ある日のこと。
陽架と清歌は猫の遠莉を連れていつものように湖に出かけて行った。
釣りの支度をする清歌に向かって陽架は言った。
「しんちゃん今日も沢山お魚さん取って下さいですの」
「へへ、どうせ遠莉に食われるんだろっ?」
「むぅー」
清歌がぷくりと膨れる陽架のほっぺたをツンとつつくと
陽架はポテっとひっくり返った。
遠莉はそんな陽架の顔をペロッとなめる。
「おんりいじわるですのぉ~~!!」
「遠莉も食ってばっかりじゃなくて
たまには魚捕まえて来いよなっ!」
そう言うと清歌は湖に向かって煮干しを投げた。
「にゃー!!」
「あ!」
ボチャーン!!
と言う派手な音がすると、遠莉は居なくなっていた。
「……マジ?」
数時間後。
2人と1匹は
清歌と遠莉が捕まえた魚を焼けるのを待っていた。
「おさかなさ~ん♪」
と、清歌は魚の中に混じっている赤い物を見つけて目を点にする。
「よーか…これなんだ?」
清歌はそう言って赤い物体を指さした。
「それはリンゴですわ♪」
「何してんの?」
「焼きリンゴにするのですわ♪」
「………もう勝手にしてくれ」
やや呆れながらも魚の様子を見る清歌。
と、その時、遠莉がその魚の内の良く焼けた1匹を口にくわえて走っていった。
「にゃー」
「あ、遠莉が魚持ってった」
「え?!」
「にゃ~~」
「わわー!!私のお魚さん~!!待って下さい~!!」
慌てて追いかける陽架。
「にゃぁっ!!」
「おーーい!!こっちにもまだあるぞーー!!!」
清歌の助言(?)は虚しく、陽架は遠莉を追っかけ続けたのである。
「お魚さ~~~ん!!」
おしまいおしまい。
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ほんわかなショートストーリーです。