No.203021

真・恋姫†無双 ー紅白の天ー 拠点2

黒山羊さん

「前回のあらすじ」
白蓮、桃香、袁紹の連合軍は黄巾党を討伐する。
恩賞として、桃香は平原の相の地位を得る。
そして、そこに星が来た。

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2011-02-21 23:28:54 投稿 / 全15ページ    総閲覧数:3004   閲覧ユーザー数:2641

この物語は真・恋姫†無双という外史に、

   別作品から1人ある人が来たいう設定です。

   作者である私、黒山羊が原作を何度も読み返し、

   登場人物を原作通りにしたつもりです。

   ですが、解釈が幾らでも可能であるように、登場人物が皆様のご期待にそえるかどうかはわかりません。

   また、作者は関西人なので、気をつけているつもりですが、

   セリフが関西弁臭くなってしまうかもしれません。

   あらかじめご了承ください。

   読者の皆様が楽しめたら幸いです

 

 

 

 

一刀×桃香 2

 

「今はまだ。」

 

視点:一刀

 

俺は今、桃香と一般兵十数名とで警羅をしている。

警羅とはズバリ、パトロールみたいなものだ。

 

この世界には電話がないので、電話をすれば、警官がすぐ来てくれる訳ではない。

最近は賊が増えたため、この国全体の治安は悪化している。それに煽られてか、犯罪に走る者は少なくないのだ。

そのため、犯罪現場の対応と犯罪発生の抑止力として、この警羅が町の治安維持のためには欠かせないのである。

 

しかし、警羅の為とは言え、一般兵がゾロゾロと武器を持って歩いていたら、住民が不安を感じると思ったので、槍等の大きな武器では無く、剣等の小さな武器を装備してくれと頼んだ。

しかし、槍は相手との距離が遠くとも攻撃できるので、万が一のために持たせてくれと小隊長に反論されたので、現場の意見も重要だと思い、数名の槍が得意な兵だけに持たせた。

 

警羅をしていると色んな人が声をかけてくる。

屋台の店主や老人、子供、様々だ。人が様々なのだから、各々話す内容も様々だ。

 

店主「北郷様!警羅ご苦労様です。

肉まん、一つどうですか?一刻ほど前に蒸しあがったばかりですよ!」

 

一刻前に蒸しあがった肉まんは蒸したてホヤホヤなのか?

コンビニの肉まんを保存しているあれ的なものが無い限り、冷めているだろう。

つまり、出来立てホヤホヤと言えるのか?いや、言わない。

とりあえず、ツッコミを入れず、話を合わせとくか。

 

一刀「店長さん。 気持ちは嬉しいけど、警羅中に飲食はちょっと・・・。」

 

店長「そうですか…。」

 

 

さらに、次のところでは

 

老人「警羅何時もご苦労様だねぇ。 それにしても、今日もいい天気だねぇ。」

 

今日は曇りですよ。おばあちゃん。

俺の世界の理科の先生10人に聞けば、10人とも曇りだというぐらいの曇りっぷりだ。

まぁ、理科の先生に聞きたくても聞けないのだが・・・・。

とりあえず、ツッコミを入れず、話を合わせとくか。

 

一刀「おばあちゃん、今日も空気が清々しいね。」

 

桃香は何しているんだろう?俺は桃香の方を見ると子供に囲まれていた。

微笑ましい姿だった。

 

子A「劉備様! うちの屋台のラーメン食べにこない?

   おいしいよ。」

 

桃香「ごめんね。今お仕事中だから、明日のお昼休み行くね」

 

子A「うん。約束だよ」

 

桃香「うん。約束。」

 

桃香と子供は指きりをしている。

桃香に指きりを教えたら、顔面蒼白になって

 

桃香「約束破ったら、針千本も飲まないといけないの?

 どうしても外せない用事ができたらどうしよう。」

 

と言って俺に聞いてきた。

俺は実際にそんなことしないことを言ったら安心した。

 

子B「じゃぁ、一緒にケイラしよう?」

 

桃香「それなら、良いよ♪」

 

こうして、俺たちは警羅をしていたのだが、

 

子C「劉備様! 北郷様とはどこまで進んだの?

チューはした?」

 

桃香「えぇ!!」

 

桃香と目が合ってしまう。

すると、桃香は俺に背を向ける。

 

ちっちゃいお子様諸君!俺と桃香はそんな関係じゃありません!

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・今のところは/////。

 

まぁ、そりゃ、なれたら、嬉しいことは嬉しいよ。

嬉しいですとも、こんな可愛い娘と恋人というのは男として憧れる。

 

桃香はどう思っているのだろう?桃香の方に近づき、顔を覗き込む。

 

一刀「桃香さん、お顔真っ赤ですよ?」

 

桃香「えぇ! それはご主人様の間違いじゃないのかな?」

 

子A「2人とも真っ赤だよ!」

 

桃香&一刀「「そんなことありません。」」

 

 

俺たちは警羅が終わるまで、終始顔を赤くし、無言だった。

 

何とも気まずい。

 

翌日、顔を合わせたら、桃香は顔も赤くした。

愛紗が俺と桃香をジトーと見ているので、俺はその場を去った。

 

 

 

 

一刀×愛紗 2

 

「正しい罰の与え方」

 

視点:一刀

 

あの愛紗が、何時も凛とし、武人として振るまうあの愛紗が・・・、

あの愛紗が俺の前で泣きながら、土下座をしている。そしてひたすら、

 

愛紗「申じ訳ごじゃいませんでじだ。ご主人ざま!

   ごの関羽雲長、いがなる罰も受げまず!」

 

なぜこういう状態に?

 

一旦、愛紗を落ち着かせ、事情を聞いてみた。

 

愛紗の話を要約すればこうだ。

廊下ですれ違った時に俺の顔が赤いことから風邪をひいたと思い、愛紗は自分でお粥を作ろうとした。

早く良くなってほしいという想いから、普通のお粥ではダメだと判断、山に行き、食材集めをし、それらを出汁にお粥を作ったらしい。

で、俺はそのお粥を食べた。

完食後、愛紗はそのお椀を洗い、調理器具の片づけをしていた処、ジェネシスさんが厨房に来て、色の凄いキノコやヤドクガエルを見つたらしく、愛紗に「この毒物で何を作った?」と聞いたらしい。

愛紗は自分の過ちに気付き、俺の元に駆けつけたら、俺は泡を吹いて、気絶しており、顔は引きつりながら、紫色に腫れたらしい。

 

(そんな顔してたの俺?見てみたいわ。俺凄いな。俺人間か?)

 

一刀「大丈夫だよ。愛紗。」

 

愛紗「しかし、私は事故とは言え、危うく尊敬するご主人様を殺してしまう所だったのです。私に罰を与えてくれないと私の気が治まりません。」

 

と、また土下座し泣きながら、ヒステリックに叫んで打ち付ける。

額が痛そうだ。

 

 

困った。 考えろ!北郷一刀!

 

おそらく、罰を与えなければ、愛紗は落ち着かないだろう。

愛紗の性格上、ここで、無罪を言い渡せば、愛紗は自分を追い込む可能性がある。

となると、愛紗に罰を与えなければならない。

では、愛紗の気が治まる罰を考えろ!罰とは犯した罪に相当でなければならない。

ここで軽い罰、例えば、愛紗にデコピン1回なんて罰は、俺は良くとも、愛紗は納得しないだろう。

重すぎれば、愛紗は納得しても、俺の良心が痛む。

俺を慕って、心配して、看病してくれたのだ。では、どうする?どの程度の罰が最適だ?

目には目を歯には歯をという言葉があるが、あれを食べさすわけにはいかない。

成分聞いたが、普通あれ死ぬぞ…。

だったら、料理関係で罰を与えるか…

また、料理を作ってくれなんて言えば、違う毒物が出てくるかもしれない。

気持ちを込めた料理でも、不味いのはまだ良い。

だが、毒はさすがに・・・。

考えろ!北郷一刀!・・・・

 

そして、罰内容決定。

 

 

 

一刀「では、関羽雲長! 君の次の非番の日を取り消す。

   その日は料理の本を自費で買い、料理の勉強に励み、過ちを繰り返さないこと!

 

 いいね。」

 

俺は厳しい口調で罰を言い渡し、最後は優しく言う。

愛紗は納得し安心したのか、左の服の裾で涙を拭くと

 

愛紗「はい! この関羽雲長!

   この罰耐え、ご主人様の為に、料理の腕を上げてみせます。」

 

一刀「うん。楽しみにしているよ。(ニコッ)」

 

愛紗「・・・・・///////」

 

数日後、俺は愛紗の料理を食べたら、またその数日後目を覚まし、記憶が無いことに気付き、また土下座をしている。

愛紗には料理に関する本ではなく、毒物に関する本を買わすべきだったか?

 

 

 

 

一刀×朱里&雛里 1

 

「おむらいす」

 

視点:一刀

 

俺は猛烈にオムライスが食べたい。

理由はなんとなく!

 

いやだって、そうでしょ?

今日食べたい料理なんて論理的に説明しにくいじゃないですか。

と言う訳で俺は厨房に向かう。

 

久しぶりに鍋を振るう。

ご飯を炒め、卵で皮を作った。

ここで、重大な事を思い出した。

 

ケチャップが無い!

 

仕方が無いからチリソースを作る。

トマトが無いので、トウガラシで赤色を着ける。

チリソースができたころにはオムライス本体は冷めていた。

ため息が出る

 

一刀「はぁ……。」

 

朱里「ご主人様! どうかなされたのですか?」

 

一刀「あぁ、朱里に雛里!

   こんなところでどうしたの?」

 

雛里「お腹がすいたので、ご飯を食べようと思って…。」

 

一刀「そっか。」

 

朱里「それはなんですか?ご主人様?」

 

一刀「あぁ、これ?

   これはオムライス。俺の世界の料理だ。」

 

朱里&雛里「「天の国の料理ですか?」」

 

一刀「でも、タレを作る前にオムライスを作っちゃったから、冷めてしまって困ってたとこ。」

 

朱里「そうだったのですか。

   もしよろしければ、同じの作ってくれませんか?」

 

一刀「いいよ。」

 

俺は先にチリソースをさっきのレシピで作った。

その後、2人分のオムライスを作った。

完成したが、ここでこのままチリソースをかけて出すと面白くない。

俺はいたずら心でオムライスの上にチリソースで文字を書いた。

 

 

 

 

朱里「これは文字ですか?」

 

一刀「うん。そうだよ。」

 

雛里「なんと読むのですか?」

 

一刀「朱里のには「しゅり」。雛里のには「ひなり」って書いてある。」

 

朱里「はわわ! 私のおむらいすに私の名前を書かれたのですか?/////」

 

一刀「嫌だった?」

 

雛里「えっと…、あのその……/////」

 

あれ2人共どうしたの?

俺は冷めたのを2人に食べさせたくないから、朱里と雛里の名前を書いただけなんだけど?

 

朱里「ご主人様の国の文字は丸くて可愛いですね。」

 

一刀「そうだね。他にもあったんだけど、この文字にした。」

 

雛里「他にはどのような文字があるのですか?」

 

一刀「この文字はひらがな。後は漢字かアルファベットもあったけど、ひらがなで良かった。

   2人の可愛らしさが表現できて(ニコッ)。」

 

朱里&雛里「「はぅーーー/////」」

 

一刀「じゃぁ、食べようか。2人とも」」

 

朱里「食べるのが勿体ないです。」

 

朱里は悲しそうに言う。

 

雛里「私も…。」

 

雛里も悲しそうだ。

2人とも何時まで経っても蓮華を持とうとしない。

 

一刀「だったら、また今度作ってあげるね。」

 

朱里「はわわ! ホントですか?」

 

朱里は身を乗り出して言う。

 

一刀「あぁ…」

 

雛里「嘘だったら、ご主人様の……。」

 

何?雛里さん、その続き言って!

気になって仕方が無い。

 

朱里&雛里「「では、いただきます!」」

 

一刀「めしあがれ。そして、いただきます。」」

 

パクッ

 

 

 

 

3人「「「辛――――!」」」

 

チリソース赤くするのにトウガラシかなり入れたの忘れてた。

 

一刀「ごめん。トウガラシ入れたの言うの忘れてた。」

 

朱里&雛里「「ごひゅひんはま!」」

 

2人は涙目だった。

今度作るときははちみつを多めに入れよう。

 

 

 

 

ジェネシス×星 1

 

「二人の同類項?」

 

視点:星

 

今日の私の予定はもう無い、つまり今日の仕事が終わった。

今日は天気も良いので、私は城の城壁より、メンマと酒を持って、城下町を見ることにした。

城下町を簡単に言えば、賑わっているの一言だ。

私は様々な土地に行き、様々な町を見てきた。貧困の差の激しい町。賑わっている町。

だが、天の御使い様のいるこの町とかつて居た白蓮殿の治めるあの町の賑わいは違った。

他の町では見られないものがこの町とあの町には多く存在する。

 

今、見ているものは知の御使いである主が提案した公園と言うものだ。

公園は老朽化し誰も住んでいない廃屋を取り壊し、遊具を付けた空き地のことらしい。

民達の近所同士の交流を深めたり、子供の遊び場を提供することができたのなら、町全体の治安維持に貢献したり、道での子供の事故を減らす効果がでる。

そして、公園はこれらの効果をもたらすと主は言う。

実際、子供の道での事故が減ったという報告を先日聞いた。

また、我々が決めた決まりごとを民達に発表する場としても使っている。

 

そうやって、色々なものを見ている。

今は城壁より内側つまり、城内を見ている。

ジェネシス殿が中庭の花壇の付近の樹にもたれる体制で座っていた。

 

星 「何をしておられるのだ?行ってみるか。」

 

私は中庭へと向い、ジェネシス殿に声をかけた。

 

ジェ「さっき、町に行った時に林檎を買って食べたのだが、俺の故郷の物と比べると美味しいと言えるような代物でなかったのでな。

   そこの蟻にやったら、群がってきたので、それを見ていたところだ。」

 

星 「故郷の林檎はそんなに美味なのですか?」

 

ジェ「あぁ、歯ごたえ、甘さ、程良い酸味どれをとってもそこの林檎とは違う。」

 

星 「左様ですか。

私はこの種類の林檎しか食べたことが無いので一度食べてみたいものですな。」

 

ジェ「種はあるし、気候的には問題が無いのだが、土が違う。今は無理だ。」

 

星 「ジェネシス殿の故郷と此処の気候は似ているのですか?」

 

ジェ「あぁ、それほど、高温でもなく低温でもない。

   雨もそれなりに降る。湿度も悪くは無い。

   日照時間も問題ない。」

 

星 「ジェネシス殿も旅をなさるのですか?」

 

ジェ「昔の仕事柄、色々なところへ行っただけだ。」

 

星 「ほう。例えば?」

 

ジェ「雪が常時降っているところ、草木も生えないところ、草原しかないところ」

 

星 「世界は広いですな。

ところで、先ほど、土が違うとは仰いましたが、

故郷の林檎について詳しいようですな。

その故郷の林檎名前教えていただけませんかな?」

 

 

 

 

ジェ「バノーラ・ホワイト。通称、馬鹿リンゴだ」

 

星 「『ばのーらほわいと』?

またの名を馬鹿リンゴですか。これは面白い名前だ。

して、何故馬鹿なのです?」

 

ジェ「1年中季節を気にせず実を付けることからそう言われている。」

 

星 「フフッ。親しみやすく覚えやすい良い名前だ。

   ところで、実が実りましたら、私にも頂けるのでしょうな?

   それとも、ジェネシス殿は一人で食べるような狭い心をお持ちですかな?」

 

ジェ「どうだろうなぁ。」

 

愛紗なら「私はそんなに心狭くないわ!」って叫びそうだが、この人は動揺しない。

ふむ。どうやって馬鹿リンゴを食べさせてもらう確約を取ろう。

とりあえず、会話を続けて何か探ってみるか。

 

星 「馬鹿リンゴはどうやって食べるのが美味なのですかな?」

 

ジェ「失敗料理以外なら大抵は美味い。」

 

そりゃぁ、そうでしょう。

失敗料理が美味いはず無いでしょうに…。

 

星 「生と焼きとではどちらの方が?」

 

ジェ「焦げてなければ、それで良い。」

 

そりゃぁ、そうでしょう。

焦げてるリンゴが美味い訳ありますまい。

 

はぁ…。愛着のあるリンゴの好みの食べ方ぐらいあるでしょう。

 

この人を手玉にとって遊ぶのは難しいようだ。

 

私はため息を漏らす。

すると、ジェネシス殿はため息をついた私を見て、

 

ジェ「そういうお前はメンマはどうすれば、美味いと思う?」

 

なるほど、

私もメンマであれば、失敗料理以外でなければそのメンマ料理は美味いと感じるだろう。

この人にとっての『ばのーらほわいと』通称馬鹿リンゴは私にとってのメンマだったのだ。

それであれば、馬鹿リンゴを食べさせてもらう確約は要りませんな。

 

星 「これは一本とられましたな。ジェネシス殿。」

 

ジェ「フッ、なんのことだ?」

 

笑いながら、惚けるとは、何とも食えないお方だ…。

ジェネシス殿は立つと林檎酒を買いに行くと言って、何処かに行ってしまわれた。

 

星 「これを見ておられたのか。

しかし、これはちょっと引きますぞ。」

 

私はジェネシス殿が捨てた林檎の実に蟻が集り、赤い林檎が黒くなって蠢いているのを見てしまった。

 

私とジェネシス殿の間に少ない共通点が見つかったが、それでも、やはり根本的に何か違うようだった。

 

今日は苦笑いしながら語るような1日だった。

 

 

 

 

ジェネシス×朱里&雛里√

 

「観察記録」

 

視点:雛里

 

今日は非番です。

私は今朱里ちゃんと一緒に廊下をある目的で歩いています。

理由はストーキn…ではなく、ある人の観察です。

ジェネシスさんです。

 

なぜ、このような事をしているかというと、ちょっと昔話をします。

 

私達が紅白の御使い様が居られる公孫瓚さんが太守の町に行き、紅白の御使い様を探していた時、私達は変な賊に襲われました。

とても、怖かったです。

でも、ジェネシスさんが助けてくれました。

お礼は言いましたが、何かお礼がしたかった私と朱里ちゃんは何かしようとしたのですが、

 

朱里「何をしたら、ジェネシスさんは喜んでくれるのでしょう?

   何か策はある? 雛里ちゃん?」

 

雛里「分からないよ。朱里ちゃん。

   私達、ジェネシスさんのこと全然知らないよ。」

 

そうなのです。

ジェネシスさんに関する情報は全くと言っていいほど何もないのです。

そこで、私と朱里ちゃんで今度の非番にジェネシスさんを観察することになったのです。

 

そして、現在、廊下の角から顔を出して、ジェネシスさんの部屋の前を監視しています。

 

星 「これはこれは、我らの二大軍師様が何を覗いておられるのですかな?」

 

朱里「はわわ!星さん!」

 

雛里「これはその…あの……。あわわ…。」

 

最もこの現場を見られたくない人に見られたでしゅ。

何かこの人を巻く策は?

 

星 「この先の部屋は確か主とジェネシス殿の部屋しかないはずですが、

   ははぁーん。」

 

やばいです。

頭の怪物が逃げろと危険信号を送っています。

此処は逃げるが勝ちで―。

 

星 「まぁ、そう何処かに行かずともよいではありませんか。軍師殿(ニヤッ)」

 

私と朱里ちゃんの袖をつかむ星さん。

満面の笑みで笑ってる。星さんが笑ってる。

完全に面白いモノを見つけた顔をしてます。

 

星 「今、主は執務室に居るはず、となると目的はジェネシス殿ですかな?(ニヤッ)」

 

完全に目的を見破られたです。

八百一本以外にも弱みを握られてしまいました。

もう、終わりです。降伏しかありません。

 

星 「ジェネシス殿でしたら、先ほど中庭で見かけましたが、何処かに行かれましたぞ。」

 

朱里「そうですか。どちらに行かれたか分かりますか?」

 

星 「えぇ、なんでも、林檎酒がどうのと言っておられましたぞ。

   しかし、やはりジェネシス殿でしたか。(ニヤニヤ)」

 

雛里「あわわわ! 逃げるよ、朱里ちゃん!」

 

私は朱里ちゃんの手を握って、城下町へと走りました。

 

 

 

 

私は城に一番近い交番に行き、ジェネシスさんを見ていないか聞きました。

 

警羅「えぇ、先ほど見ましたよ。

   あの方は北郷様や劉備様とは違った意味で目立ちますからな。」

 

朱里「どう目立つのですか?」

 

警羅「北郷様や劉備様は人が寄ってくるのですが、

あの人の場合、人が避けていくのですよ。

   あの方は近寄りがたい雰囲気を発しておりますからな。

   ですが、1兵士として、あの方の強さには憧れています。」

 

たしかに、ジェネシスさんの部隊に入りたいという希望者は多いのですが、

ジェネシスさんは仕事をしないもんですから、部隊が機能しないんです。

だから、少し前に部隊は解体されて、愛紗さんや星さんの部隊に配属されました。

ジェネシスさん自身は北郷隊の副官という立場に成っています。

 

雛里「そうですか。

で、どちらに行かれたか分かりますか?」

 

警羅「この前の道をまっすぐ行かれて3つ目の角、肉まんの屋台の角を左に曲がりましたぞ。」

 

朱里&雛里「「ありがとうございましゅ」」

 

そう言うと私達は走って、肉まんの屋台の角を目指した。

その角を左に曲がって少し行ったところの酒屋さんにジェネシスさんは居ました。

ジェネシスさんは中年の店主と話をしています。

ちょっと近寄ってきいてみよう。

私は隠れながら、朱里ちゃんと酒屋に近づきます。

 

店主「いつもありがとうございます。ジェネシス様」

 

あわわ!

あの店主さん、ジェネシスさんをちゃんと「ジェネシス様」と発音できてます。

付き合いがそれなりにあるようです。

 

私は最初上手く発音できなくて、困ってました。

桃香様が言うには「『ジェ』の発音のコツは『ジエ』を早く言おうとすると『ジェ』になる」と言ったので、練習して言えるようになりました。

 

ジェ「最近の俺の楽しみはこの林檎酒とLOVELESSぐらいの物しかなくてな。」

 

店主「確かに、林檎酒を扱っている店は此処だけですからな。」

 

ジェ「フッ、それでは、この店が潰れては生きていけないな。」

 

店主「では、もっと売り上げに貢献して下され。」

 

ジェ「考えておく」

 

そう言うと酒の入った壺を手提げ袋に入れるとまた歩きだしました。

 

 

 

 

次に着いたところは八百屋でした。

店主はジェネシスさんを見て驚きましたが、接客を始めました。

他の客も動揺しています。

 

店主「いらっしゃいませ。御使い様。今日はどういった要件で?」

 

ジェ「林檎はあるか?」

 

店主「林檎? 林檎でございますか?

   ありますが…。」

 

ジェ「1つくれ。」

 

店主「分かりました。」

 

ジェネシスさんはお金を渡しますが、

 

店主「いえいえ、御使い様からお代はもらえません。」

 

ジェ「此処にいる俺は客だ。御使いではない。」

 

ジェネシスさんは店主を睨みます。

店主さんは慌てて

 

店主「はいぃ! 分かりました。お代頂きます!」

 

ジェネシスさんは林檎を貰うと袋に入れ、城へと向かいました。

 

店主「ふぃ―。うわさ通りおっかねぇ―人だな。」

 

私は朱里ちゃんとジェネシスさんを追いかけます。

ジェネシスさんは城内に入ると、歩きながら林檎を齧りだしました。

 

ジェ「41点。」

 

あの林檎の評価でしょうか。

林檎を屑かごに捨てて、自分の部屋に入りました。

 

朱里「雛里ちゃん…。 何か分かった。

   私は一つだけ分かったよ。」

 

雛里「私もだよ。 朱里ちゃん。」

 

朱里&雛里「「林檎好き」」

 

この後の話会いで今度の非番は林檎料理をすることになりました。

 

 

後日談:

星さんに「ある人を観察する2人を観察した記録」の朗読が数日後の酒宴でされました。

ジェネシスさんは肉まんの屋台の角辺りから尾行に気づいていたらしく、この星さんのお話には無反応でした。

 

あわわわー

 

もう、泣きたいでしゅ。

 

 

 

 

ジェネシス×愛紗√

 

「興味が膨らんだ日」

 

視点:愛紗

 

私はジェネシス殿の事を考えていた。

 

本当にあの人は行動も強さも思考もわからないことだらけだ。

彼のこれまでのやってきた事は持ち場放棄回数6回、勝手な指揮権譲渡回数11回、軍議不参加回数14回。だが、彼はどの戦においても必ず良い結果を出した。

その事もあって不問とされているが、彼の部下達に対して示しがつかないので、ジェネシス隊は解体され、彼の部下となった者達は他の部隊に配属された。

 

つまり、彼は武に長けているが、将としての能力は誰よりも低い。

 

私はそんなジェネシス殿に怒りを覚えながらも、少し興味を持ったのは認めたくなかったが、事実である。

 

星が仲間となったので、酒宴を開くことになった。

酒宴はドンチャンワイワイの大はしゃぎに発展したが、疲れて鈴々とご主人様は横になって寝始めた。

私もハシャギ過ぎ疲れ、気分転換に夜風に当たりに行った。

酔いも冷めて、外が肌寒く感じてきたので自分の部屋で寝ようとしたが、酒宴を開いていた部屋の前を通ると透き通った声が聞こえてきた。

部屋を覗くとジェネシス殿の両脇には星と桃香様が座っており、ジェネシス殿は何時も読んでいる『らぶれす?』という本を朗読していた。

やはりあの声はジェネシス殿だったらしい。

 

 

ジェ『君よ 飛び立つのか

 

   我らを憎む世界へと

 

   待ち受けるはただ過酷な明日

 

   逆巻く風のみだとしても

 

 

   君よ 希え

 

   命育む女神の贈り物を

 

   約束の無い明日であろうと

 

   君の立つ場所に必ず舞い戻ろう』

 

 

以前桃香様がジェネシス殿に『らぶれす』がどのような物語なのか、以前から教えてもらっていたらしい。

 

だが、原文は難しいので、原文を読んだ後に、分かりやすく話してくれるらしい。

以前から、桃香さまよりこの『らぶれす』の話を伺っていた。

 

 

確か前回は

 

『戦争で捕まった男が脱走に成功したが、瀕死の重傷を負い、男は女神の贈り物が何なのか分からないまま、息を引き取ろうとしていた。

だが、そこにある女性が現れ、彼を保護し、一命を取り留めた。

彼を救った女性は彼にとって敵国の人だった。

正体を明かせば殺されると思い男は自分の身分を偽り、女と当分住むことになった。

やがて、女性と恋仲となり、穏やかな隠遁生活を始める。

生活が慣れてきた頃にあることを聞く、それは『女神の贈り物』が未だに分かっていないことだった。

そして、友との誓いと今の幸福な生活のどちらを取るかで葛藤する』

 

という流れだったはず。

 

 

私は元の席に座り、酒を飲むふりをしながら、彼の声に耳を傾けた。

彼の事を知るいい機会だった。

 

 

今日の話は

 

『捕虜だった男の祖国が戦に巻き込まれたことを知る。

それだけではなく、この国も戦争に巻き込まれそうになることを知った。

そして、男は誓いを選び、再び『女神の贈り物』を探す決意をし、恋人に自分の正体と決意を伝える。『女神の贈り物』が世の至福へと導くことを信じて。

だが、恋人は男が身分を偽っていたことも何かに葛藤していたこともを知っていた。

そして、男は恋人の元を去ろうとする。

しかし、恋人は男と過ごしていたかった。なぜなら、恋人は戦で家族を失っていたからだ。

再び孤独になることを嫌った恋人は男を必死に引き留めようとするが、

男の意思は固かった。

そして、男は恋人に別れの言葉言う。』

 

 

ジェ「『もちろん…… ここに帰ってくるよ。約束なんかなくとも待っていてくれる人が居ること、俺は、知っているから』と言い、捕虜だった男は恋人の元を去った。」

 

 

 

 

愛紗「ビエ――――――――――!」

 

星「愛紗?」

 

桃香「愛紗ちゃん!? 

大丈夫、男の人は『女神の贈り物』を手に入れて、戦争も終わって、皆幸せになって、男の人は絶対恋人の元に帰ってこれるよ。

大丈夫、大丈夫だよー。

愛紗ちゃん、泣くこと無いよ。」

 

愛紗「ヒッグッ、エ――!」

 

桃香様は私の頭を抱きしめて、赤子をあやすように語りかけてくる。

星とジェネシス殿はこちらを向いて固まっている。

それでも、私は咽び泣き続けた。桃香様や星、ジェネシス殿の前で、

普通にこの話を聞けば、泣く要素は理由が多すぎる。挙げきれない。

 

だが、私はこの物語に泣いたのではない。この物語の捕虜の男の台詞に泣いたのだ。

 

この台詞が悲しかったのではない。怖かったのだ。

 

 

 

 

言われたくない。誰にもこんな言葉…。

 

言いたくない。誰にもこんな言葉…。

 

こんな呪いの言葉…。  「帰ってこない」という不安になる呪いの言葉…。

 

 

だから、

私はこの国を捕虜の男やその恋人のような者がでない平和へと仲間と共に導こうと

もっと、強くなろうと

そう心の中で誓った。

 

そして、私はジェネシス殿に対し、更なる興味が湧いた。

 

なぜこの本を読むのか?

あの強さはなんなのか?

何を考えているのか?

なぜ一人になろうとしながらも、私達の為に剣をふるうのか?と。

 

私の疑問は尽きなかった。

 

 

 

 

どうも、黒山羊です。

 

いつもいつも、このマイナーなお話を読んでいただき誠にありがとうございます。

 

簡単な次回予告です。

と言っても、すぐ出してまうんですけどね、

 

原作とは違う流れになります。

一刀&ジェネシス×朱里&雛里の話になります。

では、皆さんすぐにお会いいたしましょう。


 
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