No.200291

真・恋姫†無双 北郷史 10

たくろうさん

書く作業からしばらく離れたせいで作業が難航してしまいました。テストとか滅びればいいのに。

今回はサビ落としも兼ねているのでいつも以上にひねりが無い出来です。サーセン

2011-02-07 23:01:48 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:9086   閲覧ユーザー数:6463

拠点;稟 あの方の後ろ姿は覇王様?

 

「では、朝議を始めよう」

 

一刀の掛け声と共に毎朝恒例の朝議が始まる。一刀は玉座に座るということが未だに慣れないので玉座に腰を下ろす姿は何処かぎこちない。

 

「ではまず街の治安について。星」

 

「はっ。街の治安についてですが問題ありません。主殿の出した案件により街の治安の良さは上がる一方です。 それに最近は華蝶仮面なる正義の使者が現れて…………」

 

「あー、それはいいから。次、華雄。軍の練度はどうかな?」

 

放っておいたらいくらでも語り出しそうなので一刀はすぐに星の話を切る。

 

「こっちも問題ない。というより一刀の兵は練度が高すぎて逆に気持ち悪いぞ……。なんだ「サーイエッサー!!」って」

 

「まあいいじゃないか。 じゃあ次は稟、予算の割り当てについていいかな?」

 

一刀は稟に呼びかけるが中々返事が帰ってこない。一刀が不思議に思って稟の方をよく見てみると稟の体は何故か震えていた。

 

「…………ブハッ!!」

 

「……稟!?」

 

突然稟は鼻血を吹いて倒れた。

 

「はいー、稟ちゃん。 トントンしますよートントーン」

 

すぐに風が稟のもとに駆け寄って稟の首筋を叩く。稟は毎度の如くフガフガと言っている。

 

「稟、どうした? 昨日読んだ艶本でも思い出したのか?」

 

「確かに昨日のアレは凄……って違います!!」

 

「まあそれは冗談として。本当にどうした?」

 

一刀は稟の側に駆け寄る。稟の鼻血はよくあることだが華琳がいない分、前の世界と比べれば鼻血の量は明らかに少なかった。だからなおのこと一刀は稟のことが気になる。

 

「……いえ、何でもないです」

 

「ならいいけど……」

 

この後何の問題もなく朝議は終了した。

 

「……そう、今のは気の迷いよ。だって、まさか……」

 

稟は自らに言い聞かせるように、そして誰にも聞こえないようにそう呟いていた。

それからの稟はやはり何処か変だった。

 

政務室で一刀と顔を合わせると鼻血を吹き、鍛錬終わりの一刀と顔を合わせるとまた吹き……とにかく一刀と顔を合わせると鼻血を吹くばかりだった。

 

流石に稟とはいえこれは変だと一刀は思い一刀は中庭に風と稟の二人を呼んでいた。

 

「今日ここに呼んだ理由は他ならない、最近の稟のことだ」

 

「まあ私達二人を呼んだ時点でわかっていますけどー」

 

「……面目ありません」

 

稟はシュンとなり肩を落とす。

 

「俺もそれなりに考えてみた。だが理由はさっぱりだ。で、俺は風に意見を仰いでみようと思うのだが」

 

「……ぐぅ」

 

「寝るな!!」

 

「おおっ? お兄さんの投げっぷりに思わず寝てしまいましたー」

 

風はあくびをしながら言う。

 

「それで、稟ちゃんの鼻血のことですが、ひとつ試させてもらっていいですかー?」

 

「……? 俺に出来ることなら何でも」

 

「ではお兄さん。 普段のおちゃらけた顔ではなく何かこう、格好つけた顔になってくださいー」

 

「……風、何気酷いこと言うな。 格好つけた顔か。 こんな感じか?」

 

一刀は顔を引き締めた。

 

「……うっ」

 

瞬間に稟が反応する。だが鼻血は寸前で抑えている。

 

「(華琳をイメージしてと……)稟、今夜私の閨に来なさい」

 

次に一刀は華琳の姿や態度を意識して流し目で稟を見つめ華琳の謳い文句を言い放った。

 

「ああ……ブハッ!!」

 

稟は耐え切れず鼻血を噴射して倒れた。

 

「これでハッキリしました。原因はズバリ、お兄さんです」

 

「え、俺?」

 

「多分、稟ちゃんはお兄さんの中にある曹操さんに通ずる何かに反応してしまうのかとー」

 

「えー、マジでか?」

 

その言葉に一刀は腑に落ちないといった顔になる。

 

「事実稟ちゃんはこうなってますしー」

 

「いやー、やっぱないない。 カリスマがないのが俺の長所だし」

 

「かりすま?」

 

「華琳のような人柄のことさ」

 

 

「……はっ!? 私は確か一刀殿に言い寄られ恥じらう私を……この血はもしや破瓜の血!?」

 

「いや、それが破瓜の血だったら俺何回血の海に溺れてると思ってんだ」

 

前後の記憶が歪曲している稟に一刀はささやかな突っ込みを入れる。

 

「まあ風的にはこの話題には結論が出たのでお兄さんに質問してよろしいですかー?」

 

「ん? 何だい?」

 

「お兄さん、さっき曹操さんの真名を呼んでたですよねー?」

 

「何の問題ですか?」

 

一刀は特に驚くこともなくサラッと答える。風は一刀の態度で察したのか溜息をつく。

 

「お兄さんは本当に種馬なんですねー」

 

「いや、流石にそれは結論が飛躍し過ぎだ。華琳とは戦友というか競争相手として真名を預かっただけだよ」

 

一刀は普段自ら種馬と言ってたことを自粛しようと思った。

 

「曹操様は既に一刀殿の毒牙に……ブハッ!!」

 

「稟、年寄りの話は最後まで聞きなさい。っていうか聞いてください、マジで」

 

稟の鼻血は何処までも付き纏う。今日一刀はまた一つ賢くなったのであった。

拠点;恋&音々音 南斗○鷲拳はドSの拳

 

「……ご主人、おかわり」

 

「任せろ」

 

恋が一刀に皿を差し出しておかわりの催促をする。すると一刀は元気よく返事をして次の料理を作り始める。一刀の表情はとてもツヤツヤしている。

 

「……ご主人様の料理、おいしい」

 

(ヤバい、何この生き物? 食べる度にマイナスイオン出してるんじゃないのか?)

 

一刀は恋の食べる姿を見ると思わず顔が緩んでしまう。

 

「飛将軍呂布、二重の意味で恐ろしいやつだ……」

 

「……??」

 

恋は一刀の言葉で可愛らしく首を傾げる。その姿を見て一刀はさらに顔を緩める。

 

「……お腹いっぱい」

 

「そりゃそんだけ食えばね」

 

一刀はそう言うと流し台を見る。流し台には沢山の皿が積まれていて恋の食欲の旺盛さが見て取れる。

 

「さーてと、洗い物は後にして仕事に戻るかー」

 

一刀は背筋を伸ばすと厨房から出ようとする。すると一刀は恋に袖を掴まれた。

 

「……ご主人様、昼寝、する」

 

「……? そりゃご自由に寝るといい」

 

一刀の言葉を聞くと恋は首を振る。

 

「……ご主人様も、寝る」

 

「いや、俺忙しいから……」

 

その言葉を聞くと恋は上目遣いになって一刀を見る。

 

「……だめ?」

 

「え、えーとだな。いや、だけど……」

 

恋の姿を見ると一刀は言い淀んでしまう。

 

(っく、なんて破壊力だ……)

 

一刀は断るに断れず困ってしまう。

だがそんな状態を断ち切るかのように誰かが厨房の中に飛び込んで来た。

 

「ちんきゅーきっーく!!」

 

それは一刀を目掛けて飛び蹴りをする音々音だった。

 

「……無想○生と言いつつただ避けるだけ」

 

一刀は音もなくその身を左方に移動させて音々音の攻撃を軌道からずれる。音々音は急に標的が軌道からいなくなってしまって空中でアタフタする。そして軌道上にいた恋のほうにそのまま突っ込んで行ってしまう。

 

「……ねね、めっ」

 

恋は音々音を受け止めた。そしてそのまま音々音を叱る。

 

「れ、恋殿~……。 しかしこいつが恋殿を」

 

「恋、そのまま音々音を抑えていてくれ」

 

「……?……コクッ」

 

恋は一刀の言葉に頷くと音々音の腰に手を回して音々音を抑える。

 

「れ、恋殿!? おい、お前はねねに何をする気ですか!?」

 

音々音は一刀に飛びかからんばかりに叫ぶ。すると一刀はニッコリと極上の笑みを浮かべる。

 

「音々音、教育的指導だ。 厨房で暴れるんじゃありません。埃が立つだろうが。 お前にはお仕置きが必要だな」

 

一刀は人差し指を立て、そして、音々音の体にそれを突き立て始めた。

 

「な、何をしやがるのですかー!? ひゃうっ!?」

 

「さーて、何本目で逝くかな?」

 

七本目で厨房には音々音の嬌声、もしくは悲鳴が響いた。

 

(華琳っていつもこんな気分でお仕置きしてたのだな。確かにこれはグッとくるな)

 

一刀はその場に倒れて荒い息を上げている音々音を見ながらウンウンと頷く。

 

「恋、後はよろしくなー」

 

「……あ」

 

恋は何か言おうとしたが一刀はその隙もなく厨房を出て行った。

 

「……ご主人様、捕まえるの難しい」

 

恋は音々音を抱き上げるとポツリとそう言った。

拠点;張三姉妹 

 

ギリッ……ギリッ……。街中のあちらこちらで歯軋りの音が聞こえる。針のように鋭い殺気を放ちながら。

 

「スキャンダルに慣れ親しんだとはいえ……天和達、ちょっと離れろ。北郷爺さんは周りの視線で体中に穴が空きそうだ」

 

「だーめっ。一刀は私の物なんだから」

 

「何言ってんの天和姉さん、一刀はちーの物よ」

 

一刀の右腕に天和、左腕に地和が絡み付いている。気のせいではなく一刀は少々歩きづらそうだ。もっとも周りの殺気のせいで一刀はそんなこと気にしていられないが。

 

「姉さん達、今後の活動に支障が出たら困るからホドホドにしてちょうだいね」

 

一刀達の少し後ろを歩いていた人和が眼鏡の位置を直しながら釘を刺す。

 

「おお、さすが人和。最後の良心だ」

 

「はあ、一刀さんも感心してないで少しは姉さん達に何か言ってください」

 

「俺は来る者拒まずだからね~。ま、そんなことよりさっさと事務所に行こうか」

 

一刀はこの後もどんどん増えていく周りの殺気から逃げるように張三姉妹の事務所に向かった。

「で、人和。費用の運営は順調か?」

 

一刀は事務所の椅子に座ると机に肘を置いて仕事の話を始める。

 

「はい、もともと破格の資金を与えられていましたから問題はないです。……ただ、姉さん達の食費をもう少し節約したいですね」

 

「うん。まあそのぐらいの出費なら大丈夫じゃないか?」

 

「それよりも一刀さんはもう少し長く私達の世話係は出来ないのですか?」

 

「いやー、俺も忙しいからね。まずお前達の世話係だろ。次に政務、警邏、服、飯店、絡繰、調練、それとあと……」

 

「……聞いてごめんなさい」

 

人和は一刀に思わず頭を下げてしまった。

 

「ついでに最近はお前達の追っかけ達にオタ芸を仕込んでみた」

 

「「「おたげい?」」」

 

「今日の舞台でどんなものかわかるさ」

 

 

日が落ち、辺りは暗くなっても街の一部はとても輝いている。だがそれは松明の類の明かりではなく様々な色の怪奇な光。地和の妖術が作り出す舞台の明かりである。その光景はこの時代においてはとても幻想的かつ人に高揚感を感じさせずにはいられなくする。そして今日は舞台だけではなく観客席も異様な光景が作られていた。

 

『ほあ!ほあ!ほあ!』

 

首を揺さぶり両手を突きあげての手拍子。豪快な所作でもあくまで舞台の主役を引き立てるだけ留まらせている。そして一糸の乱れもない動き。もっさりとした動きにもかかわらず完全に音楽と同調した完璧な踊り。

 

「……み、みんな!! 今日はありがとねー!!」

 

あまりに奇妙な光景に舞台の三人は若干あっけに取られたがすぐにいつもの調子に戻る。

後はいつも以上の観客と調和した歌声が響いた。

 

 

「今回の舞台も成功だな。さて、北郷爺さんはお早めに切り上げようとするかな。あいつらの歌を聞いてると涙が止まらなくなる」

 

観客達の最高尾で張三姉妹の舞台を見ていた一刀はひっそりと一人城に戻って行った。

あとがき 

 

次回から本気出す。

 


 
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