No.200763

真説・恋姫演義 ~北朝伝~ 幕間の七

狭乃 狼さん

幕間シリーズ、七回目でございっと。

さて。

今回は皆揃っての、とある場所の大掃除の様子を、

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2011-02-10 19:48:25 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:21623   閲覧ユーザー数:16474

 「ん~~~~~んっ!今日もいい天気だ!絶好の掃除日和ってやつだ!な?みんな?!」

 

 『……ソウデスネ……』

 

 南皮の城のその一角にて、大きく伸びをしながらそんなことをさわやかに言い、背後にいる一同に、その笑顔を向ける一刀がいた。

 

 その一刀達が立っているのは、白亜の石が敷き詰められた、広大な敷地の中。そして、その彼らの前には、広々とした長方形の巨大な穴が開いていた。その長さは、横に十五メートル、縦に五十メートルといったところ。

 

 その穴の底や、壁一面には、びっしりと苔がむしており、ところどころに水たまりが張っている。

 

 -そう。

 

 勘のいい方ならもう、そこが何なのかの検討がついたと思う。

 

 

 一刀達がこの南皮の地を占拠してから、すでに半月ほどが過ぎていた。事後処理や今後の州の運営方針など、それらを地道に、一つづつ片付けていたある日のこと。それは発見されたのである。……張郃いわく、そこは袁紹私有の人工池-いわゆる”プール”という奴だった。

 

 そして、そのことを聞いた一刀は、全員にあることを提案した。それは、

 

 「ここを無料で開放して、街や近隣の人々に使って貰おう」

 

 というものであった。

 

 

 

 とはいえ、昨年の夏から使われていなかったそこは、一面に張っていた水を抜いてみれば、壁も床も全面苔だらけという有様。さすがにこのまま使うわけにもいかないので、一度徹底的に大掃除を、ということになった。

 

 ……なったのだが。

 

 一刀はそれを、兵士達ではなく、自分たちの手でやろうと言い出したのである。

 

 当然のように、ほかの一同は反対した。自分たちだって仕事で手が離せないというのに、そんなことをしている暇はない、と。

 

 で、一刀がそんな彼女たちを、どうやって説得したのかというと。

 

 「一番頑張った人には、最新水着を一着贈呈。副賞として、一日ここで、”自由に”、遊んでいていい権利を差し上げよう」

 

 

 季節はまもなく、夏を迎えようとしていた。そこに、そんな提案である。

 

 一番に飛びついたのは、姜維だった。そして彼女が手を上げると、徐庶と李儒も慌てて賛成の意を表明し、徐晃もまたそれに続いた。意外といえば意外だったのは、あの司馬懿も、みなと同じく賛成意見に回ったことだったが、こうなってくると、残っている反対意見者は華雄のみ。

 

 結局、全員揃っての、プールの大掃除という運びになったわけである。

 

 (……我が事なれり)

 

 と、一刀は心の中でほくそえんだ。もちろん、プールを無料開放することで、人々に喜んでもらおうという、その想いが彼の中にあったのも事実である。

 

 だが、

 

 彼の真の狙いは、今、彼の目の前に立っている、その六人の艶姿にあった。

 

 では、彼女たちのその姿を、順にご紹介していきたいと思う。

 

 

 

 先ずは徐庶。

 

 

 身に着けているは、胸と腰にリボンをあしらった、赤いビキニ。

 

 

 大きくもなく小さくもない標準的な大きさながらも、形のいいその双丘がしっかりとした谷間を作っており、細くくびれたその腰のラインから、これまた形の良いヒップラインを通過して、すらりと伸びたその健康的な脚へと続いていく。

 

 

 (うむ!健康的な色気、それでこそ輝里!!)

 

 

 続いては姜維。

 

 

 水着のデザインは、セパレーツタイプ。

 

 

 ……まあ、体型に関しては、何も言うまい。背もさほど高くないが、くびれは確かにあるし、彼女なりの色気というものも確かにある。しかし、ある”一部分”が……。

 

 

 (……残念なんだよな~。……いや、もちろん、十分可愛いんだけどね)

 

 

 今度は徐晃。

 

 

 アップにまとめた真紅の髪。それによって露出したうなじが、大人の色気というものを醸し出している。着ている水着はごくシンプルな白いワンピース。しかし彼女の場合、モデルのようなその身長と体型に加え、なんと言ってもその、これでもかと言わんばかりに自己主張する、巨大な二つのそのふくらみが、一刀の目を惹きつけてやまなかった。

 

 

 (……格差ってのは、何にでもあるんだな……)

 

 

 

 続いてご紹介は司馬懿である。

 

 銀色のその髪はいつもどおりにツインテール。その表情もいつもどおりの無表情。背や体型は姜維とさほど変わりがない。しかし、その水着こそ、彼女の魅力を最大限に発揮させているといっても過言ではあるまい。それは……紺の、スク水!しかも、胸の部分には、”ひらがなで”、「るり」と書かれた名札。……ちょっとだけ、ほほを赤らめているのがミソw

 

 

 (瑠里……なんて、破壊力、なん、だ……)

 

 

 次に控えしは李儒である。

 

 三つ編みにしたその黒髪を、徐晃と同じくアップにしており、この時ばかりは誰も他にいないということで、久しぶりにその素顔をさらしている。そしてその格好であるが、なぜか彼女だけ水着ではなく、白い体操服に紅いぶるま(誤字にあらず)という出で立ち。しかもその体操服は、彼女のその、徐晃にも負けず劣らずなふくらみによって、今にもはちきれんばかりである。

 

 

 (こ、この体型であのでかさ……命、なんて恐ろしい娘!)

 

 

 最後に残りしは華雄である。

 

 とはいえ、いつもの鎧があれなので、一刀からすればさほど新鮮味はないだろうなと、そう思っていた。

 

 (ええ、そう思っていた時期がありましたとも!けど、けど、これはなんという反則……!!)

 

 華雄の身に着けているその水着は、いつもの彼女からは想像のつかない、フリフリのレースがあちこちについた、可愛らしさ満点のワンピースだったのである!

 

 

 (……ギャップ萌え、万歳)

 

 

 

 と。

 

 そんな華やかな彼女たちを、思いっきり鼻の下を伸ばして見ていた一刀を、姜維がにやけた顔で見ていたことに、一刀はようやく気づいた。

 

 「……ナニ考えとったか、あててみよか?……この助平」

 

 「いや、その!」

 

 「……鼻の下、思いっきり伸びまくっとるぞ?一刀」

 

 「あう」

 

 李儒にまでそう突っ込まれ、一刀は顔を赤くして唸った。

 

 「……ま、一刀さんの思惑はともかく、掃除のほう、始めませんか?」

 

 「そうだな。さっさと終わらせて、一日遊びまくる権利をいただかないとな!」

 

 

 そうして始まったプール掃除。

 

 

 で、あったのだが。

 

 

 

 (……これで、掃除に集中しろというのが、土台無理な話です)

 

 なるべく正面を向かないよう、一刀は下を向いたままごしごしと、モップで床を拭き続ける。さもありなん。彼がその視線を、ちらりと前に向けるたび、その視界に六人の美少女たちの肢体(あくまでも水着、アンド、体操着姿です)が、飛び込んでくるのである。

 

 そもそも、それを計算して今回のことを計画した一刀だったが、予想以上のその天国な光景に、いまさらながらどぎまぎしてしまっていた。

 

 「……ここは、この世の天国(ぱらいそ)だ……!!」

 

 

 そんなことをポツリとつぶやいた一刀。

 

 で、

 

 それを、たまたま近くに来ていた一人の少女が、それをその耳でしっかりと捕らえていた。

 

 「……一刀さん、一言いいですか?」

 

 「……へ?あれ?瑠里?……いつの間にそこに?てか、なに?」

 

 「…………すけべ」

 

 「はぐっ!!」

 

 思いっきりジト目の司馬懿の一言は、ざっくりと一刀の心を抉ったのであったw

 

 

 

 

 で。

 

 結局誰が賞品と副賞を手に入れたかというと。

 

 「……私でいいんですか?」

 

 「ええ。その代わり、私たちはたあ~っぷり、一刀さんをこき使うから」

 

 「そーそ。……”明日の朝まで”、三人できっちり、な」

 

 「……お前もここ最近、休みらしい休みがなかっただろう?この機に、しっかりと遊んでおけ」

 

 ふふふふ、と。

 

 まるで獲物を狙う獣のような目で一刀を見ながら、司馬懿に賞品と副賞を譲った徐庶・姜維・徐晃の三人。残りの二人はというと、

 

 「私はしばらく、命さまの看病につかないといけないのでな。遊んでいる余裕は、当分できなさそうだ。……私と命さまのぶんも、しっかりと休みを堪能しておいてくれ」

 

 実は昼間の掃除中、李儒が突然、腰を曲げた状態のまま、その場で固まってしまったのである。すぐに医者に見せたところ、軽いぎっくり腰とのことだった。で、今も自室で横になっている彼女の看病を、華雄が自ら申し出たわけである。

 

 「……だからさ、瑠里は遠慮なく、みんなの好意を受け取っておきなよ。……な?」

 

 「……はい」

 

 こころなしか、赤く染まった風に見えるその顔に、一同の前で、初めて、わずかな、うっすらとした笑顔を、司馬懿は浮かべて見せたのであった。

 

 

 で、その翌日。

 

 

 

 「……ふ~……いい、天気……」

 

 今年最初の、夏のその日差しが照りつける中、司馬懿はプールに張られた水にその身を預け、ぷかぷかとその上を漂っていた。

 

 「……いつぶりかな、笑ったの……」

 

 昨日。

 

 一刀たちの前で、本人としても随分久方ぶりに、その顔に笑顔を浮かべた彼女。……あの日、あの時。……目の前で、両親と、七人の姉妹を、無残に惨殺されたあの日。父母と姉妹たちは、彼女を守るようにして包み込み、彼女に笑顔を向けたまま、彼女を守って死んでいった。

 

 あの日以来、彼女は笑うことを止めた。怒ったり、泣いたり。そんな感情を自分の中に封じ込めた。……もう、二度と表に出さないと、そう誓った筈だった。けれど、そんな彼女を、一刀を始め、仲間たちはいつでも気遣ってくれてきた。

 

 そうしているうちに、彼女はあることを思うようになった。

 

 過去。

 

 現在。

 

 そして、未来。

 

 仲間たちはこれからも、こんな自分を励まし、暖かく包み込んでいてくれるだろう。時には他愛のないことで、騒々しくも穏やかな日常を、自分の周りで繰り返していってくれるだろう。

 

 以前の自分なら、そんな彼らを「馬鹿ばっか」といって、なんとも思ってもいなかった。けれど、最近になって、彼女はようやく気づいた。

 

 そして、空を見上げたまま、ポツリと、こう、つぶやいた。

 

 

 

 

 「……私も、結構馬鹿、よね」

 

 

 

 くすり。

 

 わずかな笑顔とともに、高い蒼空を見上げる司馬懿。

 

 

 

 聞こえてくるのは、せみの鳴き声。

 

 風のそよぎ。

 

 そして、

 

 「たああすけてくれえええええっっっ!!」

 

 ……一刀の、”いつもの”悲鳴であった(笑。

 

 

 「……ほんと、馬鹿ばっか」

 

 

                                   ~えんど~

 

 

 てなわけで、ご堪能いただけたでしょうか?

 

 命「・・・親父殿?ひとつ聞きたいのだがの?」

 

 はいはい、なんでしょうか?

 

 命「なんで妾だけ、水着ではないのだ?しかもぶるま」

 

 ・・・俺の趣味ですが、何か?

 

 命「・・・いい度胸じゃの。・・・そこまで堂々としてると、かえって潔いかもな」

 

 でしょ?

 

 命「・・・じゃが、それとオシオキは別じゃ。・・・彦雲!変身せよ!!」

 

 ??「はあ~い!・・・漢女化の秘法、発動!”ぶるわああああっっ!!”」

 

 ぎえええええええっっっ!!やめろ!くるな!お前の出番はここじゃあないいいいっっっ!!

 

 あっーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

 

 

 

 輝「てなわけで、父さんにかわってお報せです。後もう一つほど、拠点をお送りする予定だそうですので、もちょっとお付き合いくださいませ。・・・だそうです」

 

 命「では皆の衆、また次回、会うといたそうぞ?」

 

 由「ほいたら、今回はこれにて」

 

 

 『再見~!!』

 

 


 
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