三人の女の子がそれぞれ胸を強調して迫ってくる。
そこだけを聞くと殴りたくなるぐらい、羨ましい奴だと思っちまうだろ?
だがな、現実はそんなに甘くはないんだよ。
『あ、あたしの胸が一番に決まってるじゃない!』
『ふ……バカね。あなたみたいな中途半端な胸より、先輩は小さい方が好みなのよ』
『はぁ? 何言ってんの? あんたみたいな超貧乳に興味を持つはずがないでしょ』
『……貧乳にも巨乳にもなれないくせに』
『あん? 喧嘩売ってんの?』
『それは、あなたでしょ』
『ははは。お二人には悪いのですが、京介氏は拙者のオッパイが大好きなのでござるよ』
『『それは無い!』』
学校から家に帰ると桐乃、黒猫、沙織の三人が妙な口論をしていた。
胸のサイズがどうのこうの言っていたが、どうやってそんな話になったんだ?
それにしても、胸の話か……
まぁ、胸といえばまずは沙織だよな。
あの胸は健全な男子高生には厳しいものがある。
あれを揉むことが出来たら、どれだけ幸せなんだろうか。
それにしてもマジであの胸には、何が詰まっているんだろうか?
そして次に大きさでいえば桐乃か。
大き過ぎず小さすぎない。
ちょうどいいサイズというべきだろうか。
手に収まるようなサイズ。
しかもまだ桐乃は成長の可能性があるんだよな。
最後は黒猫か。
確かに三人の中では黒猫が一番小さい。
だが小さくとも問題はないと思う。
そこに夢が詰まっていれば何の問題もないじゃないか。
それに小さい方が感度がいいって言うしな。
そんな風に三人の胸について考えていると――
「ねぇ、あたしの胸が一番よね!」
桐乃が恐ろしい無茶振りをしてきやがった。
余計な事を考えていたのが悪かったか。早く自分の部屋に戻ればよかった。
「早く、あたしのが一番って言いなさいよ!」
「ふん。強要させるなんて余程自分に自信がないのね。ねぇ先輩、分かっているわよね?」
「あんたも強要してるじゃない!」
「なんのことかしら?」
「きぃ――――!」
取っ組み合いの喧嘩を始める二人。
おいおい、マジかよ。そんなくだらない事で喧嘩するなよ。
「まったく、二人には呆れますな」
「……そうだな。そして、何故お前は腕を絡ませてくる?」
「むむっ、気付かれましたか。しかし、京介氏的には嬉しいのでしょ?」
「いや、まぁそれは――って、何を言わせる!」
「まぁまぁ、いいでござらんか。そんな事より、拙者の胸が京介的には一番でござるか?」
「「ちょっ、抜け駆けするな!」」
今度は沙織を巻き込んでの喧嘩が始まる。
こいつらは何でこんな事で喧嘩してんだろうな。
まぁ、これ以上巻き込まれるのも嫌だし、こっそりと離脱するか。
ゆっくりと、慎重に…………
「ちょっ、あんた何逃げようとしてんのよ! まだ話は終わってないんだからね!」
ま、マジかよ……桐乃。
「誰のが一番か決めずに逃げるのは、男としてどうかと思うでござるよ京介氏」
さ、沙織まで……
「そうよ先輩。男らしく早く決めてちょうだい」
完全に退路を断たれた。
「「「さぁ!」」」
胸を強調して迫ってくる三人。
なんと答えても最悪の結果しか生まれない。
現実なんてこんなもんだよな。
そうそう羨ましい展開になるわけがない。
現実は甘くないんだよ。
だから今の俺に出来る事は――
「あ、ちょっ、逃げるな!」
「逃がさないわよ先輩」
「むふふ、鬼ごっこですな」
こいつらに捕まらないように全力で逃げるだけだ!
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ただただ、バカっぽ話。
京介が皆に愛されてる話です。