No.201685

静かなバレンタイン-覇王が少女に戻る日-

shirouさん

この絵を見てその情景を思い浮かべ口から出たセリフがあのコメントでした。そしてあのセリフの続き及び背景を書きたくなったので和兎さんに許可を頂きました。

2011-02-15 00:57:52 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:4176   閲覧ユーザー数:3604

 

-厨房-

 

 

???「なんか甘い匂いがする~流琉~これ食べてもいい?」

 

 

親友に尋ねながら今日届いたばかりの食材からつまみ食いをしようとする桃色の髪の少女

 

 

流琉「あっ季衣!?それはダメ。それは華琳さまの私用厨房に持っていくものだから」

 

 

と、親友が過ちを犯そうとしたのを寸前で止める青い髪の少女

 

 

季衣「そっかぁ華琳様のなら食べたらダメだよね。流琉代わりに何か作って~」

 

 

流琉「はいはい、後でね。先にこれ届けてくるね」

 

 

と、その食材を持って華琳の私用厨房に向かいながら

 

 

(そっか・・・・・・今日は”アノ日”かぁ私も後で作っておこう)

 

と、何か物思いに耽っていた

 

 

 -裁縫室-

 

???「おっ!!このリボンむっちゃ綺麗やなウチのカラクリ夏候惇人形のマフラーに似合いそうや」

 

と、巨大な女性のシンボルを惜しげもなく曝け出している少女がリボンに触ろうとすると

 

 

???「真桜ちゃんそれに触っちゃダメなの~!!」

 

 

眼鏡をかけた少女が大きな声でそれを制止する。

 

 

真桜「なんやなんや沙和大きな声出してからに。そないケチケチせんとちょっとぐらいウチにもわけてぇなぁ」

 

 

沙和「真桜ちゃんがそれを触ってシミ一つでもつけたらカラクリ夏候惇人形と真桜ちゃんは巻く首がなくなるの~」

 

 

と、意味ありげに自分の喉元を掻っ切る仕草をする。

 

 

真桜「そないに大げさな・・・・・・えっ?マジで?もしかしてこれ大将の注文品?」

 

 

だんだんと事情が飲み込めてきたのか青ざめながら親友に確認をする。

 

 

コクリと、沙和は頷いた上で

 

 

沙和「華琳様がありったけの想いを込めたモノを彩るものだからなかなか手に入らない逸品なの」

 

 

真桜「あぁそうかぁもう今年も”アノ日”なんやねぇ」

 

 

二人してしみじみとする。

 

 

真桜「ほな沙和これちゃっちゃと大将のとこ持っていっとき、またウチみたいに欲しがる人間出てくるかもしれへんし」

 

 

沙和「うん、行ってくるの~」

 

 

リボンを大事そうに持っていく親友の背中を見ながら

 

 

真桜「ホンマ、たいちょ~も罪作りな人やで」

 

 

と、呟いた。

 

 

 -蔵-

 

 

???「確かこの辺にあったと思たんやけどなぁ」

 

 

ガソゴソと何かを探している袴姿の紫髪の女性

 

 

???「何を探してるのでしょうか?」

 

 

???「いや、孟ちゃんが大事にしてる変わったお酒がここにあるハズなんやけど」

 

 

???「で、見つけてどうなさるおつもりですか?」

 

 

???「勿論飲むに決まってるやん。孟ちゃん秘蔵の品やでどんな味するかむっちゃ興味あるやろ?凪も」

 

 

と、後ろから話しかけてきていた銀髪の少女に問いかける。

 

 

凪「霞様のお探しの品はコレだと思いますが」

 

 

と、右手に持ったガラスの小瓶を示す。

 

 

霞「おおそれやん。凪それをウチにも飲ましてぇなぁ」

 

 

凪「残念ながらこれはもう空です。華琳様が中身を”例のモノ”に使用されましたので」

 

 

霞「そっかぁ・・・・・・それやったらしゃーないなぁその代わりに・・・・・・凪の膝枕を!!」

 

 

凪「なんでそうなるんですか!?」

 

 -鍛錬場-

 

???「ハッ!!フッ!!」

 

 

黒髪が似合う隻眼の女性が大剣を手にして素振りを繰り返していると、

 

 

???「姉者、ちょっといいか?」

 

 

凛とした青髪の女性が声をかけてきた。

 

 

???「おお、秋蘭どうした?」

 

 

呼びかけに答えるようにそちらを向くと

 

 

秋蘭「いや何大したことじゃないんだがこの後は何か予定があるのだろうか?」

 

 

春蘭「ふむ、華琳様をお誘いして食事にでも行こうかと思っているのだが」

 

 

秋蘭(間に合ったか)「実はな、少し料理を作りすぎてしまってな片付けるのを手伝って欲しいのだ」

 

 

バツが悪そうにそう言うと、

 

 

春蘭「それなら華琳様も誘って「姉者」ん?何だ」

 

 

秋蘭「それなんだが作りすぎてしまったのが麻婆豆腐でな、残念ながら華琳様をお誘いするわけにはいかないのだよ」

 

 

春蘭「そうか、それならば仕方ない。丁度お腹も空いて来たし早速片付けにいくか」

 

 

言いながら妹と並んで歩き出すと、

 

 

春蘭「華琳様と”あの馬鹿”の分も食べてやるからな」

 

 

と、ニッコリと言い放った。

 

 

秋蘭「姉者・・・・・・敵わないな姉者には」

 

 

コツンと、軽くおでこにげんこつを当てながら

 

 

春蘭「当たり前だぞ、何年お前の姉をやってると思ってるんだ。お前が失敗するなんて何か意図があるとしか思えん」

 

 

当てられたげんこつに許しを請うようにしながら

 

 

秋蘭「あぁ騙すような真似をしてすまなかったな姉者」

 

 

春蘭「なーに、可愛い妹の美味しい手料理が食べられるんだいくらでも騙されてやるさ」

 

 

 -???の部屋-

 

 

 部屋の中には金色の髪がその上品さを物語っているかのような美少女が一人机の上の写真立てを見つめていた。

 

 

真ん中には白く光る衣服を着た少年を中心に魏武将全員で撮った記念写真が入っていた。

 

 

少女が周りを伺うようにしながら胸元から一枚の写真を取り出すとその写真立ての中に差し込んだ。

 

 

そうして写真立ての前に何やら包装したものを置くと写真に語りかけるように

 

 

華琳「ふふっこれで何個目かしらね、食べる人のいない”ちょこれぇと”を作ったのは。今度のは腐らないうちに帰ってきなさいよ一刀」

 

 

と、呟いた。

 

 

いくばくか写真を眺めながら以前に作ったモノであろう包みを手に取り、

 

 

華琳「さてと、痛んではないと思うけど一口・・・・・・この曹孟徳ともあろうものが不覚を取ったわ」

 

 

華琳「苦くて・・・・・・しょっぱくて・・・・・・こんなの」

 

 

少女は自分の頬を伝う涙を感じながら

 

 

華琳「一刀ぉ・・・・・・声が聞きたいよぉ」

 

 

初めて一刀に真名を呼ばれた日の事を思い描きながら

 

 

華琳「かずとぉ・・・・・・逢いたいよぉ」

 

 

戦場において冷静さを失った自分の危機を救ってくれた事を思い浮かべながら

 

 

華琳「カズトォ・・・・・・触れて欲しいよぉ」

 

 

初めて一つになれた日を思い浮かべながら

 

 

華琳「あなたがいないと私は誰に褒めてもらえばいいの?誰に一人の女の子として見て貰えばいいの?教えてよカズト」

 

 

少女はただ写真立てを抱きしめながら泣きつづける。写真の中で彼は笑っている。その隣では金色の髪の少女が彼と同じような白い衣服で笑っていた。

 

 

そう、今日は”バレンタインデー””少女”が”愛しい男性”に”自分の気持ち”を”告白する日”それが・・・・・・日頃隠していただろう悲しさや苦しさだったとしても。

 

 

”覇王”である”曹孟徳”が”少女”の”華琳”になって”一刀”に気持ちを告白する日。

 

 

静かなバレンタイン-覇王が少女に戻る日-完-

 

 

???「ワイにはこの外史に関与する力があらへんよってあんさんには何もしてやられへん、せやけどワイの関与できる外史においてはきっと悲しい結末にはせんよってに・・・・・・」

 

 

???「けして慰めにならんかもしれへんけどハッピーエンドが嫌いな漢はおらへんからなこっちの外史ではあんたの涙は無駄にはせーへんきっとな」

 

 

-あとがき-

 

 はいどうも駄文製作者のshirouです。

 

 

バレンタインデー過ぎちゃいました^^;てへっ。和兎様に許可を頂いてからいろいろ話膨らませてたら・・・・・・こんな不手際を。

 

 

本当は風・稟・桂花のエピソード数え役満シスターズのエピソードも思いついてたんですが割愛しました。この絵を見たときに思い浮かんだのがコメントに書き込ませていただいたセリフだったんですね。で、この後にチョコ食べて泣き崩れる・・・・・・まで書くのはアレだなと思ってたらmighty様も同じような事を浮かべておられてて、ならもう心のまま許可貰って書いちゃえって思い作成しました。

 

改めまして許可を頂けた事を感謝致します。

 

 

 

 


 
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