならなかった。

この世界の北郷や劉備、関羽、張飛、張雲、諸葛亮、鳳統と関わらないようにした。

深く関われば、裏切りが痛く感じる。

あいつらは付き纏ってきた。見つかれば、声を掛けてくる。

だが、俺は何故か何時も返事をしていた。無視すればよかったのに、

なぜ、無視しない?

俺はあの世界で英雄になる夢を叶えられなかった。

だから、俺はこの世界で英雄になる夢を叶えようとした。

だが、俺はモンスターだ。

俺はどうしたい?何がしたい?どうありたい?

 

俺は今何を考えているのか分からなくなってきた。

 

だが、3つだけ分かった。

 

俺は英雄になりたかった。

アイツらに俺がモンスターだと知られたくなかった。

アイツらが傷ついてほしくなかった。

 

かつて世界を滅ぼそうとしたモンスターの俺らしくもない。

こんな感情的なこと

どうせアイツらは離れて行くのに……。

 

 

 

 

地下の扉をあけると、扉の前には賊が居た。こちらに気づく。

 

賊4「ひぃ、妖だ!」

 

賊は腰を抜かしながらも剣を構える。この翼におびえている。

賊たちは武器を構えてこちらに集まってくる。

 

ジェ『復讐にとりつかれたるわが魂

   苦悩の末に たどり着きたる願望は

   わが救済と

   君の安らかなる眠り』

 

賊5「妖でも関係ねぇー。やっちまうぞ!」

 

俺は魔力を左手にこめる。

俺は翼を広げ、羽をまき散らした。

 

ジェ「漆黒の舞」

 

羽はこの廃村を覆う。

賊は錯乱状態に陥った。

俺は賊の武器で1人1人丁寧に心臓を貫く。

やがて、廃村は羽の黒と血の赤に染まった。

誰も逃げられず、誰も生き残っていなかった。

 

俺はアイツらを閉じ込めた地下へと向かった。

 

 

 

 

視点:一刀

 

??「離れてろ。」

 

そう、扉から聞こえた。

俺は朱里と雛里を抱え、扉から一番離れた隅に行った。

 

ドゴーン

 

扉が宙を舞い、反対側の壁に当たった。

入ってきたのはいつもの赤い服を着て赤い剣を持ったジェネシスさんだった。

ただ、違うのは翼があった。

俺はさっきの光景に放心してしまった。

この世界に来て一番最初に出会った人が自分はモンスターだと言った。

 

ジェ「城まで送ってやる。」

 

そういうとジェネシスさんは出て行った。

おそらくついてこいという意味なのだろう。

 

地上は黒くて赤かった。

羽と血で―。

 

ジェネシスさんは大きくて黒い翼をたたむとその翼が服の切れ込みの中に入った。

翼を畳んだ姿は彼を翼をもたない普通の人のように見せる。

 

ジェネシスさんは無言で歩いて行った。

行った先には馬が3頭いた。

鞍も装着されていた。

 

ジェ「乗れ」

 

そういうと彼は馬に乗らず、歩いて行った。

俺と朱里と雛里は馬に乗り、ジェネシスさんについて行く。

それからは終始無言だった。

 

 

 

 

視点:雛里

 

私を救ったのは、ジェネシスさんだった。

でも、ジェネシスさんは翼を持っていた。

自分を『もんすたー』と言った。意味は妖と同じだろう。

 

私達は城についた。

 

ジェ「もういいだろう。じゃあな。」

 

ジェネシスさんは背を向けて去って行こうとする。

 

雛里「待ってくだしゃい!」

 

私は舌を噛みながら、声を張り上げる。

ジェネシスさんは立ち止まってくれた。

舌から血が出ているのが分かった。

でも、今は関係ない。

 

ジェ「なんだ?」

 

雛里「どこに行くのですか?」

 

ジェ「どこか」

 

雛里「私達の傍じゃ駄目なんですか?」

 

ジェ「俺はモンスターだ。お前達と居れない。」

 

その声は全てを諦めきったそんな声だった。

自分の幸せを想像することができない、私は死んでいる、そう聞こえるような声だった。

再び歩き出したジェネシスさんの腰に私はしがみつく。

 

雛里「もっと聞かせて下さい!

言葉を捨てないで下さい!

モンスターになりきらないで下さい!」

 

私は泣きながら叫ぶ。視界は霞んでいた。

 

 

 

 

視点:ジェネシス

 

かつて同じ言葉を言った奴がいた。

 

 

 

ザックス

「もっと聞かせろよ!

言葉を捨てるなよ!

モンスターになりきってんじゃねえよ!」

 

 

 

子犬のザックス―

 

劣化を止めてくれた。

誇りを取り戻させてくれた。

そして、俺を救ってくれた。

 

鳳統も俺を救いたいのか?

なぜ?

劣化は無い。レイピアに誓った誇りも捨てていない。

俺を何から救いたがっているのだ?

この少女は?

 

ジェ「なぜ俺に構う?俺はモンスターだ。」

 

鳳統「でも、貴方は寂しそう…。」

 

寂しそう?

俺は自分がモンスターである事実を嫌悪した?

あの世界を道連れにしようとしたのは、世界がモンスターの俺を滅ぼそうとしたから

この世界で俺がモンスターであることを隠したのはそのため、

事実を隠し通せれば、その事実は存在しないのと同じだから、

俺をモンスターだと知った奴は皆離れて行く。

でも、劉備に隠し事があると言ったのは、俺がモンスターである事実を受け入れてくれるのではという淡い期待から、

だったら、俺は俺を滅ぼそうとするあの世界を嫌悪したということだ。

 

 

分かった。

 

つまり、俺は……。

 

 

 

 

俺はモンスターでもいい、

俺を滅ぼそうとしない、

俺が居られる世界を俺は求めていた。

 

 

 

 

どうも、黒山羊です。

 

CRISIS CORE FINAL FANTASYⅦやってて泣いた。

ザックスの言葉に

「もっと聞かせろよ!

言葉を捨てるなよ!

モンスターになりきってんじゃねえよ!」

普通に励まされるより効くわ、あれ!

えぇ?涙もろすぎやろって?

ほっとけ!

 

えぇ?

それより、FF7を知らない人に解説しろってか?

了解!

では読者のみなさん。

 

簡単に説明します。

後分からないことがあれば、コメントでお答えします。

 

ソルジャーとは人工的にジェノバ細胞を埋め込むことにより、身体能力を向上させた強力な兵士のことです。

 

ジェノバとは2000年前に宇宙のどこからか地球へ飛来してきた高等生命体のとこです。

 

ジェネシスはソルジャーですが、親友アンジールと同様、普通のソルジャーではありません。

G系ソルジャーと言ってセフィロス制作のためホランダーが作った実験試作品

つまりプロトタイプのソルジャーでした。

そのため、彼はジェノバ細胞と上手く適合しておらず、体内のバランスが崩れることによって個の情報が拡散し、劣化を起こしてしまうのです。

ゆえに彼は自分をモンスターとしてしか見ない世界を憎んだのです。

 

だから、同じ境遇のアンジールは人間になりたかったのでしょう。


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
17
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択