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新・外史伝『希望』編 第16話 『地獄の御遣い 呂尚』

みなさま、こんにちは。
今日は、16話を投稿させていただきます。
今回のお話は董卓編の導入部を董卓軍サイドからお送りさせていただきます。今回から王允という恋の義母がオリジナルキャラクターとして登場します。また、アニメ恋姫†無双から二人目のゲストキャラ張譲を出させていただいています。それでは、新・外史伝『希望』編 第16話 『地獄の御遣い 呂尚』をごゆっくりお楽しみください。

張譲のキャラが違うんじゃないか?っと思われる方もられるんじゃないのかと思いますが…

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2011-01-31 00:33:10 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:2818   閲覧ユーザー数:2400

 

 

 

 

新・外史伝『希望』編 第16話 『地獄の御遣い 呂尚』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黄巾の乱が収束すると、時代は混迷の色を見せ始めた。

 

各地に盗賊が現れるようになり、役人達の間には賄賂が横行した

 

帝都、洛陽にて十常侍は、対立していた何進を罠にはめ、反逆罪で拘束・監禁した。

 

そして、十常侍達は即位したばかりの幼い皇帝に侍り、悪政の限りをつくしていた

 

しかし、何進の危機を救わんとした皇帝は密命を漢の忠臣である馬騰と董卓に送る。

 

これを受けた馬騰軍・董卓軍は密かに連合を組み、董卓の指揮の下洛陽に攻め入った。

 

これに呼応した王允は、養女である呂布奉先そして、彼女の部下である陳宮と共に粛清に加わった。

 

彼らの活躍により何進大将軍は救出され、十常侍はすべて粛清された…と思われていた。

 

 

 

 

そして…

 

 

洛陽・宮廷の玉座の間

 

董卓と呼ばれる幼い少女は、皇帝に謁見していた

 

「董卓よ。このたびのこと、まことに大義であった!

 

良くぞ、何進を…そして、洛陽の民達を救ってくれた。」

 

まだ幼さが残る少女。

 

この少女こそが、現在の漢王朝皇帝…献帝である

 

「陛下…!

 

光栄の極みです。

 

馬騰様もきっとお喜びになります」

 

董卓は顔を輝かせる

 

自分はこの人の役に立てた!

 

董気の誇りを守ることができた!

 

何よりも、漢室のお役に立てたのだ!

 

今の時代…彼女や馬騰のような、忠誠心の強い太守は…そういないだろう。

 

「何進が復帰するまで、そなたにはわらわのそばにいて欲しい。

 

良いかの?」

 

「はい。この董卓、陛下のお力に喜んでなります。

 

どうか、月っと真名でおよび下さいませ。」

 

「ありがとうございます。月」

 

 

 

帝は董卓に恩を返す為、高い官位と帝都のまつりごとを任せるという重要な仕事を与えた。

 

馬騰は盟友の出世を喜んだあと、故郷へと帰還した。

 

董卓は、帝のためならばとこれを承諾し、帝都はようやく平穏を迎えるはずだった。

 

しかし、十常侍の張譲は生きていた。

 

洛陽が平和になった数日後、ついに張譲の逆襲が始まった

 

玉座の間にて董卓が何進大将軍の代役を勤めていた時のことだった

 

玉座の間には、その他に張遼と華雄、そして王允がいた

 

「た、大変です!

 

皇帝陛下!!董卓様!!!!

 

速くお逃げください!!!」

 

駆け込んできた男は、皇帝の側近の一人だった

 

「な、何事です!!ここを、どこだと…」

 

「ご無礼をお許しくださいませ!

 

しかし、陛下!死んだはずの張譲が…大軍を率いてこの玉座の間に迫っております!!!」

 

「な、なんだと!?」

 

董卓の側近の少女、賈駆は慌てて献帝に話しかけた

 

「へ、陛下!月と共にお逃げください!

 

衛兵!!衛兵!!!」

 

彼女は衛兵を呼んだ

 

「なんで、気づかなかったの!

 

進入を許すなんて!!!」

 

「も、申し訳ありません!!

 

しかし、奴ら…いきなり廊下に沸いて出るように現れたのです!」

 

「そんなバカな!」

 

賈駆の叫びを消すように、

 

「それがあるんだよ。

 

董卓。」

 

一人の甲高い男の声と共に、玉座の扉が勢いよく開かれた

 

 

王允がその声に気が付いた

 

「こ、この声は…まさか!?」

 

???「そう、ボクだ。王允。

 

十常侍筆頭…張譲だ!」

 

十常侍筆頭張譲。

 

女性のような声をしており、身長も低いので一見女性のように見える男である。

 

しかし、性格は狡猾そのものである

 

この宦官は、自分の身代わりをたてて、のうのうと逃げ出していた

 

そう、彼はとあるもの達と取引をしていたのだ。

 

それは、張譲以外の者達が粛清された日のことだった

 

逃げようとしていた張譲の目の前に、一人の男が現れた

 

彼は、張譲そっくりな身代わりを…しかも、命を持たない人形兵を用意し、身代わりに立てたのだった。

 

その張譲が…いま、大勢の黒い服をきた兵士を引き連れて玉座の間を占拠している

 

 

「ど、どうやって!?いきのこったんや!

 

うちが確かに斬ったはずや!!」

 

張遼は取り乱したように、叫ぶ。

 

「張譲!貴様!!」

 

王允は張譲に怒鳴りつけるが、

 

「おっと!動かないでいただけますかな?」

 

黒い導師服を着た男に、阻まれた

 

「な、何者だ!?」

 

王允は男を睨みつける

 

張遼は護衛用の剣を抜くと男に斬りかかった

 

「王允の姉ちゃん!どきィ!!」

 

王允は男から離れる

 

「お相手しましょう…」

 

男は、大剣をどこからともなく取り出すと張遼と打ち合った

 

一合、二合っと打ち合うが張遼は押され気味になってしまう

 

「つ、強い!?」

 

ここで、華雄も参戦する

 

「張遼!助太刀するぞ!!」

 

しかし…

 

「弱い…ですね。」

 

「なんだと!?」「なんやて!?」

 

一撃のうちあったとき、男の口からそんな言葉がこぼれる

 

怒る二人の剣をいとも簡単に受け止めると、

 

「甘い!」

 

二人をそのまま弾き飛ばし、二人は重なるように倒れこんでしまった

 

その様子を見ていた董卓たちは、恐怖でふるえが止まらなかった

 

董卓「そ、そんなぁ…」

 

賈駆「あの二人が…負けたなんて」

 

驚愕の声を上げる二人の少女

 

「あ~ははは!!

 

君たちでは勝てないさ!

 

彼こそ、『地獄から来たもう一人の御遣い』なんだからな!

 

だよねぇ!?呂尚君!!」

 

「呂尚と申します。

 

以後、お見知りおきを…。

 

我が主の命の下、張譲殿の護衛をしております」

 

男は、剣を地面にさすと優雅に礼をする。

 

華雄「(呂尚…『地獄の御遣い』!

 

悔しいが…我らでは勝てぬ!!)

 

ゆ、月様…!陛下と共に…早く、お逃げください」

 

張遼「(次元が…違いすぎや!!

 

でも…ここで、月は死なせられん!!!)

 

な、なんとか…あと、一撃は防ぇだるから!!」

 

再び立ち上がる二人に男は、ため息をはく

 

「やれやれ…。面倒ですね」

 

呂尚は、お札を懐から取り出す

 

「あかん!何やするつもりや!!

 

華雄、止めるでぇ!!」

 

「おう!!」

 

しかし、とき既に遅し!

 

二人が、飛びかかろうとした瞬間

 

「縛!!!」

 

呪文により、全員の体が動かなくなってしまった

 

 

華雄「こ、これは!?」

 

張遼「う、動けへん!!」

 

董卓「へ、へぅぅぅぅ…」

 

賈駆「ゆ、月…!陛下…!!」

 

王允「ぬぅ…!こ、これは!?」

 

献帝「ちょ…張譲!あ、あなたは…!?」

 

動けなくなった全員の様子を見て、張譲は高笑いをあげた

 

「あ~ははははは!!!!

 

ボクを馬鹿にした罰だよ!!!

 

あ~はははははは!!!!!!!!!

 

さて!陛下ぁ~。再び、ボクの操り人形になってもらいますよ?」

 

献帝は、いや…幼い少女は、悔しそうにうめき声を上げた

 

「そして、董卓たちもだ!

 

陛下の命が惜しくば…ボクの言うことを聞くんだね!

 

あ~はははは!!!!」

 

張譲はこんどは王允の方を向く

 

「そうそう・・・。

 

王允!君もだ!!大切な、大切な娘の命がおしかったら…」

 

「ふ、ふざけるな!

 

私の…私の恋ちゃんが…負けるものか!」

 

「あははは!!!

 

相変わらずの親バカだねぇ!

 

では、これはなにかな!?」

 

張譲は懐から、一枚の布切れを取り出した

 

それを見た瞬間、彼女の顔が歪む

 

「こ、これは!?

 

恋ちゃんの…首巻!!

 

あ、あなた達!恋に…私の恋に何をしたぁ!!?」

 

取り乱す彼女を張譲がせせら笑う。

 

「あ~ははは!

 

驚いたかい?呂尚はねぇ~、あの呂布より強いんだよ!

 

さぁ…娘の命が欲しかったら…僕に従ってもらいましょうか。

 

さぁ…これで、この国はボクのものだぁ!!」

 

部屋中に張譲の笑い声が響くのだった

 

その日の夜

 

張譲は袁家の屋敷を訪れていた

 

「お~ほほほほほ!!!

 

お~ほほほっほほほほほほほほほ!!!!!!

 

そうですか!

 

わたくし!このわたくしに、何進大将軍をお救いせよっと申されるのですね!」

 

机の前に座る一人の少女…袁紹本初。

 

彼女は、名族と名高い…袁家の現当主である。

 

「えぇ…。名門である…『君』ならば。

 

いや!名族『袁家』でなければ、漢室は守れません。

 

どうか、君の力で漢室にはびこる悪を…董卓を倒して欲しい。

 

このボク…十常侍筆頭、張譲が頼む。」

 

「お~ほほほほほ!!!

 

お~ほほほっほほほほほほほほ!!!!!

 

そうですかぁ~!この!わたくし!!!

 

袁紹でなければならないっと仰るのですわね!!」

 

「えぇ。そして、その後は…君の天下です!」

 

「いいですわねぇ~!

 

わたくしにお任せください!!!

 

お~ほほほっほほほほほ!!!!!!!!

 

生意気な董卓さんを倒して差し上げましょう!!!!

 

さっそく、流言飛語にて諸侯を集めて差し上げますわぁ~!!!!

 

お~ほほほっほっほほほほほほほほ!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

耳障りな声で笑う袁紹をみて、張譲はニヤリと口元をゆがめた

 

帰り道

 

牛車に揺られる張譲は呂尚に話しかけた

 

「どうだい?

 

ボクの計画!

 

面白いでしょう!?」

 

にやにや笑う張譲に呂尚は答える

 

「操るだけでなく、完全に消すつもりですね?」

 

「当然だろう!

 

このボクをバカにしたやつらなんて、生きている資格すらないよ」

 

「ふむ…、私は気に入りませんが…

 

ご自分の手を汚さないやり方には…我が主もお喜びになっておられます。

 

我が主はそのようなやり方を大変好まれますからなぁ。」

 

つまらなそうに言う呂尚を無視しながら張譲は機嫌よさそうに言う

 

「ははは!

 

君の主人とは、気が合いそうだよ!

 

それと、例の白装束とやらの始末だけど?」

 

呂尚は張譲から目をそらし、空に浮かぶ月をみる

 

「ご心配なく。彼らには、董卓軍の精鋭を向かわせます。

 

そうですね…対仙人用の防具と武器をご用意いたしましょう。

 

数日で、用意ができますよ。」

 

張譲をみないで答える呂尚

 

(「ふっ…。なんとも…愚劣な。

 

しかし…このままこの男の計画がうまくいくと…私の仕事もずいぶんと楽になりますね。

 

以前黄巾の乱を起こさせるのに用いた、『太平洋術の書』に込められた邪気と、そして今回の戦で集められるであろう邪気をあわせれば、一気に外史の破壊の儀に持ち込むことができましょう。

 

しかし…それでは、面白くない。

 

さぁ…この『地獄の御遣い』を止めてみせなさい。

 

そして…私を楽しませてみろ!北郷一刀よ…!」)

 

 

そして…

 

数日後

 

 

「ここが、洛陽か…?

 

流石は…帝都!

 

随分とにぎわっているなぁ。」

 

 

「観光に来たわけではないのだぞ?

 

自分の役目を忘れるなよ?北郷。」

 

 

「分かってるって!左慈」

 

 

天の御使いが洛陽に舞い降りた

 

二人の『御使い』が出会うそのときが、着実に訪れていた

 

 

つづく

 

 

次回予告

 

ついに一刀が洛陽に降立った

 

果たして、一刀と左慈は少女達をすくえるのだろうか?

 

張譲に操られた狂気の姫君を救うため

 

一刀のうちに眠る『白帝』が今蘇る

 

次回 新・外史伝『希望』編 

 

     第17話 『白帝剣』

 

お楽しみに!


 
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