No.202178

真・恋姫無双 夜の王 44話

yuukiさん

真恋姫無双夜の王第44話。第43話の続きです。

2011-02-18 01:06:32 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:7988   閲覧ユーザー数:6211

この作品の一刀は、性格、武力ともに原作とは異なっています。

 

また、一部キャラを否定する場面もございます。

 

ご理解をお願いいたします。

 

 

まだまだ誤字、脱字や分かりにくい表現などもあると思いますが、

 

こんな自分の作品でも楽しんでいただけたら幸いです。

 

 

翆が扉を潜り抜けるのを確認して、とりあえず安堵する。

 

小蓮「ねえ、いいの?一刀」

 

一刀「ああ、仲間より大陸の平定を目指すなら、それは魔王じゃなく覇王だ」

 

小蓮「そっか、「それに」それに?」

 

一刀「泣いている彼女を後回しになんてしたら俺(鳳然薦)は俺(北郷一刀)じゃなくなる」

 

小蓮「、、、ふふ、甘いね一刀♪でも、ねえ一刀」

 

肩に触れられ、呼ばれたので顔をそちらに向ければ

 

一刀「なんだ?」

 

 

     チュ

 

 

唇に柔らかいモノが触れる

 

小蓮「そんなあなたが、シャオは大好きだよ」

 

一刀「、、、、場所を弁えろ。俺は王で此処は王座の間だぞ」

 

小蓮「あは、照れちゃって可愛い」

 

一刀「黙ってろ、俺は忙しい」

 

小蓮「そうだよね。これ、止めなきゃだもんね」

 

 

下に眼を向ければ、眼に映るのは慌てふためく文官と取り合えず剣を抜き争っている兵士の姿

 

兵士「どっどうすればいいんだ?」

 

兵士「間から出てったんだ。追うしか無いだろ!」

 

兵士「おっ追うって誰を?馬岱将軍か?高定の奴か?」

 

兵士「関羽達も出ていったぞ。高定の仲間なのか?」

 

兵士「でも劉備と趙雲はそこに立ってるぞ。どうなってるんだ?」

 

兵士「俺に聞くなよ!ああ、何故こんな時に限って興煜様も寛項様も居ないんだ!」

 

兵士「いや、居たら居たで大変だぞ?謀反なんて聞いてあの二人が正気で居られる筈がない」

 

兵士「だな、良くて皆殺し、悪くて虐殺。後片付けが大変だ」

 

兵士「それ、どっちも一緒じゃないか?全員死んでるぞ。それに大変なのはそっちじゃ無いだろ」

 

兵士「そうか?大変だぞ。燃えるゴミと燃えないゴミにわけなきゃなんないし」

 

兵士「そうだぞ。髪の毛や皮膚燃やすと変な臭い出るし。なあ?」

 

兵士「そうだな。臭いもんな」

 

兵士「お前達、、ずげえ怖ええこと言ってんぞ?正直引くわ~」

 

 

などという言いあいを繰り広げている。

 

最後の方の兵士は多分獅堂の隊の者なんだろうな、相変わらずあいつの元に集まる奴はガラが悪い

 

 

兵士「よし、とにかくどうするんだ!」

 

兵士「俺が知るか!」

 

文官「とりあえず落ち着くことを進めよう」

 

兵士「いや、今すぐ動いた方が良い!」

 

文官「まったく、これだから頭の軽い奴らは、、」 ボソッ

 

兵士「テメー!今、なんて言った!」

 

文官「考えることもできぬ者の頭が軽いのは当然だろう」

 

兵士「黙れよ、さっきまで気絶してた貧弱堕落虫が!」

 

文官「なっ、貴様!貧弱は百歩譲って認めよう。だが堕落だと!我らを昔と一緒にするな!」

 

文官「そうだ!元は盗賊の分際で!」

 

兵士「盗賊だと!テメーらこそ、ふざけんなよ!俺達は変わったんだ!」

 

??「あわ、あわわ~~~」

 

 

小蓮「ありゃりゃ、喧嘩しちゃってるね」

 

一刀「ああ、全員混乱してるんだろ。気がったってるな」

 

小蓮「どうするの?」

 

一刀「こうする  スーーー  」

 

 

俺は深く息を吸い込み

 

     

   「静まれーーーー!!!!!!」

 

    

     

   「「「「「ビクッ」」」」」」

 

一気に吐き出した。

 

 

一刀「全員混乱しているだろうが落ち着け。今から指示を出す」

 

落ち着きを取り戻した彼らは文官武官分け隔てなく、真剣な眼差しでこちらを見る。

 

一刀「凪、真桜、沙和、「「「はい(なの)」」」三人は此処に居る兵、警備隊を率いて”俺に害のある者”を捕えろ。、、、意味は分かるな?」

 

凪 「元より、心得ております」

 

真桜「(つまりは、翆と蒲公英と逃げた奴は見逃せいうことやな)」

沙和「(たぶんそのとうりなの)」

 

 

一刀「風、音々は文官達とできるだけこの謀反を民に知られないようにしろ」

 

風「お言葉ですがお兄さん。完全に隠すのは無理ですよー」

 

一刀「分かっている。敵を捕える時間さえ稼いでくれれば良い。最悪、隠密機動を使って”情報処理”してもかまわん」

 

音々「分かりましたぞ!けど、、できるだけその手段は使いませんぞ」

 

一刀「ああ、好きにしてくれ。麗羽と恋はもしもに備えて俺の傍に居ろ」

 

恋 「 コクッ 」

 

麗羽「ええ、わかりましたわ」

 

 

一刀「小蓮、斗詩、猪々子は町の防衛を優先してくれ。最悪、街にでて暴れ出す者も居るだろう」

 

小蓮「はーい」

猪々子「おう!」

斗詩「はい!」

 

 

一刀「皆、すぐに動き出せ!今この一分一秒が後の一年の消失に繋がるぞ!」

 

  

        「「「「御意!」」」」

 

 

 

こうして、高定反乱と呼ばれる事件は起きた。起きてしまった。

 

だが、その乱がどうなったかは語るまでもないだろう、

 

俺の部下であり、仲間であり、友である彼ら、彼女達は優秀だ。

 

その乱は日が沈まぬうちに一旦は終幕した。

 

首謀者である高定、馬岱、それに追随した馬超、関羽、張飛、厳顔、諸葛亮、魏延

 

以下の者を除き、乱に関係したと思われる兵、官、民、計246人を捕えることにより

 

 

そして今、俺は街を一望できる城壁の上に立っている。

 

部下、友、民、

 

そして、拘束し首を城壁の上から街の方に突き出させた246人の生贄と共に

 

 

後に、洛陽大懺罰と記されるであろう、愚行。

 

ただ7人の人を救うためにその35倍の人を殺す。

 

その瞬間を、雨が降る中、曇天の空が夜の空へと変わるその時を

 

 

日が沈むまでの間に語っておこう。

 

少し前、今この瞬間俺の横に立っている“桃香”としたやり取りを。

 

 

将に兵、文官までもが反乱の火消しの間から出て行った中、俺は動かず間を見据えていた。

 

砕けた剣、敗れた鎧、散乱する血飛沫、それが俺の作った国の姿。

 

わかっていた、理解していた。こうなってしまうことも、こんな結末があることも。

 

何かを救うということは、何かを救わぬということだから。

 

大義を貫くということは、大義以外何も見ないということだから。

 

 

しかし、それでも心には幾ばくかの悲しみが宿っていた。

 

 

麗羽「一刀さん。どうかいたしましたの?」

 

恋 「かずと? クイ クイ 」

 

麗羽の声と、恋に袖をひかれることで俺の意識は現状に戻って来た。

 

一刀「いや、なんでもない。少し感傷に浸っていただけだ」

 

麗羽「そうですか、なら良いですわ」

 

恋 「ねえ、かずと、、いいの?」

 

意識を戻しても袖を引くのをやめない恋に首をかしげる。

 

一刀「何がだ?」

 

恋 「獅堂と一蝶。、、、このこと、、、知らない」

 

納得がいった俺は恋の頭をポンポンと叩きながら苦笑する。

 

一刀「良いんだよ。今、あいつらにこのことが知られればそれこそ問題だ。高定と言葉を交わしたという理由だけで何も知らない侍女まで殺しかねない」

 

恋 「んっ、、、そっか」

 

麗羽「はあ?獅堂さんなら分かりますけど、一蝶さんもそのようなことをしますの?」

 

一刀「ああ、するだろうよ。いい意味でも悪い意味でも二人とも忠君だからな。もし、俺が民を虐殺しろと言えば、迷いなくそれをやるくらいにな、、危いよ、二人とも」

 

麗羽「うーん。一刀さん、そう言えばあの二人とはどういう馴れ初めですの。私、興味が有りますわ」

 

一刀「そうだな、そのうち話してやる。それより、今はすることが有る」

 

興味深々と言った様子の麗羽の笑顔から顔を背け、前に目線をやる。

 

そこに居たのは、俺達と同じく動かずに間に残った劉備、趙雲、黄忠、鳳統の四人だった。

 

 

劉備「鳳薦さん、あの「関羽や数人の将、軍師が高定に続いたが、袂を別ったと見ていいのか?」

、、、はい」

 

一刀「で、何故、お前は残った。劉備」

 

劉備「戦いたくないって、戦うのは間違っているって思ったからです。もし、馬超さんや馬岱さんだけじゃ無く私まで行ったら、本当に大変なことになってしまうから」

 

そう言う劉備の瞳には確かな信念が宿っていて、

 

 

この覇気、流されることも無く自分の道は自分で選んだか

 

 

思わず笑みがこぼれる

 

一刀「そうか。それで?何も用が無いなら離宮に戻っていて欲しいんだが」

 

劉備「鳳薦さんにお願いが有ります!私を、天に加えてください!」

 

そう叫ぶと、劉備は跪き臣下の礼をとってきた。

 

一刀「、、、分かっているのか?自分が何をいっているのか」

 

劉備「はい」

 

一刀「お前達もそれでいいのか?」

 

趙雲「それが桃香様の望みなら、致し方あるまい」

 

黄忠「ええ、」

 

鳳統「は、はひ」

 

劉備の後ろに居た三人を見るが、返って来たのは意外にも肯定だっだ。

 

 

彼女たちが仲間になってくれるというのは、正直に言えば嬉しい。

 

   

  しかし、

 

 

一刀「劉備、」

 

劉備「なんですか?」

 

 

聞かねばならないこともある。

 

 

一刀「俺は、正しいか?」

 

簡単な問いだ。部下になるのなら、主が正しいと思うこと。それが一番重要なこと。

横にいる恋や麗羽、そして獅堂や一蝶がそうであるように、

 

 

しかし、返って来たのは

 

  『いいえ』

 

否定、だった

 

 

 

劉備「鳳薦さんは間違っています。戦って、戦ってばっかりで人が死ぬのを気にもしない。戦争の時はニヤニヤしているし、意地悪だし、何時でも女の子連れて歩いているし。そんなんだからみんなに魔王なんて呼ばれて嫌われているんだと思います」

 

その上、これでもかと言うぐらいに悪口を言われた、、

 

麗羽「なっ、劉備さん!貴方、一刀さんになんてこと「いい、麗羽」、は、はぃ」

 

一刀「俺は間違っているか。なら、何故天に入ろうと思ったんだ?」

 

劉備「鳳薦さんは間違っている。けど、その間違えは誰でも持っているものなんです。曹操さんだって、孫策さんだって、私だって、、、誰かを守りたい、その願いが有るなら。だって、確かに世界には戦争があって、剣を握らなきゃ守れない人が居て、剣を握ってでも守りたい人がいるから、、」

 

徐々に小さくなっていく言葉、けれど最後まで、そう最後まで言い切った。

自分が間違っていたと認め、その上で俺も間違っているのだと、言い切ったのだ。

 

劉備「けど、私は言いたいんです。大陸のみんなに伝えたい!人を殺すことも、傷つけることも、間違っているって!いけないことなんだって!綺麗事かも知れません、でも、それが正しいことなんだって、、、」

 

それだけで、その言葉が俺の心に響かせるのには十分だった。

 

劉備「叫んでいたいんです。人を傷つけることは間違っているって。誰よりも人を傷つける貴方の横で」

 

一刀「それこそ綺麗事だな。滑稽に映るぞ?俺の傍で、戦わないのが正しいなどと叫ぶことは。俺は戦い続けるからな、戦って戦って殺し続ける。俺の願いが叶うまで、それこそ華琳や雪蓮などとは比べ物にならないくらいの人を殺すかも知れない」

 

劉備「数の問題じゃありません。一人でも、人を殺した時点でみんなが間違っているんです。鳳薦さんも私も同じです。、、死ぬべき人は居ても死んで良い人なんて一人も居ないんです」

 

 

そこで沈黙、、お互いに眼を逸らさず、真っ直ぐと相手を見据えていた

 

 

劉備「鳳薦さん、私の理想は間違っていますか?」

 

一刀「ああ、間違っている。荒唐無稽、戯言も甚だしい。人を傷つけずに人を救う?それが出来ればどんなに良いか。譲れないんだよ、誰にだって優先順位がある。故に戦って殺し合う。その存在と誇りを賭けてな。それを知ってなお、誰も傷つけぬなどと抜かす”お前の理想”は間違っている。、、、それを知った上で問いたい。俺は本当に間違っているか?」

 

劉備「はい、間違っています。だいたい譲れないから戦うっていうのがおかしいんです。私達は人間で話しあうことが出来るのに。妥協できるものは理想じゃないなんて言う人も居るかも知れません、けど譲り合うことぐらいできる筈です。それに戦って戦って、自分にとっての敵を倒し続けても戦いは終わりません。違う誰かがまた敵になるだけです。それこそ本末転倒じゃないんですか?だから、”貴方の行動”は間違っています」

 

 

間違った理想と間違った行動、一長一短と言ったところか。

しかし、忘れていた。どんなに姿形が変わろうと、女だろうと男だろうと、

今、目の前に居るのは劉備、正史に置いて曹操に『天下に英雄は私と君だけだ』と言わしめた、

劉備玄徳、その人だったんだよな。

 

 

一刀「ふ、ふは、はははは、ははははははははは、そうか、そうだよな」

 

劉備「あ、あの、ほうせんさん?」

 

一刀「いや、悪い。初めてだったから、俺の行動、大義を間違っていると正面から行ってきた人物はお前が初めてだ、劉備。わかった、お前を認めよう。お前には俺を否定する権利が有る」

 

劉備「私を、天に入れてくれるってことですか!「いや、」え?」

 

一刀「お前を部下にはしない。、、そうだな、君主補佐にでもなってみるか?部下では無く、補佐として俺と同列に立て」

 

劉備「えっ、同列って、、いっ良いんですか?「ちょっと待ってくださいまし!」、きゃ!」

 

喋っている劉備を押しのける形で、大声が間に響き渡る。

見ればかなり慌てた様子の麗羽の顔が有った、大口を開けて少し馬鹿っぽい。

 

一刀「なんだ、麗羽?」

 

麗羽「く、君主補佐は私だった筈ですわ!それをその小娘に明け渡すなど冗談ですわ、、よね?」

 

一刀「先の大戦、蜀との戦の時は緊急時の判断でそうしたが、基本的には今だ補佐は不在だった筈だろう?」

 

麗羽「知りませんわ、そんなこと」

 

知らないのかよ、、一様左大臣だろう、、

 

一刀「恋なら覚えているよな?」

 

恋 「恋も、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、知らない」

 

、、、、間が長いからそうだろうと思ったが、マジか。

ツートップがそろってこれとは、、、大丈夫か、この国?まあ、俺の国なんだけど、、、

 

一刀「ともかく!不在だったんだ。なら、何の問題もないだろう」

 

麗羽「し、しかしですね。私は劉備よりも家柄も能力も秀でている筈ですわ!なら、私こそその地位に相応しいと思うのですけれど?」

 

おーほっほ、と胸を張る麗羽。

 

俺としては、劉備も劉勝の末裔だし、血筋じゃ負けてるんじゃないか?

能力は、、、まあ、今の麗羽なら上だと思うけど、、

にしても、そこまで固執するか?君主補佐。確かに響きは良いけど

 

一刀「麗羽、君主補佐はどんなに足掻いても”補佐”だ。実質的な権限は皆無に等しいぞ」

 

麗羽「へ?そうなんですの?」

 

一刀「ああ、上に俺が居るんだ、所詮はお飾りの補佐。正直、”馬鹿以外”やりたがらないと思うが?」

 

麗羽「そうだったんですの、なら別に良いですわ。私は馬鹿じゃありませんし。劉備さんにお似合いの役職ですわ。おーほっほっほ」

 

呆れたように眉を下げて納得した麗羽は笑いだす。

 

、、、扱いやすい、扱いやす過ぎる。管理職としてこれは駄目だろ。

また今度、風と一緒に調きょ、、訓練しないとな。

 

劉備「あ、あの」

 

声がした方を振り向くと、劉備が苦笑いを浮かべていた。

 

劉備「私、馬鹿しかしない役職に就かされるん、、ですか?」

 

しまった、、つい本音が、、。劉備の後ろに居る趙雲と黄忠の視線が痛い。

 

一刀「ああ、実権は皆無、名ばかりの位だ。「そうですか、、」、、、しかし、俺に対する進言はいつ何時も自由」

 

劉備「え?」

 

一刀「補佐、だからな。政務の時だろうが軍議の時だろうが俺が間違っていると感じたら、何時でも間違いを正してくれていい。お前は話し合いで戦いを納めるのだろう?お前の言葉で、俺が行う戦を止められるかも知れない、まあ、できればだが。どうだ?」

 

劉備「確かに、、、私にお似合いかもしれません。わかりました、お願いします!鳳せ「一刀で良い」、、良いんですか?」

 

 

一刀「補佐に、なるんだろう?なら、良い」

 

 

俺は劉備の瞳を見ながら、

 

 

劉備「分かりました。私の真名も、一刀さんに預けます」

 

 

劉備は俺の眼を見据えながら、

 

 

一刀「ああ、わかった」

 

 

相手の手を握りしめた。

 

 

 

 

蜀との凄惨たる戦い、多くの者が死んだ大戦から半年。

 

互いに部下を失いながら、手を取り合う結果となった。

 

それが、一刀にとって唯一この反乱で幸運なことであった。

 

 

そうして俺は劉備、いや桃香と手を取り合うことが出来た。

本当なら部下である趙雲や黄忠、鳳統とも話したい所ではあるが時間がない、

俺はすぐに劉備に初めての仕事の話を始めた。

 

一刀「で、補佐になったお前に俺が今からやるであろうことを話しておこうと思う」

 

桃香「なにかするんですか?」

 

一刀「ああ、人を少し、虐殺しようと思う」

 

桃香「え?」

 

未来のプランを話すと桃香から表情が消えた。

 

一刀「百、いや、二百はいるか?まあ、それ位だ、今回殺すのは。で、何か意見は?」

 

桃香「な、意見はじゃありません!どうしてそんなことするんですか!」

 

怒声を聞き流しながら、自傷の笑みを浮かべる。

 

一刀「どうして?決まっているだろ、反乱があったからだ。実際に動いた者はもちろん、反乱の予兆を知りながら日和見をした者も兵、官、民を問わず全てを処刑する」

 

桃香「じゃ、じゃあ、たとえば高定さんに恩が有って、手心を加えちゃった民の人とかは「一族郎党皆殺しだな」っ、そ、それは幾らなんでもやり過ぎなんじゃないですか!どうして、そんなこと

「守るためだ」、、どういう意味ですか?」

 

一刀「謀反が民に知れ渡れば、民はその首謀者を恨むだろう、馬岱と馬超、蒲公英と翆もな。それじゃ駄目だ、恨みは、、人を殺す。俺は守らなきゃならない、二人を」

 

恨み、憎しみ、そんなものがあれば俺は約束を守れなくなる。

翆と蒲公英の居場所が天から消え去ってしまう。

 

一刀「故に、殺すのだ。民の目を二人から逸らす為に彼女達以外を生贄にする。一人二人じゃ駄目だが、二百も居れば良いだろう。民も納得する。そして、馬超と馬岱は巻き込まれただけだと喧伝してやればいい」

 

守る、どんな手を使ってでも、彼女達を。たとえ、魔道に手を染めようと、

 

桃香「で、でも、罪を問うにしても、みんな処刑なんて、、」

 

一刀「言っただろ、桃香。俺が平和を目指すのは、その方が都合が良いからだ。平和な方が俺は愛した人と一緒に居やすい。大陸の平定もそれだけの為に行うこと、別段虐げようとも思わないけど、民など二の次だ」

 

桃香「、、、、、」

 

一刀「俺は守る、愛した人をどんな手を使ってでも。桃香、お前の初めての仕事だ。俺は”間違っているか?間違っているというなら、俺を否定してくれ”」

 

 

その場に沈黙が訪れ、

 

そして自分の加虐心に少し嫌気がさした。

 


 
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